誰がため

評価 : ★★☆☆☆

あらすじ

第二次大戦中、ナチスドイツに占領されてた頃のデンマークの話。レジスタンス活動に身を置く二人の男が主人公。祖国の自由のためと信じて行ってきた活動が実は…。

レジスタンス活動っていうと崇高なものととらえられがちだけど、実はレジスタンスの中にも悪いやつがいて、実行部隊が悪いやつにいいように利用されていたこともある、みたいなストーリー。実行部隊のうちの二人に焦点を当てているんだけど、二人とも祖国の自由のためと信じて家族を犠牲にしたり、信条に反する行い(女性を殺す)なんかをやるんだけど、後の方になってナチスの協力者を殺しているつもりが、反ナチス活動を支援していた人物を殺害していたことが判明して衝撃を受ける。

知っておかなければならない歴史の真実だとは思うけど(この映画は実話ベース)、全体的に暗くてあまり好きにはなれなかった。カメラワークも不自然。ドキュメンタリーっぽさを出したいのか、不自然な寄りや引きがある。ただ、二人の人物が会話しているシーンで、話している人物の目にフォーカスを合わせ、その人が話し終えたら次に話をする人物の目にフォーカスを合わせるテクニックは、スリリングな会話の雰囲気を伝える演出効果があったと思う。でもやっぱ慣れなかったけど。

蛇足だけど、デンマーク語は全然分からないのに見ていて「???」みたいな感じにならないのはゲルマン語だからかなと思う。ドイツ語よりも英語に言葉の響きが近くて、不思議な心地よさがあった。

ポータルシットの方にも感想を書いたことはないんだけど、デンマーク映画では『恋に落ちる確率』という映画がとても好きです。なんかこっちの方を見返したくなる映画でした。

ユキとニナ

評価 : ★★☆☆☆

日本人とフランス人の監督の合作らしい。率直に申し上げるとそんなに面白くなかったです。

あらすじ

フランス人と日本人のハーフのユキはフランスで暮らしていたが、両親が離婚するため母親と日本に帰ることになった。しかしユキは日本に行きたがらない。住み慣れたパリと親友のニナとも離れたくない。ある日二人は親の目を盗んでニナの父親の別荘に逃げるが…

感想

見る前からなんか「『ポネット』臭のする映画だなー」と思っていたらまさにそんな感じでした。フランスの少女の話。あるいは『大人はわかってくれない』にも近いかも。大人の身勝手で子どもが振り回されるというストーリーは似ているような気がします。

しかし、内容が徹頭徹尾抽象的で、あまり感情移入できなかった。

途中、ユキがニナとはぐれて、フランスの田舎村の森の中をさまよっていて日本の田舎にテレポーテーションするというシーンがある。まぁ寓話的なんだけど、そんなに悪くない演出だった。なにより梅雨の日本の田舎の田園地帯はフランスの田園風景にはない美しさがあって、この対比は良いなと思った。

そんでネタバレ気味になるから気になる人は読まないで欲しいんだけど、エンドロールの音楽がやばかったです。沖縄民謡の『てぃんさぐぬ花』。僕は初めて沖縄に行った小学生の頃にこの曲を聞いて以来、この曲が好きなんだけど、歌詞の内容も映画にマッチしてるのかなーと思った。というか最後にこの曲が流されなければ、映画のテーマがよく伝わってこなかったかも。

日本人であるユキの母も、フランス人のユキの父も、離婚することにはなったけど、ユキのことをとても大切に思っている。特にユキの父が、ユキと二人きりの夜にユキに語りかけるシーン。この男は妻とくだらない内容で喧嘩するシーンが多いのでくだらない男なんだ、という先入観を持っていたけど、父親が愛娘に接する様はいじらしいと思った。それで最後に『てぃんさぐぬ花』が流れるとじーんと来る。

見ると親孝行したくなる映画でした。

抱擁のかけら

評価 : ★★★☆☆

あらすじ

盲目の脚本家のハリー・ケーンとレナ(ペネロペ・クルス)の話。脚本家ハリー・ケーンはかつてマテオ・フランコの名前で映画を撮っていたが、事故で明かりを失い脚本家となった。ある日彼のもとに映画監督を名乗る謎の男がやってくる。脚本を書いて欲しいと男が話したストーリーは、ハリー自身の過去のストーリーだった。

冒頭からエロい。ハリーは道路を渡るのを手伝ってくれた女の子を部屋に連れ込んでやっちゃう。主人公が盲目であることをテーマにした映画ではないことが強烈に印象づけられる。

ペネロペは『ボルベール <帰郷>』のときみたいな役柄だった。美人なんだけど自分の思うとおりに生きられない女性というか。ペネロペ・クルスの容姿は僕は決して好きじゃないんだけど、きれいな女の人ほど不幸になることはあるよな、と思った。

