農畜産物がどのようにして「生産」されているかを延々撮影したドキュメンタリー映画。もっとメッセージ性のある映画なのかなーと思っていたけど、中立的かつ淡々と、人間によって行われる生殺与奪を記録し続けた映画。正直なところ面白い映画だとは言い難いが、食の安全性に世間の関心が集中しているためか、平日昼間の回なのにとても混んでいた。
個人的に印象に残ったシーン
- 孵化直後のひよこが工業生産品のようにモノ扱いされるシーン
生まれたばかりだというのにもの扱いされ、ベルトコンベヤを流され、機械製品のように検品され印を付けられるひよこたち。
- 雄牛が精液を採られるシーン
おとりの雌牛が用意され、雄牛は交尾するよう促されるのだが、雌牛にのしかかろうとした瞬間にペニスにコンドームのようなものを被せられ、挿入する前に射精させられてしまう。一頭の雌牛に対して多くの雄牛が並べられるのだが、一頭として雌牛と交尾するものはいない。
- 様々な野菜が収穫されるシーン
ドイツ(あるいはオーストリア?)の農業が非常にシステマティックでビックリする。日本の農家というと、夫婦が二人かそれに長男を足したせいぜい三人でやるもの、というイメージがあるが、ドイツではかなり労働集約的に農業がこなされていて、まるで工業生産品を扱うかのごとくレタスをパッキングする光景は異様。
- 地下の鉱脈で岩塩を採掘するシーン
食べ物の映画なのに、炭坑夫のような男二人がリフトで地中深く降りていくシーンがある。巨大な運搬トラックで運んでいる砂様のものは塩。地中深くの暗がりでキラキラと青白く輝く塩を採掘する様子は非常に幻想的で、まるで宮崎駿のアニメを見ているかのようだった。