大学に行って良かったこと、いろいろあるでしょう。その手の本なんかを開くと、大学で勉強したこと自体よりも、世の中について考える時間を与えられたこと、一生の友人を得たことなどが大学に進むメリットだ、などとが書かれてますよね。まぁそれらも大学で経験できることの醍醐味なんでしょうが、僕はもっと実利的かつ功利的に、大学に行っておいて良かったと思うことがあります。といっても僕の場合、病気になって就職もお流れになってしまいましたし、大学に行ったおかげで一流企業に就職できたとか、安定した職業に就くことが出来たとか、そういうことからは全くほど遠いわけで、実利的、功利的といっても経済的な利益を指しているわけではありません。
特に病気になってから思うことなんですが、英語を読めることにはとても感謝しています。もちろん僕の英語力なんて大したことないけど、まったく読めないわけじゃない。これはひとえに大学受験のときの詰め込み学習のおかげです。で、何を英語で読むのかというと、海外の医学情報です。医療というのはやはり基本的に欧米の方が進んでいます。海外の情報をネットで収集するには英語が出来たほうが便利です。
加えて、電子ジャーナルで学術論文の概要を読んで、医師に自分の治療との関連を質問することも出来ます。この世の科学といえる学問分野にはジャーナルといわれる学術雑誌があって、学者はそこに論文を載せることが仕事の一つです。論文にはさまざまな新しい情報が掲載されており、電子化された電子ジャーナルではネット上で大まかな検索が可能。またこれらの論文にはたいていAbstract(概要)が冒頭に書かれているので、専門的な知識がなくてもここを読めばおおよそのことは分かる。これらの情報は大学でゼミに所属して論文を輪読させられることがなければ知りうることはなかったでしょう。
自分の治療についてどんな選択肢があるのか知った上で治療に望むか否かでは、随分心のもちようも違うと思います。
ペンは剣よりも強し。イギリス由来の成句で、本来は思想や言論が人に与える影響は、武力よりも強い力を持っている。
という風にジャーナリズムについて述べた言葉のようですが、勉強しておいて良かった、何も知らないよりも納得して治療が受けられる、といういまの僕の心境を表すのにもぴったりの表現だと思います。学んだことは決して無駄ではなかったと思いました。
訂正 2007年2月18日 10:27
タイトルを変更しました。
この記事に似ている記事
- 教養としての経済学 April 25, 2006
- 学歴難民クライシスだってさ June 11, 2006
- OK、認めよう 僕はSNS恐怖症だ January 26, 2006
- 文章の書き方について April 20, 2009
- 新年の挨拶&2006年の総括&今年の目標 January 06, 2007
- 半角スペース入れてますか? January 13, 2007
- OGP タグを表示するため個人の日記なのに画像変換 Proxy を導入した May 26, 2018
- 英語の歴史 February 06, 2009
- オーマイニュースとオールド・メジャーマスコミ December 22, 2006
- 知的生産の技術 March 14, 2010
大学へ行ったかどうかと言うより、勉強しておいて良かったということではないのでしょうか?もっとも、多くの人がその環境に身を置かない限り(この場合は大学ですかね)、なかなか努力を積み重ねないという傾向があるでしょうから、その意味では大学に行った事が無駄になっていないと言う事だと思うのですが、違うでしょうか?
もちろんそういうことです。勉強しておいて良かったということです。だから必ずしも大学に行ったから良かったというわけではないでしょうね。不適切な投稿だったかもしれません :-!
本当にそうですね。勉強などしておいて無駄なことはありませんね。どこかで何かに繋がってきますからね。
しかし、僕も病気になって思うのは、逆に知りすぎてしまうと余計なことまで考えてしまうという点もあるんですよね。小さな症状が気になって、それをネットなどで勝手に調べて、本当はなんでもないのに考え込んでしまったり。医者も人間なので軽い症状までは病気であるかないかということは簡単に判断できないこともありますし。 最近は気楽にやることをモットーとしているので、そういうこともなくなりましたが。時々無意味に落ち込んだりもしました。
それも言えますね。僕は神経質で細かいことがとても気になるので、余計なことまで知りすぎて不安になっていることも多々あると思います。
でも一般的に言ってお医者さんて忙しすぎるんですよね。病棟に朝から晩までいて、休日も顔を出すとなると最新の医療情報に触れたりするなんて出来ないんじゃないかと思うわけです。そうすると回避できる副作用だったのにも関わらず医師の知識の欠如のために患者が被害を被るということになるわけで。そういうのは絶対に納得が行かないから、調べておこうと思うわけです。ひどい医者は患者にろくに説明もしないまま「しょうがない」で済ませてしまったりしますしね。
ただ、知識豊富な頭でっかちの患者にはならないでおこうと思います。クレーマーのような患者でしょうか。患者をやるのもなかなか難しいです ;-)
仰る通りですね。
僕の病棟にいる患者さんの多くは自分から病気のことを知ろうとしてないんですよね。病気自体が重くはないということもありますし、患者のほどんどがそれなりに歳ということもありますが、話を聞いていると家族も基本的なことすら知らない状態です。それで「いつ退院できるんだ」とか騒いでいるから困ったものです。 特に昨今、医療ミスなど大きく報道されて、医者の立場も昔みたいに絶対的なものではなくなってきましたし、普通にやってる先生や看護師さんはキツいですよね。そういう意味でも、患者も患者なりの姿勢が必要なんでしょうね。 お互い人間ですから。
ほんと、患者をやるのも難しいものですね 8-)
[q1]僕の病棟にいる患者さんの多くは自分から病気のことを知ろうとしてないんですよね。[/q1]
これは僕も気になっていることです。病人の中には自分の病気のことをほとんど調べずに医者任せにする人がいるけど、これは良くないと思います。がん患者の場合は基本的に他人に迷惑をかけたりすることはないけど、先日のyasushiさんのブログで、他人に感染を起こしてしまう危険性のある患者が勝手に外を出歩いて問題になった、という記事を拝見して、早く良くなるということだけじゃなくて他人に迷惑をかけないためにも、自分の病気について知るということは大切なことだと思った次第です。