強烈に印象に残ったのが、ペネロペ・クルスを囲う変態社長(ホセ・ルイス・ゴメスという俳優らしい)。典型的なラテン人の容姿で、背がちっちゃくて、でもバリッとしたスーツを着てて、なんかもうコテコテなの。卑劣な手段を駆使してペネロペ・クルスを手放すまいとする。気持ち悪かったっす。

しあわせの隠れ場所

評価 : ★★★★☆

あらすじ

家庭崩壊してる貧しい黒人の少年マイケル・オアーが、裕福な白人家庭に養子として迎え入れられ、アメフト選手として大成する話。マイケルが一時的に身を寄せていた自動車整備工場のおっさんが、自分の子どもをカトリックの名門校に入れるために、「マイケルをアメフト選手にしたら将来有望だぜ。だからうちの息子と一緒に入学させてくれよ」と高校のアメフト部のコーチに持ちかけるところから話が始まる。しかし白人だらけの高校にうまくなじめず、下宿先のおばさんにも疎まれマイケルは肩身の狭い思いをする。寒い冬の夜に半袖短パンで路頭に迷っているところに通りかかったリー・アン・テューイ(サンドラ・ブロック)が見かねて家に泊めてあげるところから話は進んでいく。実話がベースらしいです。

ベタな感動作品だけどとても良かったです。『きみに読む物語』とか『私の中のあなた』的な良さがあります。金持ちな白人が貧しい人を助けるっていう話だと偽善っぽさが出てくるんだけど、サンドラ・ブロックが肝っ玉母さんを好演してて、偽善っぽさがあまり漂ってないです。

ぐっと来るのがマイケルが遠慮するところ。サンドラ・ブロックは最初マイケルを家に泊めたときに警戒するんだけど、朝起きてみるとマイケルは礼儀正しくてきれいにふとんをたたんでひっそり屋敷を出ていこうとする。テューイ家で暮らすようになってからも、サンドラ・ブロックのことをミセス・テューイって呼んで「そういうよそよそしい呼び方はやめなさい」って注意されたり。お互いが手探りでじわじわと心の距離を詰めていくところが良かったです。

サンドラ・ブロックが金持ち奥さん達とのランチで、黒人や貧しい地区に住む人たちのことを馬鹿にする連中に向かって "Shame on you" って言うシーンはさすがにやり過ぎというか偽善なオーラが漂ってたけど、最初はマイケルのことを馬鹿にしてた高校のアメフト部のコーチも、試合で白人の審判がマイケルに不利な判定をしたときに「この人種差別野郎!」と食ってかかるところなど、周囲の白人たちの意識が変わっていく感じがさわやかでした。

裕福な白人が貧しいマイノリティーを助ける映画では、去年『路上のソリスト』を見たんだけど、あれは金持ち白人のオナニーストーリーという感じであまりさわやかさがなかった。しかしこの映画はマイケルも白人達も一緒に成長して家族になっていくという一体感があって、そこが良かったのではないかと思います。サンドラ・ブロックの行動力あふれる感じもプラスに作用。

蛇足になるけど、僕が陰ながらいいなぁと思ったのが、一家の大黒柱ショーン・テューイ。リー・アンに黙って、高校にマイケルの緊急連絡先をテューイ家にするなど頼りになるパパぶりが男前でした。やっぱ男は金だなーと見ながら思った。扉をたたく人という映画で、チュニジアからの移民のために大学教授が手をつくすのを見ても思ったけど、人生には金がないとどうにもならない局面がたしかにあって、そういうときにさらっと金を出せるのが男のかっこよさだなと思った。僕もあと15年後くらいにはそういう金を持ったかっこいいおっさんになっていたいです。

パイレーツ・ロック

評価 : ★★★☆☆

あらすじ

舞台は1960年代のイギリス。当時は政府によって音楽が規制され、ラジオでポップミュージックは一日45分しか流せなかった。これに対し海の上から一日中ロックを流す海賊ラジオ局が北海上に氾濫し人々を熱狂させていた。たばこと大麻が学校にばれて高校を退学になったカール(主人公)が母親の薦めで海賊ラジオ局にやってきて成長していく話。

なかなか痛快だった。特に良い味出してたのが海賊ラジオ局の船長クエンティン役のビル・ナイ。小泉純一郎をもっとかっこよくしたみたいな感じのおっさんで、バリッとしたスーツを着こなしアホなことを言う。あとザ・カウントというアメリカ人DJ役のフィリップ・シーモア・ホフマン。この人はデブのオタク役みたいなのが多いけど、この映画ではロックンロール魂あふれる体育会DJとして登場してた。とてもかっこいい。特にタイトな革のライダースジャケットを着てスタイニーボトルのビールを飲みながらDJやる姿とか。こういうデブならもてる。

