| @WWW

一昔前までインターネットは常に見えるものだった。 Web 1.0 の個人テキストサイトや Web 2.0 のユーザー参加型ウェブサービスでも、ベーシック認証がかけてあったり非公開コンテンツというものもあったがこれらは例外的な存在で、インターネットでは目立つこと、オープンであること、また他者の注目を引くことが善だったしメインストリームの価値観だった(少なくとも自分はそう認識していた)。しかしその構図が崩れようとしている。インターネットがみんなのものになったからだ。

多くの人はインターネットで自分の情報をさらけ出したいなんて思っていない。これまでブログが下火になってきた理由を考察することが何度かあった。手軽に個人が情報発信できる Twitter や Instagram のような SNS が登場してきたからだと思っていた。かつてブログを書いていた人が書かなくなってきた理由としてはその通りだと思う。しかしスマートフォン時代になってからインターネット活動を始めたような人達(イノベーター理論のグラフで言うと Late Majority 以降の人達)はそもそもブログを書くということは選択肢に入らなかったはずで、こういう人達が増えてきたことで相対的にブログ執筆人口が減ってしまったと考えられる。

File:DiffusionOfInnovation.png CC BY 2.5

インターネットでは誰もが情報発信できると言われた。しかしできることと実際にやることの間には大きな壁がある。仕事で関わっているサービスでは、ユーザーが作成したコンテンツを公開するかどうかはユーザー自身が選べる仕様となっている。コンテンツを公開するユーザーが増えるほどネットワーク効果が働くし、 Google の評価が高くなり SEO 上のメリットもあるのでコンテンツ公開率を上げようと努めてきた。しかし頑張ってもコンテンツ公開率はある程度のところで頭打ちとなってしまった。この結果から二つの仮説が考えられる。公開を促す努力が足りないか、そもそも誰もコンテンツを公開しようとは思っていないか、ということだ。実は最近まで後者の観点が抜けていた。というのはインターネットでは誰しもコンテンツを公開すべきだ、という先入観があったからだ。

ここ数年での成長が著しい Netflix や Spotify でユーザーはコンテンツの公開を求められることはほとんどない。 Twitter や Facebook 、 Instagram などの CGM では基本的にはコンテンツを公開することが求められたのとは対照的だ。 Netflix や Spotify でユーザーはコンテンツを消費するだけでよいのだ。消費の仕方を Netflix や Spotify は観察し、この傾向のユーザーにはこういうコンテンツがおすすめだというアルゴリズムを洗練させていく。ハチャメチャに優れた推薦アルゴリズムにより、ユーザーは自分にマッチした未知のコンテンツに出会うことができ、益々サービスの利用を深めていく。ひたすら受動的にコンテンツを受容し続ければよいだけだ。

コンテンツの投稿・公開を求められる Twitter や Instagram でも、実は見る専( ROM )の割合が高まってきているのではないかと推測する。 以下の記事によると、 Twitter の投稿の 97% が 25% のユーザーによって行われたものだったそうだ。

さらに驚くことに、 Reply や Retweet を差し引くと投稿されるコンテンツの 18% のみがオリジナルの投稿ということらしい。やはりコンテンツを作る人の割合というのは非常に小さく、ほとんどの人はインターネット上のコンテンツを消費しているだけなのだ。

インターネットの初期時代からインターネットにどっぷり浸かってきたインターネット老人の我々のような世代がウェブサービスを設計すると、ついつい人々はインターネットで自己表現をしたいのだという前提で考えがちだ。しかしあとの方になってからインターネットを使い始めた人々にとっては、インターネットとは自分から情報を差し出す場ではなく、情報を摂取する場なのだ。買い物をしたり、動画を見たり、音楽を聞いたりしているだけだ。自分でウェブサイトを持ってブログを作ったりしている我々は、今日のインターネットにおいて決してマジョリティではない。

