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Castro

最も優れたポッドキャストアプリ

ポッドキャストアプリは Castro を使っているということを以前書いた。

Castro はポッドキャストマニアがポッドキャストマニアのことを考えて作ったアプリで、ヘビーリスナーのかゆいところに手が届くような作りになっている。自分は 2018 年にサブスクリプションに登録してからずっと有料契約を続けている。

Castro の特徴

Castro の特徴

Castro の特徴は以下の通りだ。

ほかのポッドキャストアプリにはない特徴的で美しい UI デザイン

Castro の UI デザイン

  • 音楽プレーヤーの UI をそのまま引き継いだのではない、ポッドキャストの再生に最適化された UI デザイン

キュー( Queue )とインボックス( Inbox )の仕組み

Castro の Queue システム

  • エピソードの受信箱(=インボックス)があり、どのエピソードを次に再生するか選べる(キューの仕組み)
  • 基本的にはキューに入っているエピソードを上から順番に聞いていく使い方
  • お気に入りの番組は常にキューの先頭に入れる、などの設定もできる

  • 購読しているエピソードの概要を検索できる仕組み
  • 購読しているポッドキャストの過去エピソードを聞きたいときにとても便利

Sideloading

  • 動画ファイルから音声を抜き出してポッドキャスト化できる
  • YouTube 動画のほか、会社のミーティングの録画をポッドキャスト化してあとで聞くこともできる

プッシュ通知

プッシュ通知

  • 購読しているポッドキャスト番組の新着エピソードがあるときにプッシュ通知で知らせてくれる(いまはほかのアプリにもあるかもしれない)

不調

このようにポッドキャスト再生アプリとして非常に完成度が高い Castro なのだが、実は 2023 年の年末から 2024 年の年始にかけてサーバー障害を起こしてサービス停止状態に陥ってしまい、一時はほぼ死んだ状態になってしまっていた。

サービス運営を引き継ぐ会社が現れて復活したが、最も優れたポッドキャストアプリがなぜこういうことになってしまったのかを、自分の所感を交えながら書いてみたい。


Castro のストーリー

Castro は立ち上げ以来、 Supertop という会社(インディーデベロッパー)によって運営されてきた。彼らは Padraig と Oisin というアイルランド生まれのプログラマーとデザイナーのコンビだった。 App Store が始まって間も無い頃からアプリを出していた古参デベロッパーで、他の会社の仕事を手伝うかたわらで自社制作のアプリを作っていた。

App Store が始まった頃は無料アプリが中心で、サブスクリプションはなく1、有料アプリの値段はべらぼうに安くて 100 円とか 300 円という売価が中心だった2。儲けを出すのはかなり大変だったみたいだ。

2016 年に App Store でサブスクリプションの対象範囲が拡張されたが3、 Castro もようやくサブスクリプション対応バージョンをリリースしようというタイミングの 2018 年に、 Padraig と Oisin は Tiny という投資会社にアプリを売却している。二人は Tiny のスタッフとして開発を行なうことになった。

投資会社だがベンチャーキャピタルではない Tiny

Tiny という会社はデザイン会社の MetaLab を創業した Andrew Wilkinson によって経営されている投資会社で、ベンチャーキャピタルというよりインディーデベロッパーのビジネスを買い取って成長させることをビジネスモデルとしているようだ。

MetaLab はスタートアップ界隈では有名なデザイン会社で、初期の Slack のデザインを請け負って成功を収めたらしい。

なお Andrew Wilkinson は MetaLab を始める前はカフェでバリスタとして働いていたようで、その縁かコーヒーメーカーの Aero Press にも投資しているようだ。

しかしこの Andrew Wilkinson という人が曲者っぽくて、 Castro を買収したり、ポッドキャスト配信者がリスナーに課金するためのポッドキャストプラットフォーム( Supercast )を作ったりしておきながら、Twitter に「ポッドキャストというものは心を不安定にさせるので電話からポッドキャストアプリを削除した」と書いていたりする。

なぜそんな妙な奴がやってる会社に Castro を売らなければならなかったのか。 Castro 創業者の Padraig と Oisin がやっていたポッドキャスト Supertop Podcast で買収時のことを話していたので聞いてみたが、かなりお金に困っていたようだった。聞いていて切なくなるほどだ。

  • 金がなさ過ぎて正しい判断ができなかった
    • CarPlay 対応しなければと思っていたが、 CarPlay 対応のカーナビを買う金がなかった
      • 友達に検証してもらいながら開発するしかなかった(一回の動作検証に 4 日くらい時間がかかった)
      • たった 500 ドルか 600 ドルすら節約していたが、さっさとカーナビを買って開発を進めるべきだった
    • WWDC に行きたかったが金がなくて行けなかった
      • 行った方がネットワーキングや Apple の開発者たちに質問ができて有意義なはずなのに行くという判断ができなかった
      • 買収の条件に WWDC に行けることを盛り込んだ
  • 買収によってお金のことばかり考えなくてよくなった
    • 毎月決まった日に給料がもらえるのがとにかく嬉しい、お金のために受託開発をする必要がなくなった
    • 短期的なキャッシュのために機能を作っていたが、これで長期的な視点で開発ができる

