| @映画/ドラマ/テレビ

 今日は僕の大好きな映画について書いてみます。たまたまちょうど良いタイミングでKeizoさんからトラックバックも頂いたことですしね。Keizoさん、この映画期待できますよ。

 この映画、邦題は『天国の口、終りの楽園。』なんですが、原題は"Y Tu Mamá También"といいます。スペイン語です。「お前の母ちゃんともやっちまったよ」っていう意味なんですが、それじゃあ映画のタイトルとしてあまりにも意味不明なので邦題を付けられたのでしょう。でもなかなか味のある邦題で良いと思います。

 Keizoさんは本当は『天国の口、終りの楽園。』が見たかったのだけど、VHSしかレンタル屋に置いてなかったので、この映画にも出演しているガエル・ガルシア・ベルナルが主演を演じた『モーターサイクル・ダイアリーズ』をご覧になったそうです(感じ通信: モーターサイクル・ダイアリーズ)。この映画も良いです。南米社会が20世紀初頭から抱える問題が描かれていて、いろいろ考えさせられます。南米大陸の景色も素晴らしいです。『天国の口、終りの楽園。』もロードムービーですし、テイストとしては『モーターサイクル・ダイアリーズ』に似ていますが、それよりも青春映画色が強いですね。というか青春映画なんだけど、社会矛盾について触れることも忘れない、というスタンスでしょうか。これが絶妙ですね。

 前置きが長くなりました。映画のだいたいなあらすじを書きましょう。主人公のテノッチ(ディエゴ・ルナ)とフリオ(ガエル・ガルシア・ベルナル)は高校を卒業し、秋からは大学に通います。大学入学までの期間、二人の彼女はそろって母親とヨーロッパ旅行に出かけ、二人は暇な時間を持てあますことになります。しかし二人は何もせずにだらだらと過ごすには充分すぎるほどに若く、セックスやドラッグへの欲求を断ち切れません。誰々のおっぱいが良いだとか、誰々の尻にしゃぶりつきたいだとか、マリファナを吸いながら馬鹿話をする毎日です。そんななか二人は、テノッチの親戚の結婚式でスペインからやってきた美女ルイサに遭遇します。ナンパを試みる二人ですが、実は彼女、テノッチの従兄弟の妻。でたらめで伝説の海岸、「天国の口」へ行かないかと誘ってみるが、「夫も喜ぶわ」と婉曲的に断られてしまいます。<!--more-->

 その後も冴えない日々を送っていた二人なんですが、ルイサが気変りし、その日の午後に出発すると伝えていた日にテノッチに電話をかけてきます。「招待はまだ有効かしら?」ってね。テノッチは大あわてでフリオに電話し、もの凄い勢いで旅の準備をします。それもこれも性欲のなせる業です。スーパーで大はしゃぎで買い物をする二人。コンドームを買うことももちろん忘れません。そこから紆余曲折に富んだ三人の旅が始まります。

 この映画、セックス描写がいっぱいあります。原題が「お前の母ちゃんともやっちまったよ」ですし、冒頭からセックスシーンですからね。家族と見るのはまずオススメできません。でももちろん、『愛についてのキンゼイ・レポート』みたいにセックスそのものがテーマなわけではありません。セックスに伴う心の痛みがテーマと言えばよいでしょうか。うん、セックスというより痛みですね。それと生きること。死に向かって生きるとはどういうことか。考えさせられますね。

 フリオとテノッチの友情の描き方も絶妙です。この二人みたいな間柄のダチ公がいた人は懐かしいでしょうね。僕の友達に、こういう二人みたいな間柄の連中がいました。とにかくいつも二人一緒で(ホモなんじゃないかと思えるくらい)、でも凄い女好きでいつも女の話ばかりしてて、すぐ女の子捕まえてやっちゃって、自己嫌悪に陥りながらも二人で女漁りを続けるという・・・。いつもたばこを欠かさず、病気なんじゃないかと思えるくらいハイテンションなのもフリオとテノッチそっくりでした。映画の最後でフリオとテノッチはそれぞれ別の道を歩み始めるのですが、こういった兄弟よりも密な友人関係ってのは大人になると続かないもんなんですかね。切ないですね。

