| @映画/ドラマ/テレビ

 ベルリンの壁崩壊前の東ドイツが舞台。東ドイツの秘密警察、シュタージ(国家保安省)に籍を置く男が主人公。

 大まかなストーリー。家族もなく、どきどき売春婦を抱きながら一人寂しく暮らす主人公ゲルド・ヴィースラー大尉だが、劇作家ドライマンが西ベルリンへの逃亡計画を企てているとして、盗聴を命じられる。しかし盗聴をするうちドライマンとその恋人クリスタに共感し、党の命令に背いて二人を守ろうとする。それまで冷徹に容疑者を取り調べるだけだった男が自分の人生を捨てて、善き人(Guten Menschen)となるのだった。

 人権を無視した尋問のやり口や盗聴などにもぎょっとするのだけど、一番印象に残ったのが、ヴィースラーが上司クルビッツとシュタージ施設内の食堂で食事をしていて、近くに座った若い党員がホーネッカーをネタにして冗談を言うシーン。

 たまたま幹部用の席を避けて一般党員用の席に座ったヴィースラーたちのことに気がつかず、ある若い党員がホーネッカーをこけにする冗談を言おうとする。しかし友人たちの視線で幹部が近くに座っていることに気付き、冗談を言うのを止めようとする。「かまわんから続けろ」とクルビッツに促され、それでは、と若者は冗談を言うのだが、クルビッツはネタをひとしきり笑ったあと若者の名前と所属を聞く。凍り付く若者。「分かっているだろうが、君の将来は──」

 『グッバイ、レーニン!』では懐古趣味的に、東ドイツ時代も悪くなかった、みたいな描かれ方をしていたわけだけど、やっぱり共産主義というか全体主義は怖いですね。平和な日本に生まれて良かった。

| @映画/ドラマ/テレビ

 ドイツ映画。料理がうまそうな映画でした。以下ネタバレあり。

 主人公はエロティック・キュイジーヌで名をはせるシェフ、グレゴア。彼の料理を食べた者は官能の世界に誘われる。一度口にするや、テーブルマナーとか無視でお皿に残ってるソースまで指ですくってぺろぺろ舐めちゃう。そんな食い物あるのかってくらいに料理を上手に作ることが出来るオッサンです。でも太ってて禿げてて女っ気なし。休日はいつもカフェでお気に入りの給仕の女性の姿をじろじろ眺めるだけです。しかも給仕の女性エデンからはストーカー扱いされて全く風采の上がらないグレゴア。

 しかしエデンの娘レオニーが公園の噴水に落っこちる現場に居合わせ、レオニーを助けてあげたことであこがれのエデンと仲良くなる機会を得ます。偶然翌日がレオニーの誕生日だと知った彼は、とびきり美味くて官能的なケーキをプレゼント。そのケーキを口にしたエデンはグレゴアの料理の虜になるのです。

 エデンは悪女としては描かれませんが、僕からした悪女以外の何者でもありません。夫に黙ってグレゴアの厨房に通い詰め料理を作らせ、「あなたのおかげで私の人生はとてもうまくいくようになったわ。夫も昔好きになった頃の夫に戻ったし」だって。そんなのってないよ。グレゴアは自分のこと好きなこと分かってるくせに。エデンはグレゴアに与えてもらうばかりで何も彼に与えないのです。

 それでもグレゴアはエデンのことが好きだから、寂しい毎日に一輪の花が添えられたような生活が楽しくて、毎週毎週、エデンのために料理を作ってあげるのです。悲しいなぁ。

 ただエデンという女性は非常に魅力的に描かれており、見ていて美しいなぁと思いました。僕もドイツ語を話す女の人と懇ろな関係になりたいです。

| @旅行/散歩

 ここのところ、国道57号線を走っていると、菊池郡大津町のあたりにたくさんビジネスホテルが建ってるのが目立つようになりました。大津町というところは本田技研の工場があって景気の良いところなので、きっと出張でやってくるホンダ関係者の需要を見込んだものなんだろうな、と思っていました。大津町は空港まですぐ近くだし、ホンダに用事があってやってくる人は熊本市内に泊まるよりも大津町に泊まる方がはるかに都合が良いはずなのです。

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| @映画/ドラマ/テレビ

 かなり良かった。好き。18編からなる、パリを素材にしたオムニバスフィルム。いろんな監督、俳優がパリについて語っている。切ない話あり、恋の始まりを予感させるような胸キュンストーリーあり。

 一番印象に残ったのが『サイドウェイ』のアレクサンダー・ペインによる14区。アメリカ人の太った郵便配達の女が出てくる。彼女はパリに憧れてて、パリに旅行に行くために2年間フランス語を習い、貯金をする。本当は2週間滞在したかったが、犬を飼っているために6日しか滞在出来ない。せっかく勉強したフランス語で会話しようと、通りがかりの美容室でおいしいレストランがないかを尋ねてみる。しかしフランス語を使いたい彼女の意に反して、美容師は流暢な英語で話し返してくる。一人で食事をとったあとサルトルの墓を訪れるが、一緒に眠るボーヴォワールの名前の読み方が分からず、ボリヴァルとかなんとか読んでしまう。この辺りの描写がすごく切ない。太っていて、ファッションがださくて、恋人はおらず犬しか家族がいない、教養のない寂しい女。これって典型的なヨーロッパ人のアメリカ人観なんじゃないかと思った。ヨーロッパ人はきっとこんな風にアメリカ人をバカにして見てるんだろうなぁ、って。監督のペインはアメリカ人だけど。パリについての映画で、アメリカの田舎に数多く住んでいるであろう、無教養で太っていて寂しい人生を送っているアメリカ人について考えさせられることになるとは思わなかった。この五分間の短編はでかかった。