買収直後に収録されたエピソードでは↑のような話を繰り返ししている。加えて Andrew Wilkinson のことをいい奴だと何度も述べているが、なんだか自分たちに対して言い聞かせてるみたいだった。

Xcode に戻りたい

彼らは 2018 年の 12 月に Tiny に Castro を売ったが、 Padraig は 2019 年の 7 月に Tiny を辞めて Castro の開発から離れてしまった。

彼は Castro を売却したときはマネタイズやサポートなどの開発以外のことに時間を使うことにうんざりしていたので、開発に集中するために Tiny に身売りしたのだと話していた。

しかし Padraig が Castro を離れる際に収録されたエピソードでは、マネジメントや分析、マネタイズばかりやってきて疲れてしまったと話していた。開発に集中するために Castro の所有権を手放したのに、結局開発以外のタスクで疲弊してしまったようだ。表立って言いはしないけれど Tiny との折り合いも悪かったのかもしれない。

iOS Developer から愛されていた Padraig と Oisin

この最終エピソードは次々に彼らの友人がメッセージを寄せていて、無名な人から有名な人まで多くの人からのメッセージが収録されている。 Mac のソフトウェア開発で有名な Panic の面々や、競合ポッドキャストアプリの開発者たちもコメントを寄せている。 Pocket Casts の創業者 Russell Ivanovic や、あの Overcast の Marco Arment のコメントも聞ける。 Marco は Castro が Overcast にない機能を実装しているのを見つける度に悔しい思いをしていたと話している。彼らは競合ではあったが、同じ iOS Developer として情報共有をしていて、友だち同士でもあったみたいだ。

最終エピソードでコメントを寄せている人々の人数は数十人にもおよび、いかに開発者コミュニティで Padraig と Oisin 、そして Castro が愛されていたかがわかる。

Padraig が離れたあともしばらくは機能アップデートが続いていたが、 2022 年の 10 月に Oisin も Tiny を離れ、ほとんど機能アップデートされないようになってしまった。

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Castro の死と再度の身売り

Oisin が Tiny を辞めてしばらく経った 2023 年の秋から様子がおかしくなり始めた。 Castro には購読中のポッドキャストに新規エピソードが追加されたときにプッシュ通知をしてくれる機能があるが、その通知が来なくなり、新着エピソードがあるのかどうかは自分で個別ポッドキャストのエピソード一覧の画面を開いて 2, 3 回手動でリロードしなければならないという感じになってしまった。

そうこうするうちについにはサーバーが全く動かなくなってしまい、新しいエピソードを聞くことすらできなくなってしまった。

一時はサービス閉鎖も噂されるほどで、ほぼ死んだ状態になってしまっていた。

Twitter には「金を返せ」とか「許せない」といった怒号が飛び交い、 Reddit には Castro の代替を探すスレッドが立っていた。

Castro alternatives?
byu/berniestormblessed inpodcasts

自分も Castro の代わりになるものを探してみたが、これというものは見つけられなかった。

障害が発生してからも何もアナウンスはなく、一週間程度経ってからようやくサービスは復旧したが、 Twitter には「 Castro は2ヶ月後にシャットダウンする」と元スタッフが投稿しており、ユーザーの間に不安が広がった。

Castro は公式ブログで Tiny からはじき出され、次の引受先を探していることを認めた。

そんな中、 2024 年の 1 月再度障害を起こしてしまい、ユーザーの不満は最高潮に達して離脱する人が続出した。

救世主

このまま買い手が見つからずにサービス終了するのではととても心配になっていたが、 2024 年の 1 月末に買い手が決まり、サービスシャットダウンの危機は免れた。

買収したのは Instagram の元エンジニアで、いまは個人で Android のポッドキャストアプリ Aurelian Audio を作っている Dustin Bluck という人物(正確には Bluck Apps という開発会社)。買収時のいろいろをポッドキャストの The Changelog で語っている。

レストラン規模の買収額

他に買いたい人がおらず、金額は 6 桁で、スタートアップというよりレストラン規模の買収金額だったようだ。数千万円から一億円の間で買い取ったのだろう。 Instagram で働いていて Meta のストックオプションがあれば個人でもそのくらい用意できるのかもしれない。

買収後はアプリはどんどん良くなってきている。正直なところ最近の UI はあまり好みではないが、サーバー側がきちんとてこ入れされていて、新着エピソードがあればちゃんとプッシュ通知が届くし、何も問題はない。

サブスクリプション価格のてこ入れなんかも行われていて、 Supertop 運営時代にサブスクリプションに加入したユーザーは年間 950 円で利用できていたが(自分もその一人)、比較的最近サブスクリプションに登録したユーザーは 4500 円くらいかかっていたはず。これは不公平ということで全ユーザー一律 3500 円に価格改定された。自分としては高くなるが、いまどきサブスクリプションが年間 950 円というのは安すぎるので 3500 円への価格改定は妥当だと思う。


