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ルドandクルシ

評価 : ★☆☆☆☆

あらすじ

ルド(ディエゴ・ルナ)とクルシ(ガエル・ガルシア・ベルナル)の兄弟はメキシコの田舎町のバナナ農園で働いているが、一緒に暮らしている母親の再婚相手の男はむかつくし、仕事はつまらないし、人生一発逆転してやりたいと思っていた。二人はアマチュアのサッカー選手で、たまたま街で車が立ち往生したスカウトのバトゥータの目にとまり、プロサッカー選手としてメキシコシティに出ていくことになった。果たして二人は一発逆転できるのか?

感想

アルフォンソ・キュアロンの弟カルロス・キュアロンが監督で、アルフォンソも制作に関与しており、さらにガエル・ガルシア・ベルナル、ディエゴ・ルナの組み合わせという、『天国の口、終りの楽園。』のキャストが再結成して制作された機動戦士ガンダム 逆襲のシャアのような作品。期待して見に行ったんだけど、「そんなのありなの?」ってくらいつまらなかった。メキシコのオールスターが集まって作られてる映画なのに、熊本のDenkikanでは一週間しか上映されなかったのが不思議だったけど、実際に見てみて「これはお客さん入らないわ」と思いました。

ルドとクルシはそれぞれ父親が異なり、母親はさらにその後離婚して別の男と暮らしている。複雑な家庭なのだ。しかしルドもクルシも、直接会ったことはないそれぞれの父親のことを誇りに思っている。ことあるごとに「俺の親父は…」と言う。このあたりがガキっぽい。

そもそもルドもクルシも年齢不相応に夢見がちな少年として登場する。ルドは妻子がいるのに人生一発逆転したい一心で家族に黙ってメキシコシティに出て行くし、クルシはサッカー選手はどうでもよくて、本当はミュージシャンになりたと思っていて、そのための足掛かり作りのためにサッカーをする。この辺の感覚がよくわからない。

そんな軟派なノリじゃサッカー選手として大成しないだろ、と思うんだけど、映画では二人とも大活躍して、クルシはメキシコ代表として招集されたりする。さすがにこれはやり過ぎだろ思った。

クルシは念願かなってレコードデビューを果たし、カウボーイの格好して歌をうたうのだが、このシーンはまるでインドの映画を見ているみたいで異様なテンションに正直引いてしまった。ひょっとするとメキシコ人は特殊な感性を持っている人たちなのかも知れない。

ただ、ルドの嫁さんがネットワークビジネスにはまったり、ルドがギャンブルと麻薬におぼれたり、クルシが悪い女に騙されたり、兄弟の妹がマフィアと結婚したりするところが、メキシコ社会の暗い部分を描いているのかなと感じた。なんでそうなるんだよ、みんなもうちょっとしっかりしろよ、と自分はしっかりしてないくせに思いました。

そういうわけでして、ガエル・ガルシア・ベルナルが出てるからと期待して見に行っても期待を裏切られることになりますのでご注意あれ。

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カラヴァッジョ

評価 : ★★★☆☆

あらすじ

16世紀の画家の話。陰影の強い絵をよく描いた人で、レンブラントなどに強い影響を及ぼしたらしい。破天荒な生き方をした画家の伝記のような内容。

感想

とにかくカラヴァッジョの人生は破天荒そのものだった。激情的な性格で、酒場でケンカを始めることがしばしば。

カトリック教会に雇われて、枢密卿がパトロンにつくようになっても破天荒ぶりは変わらず。飲み歩き、酒場でケンカし、娼婦と遊ぶ。教会から聖母マリアを描くように依頼されたのに娼婦をモデルにしたことが発覚したため問題視されたりも。

しかしその型破りな生き方が絵にイノベーションをもたらしたことは確かなようで、例えば当時はモデルを使って絵を描くことはダメなことだったみたいだけど(聖人を描くのに庶民をモデルにするなんて御法度だった)、カラヴァッジョはモデルを使い、光と影にこだわって絵を描いたらしい。

近現代でも芸術家には激情的な人が多いような気がするんだけど(愛人がたくさんいた、借金だらけだったなどなど)、そういう激情的な性格の人でないと見ることができない何かがあるのかな、と思った。