受動的にインターネットを使うだけの人に、 1990 年代の終わりに我々インターネット老人が感じたのと同じような興奮や感動を与えられるのだろうか。多分、発想を転換しないと難しいだろう。我々が面白がったインターネットと彼らが欲しているインターネットは別のものなのだ。ただ受動的に使っているだけでより便利になり、快適になっていくインターネットをどうやって作っていくかが見えないインターネットの時代のテーマになると思う。

| @WWW

はてブコメント、漫画は高いという意見に対して「貧乏すぎでは?」「買いすぎでは?」「考えを改めた方がよい」「どうせタダで読みたいだけだろ」というコメント付いているけど、漫画にいくら払えるかは人それぞれだし、そもそも無料で読みたいという意見は大勢ではない(広告入ってて良いので無料で読みたいというコメントは一つだった)。漫画は安い派の意見の方が一方的に見える。

単位時間あたりの費用で漫画が他の娯楽より高いのは事実だと思う。漫画はコミックが一冊 600 円くらいするが、一冊 15 分くらいで読み終わってしまう。 1 分あたりのコストは 600 ÷ 15 = 40 円だ。映画は 2000 円払って 120 分楽しめる。分単位のコストは 2000 ÷ 120 = 16 円だ。漫画と同じくらいの金額で買える文庫本の小説なら読むのに 3 、 4 時間くらいかかるし、 1 分あたりのコストは 3 円。一冊 1500 円の単行本でも 8 円。漫画の 40 円は高すぎる。今年はうっかり一巻無料キャンペーンに釣られて空母いぶきを読み始めて続きが気になってしまい、全巻買ってしまって 1 万円くらい使ってしまった。漫画は娯楽としての経済効率が悪過ぎる。

動画配信以前、セルビデオは一本一万円くらいしたし、セル DVD も 4000 円くらいが相場で高すぎた。なのでレンタルが主流だったし、光学ディスクのレンタル屋だった Netflix が配信会社に進化した。漫画は昔はレンタルあったし今も細々と存在してるけど多分最も利用されてるのは漫画喫茶だと思う。

漫画は速く沢山読めて沢山読まないと話が完結しない特性があるから漫喫にベストマッチだと思う。時間課金なので速く読める人ほどお得。漫画は嵩張るからレンタルして家に持ち帰りまた返しにくるのは面倒だけど、漫喫ならその場で手に取ってすぐ読める。買うと保管場所に困る問題も解決されている。

少し調べた限り、漫画喫茶は著作権者にお金を払っていない(少なくとも法的には払う義務がない)ようだった。

長らく著作物には貸与権が認められていて、音楽や映画はレンタルされる度に著作権者に収益が発生していたが、書籍は貸与権の対象外だったようだ。 2005 年に貸与権が書籍に対しても認められるようになり、貸本屋(レンタルコミック含む)は著作権料を支払わなければならなくなったようだ。

ただし漫画喫茶に関しては、文化庁が店舗内での閲覧は「貸与」に値しないとの見解を示したことから、貸与権の対象となっておらず、漫画喫茶には著作権料を払う義務がない状況のようだ。

こうやってみると漫画の著作権者たちの真の敵は漫画喫茶ではないかと思う。 2021 年 3 月期の決算で、業界一位の快活CLUBは漫画喫茶部門で 484 億 9900 万円の売上があるようだ。

漫画のサブスクリプションサービスを始めることで、現状漫画喫茶に流れているお金の大部分を漫画家・出版社は回収できるだろう。コロナ禍なのだし、漫画喫茶に行かずにサブスクリプションで手軽に読めるようになれば利用したいという人はかなりいそうだ。

サブスクリプションを始めるにしても、新作はサブスクリプションでは読めないような設計にすることで買い切り型のモデルへの悪影響は軽減できると思われる。動画配信もコロナ禍前は上映と同時配信みたいのはなかったが、漫画でも同じようなことができるはずだ。サブスクリプションで読めるのは旧作中心で配信期間も限定すれば、はてブコメント欄でマウンティングしてるような漫画愛好家は新刊発売後に購入して読みそうだし、サブスクリプションで気に入っていつでも読めるようにしたいと思った人も買い切り版を購入するだろう。