なんとも言いようのないさみしさ

Castro が復活したこと自体は喜ばしいし、新しいオーナーの Dustin Bluck という人はポッドキャストとポッドキャストアプリのことが好きで Castro というサービスを買い取ったようだ。

ただ Padraig と Oisin がインディーで作っていた頃の輝きは失ってしまったように思う。 Castro はあの Marco Arment も一目置いていたアプリだったのだ。

自分は職業プログラマーになる前、 Hog Bay Software の Jesse Grosjean や Coda を作っていた Panic に憧れていて、あんな風にソフトウェアを作って暮らしたいと思っていた。

Padraig と Oisin もきっと同じだったのだろう。 Supertop Podcast の Episode 38 で「二人が暮らしていくのに十分な収入があれば、それ以上は求めていなかった」4と述べている。

なぜ Castro は身売りしなければならなかったのか

Supertop と Castro はなぜこんな末路をたどってしまったのだろう。 Padraig と Oisin はどうすれば良かったのか。

受託以外でソフトウェアビジネスを営むなら、会社のタイプは二つしかない。インディー型か、スタートアップ型かだ。それぞれでコスト構造が異なるし、ビジネスモデルが異なる。それぞれのコスト構造にあった技術戦略とビジネス戦略、プロダクト戦略が必要になる。

Castro の創業者二人は規模拡大を望んでいなかった(インディー型)。にもかかわらずフリーミアムのビジネスモデル(スタートアップ型)を採用したことにより、ユーザー規模を大きくせざるを得ず、規模拡大のコストだけ払ってその果実を収穫できなかった。この希望と戦略のミスマッチが悲劇を招いた。

サービスのランニングコスト(技術戦略)

Castro は UI/UX のよさを売りにしたアプリだった。 UI/UX の良さはデザインだけで決まるものではなく、サーバー側のシステムも必要だ。プッシュ通知、端末間の同期などなど。

このアプリの UX はサーバーサイドのシステムとセットで成り立っていた。サーバーがあるということは、ユーザーが増えればシステム投資をしないとスケールしなくなってしまうということだ。

しかし Castro は買い切りのビジネスモデルで始まり、サブスクリプションを始めたときも年間 950 円という低価格だった。これではサービス維持のためにバックエンドの投資をしたり、エンジニアを採用したりということは難しかっただろう。

フリーミアムモデルの採用(ビジネス戦略)

おまけに有料アプリをやめてフリーミアムモデルに移行したことで無料ユーザーの数が増え、 Padraig がポッドキャストのエピソードで話しているとおり、ユーザーからの問い合わせメールに返信するのに忙殺されるようになって開発を進めることができなくなってしまった。5

新しいユーザーはほとんど無料ユーザーで、無料ユーザーが増えても全然儲からない構造だったのに、フリーミアムモデルを選択したことはインディー路線とはミスマッチだっただろう。フリーミアムを採用するなら、広告などユーザー数が増えることが収益増につながるような補助輪が必要だった。

Castro にも一応広告出稿機能はあったが、広告主となり得るのはポッドキャストの配信者のみで、ポッドキャストの検索画面や Inbox の上にバナー掲載してもらうための枠しかなかった。

Castro Ads

ポッドキャストの配信者はほとんどが個人なので、マーケティング予算なんてないだろう。非常にニッチな市場向けに広告メニューを用意してしまっていた。

ネットワーク効果をうまく使えなかった(プロダクト戦略)

Castro はフリーミアムにしてユーザー規模を増やす選択をしたのに、ネットワーク効果を生かすような設計になっていなかった。ユーザーが聞いているポッドキャストのエピソードを集計・集約して「いまこのポッドキャストが話題」のような機能や、レコメンデーションなどのソーシャルリスニング的な側面を打ち出していけばプロダクトの価値をより一層高められたと思う。フリーミアムモデルを取るならそういう方法でユーザー規模を価値に変えるしかなかった。

Castro は Tiny 買収後に TopPicks という機能を出している6。 Inbox にある未聴エピソードのうち、ユーザーが最も興味があると思われるものを推薦する機能だ。しかし説明によればこの機能は完全にローカルで稼働し、サーバーにユーザーのリスニング履歴データは送られないので安心して欲しいと説明している。

しかしローカル稼働では大したアルゴリズムもなく、データ量が少ないため推薦の精度は決してよいものではないだろう。実際、自分の Inbox は決して聞きたいと思えるものではない(めっちゃ古いエピソードが表示されたりする)。

ユーザー規模をプロダクト価値に反映することよりも、プライバシー保護の方を優先するという判断をしてしまった。プライバシーを守りながらネットワーク効果を生かすというやり方もないわけではなかったと思う。


Castro の問題は、よいプロダクトを作れなかったことではない。

むしろ逆で、プロダクトとしては優れすぎていた。Push 通知や同期のようなサーバーサイドの仕組みに支えられた UX を目指しながら、創業者たちはインディーデベロッパーとして、二人が無理なく暮らしていける規模の事業を望んでいた。 Castro の末路が教えてくれるのは、技術戦略、ビジネス戦略、プロダクト戦略を最初から噛み合わせて考えなければならないという、ごく当たり前で難しいことだ。