 最初から二つ目の、『ベッカムに恋して』の監督が撮った5区「セーヌ河岸」も良かった。イスラムの少女に恋心を抱くフランス人少年の話。『ベッカムに恋して』の主人公もそうだったけど、この監督はかわいいオリエンタル美人をつかまえてくるのがうまい。そしてとてもきれいにその子を撮る。僕の方までこのイスラムの少女に恋してしまいそうになった。パリジャンの少年とイスラム少女がその後どうなったのかがすごく気になる。

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| @音楽

 たびたびブログでぼやいている通り、僕の耳は抗がん剤治療の副作用のせいでクソ耳なのですが、iTunesで何とか気持ちよく音楽を聞く方法はないものかとイコライザをいじってみました。↓の画像が僕のイコライザのプリセットをキャプチャしたもの。

クソ耳用イコライザ

 4KHzから16KHzまでをマックスにして、あとはフラットw プリセット設定名は「クソ耳」w

 いや、まさかとは思いましたけど、これで随分音の聞こえ方が変わりました。耳が良かった頃とまでは行かないけど、音がこもった感じのモコモコ感がなくなり、クリアな音質に。高音難聴で苦しんでいる方にオススメです。

| @映画/ドラマ/テレビ

 スマステ6を見ていたら、木村拓哉が『武士の一分』に出ている関係から、山田洋次の時代劇についてやっていた。山田洋次監督はこれまで藤沢周平原作の『たそがれ清兵衛』、『隠し剣 鬼の爪』を映画化している。山田監督はいままでの時代劇についてリアリティーが足りないと思っていたそうだ。一人が何十人も相手にする殺陣、相手の背後にいるのになかなか斬りかからない雑魚キャラ。殺陣だけでなく、衣装や食事、カツラにいたるまで時代考証を綿密に行い、リアリティーにこだわったのだそうだ。たとえば『たそがれ清兵衛』で真田広之演じる清兵衛は無精髭が生えているのだが、そんな人間が毎日髪の手入れをしているはずがないと、月代(頭を剃っている部分)を伸ばしたカツラを用意するなどしたそうだ。

 僕もテレビで見る時代劇などは嘘が多いと思っていたし、山田洋次監督のリアリティーを追求する姿勢には賛同するのだが、DVDを借りて見た『たそがれ清兵衛』は足りないところもあった。それは性の描写だ。以前もどっかで書いたけど、江戸時代というのは少し調べると遊郭や賤民の存在を避けられないような猥雑な時代だったということがすぐ分かるんだけど、それらをもろに描いた時代劇なんてのはなかなかないと思う。(もちろん存在するのだけど僕が知らないだけかも知れない。そうだとしたらゴメン)

 その点、性も、というか性を中心に江戸時代の人々の生き様を描いた奥田瑛二監督の『るにん』は圧巻だった(portal shit! : るにん ★★★★★)。ちょんまげにしたって、ほとんどの役者が髪を剃って月代をつくっていた。もちろん奥田瑛二本人も。住居から衣装まで、かなり徹底的に当時を再現しようとしたようで、時代考証は申し分なかった。

 ただ、すべての時代劇があからさまに性を扱う必要はないとも思う。だから山田洋次が撮るような、道徳的で美しいかつての日本人を描いた時代劇もあって良いと思う。でもあまり語られることのない、江戸時代の猥雑な部分を表現する映画を奥田瑛二にいくつか作ってもらいたい。緒形直人主演で、老人が児童虐待されている少女を誘拐する映画がカナダだかどこか外国の映画祭で賞を取ったらしいが、次作はまた時代劇を撮って欲しい。時代劇の今後に期待しています。

| @映画/ドラマ/テレビ

 ここのところ見た映画のすべての感想を書いていない。DVDで鑑賞した旧作の感想をすべて書いても閲覧者にとって情報価値は高くないし、感想を書くのは劇場で鑑賞したもの、DVDで見たもののなかで特に気に入ったものだけにしようかと思います。

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 そういうわけでDVDで鑑賞したサイドウェイ。これはなかなか面白かった。主人公マイルスはカリフォルニアに住む小説家志望のワインマニアで、一週間後に結婚を控えた親友のジャックと、古いSAABのコンパチブルでワイナリーめぐり&ゴルフ三昧の旅に出る。小説を書き上げたばかりのマイルスはワインをたらふく飲み、ゴルフに興じるだけで充分だったのだが、ジャックは俳優らしく女を口説かずにはいられない。ビバリーヒルズ青春白書でもそういうエピソードがあったけど、アメリカでは誰かが結婚する前に男たちが集まって独身最後の思い出にスケベパーティーをやったりするみたいである。ジャックは結婚前にセックスをやりだめしておきたかったのだ。

 二人でマイルス行きつけのレストランを訪れたとき、そこでマイルスが密かに思いを寄せるウェイトレスのマヤの存在をジャックは知る。「お前も彼女に声をかけろよ。気になるんだろ?」ジャックはマイルスをけしかける。仕事を終え、レストランのバーでくつろぐマイルスとジャックに遭遇したマヤは、「あなたたち今夜予定あるの?」と声をかけるのだが、前妻との離婚で恋に臆病になっているマイルスは、「疲れたからモーテルに戻ってもう寝るんだ」と、折角の彼女の誘いを断る。ダメ男なんである :-!

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