| @Mac/iPhone

この前TwistarをFluid.appでアプリケーション化してみたら快適だったという記事を書いたけど、ふぁぼったーも同様にやってみた。ふぁぼったーはデフォルトでj, kでスクロールできないけどFluidはUserscriptを使えるので、0xFFからSafari用のLDRizeやoAutoPagerizeをダウンロードしてスクリプトフォルダに入れることで同様の使い勝手を実現できる。こんな感じ。

1111_favotter_fluid1.png

あとは好みでユーザースタイルシートを書いてやればオッケー。僕は幅を320pxにして以下のような感じにしてる。

1111_favotter_fluid2.png

暇があったらもうちょいかっこよい感じに書き直す予定。Userstyles.orgに上げてるのでまねしたい方はご自由にお使い下さい。

| @映画/ドラマ/テレビ

インビクタス‐負けざる者たち‐

評価 : ★★☆☆☆

クリント・イーストウッド監督。南アメリカのネルソン・マンデラの話。モーガン・フリーマンがマンデラ役。大統領就任翌年の1995年、南アフリカは長年アパルトヘイトへの制裁措置として出場が禁止されていた国際スポーツの舞台への復帰が許され、自国でラグビーワールドカップを開催することになっていた。伝統的に南アフリカのラグビーチームは白人主体のチームであり、黒人からはアパルトヘイトの象徴と見なされていた。黒人による“革命”が成し遂げられたあと、黒人たちは代表チームの愛称(スプリングボクス)とジャージー(ユニフォーム)のカラーリングを変更しようとしたが、マンデラはそれを止めさせた。彼の真意は何なのか。

『グラン・トリノ』がすごくよかったので期待していたけど、肩すかしを食った。ラグビー代表チームのキャプテン、フランソワ・ピナール(マット・デイモン)と協力してスプリングボクスを新南アフリカの調和の象徴としようとするんだけど、なんか違う。

全般的にストーリーが単純というか、映画の世界が狭い。マンデラの周辺の人物達の描き方が単純に見えた。一国の大統領の割にはあまり仕事らしい仕事をしてなくて、ラグビーチームのことに熱を上げすぎてる。僕の目には肩入れ具合が不自然に写った、「こんな漫画に出てくるみたいな大統領いないでしょ」って。あとマンデラが聖人君子に描かれすぎ。人間ってこんなに単純じゃないんじゃないかな。大統領就任後に離婚した嫁さんの話とかがない。

もっとも強烈に違和感があったのがラグビー試合のシーン。まるでアメフトみたいだった。ラックやモールに全然人が入らないし、スクラムはやたら選手の腰の位置が高いし、スクラムの中で手を使ってるようにも見えるし、ラグビー知ってる人だったら興ざめする感じの内容だった。決勝でオール・ブラックスと対戦するからってんで無理矢理ジョナ・ロムー(ニュージーランドの怪物ラグビー選手。ウィングなのに120kgも体重があって足が速かった)風の俳優を登場させるんだけど、なんか中国人っぽいし、オール・ブラックスが試合前にやるハカも無理矢理挿入してる感があった。やっぱアメリカ人の監督にはラグビーの映画を撮るのはむずかしいのかな。ラグビーのこととかよく知らない人の方がかえってこの映画は楽しめるかも知れないと思った。

そもそも長らく国際試合をしてなかった南アフリカ代表が、世界最強のオール・ブラックスに勝っちゃうのは、史実ではあるわけだけどとても違和感ある。マンデラが音頭をとって選手達を応援したから勝てた、みたいな描かれ方なんだけど、選手達自身が相当特訓を積んだんじゃないかな。フランソワ・ピナールとマンデラの絆というか交流ばかりに焦点が当てられてなんか違うんじゃね、と思った。