それでも、自分にとって Castro が最も優れたポッドキャストアプリだったという事実は変わらない。だからこの話は、教訓として正しいだけでなく、どうしようもなくさみしい。


  1. 2009 年に In-App Purchase が導入され、 Auto-Renewable Subscription は 2011 年からだがニュースやメディアなどコンテンツ系に限定されていた。一般的なソフトウェアにサブスクリプションが拡大されたのは 2016 年になってからだった。 

  2. App Store (Apple) - Wikipedia 

  3. Apple details App Store changes including new subscription revenue split & search result ads - 9to5Mac 

  4. https://podcasts.apple.com/jp/podcast/supertop-podcast/id1143273587?i=1000425691016&r=1758 

  5. https://podcasts.apple.com/jp/podcast/38-we-sold-castro/id1143273587?i=1000425691016&r=1514.1 

  6. https://podcasts.apple.com/jp/podcast/supertop-podcast/id1143273587?i=1000434148783 

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mixi2 logo

昨年末に mixi2 出てちょっと話題になった。自分もアカウント作って使ってみた。最初はよく考えられてるなぁと感心したけど、なんか使いづらい。

自分として最も使いづらいと感じるのは絵文字の種類の少なさで、数が少なくて気持ちを表現しづらいと思っている。あらためて見てみると mixi2 の絵文字はのほほん系の絵文字しかなく、喜怒哀楽を表現しきれない。 🤔 のような、わずかでもネガティブなニュアンスのある絵文字は使えなくなっている。

mixi2 emoji

リプライ欄のプレースホルダーも「やさしいことばで返信しよう」となっていて、返信内容を穏やかな方向に限定しようという意図が読み取れる。

mixi2 reply placeholder

mixi2 のメッセージとして、のほほんとしたコミュニケーションだけやって欲しいということなのだろう。

Threads が出たときに記事を書こうとしていろいろ調べていたが、改めて引っ張り出してきて見てみると、 Threads / Instagram 勢もこういうコミュニケーションをして欲しいという意図を持っている。 Threads がリリースされたばかりの頃、 Instagram の責任者の Adam Mosseri は Instagram や Threads は政治や重苦しいニュースではなく、頭を空っぽにして楽しめるお気楽コンテンツだけ見られるお花畑のような場所にしたいと言っていた。

Post by @mosseri
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Twitter が居心地がよかったのは人が多かった(自分が情報を知りたいと思う相手が多く Twitter を使っていた)というネットワーク効果的な側面もあるが、「こういうコミュニケーションをしろ」という制約が弱かったからだと思う。 Twitter がコミュニケーションの方向性を指示しようという試みは、せいぜい入力欄のプレースホルダーを "What are you doing?" から "What's happening?" に変えたこと(「あなたはいま何してる?」から「あなたのまわりで何が起こってる?」に変更)くらいだ。

ハイパー起業ラジオに MIXI の元社長の朝倉祐介さんが出ていて、いかに SNS として発展させるかばかりを考えていた当時のミクシィを多角化して立て直したかを話していた。

mixi2 の動きは朝倉さんがやったことへの反動のようにも思える。めっちゃ細かいところまでこだわった俺たちが考える最強の SNS を作ろうとしているのだろう。

果たしてコミュニケーションの方向性を限定するやり方はうまくいくのだろうか。

匿名掲示板のような無法地帯がよいとは思わないが、自分は自由にコミュニケーションできる場所の方が好きだ。

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OpenAI の文字起こし AI Whisper を簡単に利用できる whisper.cpp を使って英語の Podcast を文字起こししている。めっちゃ便利。

英語の Podcast 、特に会話主体の Podcast はリスニングがかなり難しかった。ニュースの Podcast などは比較的聞き取れるのだけど、テック系の Podcast などは特に意味がわからない。語彙の問題かと思ってたが、文字起こしをしてみて初めて理由がわかった。フィラー(意味のない場繋ぎのための言葉)が原因だった。文字起こしされたものでも読みにくいのだ。

フィラーとは一般的には "Uh" とか "Um" 、 "Well" みたいなやつだが、人によってだいぶフィラーには違いがある。いま聞いてる Podcast の話者たちは "I mean" とか "as well" 、 "like" や "that" を多用するが、このようなフィラーっぽくない単語を口癖なのか場繋ぎ的に使う。なのでそのまま文字に起こして読んでも意味が通らない文章になっていたのだ。

音のまま会話文を理解するためには「あ、いまのはフィラーだからスキップしてよいな」というのが瞬時に判断できなければならない。フィラーに加えて言い間違いの訂正もある。ニュースのアナウンサーは基本的にフィラーなしで喋るし、言い間違いして訂正することもほとんどない。英検のリスニング問題もそうだ。

