ボーイズ・オン・ザ・ラン
評価 : ★★★★☆
あらすじ
主人公は中小企業に勤める29歳のサラリーマン田西敏行。職場の年下の女の子に恋をしていい感じになるものの、自らまいた種で失恋してしまう。のみならず、ライバル起業の敏腕営業マン青山に彼女をとられた挙げ句、妊娠させられてしまう。がびょーん。怒り狂った田西は青山に決闘を挑むのだが。
感想
原作は漫画らしいです。映画館に貼ってあるポスターがあまりにも迫力があったので見てしまいました。主人公を演じたのはパンクバンド、銀杏BOYZの峯田和伸という人。僕はそういう予備知識なしに見たんですけど、とても良い映画でした。楽しかったです。
青春スポ根ものな感じもするんですけど、僕はどっちかって言ったら日本版『(500)日のサマー』みたいな印象を受けました。「えっ! (500)日のサマーはあんなにお洒落なのにこんなの全然違うよ!」って思う人もいるかもしんないけど、主人公のダメダメ加減がとても似てると思った。たしかに(500)日のサマーのトムは夢精したり女の子に「やらしてくれよぅ」と情けなく言ったりはしないけど、女の子の気持ちを考えられなくて自己中なとこなんかは結構似てると思った。
田西はとにかく痛いキャラで、妙な見栄を張ったり性欲が旺盛だったりとかとても情けないんだけど、僕が映画の中で一番痛々しいと感じたのが、ヒロインと付き合えてもいないのに、青山に彼女のこと「こんど貸してあげよっか」なんて言うところ。もう最低最悪でぐうの音も出なかった。なんでそんなこと言うのかなぁ。意味もなく悪ぶる必要なんてないのに。
一方でなんとなくこの田西の痛々しさは他人事じゃないような感じもする。自分だって虚勢を張ったり、自己中心的になったり、妙に自信がなかったりすることがある。自分では気づかないうちに身近な人の気持ちに配慮することなく自己中心的な言動をしたり、思っていることとまったく逆のことを口にしたり。ほんと人ごとではなかった。
それでも田西は純情に好きな女の子のことを思って一生懸命やるんだけど、結局空回りでかっこわるくて女の子からは嫌われる…。自分のことを見ているみたいでとても辛かった。押さえきれない衝動を抱えた男は結局走るしかないのだ!
蛇足
ちなみに銀杏BOYZが歌うエンディングテーマ『ボーイズ・オン・ザ・ラン』がとても良いです。iTunesでダウンロードして何回も聞きました。なんか聞いてるだけで涙出てくる。
さらに蛇足
田西の勤め先の齋田産業の社長役でリリー・フランキーが出てきます。リリー・フランキーはなんか若い女優とかと浮き名をはせていそうでいけ好かないイメージだったんですけど、とてもいい雰囲気出してて良かったです。名脇役だった。