いい具合に制度設計できれば今より漫画家・出版社側の利益が減ることはないだろうし、読者の裾野を広げるという意味でも、手頃な価格で漫画を読めるサブスクリプションサービスができて欲しい。未来の漫画業界のためにも漫画のサブスクリプションは必要なのではないかと思う。

| @労働

雷山千如寺 五百羅漢

今年はよくユーザーアンケートをとった。アンケート、最初は手探りだったけど最近は知見が貯まっていい感じにできるようになってきたのでノウハウをまとめたいと思う。ポイントは以下。

  1. 問いの設定
  2. Google Form の機能を駆使して誰が回答しているのかをわかるようにする
  3. Big Query と Looker を使った集計・ビジュアライズ

正しくアンケートをやってユーザーの声を聞けば、イチロー並みかそれ以上の打率で機能をリリースすることができるという気がしている。

問いの設定

アンケートで聞くべきは何か。いつも課題を聞くようにしている。やってはいけないのは「欲しい機能は何ですか?」と聞くことだ。良く言われることだがユーザーは自分が欲しい機能をわかっていない。だから課題に感じていることを聞く。

「課題と言っても何を聞けばいいのかわからない」と思う人もいるだろう。自分はいまある程度規模が大きくなってきたプロダクトの PM をやっているので、ユーザーの課題は何となくわかる。問い合わせやユーザー要望、ユーザーの利用データなどから何となくこの辺が課題だろうなというのは見えてくる。課題はこれらを確認することでわかってくるので課題リストにストックしておく。

次にどんな機能を開発すか検討するときに課題リストの中から「これを解決すると良いのでは(ビジネスインパクトが大きいのでは)」というのを見繕って、「〇×にどのくらい課題を感じますか?」という形でアンケートを送るようにしている。回答選択肢は三択で「とてもそう思う」「そう思う」「そう思わない」くらいにする。いくつかの課題を並べて聞き、「とてもそう思う」という回答の割合が一番高いものがペインが大きいと認定し、その課題を解決する機能の開発に取り組むようにしている。

Google Form の機能を駆使して誰が回答しているのかをわかるようにする

アンケートのシステムには Google Form を使っている。一時期は自前でアンケートシステムを作ろうかと考えたが、 Google Form ほどの柔軟性を持ったアンケートシステムを作るのは工数がかかるし、マーケティングチームの人もアンケートを多用していて Google Form に慣れているので Google Form で行くことにした。

ただ、ちょっと使い方を工夫していて、ペライチのページを作って iframe で Google Form を自ドメイン内のページに埋め込むようにしている( Google Form は iframe での埋め込みをサポートしている)。こうすることで以下のメリットがある。

  • アンケートページの URL がサービスと同じドメインになり怪しさがない
  • ログイン後のページに配置することで自ドメインで作成されたクッキーにアクセスできるようになり、ユーザー ID を取得できるようになる

Google Form はクエリパラメーター付きで https://docs.google.com/forms/d/e/XXX/viewform?entry.0000=value とすることでフォームに値を埋め込むことができる。アンケート依頼はアプリへのプッシュ通知で送ることが多いので、その場合には value の部分にユーザー ID が入るようにしていた。しかし一括送信するメールやアプリ内のバナーへリンクを設置する際にこのやり方は使えなかった。サービスのドメイン内にログイン必須のペライチページを作ってフォームを埋め込むようにしたことで、どんな導線からアンケートページに辿りついてもほぼほぼ確実にユーザー ID を取得できるようになった。

ユーザーアンケートは誰が回答しているのかを知るのが超重要だ。プロダクトのヘビーユーザーの回答なのか、ライトユーザーの回答なのかわからないと、次に作るべき機能を検討するときに判断材料として使えない。ライトユーザーの課題を解決する機能を開発しようとしているときに、誰が回答したのかわからないアンケートデータをもとに意思決定をするのは困難だ。