しかし生身の人間は、日本語でもそうだけど、話していて考えている最中に「えー(Uh)」とか「あー(Um)」とか言ってしまう。ネイティブの日本語話者である自分は「えー」や「あー」、言い間違いや言い直しは瞬時に頭の中で意味がないものと判定できているが、英語ではそれができないので会話文の理解が難しいのだ。なので英語の会話文を理解するためには、まず①文章として筋の通った英語をわかる必要があり、その上で②フィラーや言い直しなどを瞬時に判定できるようになって音を聞きながらそれらを除外して頭の中で文章を組み立てていく力が必要になるということだ。

whisper.cpp では文字起こしする際に利用するモデルを選べる。名前が小さいモデルほどダンウロードするファイルが小さく、文字起こしの処理も速くなるようだ。英語ならば small でも充分な精度だが、 small は音に忠実に文字起こししようとしてフィラーがたくさん入ってしまう。 medium あたりからフィラーが除去されるようになり、 large だと結構アグレッシブにフィラーや言い間違いを除去してくれて読みやすい英語になる。

Whisper は ChatGPT と同じで、人間っぽいことをやろうとしている。音声からの文字起こし自体なら YouTube にもあるし、音声認識は iPhone や Android 携帯にも付いている。ただ、これらは聞いた内容をそのまま文字にするだけなのでフィラーや言い間違いを除外しない。なので出てきた最終系は意味の通らない文章になってしまう。 Whisper の large モデルあたりは人間が会議の議事録を取るのと近い感じで、言い間違いやフィラーを取り除いてきちんと文意が通るかたちで文字起こししてくれる。さらにそれを ChatGPT に投げて要約させたら議事録係とかいらなくなってしまう。すごい。

whisper.cpp を使う上での注意点としては Apple Silicon の Mac でこそ真価を発揮するので Intel Mac ではかなり遅いということだ。 iMac 5K 2017 で 40 分のエピソードを文字起こししたら 1 時間半くらいかかったのが、 M2 Pro の Mac mini では 20 分もかからずに終わってしまった。 whisper.cpp を使うために Mac を買い換えても元が取れるくらいに便利なので是非 Apple Silicon の Mac を買って whisper.cpp 使ってみてほしい。

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博多駅前

サウナイキタイのサ活と Google マップのクチコミには結構乖離があることに気が付いた。自分が行ってめっちゃ気に入って、サウナイキタイでも好意的なサ活が多い佐賀の KOMOREBI の評価が Google マップでは低い。サウナにも水風呂にも入らないのに物価の安い九州(温泉に 500 円で入れる)で風呂に 1100 円払えと言われたら高すぎると感じる人もいるのだろう。しかも混んでるし。

Google マップのクチコミはとても便利だけど、一つの施設で二つ以上の役務を果たしてる場所や客を選ぶタイプの店は評価が下がると思う。本当は自分の好みにピッタリの施設が低評価となっている可能性がある。なので評価が低いからと切り捨ててしまうのではなく、自分と似た属性の人からのクチコミを探し出して読むと実際のところの雰囲気がわかるかもしれないが、それは難易度が高すぎる。

今日のプラットフォームサービスには不幸なマッチングを回避する仕組みが必要なのだと思う。あなたはサウナ好きだからこの施設は満足できますよとか、ここは常連向けですよ的な情報が簡単にわかるようになるとか。

ただ一方でそれは Instagram で自分のようなおっさんに微エロのリール動画ばかり表示されるようなレコメンデーションとアルゴリズムによる支配がいろんなサービスに広まるということであり、それはそれで残念ではある。

もう一つの選択肢としては、釣り SNS や登山 SNS が出来たように、レビューサイトも専門分化させていくアプローチが考えられる。自分のようなアルゴリズムやレコメンデーションにあらがいたいウェブ縄文人にはそういう進化の方が向いているかもしれない。

というようなことを思ってたら一つ前の記事に言及しつつ伊藤直也さんが似たようなことを書いていた。

2ch みたいにごちゃごちゃカテゴリーがサイドバーに並んでいるのには普通の人には難しすぎるので、釣り掲示板がツリバカメラになり、登山掲示板がヤマレコや YAMAP になったんだろう。考えてみるとサウナイキタイもサウナに特化した SNS ・情報サイトだ。

サウナイキタイに話を戻すと、サウナイキタイはローカルルール満載の町銭湯に対する評価が甘いという特徴もある。サウナイキタイでベタ褒めされてる施設(「番台のおばあちゃんが優しい」、「常連の方達とほのぼの交流」などなど)が Google マップではボロクソに書かれてたりする(「番台は意地悪ばあさんそのもの」、「彫り物を入れたヤクザや半グレの常連でサウナが占有されていて入れない」などなど)。ネガティブなことは書かないというコミュニティポリシーの影響なんだろうか(以前、サ活でドラクエ集団がいたと書いたら公式アカウントから警告された)。サウナイキタイだけ見て福岡の銭湯サウナに行ったら刺青を彫った怖い人から凄まれながら入浴しなければならないという体験をしそうだ。

レコメンデーションにしても専門分化にしても塩梅が難しい。レコメンデーションはやり過ぎるとただの偏見にしかならない( 40 代男性はおっさん → おっさんはエロが好き → 微エロ動画見せとくか)し、専門分化して蛸壺化しすぎると一般的な感覚と離れたレビューが集まるようになってしまう(怖い人だらけの銭湯サウナが高評価)。昔のインターネットではこんなことに悩むことはなかった。

