| @Mac/iPhone

脊振山山頂の避難小屋

Google Photos の無料利用に制限が入るようになって写真のバックアップはやめていたのだけど、他の人と登山に行ったときの写真の共有にはやはり Google Photos が便利だし、検索が優れているのでお金を払って使うことにした。しかし Google Drive のバックアップ機能がちゃんと動いてくれなくて、 Photos.app の写真が全然バックアップされない。構成は以下。

  • Intel iMac 5K
  • Google Drive バージョン: 53.0.11.0 (Intel)
  • Photos.app で使うシステム写真ライブラリは外付けの 2TB SSD

Google Drive アプリを再インストールしたり、 Google Drive アプリの Google アカウントの接続を解除して再ログインしたりするとバックアップされることもあるが必ずそうなるとは限らないし、写真を追加する度にアプリの再インストールをするのはハチャメチャに面倒くさい。

ユーザーフォーラムを見ると、どうも外付けのドライブにフォトライブラリを配置しているとバックアップがうまくいかないようだ。昨年の 10 月から起きている問題だけどまだ解消されていない。多くの Mac ユーザーの嘆きの投稿を見ることができる↓

加入していた Google One (ストレージ追加プラン)は 100GB で月額 250 円のプランだ。節約画質でのバックアップなのでこれで十分こと足りるのだけど、肝心のバックアップができないのでニッチもサッチもいかない。

Apple の iCloud Photos であれば完璧に写真がバックアップされそうだが、 iCloud Photos の方は節約バックアップ的な思想ではなく、逆に iCloud 側にマスターデータを置いてクライアントの Mac 側に画質をおさえたコピーを保存するやり方だ( Mac 側にオリジナルを残すこともできる)。それだとデータを人質に取られる感じだし、 2TB の月額 1300 円のプランに入らないといけない。データの同期のために毎月 1300 円払うのは厳しいのでためらってしまうし、そもそもやりたい他の人との写真共有時には結局 Google Photos を経由させる必要があっていまいちやりたいことが実現できない。自分はシンプルに以下のことがやりたい。

  • iPhone や一眼カメラで撮影して母艦の Mac に取り込んだ写真をいつでも iPhone で見られるようにしたい(オフラインのときは見られなくても構わない)
  • 母艦 Mac の Photos.app ライブラリの写真を必要に応じてほかの人に共有したい
  • 季節や場所、写っているものの名前で目当ての写真を探せるようにしたい

前も書いたことがあるが、写真の検索や自動分類は Google Photos の方が優れている(写ってる対象の識別精度が高い)。 Apple Photos はローカルでその判定をやっているので精度が低いようだ。

なので不安はあったのだが、 Google Photos の同期のされなさにイライラしてしまって Google One から iCloud+ の 2TB プランに乗り換えて iCloud Photos を利用することにしてみた。するとこれまでフォトストリーム経由で最新の 1000 件のみが同期対象だったのが全ての写真が同期されるようになった。写真の追加だけでなく削除も同期される。複数の Mac で写真を管理してると写真が重複しがちなので、削除が同期されるのは地味に嬉しい。また、 iPhone からでも標準の写真アプリで 10 年前に撮った写真を見られるのはスーパー便利だ。このために毎月 1300 円払っても惜しくないかもしれない。

いまは手放したゴルフ 2 の勇姿をいつでも拝める

| @WWW

secondlife さんがはてなブログの記事などを引き払って新しいドメインで個人ブログを作ってた。

secondlife さんは今年の春まで世界一周旅行をしていて、ブログで旅行の様子を書いていたが、数ヶ月前に Google Photos が突如過去に Ticker API で取得した写真の URL を無効化して折角の旅行の写真が閲覧不能になるということが起こっていた。

同じ現象は cho45 さんもブログに書いている。

結局お二方とも Google Photos の利用をやめてしまったようだ。

ブログサービスやストレージサービスを使うと楽だが、サービス提供者の胸三寸で機能が利用できなくなってしまうことがある。

secondlife さんの冒頭の記事は「心のざわめき」についてがメインのテーマだ。記事を書く度にはてなブックマークでのリアクションを気にしてしまってよくないので、それらのリアクションから遠い場所に移転する、という趣旨だ。

プラットフォームが提供するサービスは便利だったりコンテンツを生産するモチベーションを与えてくれたりする反面、プラットフォームへの依存度が高まったり、ときにはプラットフォームがもたらすネットワーク効果が負の副作用をもたらしたりする。そういうのに疲れた人は自前でウェブサイトを運用するようになる。