蛇足

僕はどうも英語の映画を見るときは英語の種類の方に目というか耳がいってしまう。南アフリカの英語がどんなものなのかは分からないけど、マット・デイモンやその家族、恋人役の俳優達はイギリス英語ともアメリカ英語とも異なる英語を喋っていたように見えた(南アフリカは黒人は黒人の土着語を話し、アフリカーンスの白人はオランダ語っぽい方言を話すみたい)。完全な蛇足です。

| @WWW

ミーハーなのでTechCrunchとかで目にしたPinboardというブックマークサービスを使い始めてみました。スパムによる汚染を防止するためサインアップ時にお金を払う必要があるユニークなサービスです(サブタイトルは “antisocial bookmarking” という何とも挑発的なタイトル)。しかもこの値段が後になればなるほど高くなるという。僕は$6.12のときにサインアップしました。日本円で519円。

まだユーザーが少ないためか非常に軽くてこざっぱりしてて気に入りました。deliciousからのエクスポート/インポートもヒジョーに楽でした。Twitterに自分が投げたURLや自分のFavoritesに含まれるポストのURLも自動でブックマークしてくれたり、さらにはdleiciousにブックマークしたURLも自動でブックマークしてくれるので(↓画像参照)、deliciousからの移行はほとんど障害なし…

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と思われたのですが、一昨日くらいからdeliciousのブックマークを自動で読み込まなくなってしまいました。これは不便(deliciousがPinboardのbotをブロックするようになったんでしょうか?)。

Tomblooでポストできるようになったら嬉しいのですが、ソースみてもどこをどうすればよいか分からず。とりあえずいまはdelicious用クライアントのPukkaからPinboardにブックマークをポスト&参照できるようにしてみました。メニューバーから検索する機能も使えます(↓画像参照)。どうもPinboardのAPIはdelicious互換らしい。PukkaからPinboardを使う方法はこちらに書いてあります → Pinboard.in support | Code Sorcery Workshop。はやく多くのdeliciousクライアントがPinboardにも対応するとよいですね。

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半年後にはもう使わなくなってるかも知れないけど、Pinboardもしばらく使ってみます。というかぶっちゃけdeliciousには不満無かったりするんだけど。最近の重まっていらっしゃるはてブに比べたらdeliciousは十分軽くて快適です。

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戦場でワルツを

評価 : ★★★★☆

イスラエル映画。1982年のレバノン内戦が舞台。主人公は19才のときに徴兵でイスラエル兵として戦場へ赴いた経験のあるアリ・フォルマン監督自身。戦後20年以上が経過してから急に戦争中の体験がフラッシュバックするようになったという戦友の話を聞かされて、自分自身も気味の悪いフラッシュバックを繰り返すようになった。しかし戦争の具体的な記憶はどうしても思い出せない。いったい1982年のレバノンでフォルマンはどんな体験をしてきたのか? 当時の戦友やジャーナリストのもとを訪ねて過去の自分を思い出そうとする、ドキュメンタリーとドラマの中間のような映画。

予告編からすごくおもしろそうで楽しみにしていた。一応高校の頃は世界史選択でそこそこマニアだったけど、中東の近現代の戦争の記憶はすっかり抜け落ちてる。なぜレバノンの内戦にイスラエルが介入したのかも把握せずに鑑賞したけど、アニメーションで生な戦争を見せつけられた感じ。ショックだった。

アニメなのにリアル

ジブリアニメと全然違って写実的。まるで映像をトレースしたかのような印象を受けるんだけどそうじゃないらしい。ちゃんと人間が描いていて、Adobe Flashとかいろいろ使ってアニメーションを作ってるそう。しかも3Dをあえて2Dに見せようとしたりしてるんだって。スゲー。

印象に残った映像表現を列挙。

  • 夜の市街戦で照明弾がゆらゆら煙をたてながらゆっくり降りてくる感じがすごくリアルだった。不気味さが際立つ。
  • 野戦で装甲車から機関銃をぶっ放しながら草原の道を抜けるシーンでは、銃口から飛び散る火花の様子が印象に残った。
  • あとイスラエルの名物戦車、メルカバ。通信用に戦車からアンテナが伸びてるんだけど、この揺れ方もとても凝っていた。メルカバの重量感が伝わってくる。

