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10 月のくじゅうを短パンで歩いている様子

何か新しいことを始めようとしたとき、道具を揃えれば揃えるほど快適になるのではないかと思うかも知れない。例えばキャンプでは道具が多ければ多いほど快適になる。テントに加えてタープがあれば日差しをしのげる。寝袋のほかにマットやコットがあれば快眠できる。調理器具が多ければ作れる料理の種類が増える。しかし登山の場合はそうとは言えなくて、道具が少ない方が楽になるケースの方が多い。なぜなら自分で道具を運ばないといけないからだ。服についても沢山着込めばよいということではない。登山は自分の足で歩かなければならないため、冬でもヒートアップしやすい。荷物を軽くすること、服装が適切で体温調節がしやすいことは、思っているいる以上に大切だ。

登山では暑い日でも長袖長ズボンの着用が常識とされている。短パンで山に行くなんて常識知らずにもほどがあると言われるかもしれない。しかし本当に短パンで山に入ってはダメなのだろうか? 長袖のシャツや長ズボンだと絶対安全なのか?

確かに長袖や長ズボンであれば枝で手や足を怪我することはないだろう。また短パン・半袖では道迷いして山で夜を明かすことになった場合は低体温症になる可能性が高い。しかし山に行くときはなにがしかレインウェア的なものは持っているだろうし、エマージェンシーブランケットを携行するようにすれば半袖短パンでも何とかなる(暖かい季節限定)。そもそも短パンや半袖は、暑さで体力を消耗するのを避け、歩くスピードを上げてきちんと日中に下山するための手段だ。長袖・長ズボンではちょっとした擦り傷や遭難時に低体温症になるリスクは避けられるかもしれないが、気温が高い日の登山では体温調節しにくくなる。体力を消耗して歩けなくなってしまったり、歩くスピードが遅くなって日中に下山できず、山中で夜を過ごさざるを得なくなってしまうリスクがある。遭難したときのことを考慮して長袖・長ズボンで山に行き、逆に体力を消耗して遭難してしまっては本末転倒だ。長袖や長ズボンにもリスクがあると思う。

初心者の人が登山用品店に行くと大して必要なのかもわからないのに重くてソールの固いブーツを勧められたりする。しかし重くてソールの固いブーツが必ず正解とは限らない。九州の低山にしか登らない人にはごついブーツは不要だ。北アルプスだって夏ならトレランシューズで十分歩ける。長袖長ズボンのケースと同様に、重くて固いブーツをはいていたせいで体力を消耗してしまい、遭難してしまうことも十分考えられる。

登山を始めようという人には靴は 1 万円程度のトレランシューズをおすすめしたい。ゆくゆくはアルプスにも行くかも知れないからと、最初から何万円もするアルパインブーツを買うのはおすすめしない。重くて歩きづらいからだ。そのようなブーツは岩だらけの岩稜帯で真価を発揮するし、履きこなすには体力が必要だ。まずは軽量なローカットのシューズで手頃な山を歩いてみて、本格的に登山を趣味にできそうだと思ったときにしっかりしたブーツを買えばよい