| @映画/ドラマ/テレビ

ラストキング・オブ・スコットランド
ケヴィン・マクドナルド

 ウガンダが舞台。主人公はスコットランド人の若い医者ニコラス・ギャリガン。医大卒業後、堅苦しい父親とイギリスに嫌気がさし、目を閉じたまま地球儀を回して指さしたところに行くと決め、ウガンダで医療に従事することに。ひょんなことからけがをしたウガンダの大統領、アミンの治療をすることになる主人公。大統領の前であっても臆さず大胆な行動を取るギャリガンを気に入り、アミンは急遽彼を首都に呼び寄せ、主治医にする。

 アミンから豪邸と高級車を与えられ、何不自由ない毎日を送るギャリガン。医師の立場を超えて、政治に口を挟み、アミンの側近となる。しかし次第にアミンの本性を知るようになっていく。猜疑心の固まりで、気に入らない人物はすぐに処刑。おかしいと感じたときに既に手遅れ。

 それにしても登場するイギリスの弁務官(外交官?)がめちゃ感じ悪い。婉曲的、遠回し表現のオンパレード。アミンの主治医に就任した当初、在留英国人(Englishman)と知り合えて嬉しい、みたいなことを言うんだけど、ギャリガンはスコットランド人であり、当初から彼に対して反発を覚える。一時は英国政府のスパイにならないかと提案されるがそれを拒むギャリガン。アミンとの関係が悪化し、英国のパスポートを盗まれたギャリガンは、パスポートの再発行を頼もうと外交官のもとを訪れるのだが、冷たくあしらわれ門前払いを食らう。

 『ホテル・ルワンダ』にしてもそうだが、結局旧宗主国の統治制度がアフリカの国々の混乱を招いている。アミンだってイギリスの植民地軍出身であり、イギリスに都合の良いように懐柔されていたのが、突然言うことを聞かなくなったから問題視されるようになっただけ。結局はアフリカの国々をかき乱しているだけという印象を受ける。

 それはアメリカのイラク政策だって同じかな。フセインも冷戦時代に対ソ戦略でアメリカの支援を受けていたというし、ウサマ・ビン・ラディンだって確かそうだったよね? 東南アジアでも、カンボジア、ベトナムで、共産勢力に対抗するために国内をぐちゃぐちゃにかき乱している。

 その意味でこの映画は、ウガンダ一国やアミンだけのことについて語ったものというより、イギリスの植民地政策やアメリカの第三世界政策について述べたものとして見るのが正しい見方かなと思う。