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評価 : ★★★★☆

第二次大戦中のナチスドイツ占領下のフランスが舞台。“イングロリアス・バスターズ”と名づけられたユダヤ系アメリカ人による連合国の特殊部隊がフランスに投入される。隊長はブラッド・ピット扮するアドレ・レイン中尉。ドイツ軍を無残にやっつけてヒトラーを悔しがらせる。ある晩、パリの映画館でナチのプロパガンダ映画がプレミア上映されることになり、ナチの高官もろとも劇場を吹っ飛ばす作戦が発令された。果たして作戦はうまくいくのか?

いやこれはすごかった。もうむちゃくちゃ。まずブラピがむちゃくちゃ。普通のナチスものの戦争映画ではアメリカ軍は正義の軍隊なんだけど、全然正義じゃない。「俺はアパッチ(インディアン)の血も引いてるから、殺したナチ野郎どもの頭の皮を剥げ」とか部下に命令する。降伏してるドイツ兵をバットで殴り殺したりとか完全なジュネーブ条約違反。なんつーのかな、単なる二枚目俳優じゃなくてハチャメチャに暴れててすげーいい感じ。喋り方とかバカっぽいんだけどそれが妙にルックスとマッチしてる。『セブン』とか『リバー・ランズ・スルー・イット』とか高校生の頃に見たブラピはカッコつけのいけ好かない野郎だったけど、この映画に出てるブラピは最高にかっこいい!

次に良いのがなんといってもハンス・ランダというSS(ヒトラー親衛隊)の大佐。フランス語、英語、イタリア語を流ちょうに操りユダヤ人狩りを行う。慇懃無礼な感じが最高だ。役を演じたクリストフ・ヴァルツはカンヌ映画祭で男優賞を受賞したそうで、それも納得。このむかつくおっさんが最後までネチネチとブラピや家族を殺された少女ショシャナを苦しめる。ユダヤ人狩りに農家を訪れて牛乳を飲んだり、ホテルのレストランでクリームパイを食べるところのいやらしさもスゲー印象に残った。このおっさんとブラピだけで映画が2000円分くらいの価値を発生させてる。

ドイツ語、英語、フランス語が飛び交うのがすげーかっこよかった。アルドとかはアホなアメリカ人だから英語しかしゃべらないんだけど、ナチスの将校や英軍が送り込んだ兵士、ドイツ人だけど寝返った女優なんかはマルチリンガルな感じでしゃべくりまくる。ワルキューレみたいに全編英語とか興ざめだよね。

そしてスリリングな展開。ドイツ軍に紛れ込んだバスターズをナチスの将校が「アクセントがおかしい」と素性を疑うシーンはハラハラドキドキさせられる。エンターテインメント作品としても完成度高い、高すぎる。素晴らしい!

残念なのは『グッバイ、レーニン!』のダニエル・ブリュールが歳を重ねるにつれてかっこわるくなってきてることかな。『グッバイ、レーニン!』に出てた頃のブリュールは20代前半で、かわいい男の子アレックスのイメージが染みついてるんだよな。というか声がかわいいし、その後いくつか出てる映画を見たけど、『グッバイ、レーニン!』のときが一番良かったな。

ぐだぐだ書いてしまったけど、あまり多くを語るよりこのレビューを読んでもらった方が話が早いかも。2chコピペ風。でもほんとこんな感じ。タランティーノすげーわ、やっぱ。