 映画では嫌みがない程度に、メキシコという国が抱える矛盾が指摘されます。テノッチの父親はメキシコ政府の高官なのですが、問題のある食品を貧しい人々に売って暴利をむさぼった過去があることなどがちらちらと指摘されたりします。テノッチは大金持ちの息子なんですね。フリオも中の上くらいの家庭の息子です。僕が印象に残っているのが、「天国の口」へ旅を続ける途中で、テノッチが道路標識に目を奪われるシーンですね。そこはテノッチの乳母が13歳でメキシコシティーに出てくるまで育った街だったのです。ナレーションで、テノッチはその乳母のことを三歳までママと呼んでいたこと、そしてそれは誰にも知られたくない秘密であることなどが語られるわけですが、このナレーションによる表現は見事ですね。先住民系の人々に施しを与えるシーンも効果的に挿入されます。貧富の差の描き方というのがうまいんですよ。

 監督は『大いなる遺産』や『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』を撮ったアルフォンソ・キュアロンです。ハリー・ポッターの監督なんて聞くとちょっとイメージが狂うかも知れませんが、『大いなる遺産』とこの映画で能力が認められてハリー・ポッターの監督に抜擢されたらしいです。『大いなる遺産』は映像が美しかったですが、この映画もなかなか映像が素晴らしいんですね。枯れ葉だらけのプールやメキシコの田舎のレストランなどを、見事にとらえています。メキシコを旅行してみたくなりますね。

 総じて、セックス、友情、社会矛盾、生と死といったすべての青春要素満載。まさに青春度200%の南米ロードムービーです(おっと、メキシコは南米じゃなかったな)。

| @雑談

 この記事、治療を開始する前に由布院を批判するものの序論として一旦公開したものなんですが、由布院について調べていくうちに、一概に批判できるものでもないなぁと思い、ちょっと冷静なトーンで考察しなおしてみることにしました。

 上の三つの旅館、由布院の御三家と言われているらしいです。一番安くても一泊35,000円くらいします。一番値段の張る山荘無量塔という宿だと、部屋によっては一泊70,000円くらいするとか。もう価格を聞いただけで、ぼったくってるんじゃないかと僕なんかは思ってしまうんですが、2chなんかの反応を見る限り、実際に泊まったことがある人からはぼったくりだっていう非難の声が聞こえないんですよね。むしろ泊まったことがない人がぼったくりだと非難しているっぽい。実際に泊まってみると、値段に見合う待遇を受けられるのでしょう。

Continue reading...

| @雑談

 同じ部屋のおじさんが、昨日余命宣告されたそうだ。早くて半年。明るくておしゃべり好きの、あまり品があるとはいえないおじさんなのだけど、普段と違ってとても悲しそうな目をしていた。かける言葉が見つからなかった。

 僕は余命を宣告されたらどうしよう。ゴル男さんに乗って旅行にでも行きたいな。大好きな映画、『天国の口、終わりの楽園』のルイサがそうしたように。

| @雑談

 先日、鳥栖のアウトレットモールに買い物に行った。買い物を終えて帰ろうかというとき、広場でラジオ番組の公開放送をやっていた。FM福岡という文字が見える。ここは佐賀県だというのに、福岡県のラジオ局がやってきて福岡に向かって番組を放送しているのである。もっとも、鳥栖は福岡県に取り囲まれており、また佐賀県は福岡の属領的な存在なので仕方ないことではあるのだが。

 とはいえこれは格好の福岡県攻撃のネタになると思い、看板にあった「FM福岡 in 鳥栖プレミアムアウトレット」という表示をデジカメに撮ろうとしたら、「撮影はお断りしています」と、いかにも福岡市在住の洗練された都会人と自分で思い込んでいそうなFM福岡の女性社員から静止された。番組に出ているタレントを撮りたかったわけではないが、僕は小心者でビビリなので、注意されてしょぼんとなり、すぐにその場から引き揚げた。

Continue reading...

| @映画/ドラマ/テレビ

 上映最終日に鑑賞。当初は見るつもりはなかったのだが、レビューサイトや毎日新聞の映画評で評判が良かったので、早起きをして車を飛ばしDenkikanまで赴いた。が、徒労だった。お年寄りや往年の名俳優、藤村志保と栗塚旭の演技を見たい人には良いかも知れない。