ちなみにこの映画では死刑とか罪人をすごく重要なテーマとして取り上げており、罪人の女を公開処刑にするシーンとか結構えぐい。処刑台のようなものの上に寝かせて、厳つい剣を振り下ろし首を切断するのだ。これを見ながらカラヴァッジョは震え上がると同時にインスピレーションをかきたてられるのだけど、恐怖感を煽る音楽と相まってなかなか気持ち悪かった。中世に生まれなくて本当に良かったと思いました。

最後にもう一個蛇足だけど、この映画には結構娼婦が登場して、彼女たちはみんなおっぱいを出して街頭で客引きしてる。これが新鮮だった。どこの未開社会だよと思った。ヨーロッパも400年前は野蛮だったんですね。

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Flash満載な映画のサイトのクソっぷりはどうにかならんのでしょうか。

ノープランで家を出る -> iPhoneで見たい映画を探す -> 公式サイトで映画の内容確認

みたいなフローで映画を見たいのに、そういうこと全然出来ない。トップページが全画面Flashなため、iPhoneからはhtmlで書かれた上映館情報にたどり着くことすら不可能みたいな。

そもそも映画の公式サイトはパソコンで見てても重くてフバい。最初に何が何でもFlash見せようとするし。そのFlashにいくら金かけたのか知らないけど、ユーザーはさくっと映画のあらすじと公開劇場を調べたかったりするわけで、それ逆効果なんじゃないのと僕なんかは思うわけです。

しかもそうやって派手に金かけて作った公式サイトも、映画の公開が終わるとドメイン切れねーちゃんがリュックしょってたりして切なさ満点なわけで、つはものどもが夢の跡。

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新しい人生のはじめかた

評価 : ★★★☆☆

あらすじ

主人公はアメリカ人の中年のコンポーザー。妻子に逃げられ、一人で仕事だけを生き甲斐に暮らすが、長年のクライアントから逃げられ、若い作曲者に仕事を奪われる。そんななか、娘の結婚式に出席するためロンドンへと向かうが、そこでも決して歓迎されはしなかった。

感想

おっさん版『(500)日のサマー』とでも言うべきか。主人公ハーヴェイを演じるのはダスティン・ホフマン。年をとってしまい、コンポーザーとして下り坂にさしかかった主人公は大変かわいそうだ。娘の結婚式では大歓迎されるかと期待して向かうものの、宿泊先として用意されたホテルはみんなと別のホテルだし、式でバージンロードを娘と歩く役は前妻の再婚相手に取られてしまう。

干されかかった仕事を奪い返すために、娘の披露宴には出席せずにアメリカへ戻るつもりだったが、渋滞に巻き込まれて帰ることができない。空港で途方に暮れているところで、運命の女性と出会うのだった。そこからの騒ぎっぷりが面白い。

エマ・トンプソンが演じるイギリス人女性ケイトは、美人なんだけど結婚を諦めた中年女性。常に本を読みロマンティックな恋愛にあこがれているが夢を見るのを諦めてしまっている。そこにハーヴェイが現れるのだ。

ハーヴェイは典型的なアメリカ人として描かれ、飛行機に遅れそうだと列を無視して大騒ぎするし、レストランでも自分勝手で傍若無人な振る舞いをする(旅行先で浮いてしまう典型的なアメリカ人)。最初はそんなハーヴェイを軽蔑していたケイトだが、積極的にアプローチしてくるハーヴェイに惹かれる。ハーヴェイのアプローチは現実社会でやったらストーカーで捕まること請け合いな感じなんだけど、映画の中なので当然うまく行くしケイトと仲良くなれる。

ハーヴェイのはじけっぷりが傍らで見ていて恥ずかしいくらいなんだけど、音楽家としても父親としても自信を失っていたハーヴェイがケイトと出会ったことで自信を取り戻し、再生していく様はさわやかでした。ロンドンの公園の景色も美しいです。

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映画の感想がのびのびになってるので飛ばし気味に行きます。

カティンの森

評価 : ★★★☆☆

あらすじ

第二次大戦初期、ドイツとソ連がポーランドに侵攻した頃のお話。1939年、ポーランド東部にいたポーランド軍は、侵攻してくるソ連軍にほとんど抵抗せずに降伏した。捕らえられた兵隊は収容所に入れられたが、1940年頃、なんとソ連軍は捕虜のポーランド兵たちを虐殺してしまう。しかしこの事実は戦後、ポーランドが共産圏に組み込まれたことにより長らく公然の秘密とされてきた。事実をベースにした映画。