こんな感じで、国産アニメーションでは見られないような、かといってハリウッドのアニメとも違う、リアリティーにこだわった表現方法。指を負傷して手の第一関節から先がない兵士が出てくるシーンもあり、かなり生々しかったです。アニメなのにリアル。

イスラエルをテーマにした映画を見る度に思うこと

全般的に際立つのやっぱりイスラエルの異質さだった。レバノンは中東では珍しいキリスト教徒が過半数を占める国らしいんだけど、イスラム教もシーア派、スンニ派がそれぞれいて、これにパレスチナ難民(PLO)も加わってカオス状態に。レバノンの内政にシリアが干渉したことでシリアと敵対してきたイスラエルも口を挟むようになり、PLOもいるってんで紛争はぐちゃぐちゃになった感じだったようです。

フォルマンが戦場から休暇でイスラエルに帰ってくるシーンがあるんだけど、ここも印象に残った。直接イスラエルに危機が及んでいるわけではないのに戦地に派遣されて若者が命を危険にさらしている。休暇で国に帰ってきてみると街ではセックス・ピストルズの曲なんかが流れてる。ディスコでは出征前に別れた恋人が激しい音に合わせて踊っている。自分は何のために戦っているんだろうという虚無感みたいなものが伝わってくる。映画の中のイスラエルからは、戦争するために戦争しているような印象を受ける。

僕はとてもいい映画だと思ったんだけど、この映画にはアラブ諸国からは反発があるらしい。フォルマンがどうしても思い出せなかった戦争中の記憶というのはベイルートで起こった虐殺事件のことなんだけど、映画ではイスラエルは傍観者として描かれている。レバノンのキリスト教徒がイスラム教徒を虐殺したわけだけど、イスラエル兵らは異常を関知しながらもどうすることもできなかった、というような描き方をしているわけ。でも実際のところ虐殺事件でキリスト教徒のグループはイスラエル軍の制服を着てイスラエル製の武器を携帯してたってんだから、イスラエルは傍観者だったという描き方はナイーブに過ぎるというか、イスラエルをイノセントに描きすぎなんではないかということらしい。一理あるかも。

実はこの映画、2009年のアカデミー賞外国語部門にノミネートされてて、『おくりびと』と受賞を争ったんだけど、僕的には断然この『戦場でワルツを』の方が面白かった。

蛇足

この映画は熊本市新市街のシネパラダイスで鑑賞したんだけど、なんと明日1月31日で閉館するらしい。知らなかった。Denkikanとシネプレックスにはずいぶん金にならないであろう単館系映画を見させてもらったので残念でならないです。

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(500)日のサマー

評価 : ★★★★★

主人公のトム・ハンセン(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)は大学で建築を学んだものの建築家になることができず、グリーティングカードの会社でライターをやっている。ぱっとしない毎日を送っていたんだけど、ある日社長のアシスタントとして会社に入ってきたサマー・フィンに恋をしてしまう。

いやー、よかった。いや見終わった後すぐはスゲー憂鬱な気分になって、「これだから女ってやつはよー」なんて思っちゃったんだけど、ほろにが系のいい映画でした。最初劇場で予告編を見たときはベタな甘ったるい恋愛映画かと思ってたんだけど、ひと味違う。空中キャンプの人がべた褒めしてた(2010-01-09 - 空中キャンプ)ので半信半疑で見に行ったら見事に予想を裏切られた感じで良かったです。

男女の描き方

本作では主人公トムが真実の愛を信じるロマンチストで、サマーの方が真実の愛を信じない女として登場するわけだけど、このキャラクター描写が絶妙だと思った。現実世界ではだいたい女の子の方が永遠の愛を信じてて、男の方はわりあいさらっとしてるととらえられがち(男は性欲のみで女の子の方が気持ちを大事にするとか)、でも男から言わせてもらえば、女の子の方が現実的な側面が強いこともままあるわけでしで、例えば男は一回好きになった女の子のことをなかなか忘れないんだけど(自分の身の回りの男連中はみんな女の子にふられた後は廃人状態になってる)、女の子の方は気持ちが離れたらさっと去っていくみたいな。どうですか皆さん? そういう側面有りませんか? この映画ではトムがロマンチストとして登場し、サマーの方がわりあいあっさりとした感じで登場するからちょっと普通の男女関係とは違って見えるけど、ふられた後の男の悲惨さと、去っていく女の子の潔さというか残酷さ、冷酷さはとてもよく描かれてると思った。