アンケートでユーザー ID を取得する際のデメリットとして、匿名回答ができないことでアンケートの回答率が下がることが懸念されるが、上述の通りどんな属性の人が回答したのかわからないアンケートはデータとしてあまり価値がないのでその部分は割り切ることにしている。また匿名の回答はサービスへのネガティブ感情が強い人からの回答が集まりがちで、自由入力欄の罵詈雑言で集計時に精神的にダメージを受けることもあるのでそれらを避けるという意味でもユーザー ID 必須のアンケートにしてしまって良いと思う。

Big Query と Looker を使った集計・ビジュアライズ

集まったアンケートの回答は一旦 Google Spreadsheet 形式に変換する( Google Form の機能を使うだけで簡単にできる)。スプレッドシートの機能を駆使すればクロス集計したりグラフを作ったりできるが、折角取得したユーザー ID との掛け合わせができない。なので Google Spreadsheet のデータを Big Query に取り込んでいる(詳しいやり方は Google スプレッドシートを BigQuery のテーブルとして扱う - べにやまぶろぐ 参照)。勤務先では Big Query にデータウェアハウスが構築されているので、 Production DB のレプリカとアンケート回答を JOIN することで、どんな属性の人がアンケートにどんな風に回答しているかがわかるようになる。さらに幸運なことに勤務先では Looker を使えているのでこの辺の分析がとてもしやすい。こんな感じでアンケート結果をビジュアライズしている。

アンケートの集計

このやり方をとるようになって、リリース後に「大きく外した」ということがなくなった。少なくとも機能をリリースするときにユーザーに受け入れられるかどうか不安に思うことがなくなった。イチローになったような気分でプロダクト開発することができるのでおすすめです。


この記事は YAMAP エンジニアのカレンダー | Advent Calendar 2021 9 日目の記事でした。明日は @t-yng さんの「僕がフロントエンドのコードレビューをする時に意識していること」です。

| @散財

Logicool StreamCam C980GR

Yeticaster を買ってミーティングの音質を改善した後はカメラが欲しくなってしまった。音質に関しては情報を伝える際に重要になるので投資する意味があるが、カメラに関しては完全に自己満、イケメンならともかく、キモくて汚いおっさんの顔を高画質で写しても意味がないし害悪でしかない、的なことをはてブコメントで見かけた記憶はあるが、以下の理由でカメラを買うことにした。

MacBook Pro を外付けディスプレイにつないで利用していてメイン画面は外付けディスプレイ側だが、大きなディスプレイに Zoom で画面共有されている画面を持ってくると、 MacBook Pro のカメラ側からずっと横向いてる人となってしまって不自然極まりない。視線を合わせるために Zoom の共有画面を MacBook Pro 側に持ってくると、画面共有されている内容がちっちゃくしか見えなくてやりづらい。メインディスプレイ側に Zoom を起きつつ視線も不自然ではなくするためには外付けのカメラを購入して外付けディスプレイに設置する必要があった。

Before / After はこんな感じ。画質がアップしていることのほか、 Before ではただでさえ悪い人相がより一層悪くなっているが、 After ではカメラ目線ではないものの異常な視線ではなく人相もいくらか改善されている。

Before: MacBook Pro 内蔵ディスプレイ

After: Logicool StreamCam C980GR

ちなみに現在の机まわりはこんな感じ(汚い)。

My Desktop

醜男なので良いカメラを使っても意味ないしこういうのは投資する意味がないと思っていたのだが、醜男だからこそ高画質自撮りして、視線もなるべくカメラの方を見るようにして相手に悪い印象を持たれないように気をつけるべきなのかもしれないと思い直した。自己満足かもしれないけど満足度は高いし仕事やる気になる。

| @登山/ランニング

長垂海岸の夕焼け

去年の秋の健康診断で太っているという結果が出た。検査着が結構重くて、体重測定時に検査着分を引かれなかったことに不満はあったのだが、コロナの影響で太っていることは間違いなかったので 12 月から走り始めた。

