4/2 ~ 4/4 で脊振山系全山縦走に挑戦した。福岡の西端の十坊山から佐賀の基山まで二泊三日で歩いた。総歩行距離は 72km 、累積獲得標高は 5500m 。 20km 以上歩き、 1500m 以上登るのを三日間繰り返す。泊まりはハンモック + タープで、食料の補給はなし、水は湧水や沢で補給しつつ歩き通した。
自分は体力がなく歩くのがとても遅くて、全山縦走のことを知ったときにはとても自分に踏破できるとは思ってなかった。実際、 2 年前の夏に脊振山から金山までのセクションハイクをしたときにはバスに乗り遅れるし散々な有様だった。
4 年前にも十坊山から二丈岳までを歩く糸島四座縦走に挑戦して失敗している。
UL (ウルトラライト)メーカーの軽量な登山用品を買い集めながら歩くのが遅いどん亀という矛盾した雑魚だったのだが、 2021 年はジョギングを開始して徐々に体力をつけ、長めの縦走もこなした。4年前に途中で撤退した糸島四座縦走も比較的楽に達成した。
ちゃんと歩けた勝因と改善点をまとめてみた。
勝因
- 荷物は軽く
- 服はメリノウールにして余計な着替えは持たなかった
- メリノウールは汗をかいても匂わない、化繊の服はひどい匂いを漂わせるので着替えが必要になる
- カメラも持っていくことを諦めたので iPhone で撮った写真しかない
- 服はメリノウールにして余計な着替えは持たなかった
- ちゃんとした昼飯を食わない
- 基本的に昼間の食事は行動食のみ
- 絶景ポイントで休憩して山飯作ったりコーヒー飲むとかやらない
- 時間を節約でき、荷物も減らすことができる
- 塩味の行動食
- 日中、ちゃんとした飯を食わない代わりに塩味の行動食があると良い
- 具体的にはカルパスや魚肉ソーセージ
- コストコのアドベンチャーミックス(塩味のミックスナッツ + ドライフルーツ)もよかった
- 日中、ちゃんとした飯を食わない代わりに塩味の行動食があると良い
- アミノバイタルゴールド
- 現代の仙豆
- めっちゃ疲れてても翌日足がパンパンにはならない(少なくとも午前中は)
- 一日一本飲んでたが二、三本飲んでもよいみたいなのでもっとたくさん飲めばもっと楽だったかも
- 山と道 MINI2
- メッシュポケットがスーパー便利
- 暑くなって脱いだ服をしまう
- 行動食をつっこんでおく
- 水場で浄水器をさっと取り出して浄水する
- メッシュポケットがスーパー便利
- KATADYN Be Free (浄水器)
- どこの水もサクッと浄水できるとわかっていたので大量に水を持って歩かずに済んだ(必要に応じて沢水などを浄水して調達すれば良い)
- Black Diamond Distance Z (トレッキングポール)
- 軽量なアルミポールを初めて買った
- 脚の負荷をだいぶ軽減してくれたと思う
- 荷物が多いので左右のふらつきを抑制して安全に歩けた
改善点
- カロリー
- カロリー計算した上で行動食を準備できてなかった
- 持参したウィーダーインゼリーはプロテインやビタミンなどを重視した低糖質のやつでカロリーが少なくエネルギー源としてふさわしくなかった
- 安くて甘くて体に悪そうなやつをもっと持ってくるべきだった(どらやき、ようかん、惣菜パン、イカフライなど)
- サイズの合ってない靴
- Altra Olympus 4 はちょいとデカめでサイズが合っておらず、下りで靴の中で足が動いて辛かった
- メリノウールの靴下
- これまでメリノウールの靴下で足が蒸れると感じたことはなかったが、 Injinji の五本指ソックスと履き比べてみて蒸れを感じてしまった
- かさばるレインウェア
- 低山のレインウェアとして雪山でも使えるハードシェルを持って行くのはかさばって良くない
- レインウェアとウィンドシェルで機能がかぶるものを二つ持つのも邪魔
- 省スペースでレインウェアとウィンドシェルの両方の役割を果たす雨具が必要
- 山と道の UL All-Weather Hoody を買った
装備
- 帽子
- Milestone メッシュキャップ
- Tシャツ
- icebreaker メリノウールTシャツ
