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Garmin Epix Pro

検証用に会社の予算で Garmin の Fenix 7 Pro を買ってもらって 3 ヶ月ほど使ってみた。かなり気に入ったので個人で Garmin の Epix Pro を買い、 Apple Watch から乗り換えることにした。

これまで自分は、走ってる時間よりも日常を過ごす時間の方が長いから、日常生活で便利な Apple Watch を使うのがいいと思ってきた。しかしハードウェア的な設計の良さとランニング支援機能で Garmin の便利さが身にしみてわかり、 Apple Watch から Garmin へとスイッチするに至ってしまった。

これまでのスマートウォッチ遍歴

自分はランニングをはじめて以来、 Apple Watch をずっと使ってきて、 Ultra も買ったが、普段のランニングで使うには重すぎて定着しなかった(ノーマルの Apple Watch だとバッテリーが持たない長いトレランのレースでは重宝した)。

日常をともにする時計としては Apple Watch が便利なのだが( Apple Pay 、 Siri 、 Mac の認証・ロック解除、プッシュ通知の受け取り)、トレーニングについてのサポート機能が不足していると感じて COROS の Pace 3 も買ってみた。

COROS Pace 3 を使ってみて感じたこと

COROS はトレーニングの指南をしてくれるのは便利だと思ったが、 Apple Watch を置き換えるほどでもないなと思った。なにより COROS Pace 3 は軽いのはいいのだがプラスチッキーで質感があまりよくなく、バックライトの点灯やバイブレーションといったハードウェア部分の作り込みが甘いと感じた。

バッテリーは Apple Watch よりかは断然持つが、ナビゲーションをオンにして使っていると 24 時間くらいしかバッテリーが持たず、 100 マイルのトレランレースで使うのは厳しい。自分は 112km の ASO VOLCANO TRAIL に COROS Pace 3 を着けて出走したが、 25 時間かかったのでバッテリーがギリギリになり、最後の 20km くらいはナビゲーションをオフにして走った。

Fenix 7 Pro で一気に解消された不満

Garmin Fenix 7 Pro を使ってみたところ、 Ultra を含む Apple Watch や COROS Pace 3 に対して感じていたソフトウェア・ハードウェア的な不満が解消されてとっても気に入ってしまった。

スマートフォン用アプリのビジュアルデザインは COROS の方が優れているのだが、健康管理とかトレーニング指南的な機能は Garmin Connect の方が優れていると感じる。 Apple Watch の場合、 Apple のヘルスケア・フィットネスアプリは iOS 26 になって以前よりかはマシになったとは言え、踏み込んだアドバイスをしない。

一方で Garmin Connect では Body Battery や Training Readiness なる指標があって、トレーニング状態と睡眠時間、 HRV (心拍変動)からその日の体調を推測し、最適なトレーニングメニューまで提案してくれる。

タフなハードウェアと圧倒的なバッテリー

ハードウェアもよくて、 Fenix 7 Pro はチタンベゼルでガラスはサファイアガラスなのでめっちゃ頑丈。全然傷が入ったりしない。

バッテリー時間もメチャ長い。結構ランニングするタイプの人でも一週間に一回充電すれば十分。 3 ~ 4 日程度の出張なら充電のことを気にする必要がない( Apple Watch は充電器を忘れないように気をつけないといけない)。

COROS Pace 3 はバックライトの点灯やバイブレーションが野暮ったいとは先ほど書いた通りだ。これらは Apple Watch が最も洗練されているが、 Garmin は COROS と Apple Watch の中間といった感じ。 Apple Watch ほどよくはないが、うんざりするほどでもない。

重さは気になるかなと思ったが、シリコンベルトと本体の重量配分がちょうどいいのか、走っていて重たいと感じたことはない( Fenix 7 Pro は 73g )。

地味だけど圧倒的に便利な「LEDフラッシュライト」

そして Garmin Fenix 7 Pro で最もよいと思っているのが LED フラッシュライトで、夜に帰宅して玄関周りの暗がりを照らすときや、夜中に目が覚めてトイレに行くときにも便利。山に行ったときに下山が遅くなってヘッドライト付けたらまさかの充電忘れで点灯せず、暗闇のなかを Fenix のフラッシュライトを頼りに下山したことが一回あった。

フラッシュライトが付いてるだけでも素晴らしいが、仮に Apple Watch にフラッシュライトが付いてたとしても、 10 時間近い山行で使った後であればおそらくバッテリー切れ寸前で、フラッシュライトに使える電力は残っていないだろう。 Garmin Fenix 7 Pro なら 10 時間使ってもバッテリー残量はまだ 50% 以上あって、余裕でフラッシュライトを使うことができた。

こういう経験があって、山に入るときは Garmin は非常に頼りになるというか、「もはや欠かせない存在」と思うようになった。

心配だったこと: 音声コントロールと Apple Pay

Apple Watch で便利なのが音楽や Podcast のコントロールだ。走りながら聞いてる Podcast を 10 秒戻したいことが多々あるが、そういうときに Apple Watch は 1 スワイプと 1 タップで操作ができて便利だった。 Garmin だとチャプタースキップしかできないし、音楽コントロールは DOWN ボタンの長押しが必要で面倒。

しかし音楽や Podcast を聞いている時間は走っているときよりも電車に乗っているときや歩いているときが圧倒的で、そのときは iPhone をポケットから出して操作すればいい。

自分は電子マネーは iD 派だが、 Garmin は Suica しか使えないので不便になると危惧していたが、 iD を使うのはコンビニくらいだし、iPhone の Apple Pay で iD は使えるので問題なかった。

唯一の不満:Siri がいない

唯一不満があるとすれば「 Hey Siri 」と時計に向かって言っても反応がないことだ。 Apple Watch は料理するときにキッチンタイマーとしてフル活用していた。手が塞がっている状態でタイマーをセットできるのはとても便利だ。 Garmin の場合は手で時計を操作するか、 iPhone 側の Siri を使うしかない。

まとめ

iPhone 、 Mac との連携や Apple Pay が使える点などはやっぱり Apple Watch の方が便利だ。でも山やランニングで使う場合は Garmin の方が便利だ。ハードウェアとソフトウェアを同じメーカーが作ってる強みを感じる。 Apple Watch はサードパーティーがアプリを提供できるが、ランニング支援や健康管理は本体のハードウェアや OS の設計に依存する部分があるため、 Garmin ほどにはアウトドアアクティビティに特化したアプリが作りづらく、 Apple Watch は Garmin を置き換えられる存在にはならないだろう。皮肉にも Mac や iPhone 、 iPad の使い心地の良さと同じ構造がアウトドアウォッチでも働いている。

お買い得情報

Garmin は Fenix 8 が出てめっちゃ値段が上がった。検証用に買った Fenix 7 Pro は在庫一掃の売り切りセールで 78000 円くらいで買えた。 Epix Pro も現行の Gen 2 は 2023 年に発売されたのでもうそろそろ新モデルが出るかもしれないが、おそらく価格がガッと上がると思われる。一方で Fenix 8 と同じ進化だとすると音声コントロール機能がつくくらいだろうと思われ、ぶっちゃ音声コントロールとかは Apple Watch の方がよくできてるはずなので大して期待できない。現行の Epix Pro を安く買うのがおすすめ。 Amazon アウトレットで 7 万円台で出てることもある(自分もそれで買った)。