年が明けて 1 月になると後半から花粉が飛び始めてジョギングから足が遠のき、花粉最盛期の 2 月、 3 月はほとんど走れなかったが、今年の 6 月からまた習慣的に走るようになった。最初は結構しんどくて 2km ちょいしか走れなかったが、 7 月からコンスタントに 4km 走るようになった。これまでも人生で不定期に走るような時期はあったが、週に 3 回くらいのペースで走っているのは初めてだと思う。

なぜ継続的に走れるようになったのか

リモートワークで時間の融通が利きやすいことと、通勤がないせいで体を動かしたいという欲求もあるのだろう。

Apple Watch を使い始めたことも大きくて、これまでは iPhone 本体で RunKeeper なり Strava なりを起動してログをとる必要があったが、 Apple Watch を買ってからは Watch 単体でランニングのログを残すことができるようになり、以前より気軽に走りに行けるようになった。 Apple Watch を使っているとリングを閉じるように促されてついつい運動してしまうというのも良い習慣づけに役立っている。

なぜ毎回 4km ずつ走れるようになったのか

Apple Watch の Workout のノルマが一日 30 分、消費カロリーが 480kcal になっている。 4km 走ると確実にこの数値をクリアできるのが 4km 頑張る意欲のもとになっている。

もう一つ大きな理由だと思っているのが走るときに聞く音だ。これまで Podcast を聞きながら走っていたが、 Podcast だと内容が英語か日本語かに関係なく、途中で内容に聞き入ってしまって走るのをやめてしまう傾向にあるようだった。走るときに Podcast を聞くのをやめて音楽(なるべくボーカルの入っていないやつ、インストゥルメンタルヒップホップ的なやつ)を聞くようになったらしんどくても 4km 走り通せるようになった。自分の場合は運動するときにはできるだけ頭の中をすっからかんにしておいた方が良いようだ。

靴の悩み

足が痛くなる

これまで走るときの靴は NIKE のランニングシューズ( NIKE Free Run )を履いていた。自分は扁平足なので NIKE の靴を買うときは 1cm くらい大きめのものを買っているのだが、それでもやはり幅が狭くて、普段履きにする分には問題ないがジョギングで使うと足が圧迫される感じが気になっていた。特に足の親指の付け根のあたりが靴の横壁とインソールの間に挟まれて痕が残るような状態になっていた。たまにしか走らなかった頃は気にならなかったが、一日おきのペースで走っていると無視できない感じになってきたので靴を探すことにした。

1 年前に登山用に Altra のトレイルランニングシューズ( Lone Peak 4.5 )を買った。 Altra の靴は自然な足の形を崩さないことをモットーとしていて、つま先の部分が広がっていて開放感があり、足の指を使いながら歩くことができる。また、かかとと指の高低差が 0 になるように作られていて(ゼロドロップというらしい)、このことにより人間本来の自然な足運びができて怪我をしにくいらしい。 Altra の靴を履いて一日で 15km 以上歩くような登山を何度かしたが、豆ができたり足の痛みで歩けなくなるというようなことはなかった。 Altra を履き始めてから下山時の膝の痛みもなくなった。

Altra Lone Peak 4.5

同様に 1 年前に Xero Shoes のトレイルサンダル( Veracruz )を日常履きとして買った。こちらもゼロドロップだが、ソールは Altra のシューズのような厚みがなくペラペラで、小学生のころ履いていた上履きみたいな感じでほとんどクッションがない(アスファルトや小石の上を歩いて痛いというほどではない)。ソールにクッションがないと足が疲れそうな気がしていたが、意外となんとかなる。確かに足は疲れるのだが、クッション性が高い靴を履いているときには使わない足の筋肉を使っているようで、 Veracruz で長い距離を歩くと心地よい疲労感があって夜はよく眠れた。