- Smartwool Everyday Exploration T Shirt (予備)
- 行動着
- 山と道 Merino Hoody
- ウィンドシェル
- Patagonia Houdini Jacket
- パンツ
- WORKMAN メリノウールパンツ × 2 ( 1 枚予備)
- ズボン
- 山と道 Light 5-Pocket Shorts
- 靴下
- OS1ST FS4 PLANTAR FASCIITIS SOCKS
- Injinji Trail SP TIE-DYE
- Point 6 Hiking Lt Mini × 2 ( 1 足予備)
- 靴
- Altra Olympus 4
- トレッキングポール
- Black Diamond Distance Z
- ザック
- 山と道 MINI2
- 防寒着
- Patagonia Nano Puff Jacket
- Mountain Equipment パウダーパンツ
- EXPED ダウンソック
- レインウェア
- ARC'TERYX Alpha SL
- Patagonia トレントシェルパンツ
- クッカー
- EVERNEW Ti 570 Cup
- バーナー
- EVERNEW チタンアルコールストーブ
- VARGO Titanium Hexagon Wood Stove
- ハンモック
- AXESQUIN ウキグモ Light
- AXESQUIN モグ 350
- タープ
- EXPED Hammock Trekking Tarp
- ライト
- Petzl Tikka
- Ledlenser ML4
- モバイルバッテリー
- Anker PowerCore Essential 20000 PD
コロナ禍で飲み会に行かなくなって浮いた金でアウトドアギア買いまくったのが生きた感じの縦走だった。なかでもベストを挙げるとすると山と道 MINI2 だろう。
山と道総帥の夏目さんが書いている MINI2 の制作ノート 2021 年版がとてもよい。
山と道設立当初は、「耐久性や強度よりも軽量性が大事」と思っていました。1回のULハイクが人生を変えるかもしれない可能性を秘めていると信じているからです。
しかし、たくさんの方々にMINI2を送りだしていくと、みんな上手く使えているだろうか、壊れていないだろうかと、心配も積もるようになりました。できれば安心して長く使ってもらいたい。UL原理主義的であった自分の物作りの考え方も少しずつ変化してきているのかもしれません。
そして2017年に、山と道HLCで日本全国を旅して色々な方々と出会い、気がついたことがありました。僕が考えているようなULハイカーは、日本中を探しても実はほとんどいなかったのです。
ULハイカーのための道具作りをしてきた自分は誰に向けて作っていたのか? 自分の思いは独りよがりだったのか? あらためて自分が作る道具と向き合うきっかけとなりました。
この文章は首がもげるほど頷きながら読んだ。アプリやウェブサービスの開発に携わってる人なら似たような経験をしたことがあるのではないだろうか。
実際に縦走で初めて使った MINI2 は軽いながらも頑丈な作りで木の枝で何度も擦ったがダメージがなかったし、メッシュポケットはとにかく便利だった。暑くなって脱いだ服をガサツにメッシュポケットに突っ込み、寒くなったらさっと取り出して着て、腹が減ったら行動食をパッと取り出して食べる。ハードな山行を支えてもらったし、今回の UL ハイクで人生が変わった(少なくとも登山人生の一つの目標を成し遂げた)。
山と道の短パンを初めて買ったのは 2017 年の 3 月で、それから登山アプリの会社に入って登山をするようになり、昼飯に 120 円のチキンカツとインスタントそばを食べて浮かせた金で山と道の製品を買ってきた。 UL ギアを身につけながら歩くのがめっちゃ遅いしロングハイクもしたことがなかったのだが、今回やっと、自分で考えて可能な限り荷物を削り、誰かに荷物を持ってもらったりすることなく、途中で補給を受けることもなく、 70km 以上の縦走路を歩き通すことができた。ようやく UL ギアが様になるハイカーになれたのではないかと思っている。