ながしまきょうさんはもっと早くにプラットフォーム依存を脱却しようとしていて、一時は Twitter さえもやめて自サイトで Microblogging していた。

自分はプラットフォームに依存せずにこれまでブログをやってきた。一時期画像のアップロード先に Flickr や Google Photos を使うことを試したけど、最近の記事ではやめていて完全に自前だ。さくらインターネットや AWS といったインフラ部分では IaaS に依存しているが、オペレーションの部分は自分で行っている。ソフトウェアエンジニアとして腕を磨くのが目的だったけど、だんだんとプラットフォームの足かせから自由でありたいという理由が大きくなってきている。

プラットフォームの中でブログを書くと、自分の書いたものがプラットフォームの中の一コンテンツでしかなくなってしまう。自分のブログなのにどこかの知らない人が書いた記事が「関連記事」として表示されてしまう。自分はそういう場所には違和感がある。

インターネットの端っこにいる人たちから「ウェブ縄文時代」に退行していくのではないかと思う。

| @写真

古い MacBook Pro の SSD がいっぱいになり写真が取り込めなくなっていたので外付け HDD を購入して写真は外付けに退避させた。母艦 Mac の SSD の空きが少なくなってきてるせいで写真を撮ることを控えるようになってしまっていたが、 3TB の外付けにライブラリを移したので本体側の空き容量を気にせず写真をばしばし撮れるようになった。これをきっかけに、いくつかのブログで目にしていた Google Photos を試してみたけど確かにこれは便利だった。Apple の写真( Photos.app )と比較しながら思ったことを書いてみます。

Google Photos への写真のアップロード

Google Photos を使うためにはまず Google Photos に画像をアップロードしないといけない。ブラウザーからちまちまアップロードする方法もあるが、 アップロード用のソフト が用意されているのでそれを利用した。名目上はバックアップということになるらしい。 20000 枚近い画像をアップロードするのに二日くらいかかった。アップロードに失敗することもあるけど、失敗したアップロードがあったときには通知してくれてリトライもできるのでおそらくすべての画像をアップロード出来たのではないかと思っている。楽ちん。

写真の内容を文字列で検索できる

こんな感じで「肉」と入力すると肉っぽい写真が表示される。画像認識処理をしてあって、個々の画像に対してタグ付け的なことがしてあるのだろう。

Google Photos で「肉」と検索

試しに Photos.app の方でも「肉」で検索したら肉の写真が表示されるようになってた。なんと Photos.app の方でも画像認識処理を行っているようだった。全然話題になってない気がする…。ドーナツの写真がヒットしているのはご愛敬。

Mac Photos.app で「肉」と検索

Google Photos では「ギリシャ」で検索するとギリシャの位置情報が付与されている写真に加え、どう考えてもギリシャにしかない建築物(アテネのパルテノン神殿など)が写ってる写真を検索結果に含めてくれる。賢い。

Google Photos で「ギリシャ」と検索

さすがにこのような機能は Apple の Photos.app の方にはないみたい。「ギリシャ」で検索しても、ギリシャに行ったときに iPhone で撮影した位置情報付きの写真しかヒットしない。キーワードと写真の関連性の判定アルゴリズムは検索エンジンをやってる Google の方にアドバンテージがあるみたいだ。

写真のグルーピング

Google Photos には「アシスタント」というタブがあって、勝手に過去の写真を漁ってグループにしてくれたり音楽付きのスライドショーにしてくれて、「金曜日の夕方」や「土曜日の午後」みたいなエモーショナルなタイトルをつけて煽ってくる。

Google Photos の「おすすめ」

機械がやってくれてる割には良くできてるとは思うけど、人間が選んだアルバムに比べたら素っ頓狂なセレクションが多いし、頻繁に Push 通知が来てちょっとうざい。「阿蘇旅行」みたいなアルバム作って通知してくるけど「旅行じゃないし、阿蘇に住んでたし」という気持ちになる。写ってるものの内容からアルバム名を考えて付けてくるのは賢いけど、わかりやすいものが写ってないとだめで、たとえばこのアルバムは大分の温泉とかいろんなところに行ったけど、最後にちょっと立ち寄った熊本城の写真がわかりやすいので「週末、熊本市にて」というアルバム名になってしまっている。このように Google Photos にはやり過ぎ感がある。