音楽が80年代後半

ネットで見た人の感想を読んでいると、どうも僕より5, 6歳上の男性諸氏に特にぐっと来るみたい。予告編にも使われてる、エレベーターの中でトムがThe Smithsの "There Is A Light That Never Goes Out" を聞いてたら、ろくに話したこともないサマーが "I love The Smiths" と話しかけるシーンとかね。ジョゼフ・ゴードン=レヴィットは僕と同じ歳なんだけど、80年代のさわやかポップミュージックがたくさん使われてるから、監督のマーク・ウェブと同じ世代の人だとドンぴしゃ来るのかも知れない(僕はThe Smithsも名前くらいしか知らなかった)。映画の中でトムがPixiesの "Here Comes Your Man" を歌うシーンがあるんだけど、このシーンとかとても気に入りました(iTunesで曲買ってしまった)。好きな女の子の前でこんな直球な曲を歌うなんてなんか文化祭でバンドやりたがる中高生男子みたいな発想だよ。いやでも良いんだよ。毎日サントラでジョゼフ・ゴードン=レヴィットの歌声聞いてます。

ズーイー・デシャネルかわいい

この映画はジョゼフ・ゴードン=レヴィットも良い味出してるんだけど、なんと言ってもサマーを演じたズーイー・デシャネルがかわいいんだよね。かわいいのにドライで冷たい女の子。サマー一筋に入れあげてるトムを振り回す感じが絶妙です。

もう一回みたくなってしまった。熊本では4月公開なので福岡まで遠征しそうな勢いです。そんくらい良い映画だった。夢見がちな男性諸氏必見です。

追記

すでに映画を見た人向けのレビューだけど、以下の記事が深かった。

なるほど、と思った。映画を見終わって「サマーはなんてビッチなんだ!」と憂鬱な気分になったのは、サマーが本当にビッチだからじゃなくて、実はトムの方に問題があることを観客である僕も潜在的に気づいていたからかも知れない、と思った。

特に上記引用の二つ目の方の記事は劇中での音楽の使われ方から分析しているのだけど、これが特に深い。なるほどー、と思わせられる点がたくさんある。あまり詳しくはネタバレになるので書かないけど、トムはサマーに対して、自分勝手な都合の良い思い込みをしていたのだ。

確かに、インディーロックが好きなかわいい女の子なんてそうやすやすと見つかるもんじゃない。男はしばしば、自分の好きな音楽や映画や本を女の子に押しつけがちだけど、その辺気をつけなきゃいけないなーと思った。女の子がいったい何を自分に求めているのかをしっかり気づいてあげないといけない。好きじゃなくても、ドライブに行くときは宇多田ヒカルを聞いてあげたりしないといけないのだ。

映画冒頭のナレーションというか、注意書きみたいのでマーク・ウェブのコメントがあるんですよ。そこでやたら "Coincidence" が強調されるわけ。この映画はフィクションであり、登場人物が実際の人物に似ていたとしてもそれは "coincident" ですよって。「特にJeniffer Beckerman(名前は微妙に違ったかも)、あのBitchめ」みたいな字幕が入るところで笑ったんだけど、きっとマーク・ウェブの昔の彼女なんでしょう。そんな愚痴っぽいコメントを冒頭に挿入しながらも、僕らのようなダメ男に、「お前が女の子にふられるのはお前がダメだからなんだー!」と気づかせたかったんじゃないかな、って僕は感じました。

