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 先の記事でも述べたとおり(「やっと見ました、星を継ぐ者」)、昨日(10月28日)はΖガンダムを見に熊本県の嘉島町にあるダイアモンドシティークレアというショッピングセンターに出かけた。

 熊本県にはここのところショッピングセンターが相次いでオープンしている。ローカルのテレビ番組によれば、熊本市とその近郊の人口規模からしてショッピングセンターの数は多すぎるのだそうだ。つまりどこかがそのうち市場から出て行かなければならない状況なのだ。しかしそれでも企業が出店の手をゆるめることはない。なぜか?

 NHK福岡放送局が一ヶ月くらい前に放送していた番組によると、熊本県はかつてあった土着のスーパーが相次いで経営破綻し、大手が参入しやすい土壌があるのだという。このほぼまっさらな状態の熊本市場は企業にとって魅力的らしいのだ。さらに番組によれば、現在の熊本市場を制す者が全国市場をも制するらしい。それくらい苛烈な競争が熊本県で行われている。

 そういうわけで新しく出店したショッピングセンターは凄い。20年前に出来たジャスコなんかみすぼらしく見える。

 まず床から凄い。固いリノリウムの床ではなくて、ふわふわしたカーペットの床なのだ。まるでホテルみたい。次にテナントが旧来のショッピングセンターと違う。スターバックスやタリーズなど、かつては大都市都心部でしか見かけることのなかたコーヒーショップが入り、無印良品があって、お洒落なキッチン用品を扱う雑貨店などもある。同じジャスコでも、専門店街に入っているテナントが違うだけで随分雰囲気が変わるものだ。

 照明が明るくて開放的なつくりのため、なかをうろうろしているだけでもなんだかわくわくして楽しい。時々漂ってくる強烈な香水のにおいが、都会や外国の雰囲気を想起させる。

 この雰囲気、どこかで経験したことがあるような記憶がある。どこだろう、と必至に考えを巡らせてみたら、高校生の頃にホームステイしたオーストラリアのショッピングセンターに似ているのだ。やたら大きくて、小綺麗なテナントが入っていて、というあの感じ。

 この手のショッピングセンターはどこに行っても同じなのではないかという仮説が浮かぶ。マクドナルドやケンタッキーフライドチキンといったジャンクフード屋、ハリウッド資本のシネマコンプレックス、大量生産の衣料品を売る店。海外のショッピングセンターではGAPなのが日本ではユニクロに置き換えられているだけだ。

 そう考えると、ショッピングセンターの明るい雰囲気が急に恐ろしく思えた。みんなショッピングセンターで楽しそうに買い物しているけれど、これって本当に正しい消費のスタイルなのだろうか? 確かに車でやってこられて、広々とした店内にいろんな物が豊富に揃えてあって、大変便利なように思える。だがみなんがショッピングセンターばかり利用するから中心街にある個性的な店はなくなってしまって、気がつけばみんな同じ服を着てマクドナルドのハンバーガーを食べながらハリウッド映画を見ることになるのだ。これって恐ろしいことじゃないか。

 小綺麗なショッピングセンターは実は恐ろしい存在なのである。

<追記>

 熊本市内の駐車料金って安いなー、昔からこんなもんだったのかなー、と市中心部の繁華街をうろうろしていると、古びた駐車料金表示を発見。それには最初の一時間300円、以後30分ごと100円と書いてある。大都市に比べりゃ安いが、現在の水準からするとだいぶ高い。いまは安い駐車場を探せば50分100円とかざらだ。

 要するに、郊外のショッピングセンターに客を奪われていて、強気の値段設定だと負けてしまうということである。それで駐車料金が値下がりしているのだ。

 実際、街を歩いていても人通りの少なさに驚かされる。飲食店はどこもすいている。映画館に遅れて入っても席が空いてなくて困る、なんてことは殆どない。いまのところ供給量は往時のレベルを保っているが、需要は確実に減少しつつある。だから消費者としてはいまが我が世の春である。繁華街の映画館はどこも結構値引きしてくれるし俺としちゃありがたいんだけど、そう長くは続かないだろうな。