Xero Shoes Veracruz

Xero Shoes Mesa Trail

Altra のシューズのように幅広で、 Xero Shoes のサンダルのような薄いソールのゼロドロップランニングシューズはないだろうかと探してみたところ、 Xero Shoes が作っているトレイルランニング用のシューズを見つけた。 Mesa Trail というシューズだ。

Xero Shoes Mesa Trail

本当はトレイルランニング用のシューズなのだが、ジョギングで使ってみることにした。

Mesa Trail を履いて初めて走ったときはあまりにも NIKE の靴と違いすぎて、いつもの 4km を走りきることができず途中で走るのをやめてしまった。 NIKE の靴の方が体を前に押しだしてくれていたような気がする。 Mesa Trail では自分で足を前に運ばないといけない。この違いに違和感を覚えて走れなかった。

初回は走りづらかった

2 回目からは普通に走れたが、走った後に股関節のあたりが筋肉痛になった。 NIKE の靴で走って股関節が筋肉痛になるなんてことはなかった。 Mesa Trail は薄底のため、足の着地に気をつかう。雑に足を運ぶと足の裏への衝撃が強いので走るときに丁寧に足を使うようになる。おそらくそのせいで股関節が筋肉痛になったのではないかと思う。

少しスピードを上げて短めに走ってみたところ、足がかなり筋肉痛になった。これまでも継続的に走っていたので今さら走っただけで足が筋肉痛になるのは変だ。やっぱりシューズを Mesa Trail に変えた影響だと思う。靴を変えるだけでこんなに走るときに使う筋肉が変わるのかと興味深い。

Mesa Trail で走ったあとに一度 NIKE の靴に戻して走ってみたところ、足裏への衝撃はなくなるがその分足運びが雑になり、地面からの衝撃を足首ではなく膝で処理するようになってしまう印象を持った。厚底の靴では故障しやすくなるというのはこの辺に原因がありそうだ。

一番の悩みだった足裏の痛みは Mesa Trail に変えて完全に解決された。 NIKE の靴では 4km くらいで足の親指付け根部分が痛くなりそれ以上走れなかったが、 Mesa Trail では足の裏は全く痛くならない。 Mesa Trail に履き替えて走る距離が伸びた印象で、昨日は 9km 走った。これまで自転車や車でしか行ったことがなかった場所に自分の足で走って行くというのは面白い体験だった。

今津湾の端から今宿を見る

まだまだ走るスピードは遅いので胸を張って「ランニングが趣味です」と言えるほどではないが、登山のときの持久力アップのため、心肺能力向上のために走ることを続けていこうと思ってる。

| @登山/ランニング

大船山

7 月の頭に一人で久住に行った。ミヤマキリシマの季節は終わっているし梅雨なので良い季節ではないのだが、梅雨の中休みで天気が悪くなく、たまたま車を使っても良かったのでソロで久住まで行ってみることにした。

長者原から坊ガツルを経由して大船山に登ることに。登山開始地点の長者原からすでに涼しくて、森の景色は背振山地の稜線の林のような雰囲気。しかもそれが登山口付近から始まる感じで最高。坊ガツルまでは登ったり下ったりを繰り返す。雨ヶ池越あたりの雰囲気はまさに阿蘇くじゅう国立公園という景色で、子どもの頃を思い出しとても落ち着く。

広葉樹の森

雨ヶ池

坊ガツル

坊ガツル

坊ガツルについて景色を堪能してから大船山へ。ここからが結構しんどかった。道が荒れているし登山道がわかりにくい。いろんな人が好き勝手に歩いているせいか、土砂で登山道が流されているせいか、どこもそれなりに通れそうな感じがしてしまう。テープも複数あるので迷いやすい。

坊ガツルから大船山への登山道

段原

何とか段原まで辿り着く。北大船山に行こうとしたが、登山道脇のミヤマキリシマにバックパックが引っかかってうざい。一旦登山道脇にバックパックを置いてサコッシュとカメラだけで北大船山まで向かう。この日はアクシーズクインのハザカヒを履いていて、ストレッチが効く分こういう木の枝には弱そうだ。引き裂きなどに強いズボン(山と道の 5 Pocket Pants など)を履いてくるべきだったと後悔しながら北大船山登頂。ミヤマキリシマは 6 月にはきれいな花を咲かせるがそれ以外の季節は登山道へはみ出てきてうざい。