昔のインターネットは良かったとばかり言ってもどうにもならないが、インターネットを飯の種とする者の一人として人が増えたいまのインターネット特有の問題をどうにかしたい。

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三苫海岸

ソーシャルメディアやニュースサイトに毎日新しいコンテンツが次々に投稿されるので、インターネット上の総情報量は増えていっているはずだが、 20 年前と比べてアクセスできる情報の種類は減っているのではないかと感じる。いま何か情報を得ようとしたときに Google は以前ほど便利ではなくなってきている。 Google がキュレーションした情報にしかアクセスできないからだ。誰にもフィルタリングされていない生の情報にアクセスしようとしたら Twitter 検索の方がよっぼどよいと感じるくらいだ。

昨年末、 40L の登山用バックパックをニュージーランドのショップから購入した。日本でも売っていた商品だが、国内の正規取扱店では売り切れてて個人輸入で購入するしかなかった。商品名で Google 検索しても日本語のページしかヒットしないし、在庫ありとして表示される楽天や Amazon のページには怪しい業者が定価の何倍もの価格でふっかけて販売しているケースがほとんどで、 Google から直接海外のショップのページに辿り着くことができない。メーカーのウェブサイトから各国の取り扱い店をたどってようやく販売しているページを見つけてメールで問い合わせて購入することができた。

15 年くらい前、日本から patagonia.com にアクセスすると patagonia.jp にリダイレクトされて、アメリカで 10000 円くらいで売られているものが日本では 1.5 倍の 15000 円くらいになってて日本人はぼったくられている、というようなことを書いている記事がバズってた(ちなみにいまも patagonia.com を開こうとすると patagonia.jp にリダイレクトされる1)。当時は日本人が価格差に気がつけないようにしているのは邪悪だということで攻撃されていたのはパタゴニアだけだったが、現在では Google が似たようなことをやっていて、インターネット全体でパタゴニアと同じようなことが起こっている。日本人(日本の IP アドレスから日本語設定のブラウザーを利用している人)が海外のショップから直接物を買おうと商品名で Google 検索しても、海外のサイトはほとんどヒットしない。日本人は日本語のウェブページしか見させてもらえない。

日本語のページであっても、すべてが検索結果に表示されているわけではない。何か商品について調べようと Google 検索しても結果に出てくる店は決まっていて、 20 件程度表示されたあとにそれ以降の情報を探すことができない。楽天や Amazon 内の情報のほか、 BASE や STORES 、カラーミー、 Shopify などといった割と利用者が多いカートを採用しているページは Google ショッピングの一覧に表示されるが、そうではない自前の CMS で構築されているような地方のショップのサイトなんかは結果に出てこない。

昨シーズン、ARC'TERYX の Motus AR Hoody というパーカーを買ってとても使い勝手が良かったので、今シーズンも色違いを買おうと探してみたら主要なサイトではすでに売り切れていた。一昨年も GRiPS のサイト(カラーミーで構築されている)に掲載されたタイミングでは買い逃していてネットの海をさまよって何とか辿り着いた地方のショップのサイト(メジャーなカートシステムではない独自システムのサイト)で購入することができた。まさかそんなことあるまいと思いながら今シーズンもそのサイトを訪れて探してみたところ、何とよそでは売り切れて定価の 2 倍とか 3 倍の値段で売られている Motus AR Hoody が定価で販売され在庫が残っていた。こういう例は一度や二度ではなく、何度か経験した。

インターネットに情報が増えすぎて、 Google としても検索結果に表示するページは絞るしかないのだと思う。すると Google にとってクローリングしやすく、サイトの更新を追っかけやすいサイトばかりが検索結果に表示されるようになる。サイトのレスポンスが遅かったり、構造がいまいちイケてないサイトは検索結果に出てきづらくなる。その結果、同じようなページばかりが検索結果に表示され、一部のサイトにだけトラフィックが集中して独自サイトにはアクセスが集まりづらくなってきている可能性がある(だから自分が買ったショップのページでは Motus AR Hoody のような人気商品が売れ残っていた)。

インターネットは情報の非対称性を下げて、より取引を効率化するものだと信じてきてが、どうやらそうではないようだ。一部のページにだけアテンションが集中し、むしろ情報の非対称性が高まっている。あっという間に定価で売られていた商品が売り切れてモノの値段がつり上げられ、一方でアテンションを集められないサイトでは売れ残ってセールになっている。経済学のセオリー通りなら、市場の原理が働いてギリギリに近い競争均衡価格で商品は取引されるはずだが、実際には逆の現象(正規販売店による定価販売と一部の転売業者による価格つり上げ販売)が起こっている。

EC サイトだけでなく、ブログや個人のウェブサイトでも同じような問題が起こっているのではないかと感じる。 Google のコアアルゴリズムアップデートで自分のブログも随分 Google 検索からの流入が減った。

