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 いよいよ芸術の秋到来である。八月最終週の週末から面白そうな映画の公開が始まった。しかし残念なことに熊本では上映の予定がないものばかりである。新作映画の情報は毎日新聞の甘口辛口新作ガイドから得ているのだが、そこで面白そうな評を読んでも見ることが出来ないと分かるとすごく悲しい気分になる。

 こう書くと何だかものすごく映画が好きな人みたいだが、俺は偏執狂的に映画が好きなわけではない。まぁ人並みに映画を見るのが好きである。しかし、レンタルビデオを借りてきて自宅で映画を見るのはあまり好きではない。なにしろ俺のビデオデッキはガンダム再生専用なのだw つまるところ、映画館に行くことが好きなのである。Continue reading...

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 一月か二月前、NHKの『そのとき歴史が動いた』を見ていたら、西南戦争の田原坂について取り上げられていた。小さな頃、西南戦争フリークだった俺は興味深く視聴することが出来た。

 西南戦争は薩摩の旧士族による反乱で、征韓論で敗れて下野していた西郷隆盛が士族たちに担ぎ上げられて指揮をとった日本最後の内戦である。結局西郷軍は熊本までしか北上できず、東京に趣いて政府をやっつけるという目的は達成できなかった。

 西南戦争一番の激戦地が熊本県の田原坂というところである。北から西郷軍を鎮圧にやってきた政府軍は苦戦する。政府軍が苦戦したのには地理的な条件など様々理由はあるのだが、一番大きいのは徴兵制で集められた軍人たちの士気であったらしい。Continue reading...

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 名古屋に滞在中、一本映画を見た。『大いなる休暇』というカナダの映画だ。カナダといっても映画中の言葉はフランス語なので、北米というよりヨーロッパの映画っぽい雰囲気がある。良い映画だった。

 物語のだいたいのあらすじはというと、漁業を生業としていた小さな島の住民が主人公で、昔は良かったもののいまは漁業がさっぱりうまくいかなくなり、主人公はじめ島中の人々が生活保護で暮らすようになる。何とか仕事を得ようと島民たちは島にある企業の工場を誘致しようとするのだが、企業の社長に医者がいない島に工場は作れないと言われてしまう。そこで島民たちは結託し、都会生まれの若い医者を詐欺的な方法で騙して島に定住させようとするのだが、果たして医者は島を気に入って住み着くのか? 島に工場は出来るのか? というお話。

 印象的だったシーンは、生活保護をもらって暮らす生活なんてちっとも楽しくないと主人公が吐露する場面。自分自身、現在は何か労働をするわけでもなくぷらぷらと毎日遊んで暮らしているので、生活保護をもらって暮らす人々の情けなさ、葛藤のようなものを一般の観客よりもよりよく理解できるような気がした。働いている友人たちに会うたびにみんな仕事がきつい、辞めたい、マターリしたい云々というようなことを言うけれど、働かないのもそれはそれで結構辛いものがある。NHKの朝ドラを欠かさず見る、お昼の民放ニュース、NHKニュースをハシゴする、昼間から女性だらけのスーパーに出かけて買い物する、そういった一つ一つの行為に痛みにも似たちょっとした後ろめたさを感じるのだ。コメディー調の映画のなかに結構シリアスなメッセージが込められていたところが良かった。メインテーマは別にあるのだけどね。ところでそのメインテーマとは? 気になる人は映画館に足を運んで確認してみてください

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 正直あまり期待していなかった。しかし味のある映画で面白かった。

 この映画はコーヒーと煙草に関する短編フィルムをいくつかつなぎ合わせたものだが、それぞれに脈絡があるわけでもなく、とりとめない話が断続的に続いていく。久しぶりに会う人々や初めて会う人々が、コーヒーと煙草を片手にちょっとおかしな話をする。ひがみ症の女、うざったく思われているのにやたら仲良しになりたがる男、禁煙してるからこそ堂々と煙草を吸えるんだと豪語する男等々、現実世界にもいそうなちょっと頭のねじが緩んでいるような人々の会話が、言い様の無いおかしさを運んできてくれる。退屈と面白さが表裏一体の諸刃の剣的な映画だ。素人にはオススメできない。

 まぁおめぇらド素人はスターウォーズエピソード3でも見てなさいってこった。

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 手短に批評すると、『いつか読書する日』は駄作だった。独身の中年女性が、坂の多い街を徒歩で牛乳配達するというシチュエーション(しかも主演は田中裕子!)に惹かれて期待して見に行ったのだが、見事裏切られた。宣伝はシリアスなのに映画は時折コミカルな場面を挟んだりしていて、監督の意図と反対に広告が作られてしまったのではないかと思った。見に来ていた人はいかにも冬のソナタが好きそうなおばさんばかりで、この人たちもきっと純愛物を伺わせる宣伝につられてやってきて見事に期待を裏切られたはずだ。

 そもそもこの映画には構造的な欠陥があると思う。物語に必要とは思えない登場人物が出てきているし、本当は複数の独立したストーリーだったものを、監督が欲張ってくっつけてしまったのではないだろうか。恐らくこの映画は中年の恋と児童虐待と老人の痴呆の三つのテーマをごちゃまぜにしたものである。田中裕子が中年になっても昔の恋人のことを忘れられず独身を貫くという設定にはまり役だっただけに、非常に残念だった。

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 毎日新聞の甘口辛口新作ガイドでは「知的で刺激的な人間研究」なんて書いてあったけど、俺は個々の登場人物の駆け引きよりも、人生の無常というか、運命の皮肉というか、そういうものをテーマにした映画であるように思えた。見終わって何かと似ているなと思って考えてみたら、ディケンズ原作でアルフォンソ・キュアロンが映画化した『大いなる遺産』に似ていることに気がついた。もちろん、『大いなる遺産』ほどストーリーが壮大なわけではないが、テーマは似ていると思う。

 かいつまんで内容を説明すると、ロンドンで新聞記者をやっていた主人公はひょんなことからナタリー・ポートマン扮するストリッパーの女の子と知り合ってつき合うようになり、その子を主人公にした小説を書いて作家デビューを果たす。しかしジュリア・ロバーツ演じるカメラマンも捨てがたく、二股をかける。そんななか、ひょんなことから主人公はジュリア・ロバーツと変態ドクターがつきあうきっかけを作ってしまい、この四人で愛憎劇が繰り広げられることになる。すったもんだを経て、結局主人公はナタリー・ポートマンとよりを戻し元の鞘に納まるのだが、主人公は聞くべきではないことを我慢できずにナタリー・ポートマンに聞いてしまう。さあ、その結末やいかに、という感じである。

 この映画の見所はなんといってもストリッパー役のナタリー・ポートマンの演技である。あの妖しさ、艶かしさは凄まじいものがある。ああいうのを才能というのだろう。病的なまでの演技力である。ああいう女の子が身近にいたら、たとえ容姿は好みじゃなくてもころっと騙されてしまうのだろうと思う。