 簡単なストーリー。京都に住まう老夫婦の話。装束作りを生業としている。二人きりの物静かな生活を楽しんでいたが、ある日妻の千恵が筋肉が萎縮していく病気を患っていることが分かり、穏やかな生活が崩れていく。夫の黒由は少しでも妻の症状の進行を遅らせようと、街で子どもたちに手品を披露している手品好きの大学院生、伊藤俊介に声を掛け妻に手品を教えるよう頼む。それから夫婦の愛と伊藤の恋人との恋愛模様が描かれていく。

 これは雰囲気を楽しむ映画なんだと思う。こういうのが好きに人には評価が高いかも知れない。しかし個人的には楽しめなかった。伊藤の恋人役の山内明日が知的でとてもかわいく、映画のなかの彼女はまったくもって僕の好みを体現したような存在だったが(僕は大人しそうで頭の良さそうな女の子が好きなのです)、帰宅して彼女の 公式サイト を覗いてみるとちょっとオツムが足りない系のハチャメチャ明るい系の女の子で軽く鬱になった。

Continue reading...

| @映画/ドラマ/テレビ

 ちょっと前のAERAで監督のインタビューが掲載されていたので興味を持った映画。監督のクリスチャン・カリオンが書店で偶然手に取った本に、第一次大戦中、仏独スコットランドの兵士らの間でクリスマス休戦が行われ、双方の兵士がお互いの家族の写真を見せ合ったり、チョコレートや煙草を交換したというエピソードが書かれていた。これに感動したフランス人監督は、資料を集めて映画化にこぎつけた。当初本を目にしてから短からざる年月が経っていた。

 第一次大戦中、アルザス地方の帰属問題でドイツとフランスは戦火を交えていた。戦場には連合国側でスコットランド軍も参戦しており、仏軍を援助していた。第一次大戦はそれまでのナポレオン戦争的な一斉掃射の後に騎兵と歩兵による銃剣突撃を無効にした近代戦の始まりとも言える戦争であり、戦場は悲惨を極めた。相手の機関銃による掃射を避けるため塹壕戦が主流となり、毒ガス、戦車の登場で兵士たちは未だかつて人類が体験したことのない凄惨な現場を目撃することになる。

 そんな悲惨な戦闘のさなか、クリスマス・イブの夜にドイツ側の塹壕で、招集前にオペラ歌手をしていた兵士シュプリンクが「きよしこの夜」を歌ったところ、スコットランド兵がバグパイプで応じ、シュプリンクは独側塹壕に支給されていたクリスマスツリーを手に持ってドイツとスコットランドの塹壕の中間地点にまで歩いていく。スコットランド兵は塹壕から立ち上がり歌手に向かって拍手をし、ドイツとスコットランドの将校も中間地点まで出てきて会談を持つ。うまく状況を飲み込めずにいたフランスの将校も遅れてはせ参じ、三者の間でクリスマス休戦の協定が結ばれる。「シャンパンとグラスを持ってこい」。

Continue reading...

| @雑談

 ここのところ地元紙の一面で「変わる高校地図」という特集記事が連載されている。どうも地元紙の立場としては、高校学区制の規制が緩やかなになり、郡部の生徒が熊本市内の高校に進学することを懸念しているようだ。今日の記事では熊本市内の高校に入学できず、市内から郡部へと通学する生徒数が増加傾向にあることを憂慮していた。

 熊本県の教育委員会が示した高校再編整備の素案では、通学区域を拡大し学区外入学枠も現在の5%から20%に拡大するとしている。少子化もあるわけだし、これは至極まっとうな措置だと思うのだが、地元紙はこれに懐疑的。郡部から優秀な人材が逃げるし、熊本市内の生徒にとっても負担が増えるというのだ。

 しかしこれは熊本市在住者の勝手な論理である。田舎者は進学校に通うなということなのか。大学まで進もうと思うなら、郡部在住者はどうしても熊本市内の高校に進学する必要がある。熊本県の熊本市外の高校は一部を除いて進学実績が芳しくないからだ。大学受験の結果はどうしても環境に大きく左右される。

Continue reading...