2015 年からの月ごとの検索流入の推移

実際には存在するのに、 Google から不遇されて存在しないことになってしまっているウェブサイトがインターネット上にはきっとたくさんあるだろう。

昔のインターネットのような、検索結果をたどればたどるほど新しい情報と出会えていた頃が懐かしい


  1. 2023-01-18 訂正: patagonia.com から patagonia.jp へのリダイレクトは2023年1月18日時点では機能していなかった 

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sauna-ikita-and-sauna-life

ドラマ『サ道』を見てからサウナ好きになった。金曜の夜の遅い時間にテレ東系列で放送される25分ドラマは味があっていい。コーネリアスの音楽(サウナ好きすぎ)もマッチしてた。サウナ情報を検索するため、自然な流れでサ道にも登場するサウナイキタイを使うようになった。

サウナイキタイは便利ではあるが、レビューではなくサ活(サウナに行った記録)の投稿に特化してて、点数などでのレビューではないので初心者にはとっつきづらい(サウナを探しづらい)かも知れない。サウナの検索動線がサイトトップにしかないのもちょっとわかりづらいかも? サ活を読んでるとどこからサウナを探せるのかわからなくなり迷子になる。

少々気になる点がありはするものの、サウナ情報欄の項目がサウナ好きが喜びそうな項目になっていて、それをユーザーが自由に更新できる Wiki ライクな設計になっているので、数多く抱えるユーザーによって施設情報が頻繁に更新されて情報鮮度が高いのが良い。トントゥなるユーザーを褒める仕組みもよい。よく設計されている。

しかし何といってもサウナイキタイはサイトのデザインがすっきりしててオシャンティなところが良い。販売されているグッズもオシャレだ。サービスコンセプトデザインもよい。デザイン系 Podcast resize.fm でたびたび言及されるくらいよくデザインされている。

春頃、サウナイキタイがアプリを作るということと、有料会員制度(サウナイキタイメンバーズ)を始めるということが発表された。

開始当初はサイト上に専用のヴァーチャルなロッカー番号を取得できるだけで明確なメリットがなかったが、その後サウナを地図上から検索できる機能が特典として追加された。

これはめっちゃ便利そうだ。このためにメンバーズに加入するか悩むが、自宅近辺はそんなにたくさんサウナがあるわけではなく、いつも行くところは決まっているので元が取れないかも知れないと尻込みしている。

サウナイキタイのアプリ開発はどうなっているのだろうと何気なく App Store で「サウナイキタイ」と検索してみたら、「サウナライフ」というアプリが見つかった。

サウナイキタイとよく似た作りのアプリで、サ活の投稿に加えサウナのレビューもできるし、コミュニティを作ってユーザー同士で交流する機能もある。またサウナイキタイではポリシーとして実装されていない1サウナのランキング機能もある。さらにはサウナイキタイではメンバー限定の地図からサウナを探せる機能も使えるし、「1000円以下」など料金や決済手段といったサウナイキタイでは使えない特徴でサウナを絞り込む機能もある。めちゃめちゃ多機能なアプリだ。

マップ画面 ホーム画面 福岡の人気のサウナ
地図から探す機能が無料で使える。なぜかホーム画面が左端や真ん中ではなく左から二番目にある。人気のサウナ一覧機能もある。

サウナイキタイがあえて実装していない機能を提供しており、弱みをついているなぁという感じがする。料金で検索できる機能は膝を打った。サウナ好きな人には経済的にゆとりがある人が多いのか、人気のサウナ(サウナイキタイの「イキタイ」が多い)はかなり入浴料が高いことがある。良さそうなサウナを見つけても料金が1600円とかであれば利用するのを諦めてしまう。なので「1000円以下」で検索できる機能は貧乏サウナ愛好家の自分には嬉しい機能だ。

ではサウナライフがサウナイキタイに圧勝かというとそんなことはない。

第一にユーザー数が少ない。アプリプラットフォームはどんなに一つ一つのアイテムの情報量が多くても、そこに集まるユーザーが沢山いて活気がないとダメだ。統一された見やすいフォーマットで情報が整っていなかったとしても、粒度がバラバラであったとしても、常に最新の情報が投稿されていることの方が大切だ。 2 年前の情報はどんなに体裁が整っていても昨日投稿された情報に劣ることが多い。実際、自分の家の近くのサウナで情報の陳腐化が見られた。

これはネット上での存在感が無に等しいことが影響していると思われる。「サウナライフ」でググっても公式のウェブサイトがヒットしないし、 Twitter に公式アカウントもない。何かしらのページがないとユーザーが情報を拡散することができず、バイラルでユーザー獲得できない。新規ユーザー獲得がアプリストア一本槍となってしまっているのを改める必要があるだろう。

第二にデザインと情報設計がよくない。

サウナ詳細 1 サウナ詳細 2
メダルスコア 31 や金銀銅のメダルの割合が何を意味しているのかがわからないし、ラベルの色使いが多すぎるのはごちゃごちゃした印象を与え、サウナの情報を把握するのを阻害している。