一応高校を退学になった若者カール(童貞)が主人公で彼のビルドゥングスロマン的なストーリーなんだけど、主人公はあまり目立たない。クエンティンの姪っ子を紹介されて良い感じになってたのに船の他のメンバーに寝取られたり、狭い船の中でメンバーが女の子を奪い合ったりと結構えぐい。他のメンバーの嫁とセックスしたアメリカ帰りのイケメンDJギャヴィンが、「これもロックミュージックの暗部だ」とかいうセリフをシリアスな表情で吐くシーンがとても面白い。こんな感じでセックス関連の出来事がコミカルにさらっと流されるんだけど、自分が良い感じになってた女の子が他のメンバーとベッドインしてる現場を目撃したりしたら、普通はノイローゼになっちゃうよな。

音楽自体はとても良かった。僕はあんま1960年代のブリティッシュロックは詳しくないので、新鮮な気持ちで鑑賞することが出来た。ロックは家で聞いててもあまり良いって思うことがないんだけど、映画館とかライブハウスとかで多きな音で聞くとすごく良いなって感じるからとても不思議だ。

バッド・ルーテナント

評価 : ★★★☆☆

ニューオリンズの腐敗しきった警察を描くバイオレンスムービー。僕はギャグ映画として楽しみました。

いやー、ひどい映画だった。『空気人形』で交番の警察官役の寺島進がレンタルビデオ屋にやってきて「なんかこう、悪い警察官が出てくる映画ないの?」っていうセリフをはくんだけど、そのときにオススメしたい映画ナンバーワン。ニコラス・ケイジが演じる刑事がとんでもなくひどいの。麻薬捜査で押収したコカインをその場で自分で服用しちゃったりするんだから。売春婦と付き合ってるし警察官つーよりマフィアなの。んでまたニコラス・ケイジがコカインをキメるときの表情がやばいんだ。他人の女と青姦しながらピストルをぶっ放したりする。ひどいったらありゃしない感じです。

最終的にニコラス・ケイジは悪とつるんだりもするんだけど、ウルトラCみたいな悪事を働いてめでたしめでたしみたいなラストを迎えます。そんなことあってたまるかよ感じなんだけど。一般のコメディで笑えない人とかは見てみると良いかも知れないです。

ジュリー&ジュリア

評価 : ★★★★☆

料理の映画。第二次大戦直後、パリ駐在の外交官の妻ジュリア・チャイルドが書いたフランス料理についての本がアメリカでヒットした。50年後、現代に生きる料理好きのOLジュリーがその本を手にとり、ブログで524のレシピを再現していくストーリー。実話がベースらしい。

すごくよかった。ジュリア役のメリル・ストリープは正直苦手なんだけど、ジュリー役のエイミー・アダムスはかわいいので大好きだ。

メリル・ストリープの演技はアメリカで本人に似すぎだと話題になったらしい。YouTubeでジュリア本人がやってる料理番組の映像を見てみたところ、確かにそっくり! このジュリア・チャイルドって人はアメリカではかなり有名人なようで、アメリカ人が見るのとアメリカ人以外が見るのではずいぶん印象が違うと思う。僕がもしアメリカ人だったらまた違った感想を持ったんだろうけど、とにかくエイミー・アダムスがかわいすぎてそれしか頭に残ってないです。

ジュリーは学生時代は作家志望だったんだけど夢叶わず、9.11で心に傷を負ってしまった人たちの電話カウンセリングをする公務員みたいな仕事をやってる。彼女は映画のなかで29歳から30歳になるんだけど、学生時代の友達はみんな若いのに成功してて、なんかスゲー役職に就いたりやり手ジャーナリストになったりしてる。ランチで集まってもみんな片時も携帯を離さない。なんかこの辺のおいてけぼりな感じは『サンシャイン・クリーニング』のときと似てる。

でもエイミー・アダムスは短髪になってより一層キュートになってる。美人過ぎないかわいさがある。どん引きするくらい美人な女優はいっぱいいるけど、映画の中のエイミー・アダムスはさえない男でも手が届きそうな普通のかわいい女の子を演じてる。そこがすごくいい。実際ジュリーの夫は全然イケメンじゃないんだけど、衝突しながらも一生懸命ジュリーと彼女のブログを支えていく。ほんわかしていてとてもいい感じでした。ジュリーが作る料理がとてもうまそうなのもいい。僕はフランスパンをフライパンでバター焼きにしてトマトやパプリカをのっけて食べる料理がすごくうまそうだので真似してみたんですけど、これが非常にうまかったです。元気ないときに見ると元気出ること請け合いです!