ミヤマキリシマが服やバックパックに引っかかる

北大船山山頂

北大船山から平治岳方面に見える池

段原に戻って昼飯を食べる。実はこの近くにきれいな避難小屋があるのだが存在を知らなかった。おにぎり三つにフリーズドライの豚汁を食べた。

フリーズドライ豚汁とおにぎり三つ

昼食後大船山へ向かうが、大船山への道もミヤマキリシマとブヨに行く手を阻まれる。ブヨは恐ろしいくらい大量に石にへばりついていて、歩く度に踏まれまいと飛び上がって隙あらば吸血してやろうとこっちに群がってくる。ブヨと格闘しながら登っていくと林の切れ目から三俣山や久住山、中岳などが見える。坊ガツルからそびえ立つようにして連なっている様は勇壮だった。こういう景色は高い山でないと見られない。

三俣山

登ってきた側から反対側に少し下って御池を眺めに行く。ここは紅葉の名所だ。素晴らしい景色だった。虫にまとわりつかれながらしばし見とれる。ここに紅葉を見に来られるだろうか?

御池

大船山から別府湾や由布岳、鶴見岳は見ることができたが、阿蘇方面は雲がかかっていて阿蘇五岳の景色はついぞ見ることができなかった。雨が降る前に諦めて下山することにする。

大船山山頂

段原手前の避難小屋のところに戻ってきたあたりで iPhone のバッテリーが 20% を切ったので Anker のモバイルバッテリーにつないで充電する。初めて USB-C to Lightning なケーブルを買ってみたが、 USB-A to Lightning に比べてめっちゃ充電が早い。 30 分くらい充電してたら 80% くらいまで充電されていた。登山では手早く充電できる方がよいので登山用には USB-C to Lightning を持参するのが良さそうだ。

段原から坊ガツルまでの下りがなかなかつらい。樹林帯で景色が変わり映えしないし、登山道は大きな石がゴロゴロしていたりぬかるんでいたりで歩きにくいし、さっきも書いた通り道が沢山あってわかりづらい。ローカットでソールのやわらかい Altra Lone Peak では足首への負担が大きいのもつらかった。

坊ガツルに着く直前に雨が降ったが樹林帯だったので濡れることはなかった。坊ガツルに着くと雨は止んでおり、急いで坊ガツルの草原を横断して雨ヶ池越まで向かう。下山しようとしているのに雨ヶ池越までは登りなので不思議な感覚を味わう。雨ヶ池越ではテント泊装備の若い人達とすれ違った。今夜は雨が降るかも知れないのにテント泊するようだ。

夕日が差し込む森

雨ヶ池越からはブナなどの広葉樹の森を歩く。このあたりでまた晴れ始めて、木漏れ日の中を気分良く歩くことができた。福岡の家の辺りはアブラゼミだらけで非常にやかましいが、この辺りはヒグラシしかいなくて涼しげだった。無事明るいうちに長者原に着き、タデ原湿原を少し散策して活動終了。数週間前のミヤマキリシマの喧噪が嘘のように人が少なく、風呂に入りたかったが星生ホテルの温泉は閉まっていた。実家に寄って晩飯を食べさせてもらって福岡に帰った。

長者原から見る三俣山

朝、福岡の家を出たのは 6 時で帰宅は 23 時。運転時間は 5 時間くらい。交通費はガソリン代と高速代で往復 10000 円くらい。家の近所の低い山に登る分にはお金がかからないが、車を使って遠くまで行くとかなり懐にダメージがある。これまでそれがわかっていたのでなるべく公共交通機関で行ける福岡の山に登っていた。しかし久住の景色は素晴らしく、たまにお金をかけて遠出するのもありだと思った。誰か人を誘っていくと高速代やガソリン代を折半できて良さそうだ。早くコロナが収束してほしい