サウナ詳細ページには様々な情報が表示されているが、ごちゃごちゃしていて要点をつかみにくい。メダルスコアや金銀銅のメダルのそれぞれが何を意味しているのかもわからない。色使いが多いのもごちゃごちゃ感を増強している。一階層で見える情報が多すぎる。

みんなのサ活 サウナ評価
ユーザー投稿欄がサ活と評価で別れているのがわかりづらい。正直、「みんなのサ活」欄にもレビュー的な内容が投稿されている。ユーザーはどちらも見なければサウナの情報を調べられないのは不便だ。

「みんなのサ活」と「サウナ評価」で情報が重複しているのも良くない。情報設計をミスっている。フロー的な情報が二種類あってユーザーはどちらも確認しないとサウナのことを調べられない。

最後に、システムの設計がサウナイキタイのパクリ+アルファというのが気になる。「サ活」、「サ飯」などの言葉が自然に使われているが、サウナイキタイの文化という感じがする( Twitter で検索するとサウナイキタイリリース前から使われていたようではある)。

全体的にサウナライフはあったら良さそうなものをじゃんじゃん追加してきたアプリという印象を受ける。実際、 App Store のレビューで要望された機能を「作りました〜」という感じで作っているようだ。よく言えばフットワークが軽いがまとまりがない。

ソフトウェア開発はいかにコードを少なくするか、ソフトウェアの規模を小さくするかが大事だ。情報量が増えたりソースコードの行数が増えたらメンテナンス対象が増えるし、ソフトウェアの複雑性が高まるとユーザーにとっても使う上での難易度が上がる。ほとんどの場合良い結果をもたらさない2。最もシンプルなソフトウェアで果たすべき役務を果たすのが最も効率的だ。

聞くところによるとサウナライフは一人で開発されているようだ。クライアントサイドだけでなくバックエンドもあるし、機能の豊富さではサウナイキタイを超えているので一人で開発・運用しているのは正直すごい。サウナライフが弱点を修正したらサウナイキタイにとっては脅威となるに違いない。

サウナイキタイのアプリ開発表明には、少なからずサウナライフが影響しているのではないかと想像する。確かにサウナライフには良くない部分が多いし、 UX や情報量の点でもサウナイキタイの方が勝っているが、アプリで、かつ地図上からサウナを検索できる機能は便利だし、サウナの検索は出先でスマートフォンから行うことが多いはずで、スマートフォンから使うならアプリの方が効率的で快適だ。

果たしてアプリ版のサウナイキタイはサウナライフを圧倒するようなものに仕上がるのだろうか。はたまたサウナライフが UI を改善してサウナイキタイに対抗していくのだろうか。サウナアプリの雌雄を決する戦いが始まろうとしている


  1. 開発チームへのインタビュー 妄想サウナ!「サウナイキタイ」チームの考えるカスタマイズ可能なプライベートサウナってどんなもの?【サウナをつくる】|灯台もと暮らし[もとくら]|これからの暮らしを考える情報ウェブメディア 

  2. 仕事でランディングページの情報量を思い切って削減したことで CVR が 3 倍程度に改善したことがあった。複雑な画面や多すぎる情報量はユーザーの思考の負荷を高め意思決定を阻害する。 

| @WWW

以前書いたはてなブックマークについての記事で、ホットエントリー入りするドメインの多様性が減ってきている、匿名ダイアリーと Togetter ばかりになってきている、なかでも最近は Togetter が匿名ダイアリーを抜いて一位になり、はてなからアテンションを奪って低俗広告を見せている、はてブを見ると Togetter の低俗広告も見ることになり問題だ、ということを書いた。

先日、はてなブックマークで特定キーワードかドメインを非表示にできるミュート機能がリリースされたが、 Togetter の広告が不快なのでミュートできてうれしいという意見が多く、低俗広告に不快感を抱いている人が結構たくさんいるようだった。

低俗広告を表示する側は広告単価が高いので効率的に稼げるし、ユーザーも表立っては苦情を言わないだろうから大したことではないと思ってるのかも知れない。しかし低俗広告は確実に訪れる人の心にストレスを与え、掲載するサイトの信用を毀損していく。

Togetter は訪問者にエロマンガの広告を見せてどうしたいのだろう。エロマンガサイトに行って有料課金サービスに登録して欲しいのだろうか? 自分の家族や友達にも同じことが出来るのだろうか? エロマンガやコンプレックスに訴えかけるようなサイトを少なくとも自分は信頼したり親身に感じることはないし、自分の親や子どもや友達にひどい広告を見せてマネタイズしたいとは思わない。

37signals は一連の従業員退職騒動で以前ほど魅力を感じなくなったが、それでも彼らのサイトに掲げてあるポリシーはよいと思う。

07. We don’t sell you

They say that if you don’t pay for what you use, then you’re the one that’s for sale. Not here. We don’t sell customer data to anyone, and we don’t use personal information to place targeted advertising either. We make a product, people pay for that product, end of transaction. Our business model is selling products, not selling you.

https://37signals.com/07

家族や友だちに見せて良心の呵責を感じることがないプロダクトを作っていきたい。