感想

将校の嫁さんが夫の帰りを待つというストーリーで、ずっと夫は生きてると思って待ち続ける。冒頭に、西側から迫ってくるドイツから逃げようとする人たちと、東からやってくるソ連軍から逃げようとする人たちが鉄橋の上で交錯するというシーンがあるんだけど、このときポーランドの人たちはさぞかし怖かっただろうなと思った。東西から一気に攻められるなんてね。

全体的にはデンマーク映画の『誰がため』に雰囲気が似てて、日本人があまり知らない英独仏以外の第二次大戦中のヨーロッパの国々の状況が分かる。デンマークにナチスに抵抗したレジスタンスがいたなんて知らなかったし、カティンの森事件も全然知らなかった。さっきWikipediaで調べてみたら、ポーランド侵攻でポーランド人かなり亡くなってる。映画として面白いかとか感動するかと言われると、とにかく暗くて重くて、進んで見たいと思える映画ではないと思うけど、ポーランドの悲劇を知ることはできます。事実、ロシアでは国営放送とかでTV放送されたらしいです。

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フィリップ、きみを愛してる

評価 : ★★☆☆☆

あらすじ

ジム・キャリーがゲイの詐欺師を演じる。警察館だったスティーヴン・ラッセルは妻子に囲まれ平穏な生活を送っていたが、捨て子だった過去のトラウマを払拭するため警察を辞めて別の街に引っ越した。そこでゲイの性的嗜好に目覚め、家族を捨ててボーイズたちと実在した人物のストーリーっぽいです。

感想

ゲイのイケメンをつなぎ止めておくためにジム・キャリーは詐欺行為に手を染めていくようになる。クレジットカードをねつ造したり、はったりをかまして大企業に勤めたり、弁護士のふりをしたり。結局は捕まるんだけど、刑務所で運命の人フィリップ・モリス(ユアン・マクレガー)に出会い、フィリップのためにさらなる悪事を働くようになる。

どたばたですごく疲れる映画だし、ジム・キャリーが苦手な人にはとんと向いてないと思う。僕はユアン・マクレガーがまぁまぁ好きなので見たけど、なかなかしんどかった。

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ニューヨーク、アイラブユー

評価 : ★★★☆☆

あらすじ

有名な映画監督が各々短編を撮ってそれをつなぎ合わせるオムニバスフィルム。ナタリー・ポートマン出てるし『パリ、ジュテーム』っぽいですが、今作は“つなぎ役の”の出演者がいて、一応一本のストーリーがあります。日本人では岩井俊二監督が参加してました。

感想

印象に残ったのはファティ・アキンとイヴァン・アタルのエピソード。もともとこの二人の監督は好きなんですが、監督してると知らずに鑑賞してエンドロールを名前を見てはっとしました。岩井俊二もそう。参加してるって知らなかった。

岩井俊二のストーリーでは音楽制作を生業とする若者が主人公で、自宅兼スタジオはApple製品に囲まれていて机上にはCinema HD Displayが鎮座し、初代iPhoneでエージェントと電話したり、フロントカメラのない初代iPhoneで自分取りしてエージェントにメールを送ったりするシーンが楽しかったです。あと作品のためにカラマーゾフの兄弟を読めと言われてうんざりするシーンも面白かった。僕も6年前に買ったカラマーゾフ、100ページくらい読んだまま止まってます。

ファティ・アキンのストーリーは『そして、私たちは愛に帰る』みたいな雰囲気があって良かった。中国からの移民の女の子と中年の画家のストーリー。

イヴァン・アタルのは、レストランの外で見ず知らずの男女がたばこを吸いながらナンパしたりされたりするストーリー。ヨーロッパの映画みたいでとてもかっこよかったです。

とはいえ、ぶっちゃけると『パリ、ジュテーム』の方がおもしろかったし、宣伝コピーみたいな胸キュンな映画ではないと思います。DVDで借りて見るんだったら断然『パリ、ジュテーム』の方が良いですね。