2021-07-11 北大船山・大船山 / Hitoshi Nakashimaさんの活動データ | YAMAP / ヤマップ

| @登山/ランニング

三郡縦走

6 月に三郡縦走をやった。朝から電車を乗り継いで篠栗駅まで移動し、篠栗から若杉山・三郡山・宝満山を経て竈門神社まで歩く縦走コース。下山後は竈門神社からコミュニティバスまほろば号に乗って西鉄都府楼前・天神経由で帰宅した。 5 月にやった糸島四座縦走と累積獲得標高は同じくらい( 1634m )になったが、上り下りの回数が少なく、数カ所ある急登を登りきればあとは比較的なだらかなトレイルで気持ちの良いハイキングコースだった(篠栗から若杉山までの登りと宝満山からの下りはしんどい)。

三郡縦走と糸島四座縦走標高比較

篠栗は遠いところというイメージだったが思いのほか博多駅から近く、また住宅街も発展していて福岡のベッドタウンという感じ。実際、福岡市内の自分の家より博多駅までの所要時間は 10 分程度短いようだ。しかし歩いていくうちに田園風景が広がり始め、徐々に田舎の景色になっていった。

若杉山までの道

若杉山中腹の茶房わらび野の裏手を通り過ぎ、若杉キャンプ場を経て若杉山へ。若杉山の登山道には巨大な杉が多く、若杉山よりデカ杉山の方に改名すべきではないかと思った。

茶房わらび野裏手

でかい杉

若杉山のあとは少し下るが、縦走路っぽい雰囲気の道を歩く。砥石山からあとは品の良いトレイルといった感じでトレランマンもいれば中高年登山グループもいる賑やかな縦走路だった。

起伏の緩やかな縦走路 起伏の緩やかな縦走路

三郡山の登りがちょっとしんどいが、三郡山を過ぎて少し行ったところにある天の泉という湧き水が冷たくて最高に美味かった。水切れしていたのでここで補充し、あとは再びなだらかな道に戻ったが、日が傾いて虫が多くなり、頭巾山から仏頂山までの道はハエにたかられながら歩いた。

三郡山からの景色 天の泉の看板 仏頂山

宝満山には午後 4 時ごろ着。宝満山はいつも南側から登っていたので北側から登るルートは新鮮だった。山頂は人がまばらで、若杉山から歩いてきた道を眺めて感慨に耽りながらカロリーメイトを食べてコーヒーを飲んだ。

いつもと違う方向から見る景色 宝満山山頂で歩いてきた山並みを眺めながらコーヒー

下山は愛嶽山を通りたくて正面登山道ではなく行者道を通ることにしていたが分岐がわかりづらく、階段をしばらく下ったところで道間違いに気がつき、登り返しで体力を消耗した。宝満山は正面登山道の下りがきついとは言われるが、行者道もなかなかの急な下りでしんどかった。おまけにハエにたかられ続ける。もう自分は腐りかけているのだろうかと自問しながら愛嶽山と愛嶽神社を経由。ハエがあまりにもわずらわしいので小走りで駆け降りた。

愛嶽神社

バスの時間にまだだいぶ余裕がある時間に竈門神社着。手水で顔を洗わせてもらいしばし休憩。同僚の人たちは当然のように竈門神社から先太宰府駅までの舗装路を走るのだが、自分はそんな気力・体力・精神力はないのでバスの時間までレモンスカッシュを飲んで待った。

竈門神社 レモンスカッシュ

篠栗から若杉山までの舗装路歩きがとにかくしんどかった。縦走路の雰囲気は良いので、宝満山から登って若杉山まで歩き、来た道を往復するピストン縦走が良いのかもしれない。すずしくなったらまた行きたい。

2021-06-20 三郡縦走 / Hitoshi Nakashimaさんの愛嶽山宝満山若杉山(福岡県)の活動データ | YAMAP / ヤマップ