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※更新: この機能は「おすすめ」という名前に変わったようだ。 https://photos.google.com/foryou で表示される。プッシュ通知も送られてこなくなった。

Apple の Photos.app の方にも「メモリー」というメニューがあって似たような機能はあった。ただこちらは勝手に音付きのスライドショーを作ったり Push 通知したりはしてこない。控えめな印象。一年前の今日なにやってたかとか、直近の一ヶ月でどんな写真撮ったかだけが表示される。

Mac Photos.app の「メモリー」

Apple の Photos.app の方にあって Google Photos にない優れた機能としては、 GPS 情報が付与されていない写真(一眼レフで撮った写真)も大体どの辺で撮ったのか判定してグルーピングしてくれる機能がある。おそらく位置情報付きの写真の GPS 情報を参照して近い時間に撮影されたものはきっとこのあたりにいたに違いない、という感じでまとめてくれてるんだと思う。こんな感じ。

Mac Photos.app は同時間帯の位置情報入りの写真の情報を利用して位置情報の入っていない写真も同じ場所で撮られたと判定

↑の写真で 9 枚は一眼レフで撮影していて GPS 情報がないけど、同じ時間帯に iPhone で撮った写真は位置情報が付与されているのできっと長崎で撮ったのだろう、ということでまとめてくれている。この機能は旅行のときの写真を見るときに地味に便利。 Google Photos にもこの機能はついて欲しい。

写真をグルーピングすることに関しては、 Google Photos はアグレッシブ、 Apple Photos.app は控えめ、という印象を持った。というか Google Photos は攻めすぎな印象。アルバムのタイトルがエモ過ぎるので嫌いな人は見なくなりそう。

過去の写真の閲覧しやすさ

何より Google Photos が Apple Photos.app より優れているのは全ての写真をネットに繋がる限り無料で閲覧できることだと思った。 iCloud で同じことやると年間数万円お金払わないといけない。最近は仕事以外でパソコンを使う頻度どんどん下がって行ってて(自分だけじゃなく世の中のみんながそういう傾向にあると思う)、携帯電話を使う時間がどんどん長くなってきてる。過去の写真を見るのにいちいちパソコンを開かないといけないのはしんどい。手元にある携帯でいつでも過去の写真が見られる Google Photos の方が圧倒的に優れていると感じた。 Apple TV にミラーリングすれば家族全員で写真を見ることもできる。 Photos.app の iCloud フォトストリームではお金を払わない限り 1000 枚までしか共有されないので Apple TV 単体で写真を見ると最近の写真しか閲覧できない。 Google Photos を知る前はそれでも楽しかったんだけど、平日の夜の何気ないタイミングで携帯を眺めていて 2 年前の旅行の写真が目に入り、テレビに映して旅行の思い出に浸る会を緊急開催みたいなことが Google Photos では可能になる。これは本当にすごいし、写真を撮りたいと思うようになった。閲覧・整理環境に課題があると「どうせ撮っても見ないし…」という気持ちになる。

Apple はなぜ先にこのような体験をユーザーに提供できなかったんだろう。ユーザーの画像を預かる、という点では iCloud で Google よりも先行していたはずなのに。

Apple に期待すること

総じて Google Photos が勝っていると思う。一度 Google Photos を使ってしまうと、 Apple の Photos.app で写真を見るという気持ちにはならないだろう。

Apple Photos.app はローカルで動くソフトウェアの強みを活かして、写真の編集方面で強くなって欲しい。 Google Photos の写真編集機能は貧弱だし、一度アップロードした写真を手元にダウンロードして編集して再度アップロードするのもだるい。何も Photos.app 本体の編集機能を強力にしろと言ってるわけではない。画像を外部の編集ソフトと受け渡しできるだけで良い( iPhoto から Photos.app になったタイミングで外部のソフトを編集・現像ソフトに指定できなくなったり、ドラッグアンドドロップで画像を書き出せなくなったが、そっち方面の機能を充実させて欲しかった)。

画像認識だとか機械学習みたいなのは、ユーザー自身の Mac の中でちびちびやってもサーバーサイドでいっぱいコンピューターを並べて並列処理でだーっと実行してるだろう Google には勝てない。そういうので Google とやりあうのは良策ではない。

そして欲を言えば Aperture の開発を継続して欲しかった。 Lightroom のために Adobe に毎年 12000 円払える人は限られている。お金以外にも Apple が作ってる現像ソフトという安心感が Aperture にはあったんだよなぁ。 Adobe のソフトのジャバジャバした感じは好きになれない。