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 今日の日経経済教室は面白かった。執筆者はA.T.カーニーという戦略コンサルのデビッド・マーラーという外タレ。楽天とAOLを対比させながら、なぜIT企業はテレビ局を欲したのかを解説している。国債とか長期金利とかマクロ経済チックな話はさっぱり分からない僕ですが、本日の経済教室はわかりやすく、大変勉強になりました。

 IT企業がテレビ局を買収する際にその動機として挙げられるのがコンテンツ。テレビ局が持っているコンテンツ作成のノウハウを取り込み、web 配信で消費者を引き寄せたいということですな。

 しかし冷静に考えてみると、コンテンツが欲しいならテレビ局そのものを買収するより、買い取ったり業務提携して配信する権利を獲得した方がよい。そっちの方がいろんなコンテンツを揃えることが出来る。例えば楽天がTBSを買収したら、楽天はTBSのコンテンツしか扱うことが出来ない。しかし業務提携にとどめるならば、TBS以外の局からもコンテンツを購入可能になる。バラエティーはフジテレビから、報道は日テレからとか。こういう風にコンテンツはバラ買いした方が絶対お得なはずである。

 なのにそうしないのには相当の理由があるはずだ。デビッド・マーラーによると、IT企業が買収に乗り出すのには財務的な理由もあるのではないかとのこと。

 楽天のTBS株買収では、両社の株式時価総額が話題になった。売り上げではTBSの方が上だが、株式時価総額では楽天の方が上で、もはやIT企業によるテレビ局買収は驚くべきことではないという見解もある。しかしである。買収を表明してからの楽天株は下がり続けた。ニッポン放送を買収しようとしたときのライブドア株もぐんぐん下がった。一方で、ときには実力以上に評価されて高値になることもある。IT関連企業の株価は不安定なのだ。

 IT企業がテレビ局を欲しがる理由はここにある。すなわち、テレビ局の評価というのは歴史と伝統により安定している。IT企業は財務的な安定を手にするために、テレビ局を取り込みたいのだ。テレビ局とくっついてしまえば、自社への評価も安定する。株価の急激な高騰・下落を回避することが出来る。もちろん、安定した株価は経営の安定をもたらす。

 だから仮に買収によって企業価値が下がるようなことがあっても、IT企業は安定を得るためにそれを実行するのである。楽天も買収に乗り出すことで世間の評判や株価を落とすことはある程度計算していたのかも知れない。それでも、TBSと合併して長期的な安定を確保することを狙ったのだろう。

 以上、今日の経済教室の俺的解説でした。いやー、やっぱ戦略コンサルタントとかやってるおっさんは頭良いねー。こんなこと思いもつかなかった。