さらに追記

SpearmintのCD買った。「Spearmintを聞かない人生は苦痛だ!」

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脳内ニューヨーク

評価 : ★★☆☆☆

脚本家のケイデン(フィリップ・シーモア・ホフマン)が主人公。画家の妻と娘の三人で平凡な暮らしを送っているんだけど、体調は優れないし妻には愛されていないみたい。「仕事が進んでいないから」とケイデンが脚本した劇の初日の公演に来なかった妻が、明け方家に帰ってみるとソファで友達と話し込んでいたり。家族で行く予定だったベルリンの妻の個展にも「来ないで」と言われてしまうケイデン。つらいぞケイデン。『マルコヴィッチの穴』のスパイク・ジョーンズが一枚噛んでる映画。

うーん、よくわからなかった。妻と娘が去った後、ケイデンはすごいデブなのにもかかわらずもてる。劇場のチケット切りの女の子や女優とできちゃったりする。でも娘のことが忘れられない。そのことが原因で後妻ともうまくいかなくなったり。というか後妻の女優を演じていたのがミシェル・ウィリアムズだって気がつかなかったな。本当に美人に見えるときとブスに見えるときの落差が激しい。今作では美人に見えました。

妻子に去られ絶望に暮れていたケイデンのところに郵便がやってきて、脚本がなんかの賞を受賞して大金を手にすることが分かった。その金でケイデンは途方もないことをやり始める。ニューヨークの中にもう一個ニューヨークを作ってしまうのだ。古い工場だか倉庫だかの跡地に大がかりなセットを組み、ニューヨークを再現していく。その中にはケイデンや妻、愛人、前妻や前妻の家の掃除婦まで登場させる。しかし遅々として劇は進まない。

結局最後の方はぐだぐだなままに終わってしまう。あんまり内容覚えてないけど『マルコヴィッチの穴』っぽい感じだった。意味分かんない系の映画。予告編はすごくポップな感じで面白そうだったんだけど、ずーっと暗いまんまだった。残念。ただテーマ曲が良かった。Deanna Storeyが歌う "Little Person" という曲。すごく切なくて良い曲。映画の内容はともかく、この曲を知ることができて良かったです。

YouTube - Little Person (Synecdoche, New York)

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母なる証明

評価 : ★★★☆☆

韓国映画。サスペンス映画。主人公は障害のある息子トジュンを持つ母親。母親は息子のことを溺愛しているが、ある日息子は女子高生殺人事件の犯人として逮捕されてしまう。障害のある息子が女子高生を襲って殺害するなんて考えられないのだが、状況証拠がそろってしまっておりどうすることもできない。母親は必死に息子の無罪を証明しようとするのだが…。

韓国映画は久しぶりに見た。映画好きの人の間で韓国映画は評判良いけど、自分は何か疲れる。この映画もかなり疲れた。

まず韓国の景色が疲れる。なんかどんよりしてる。パステルカラーのど派手な色と、冬の韓国の枯れ草色の景色の対比がどんより感をいっそう強くして疲れる。しかも事件現場とかがスラムっぽい感じのところで、まるでメキシコ映画に出てきそうな景色だった。あまり好きになれない。

第二に韓国の映画には激情的な人がたくさん出てくる。これがスゲー疲れる。トジュンに接触して逃げた金持ちのベンツをトジュンの友人であるチンピラのジンテが追っかけるんだけど、いきなりベンツに乗ってた連中に襲いかかったりするし。あと生意気で悪そうながきんちょとか、ビッチな女子高生とか。見ているだけでしんどかった。

トジュンを演じたイ・ビョンホってのは四天王っていうのの一人なのかな。品川庄司の庄司っぽかったけど、演技はとてもうまいと思った。トジュンは発達障害なんだけど、ときどきすごく鋭い。小さい頃に母親が自分を殺そうとしたことなんかを覚えている。ぐさりと刺さるような言葉を、うつろな目で発する。確かにこの辺はすごいなと思った。

母親の愛情を描きたかったのか、韓国の障害者差別の風潮を取り上げたかったのか(警察は状況証拠がそろえば障害者を犯人に仕立て上げて事件を幕引きにしようとする)。多分どちらともが監督の意図したテーマだったんだろう。意外な結末にやりきれない気分になる。どんなラストかは見てのお楽しみ。

キネマ旬報の2009年の外国映画ランキングでは2位だった本作ですが、僕は疲れるのでもっと軽い映画が好きです。