昨日の日経を読んでいたら、中国が知財戦略に力を入れているという記事があった。
中国は現状、テレビやDVDプレーヤーで世界一の生産量を誇りながら、特許を持たないために大きな利益を得ることが出来ず、薄利多売の状況が続いているそうだ。中国のDVDメーカーは、一台あたり約20ドルの特許料を日米欧の企業に支払っているとか。
中国が取り組んでいるのは独自規格の開発。DVDに変わってEVDというものを開発し、この技術を採用した映画館の開館を中国全土で進めているそうだ。二万館のシェアがあればハリウッドもEVD対応を考えざるを得ない、という目算があるらしい。ブルーレイやHD DVDと競争しようというのだ。
他にもブラウン管テレビ用のチップ、業務用パソコンソフトの独自開発を進めている模様。北京政府は昨年末に大量にライセンス契約したマイクロソフトオフィスの大半を解約し、国産ソフトの導入を進めている。
さらに日経の記事では、中国の知財戦略が米中摩擦を引き起こしかねないと指摘している。中国は「政府ソフト調達法」を定め、役所で使用するソフトには国産を採用するよう義務づけし、マイクロソフトなどアメリカ企業の締め出しを進めている。
実際に無線LANの分野ではアメリカ企業が苦しめられているそうだ。無線LANの国際標準規格はWi-FiのWPAやIEEE802.11iだが、中国は独自にWAPIという規格を標準に定め、この規格を利用するよう強制している。そのためインテルなどの外国企業は、WAPI技術をライセンス契約して中国向け製品を作らなければならなくなった。アメリカ政府はこの法律を撤回するよう求めているとのこと。
ソニーも独自規格を作りまくって著作権で食おうと画策していたわけだが、結局失敗に終わった。それを中国は国家単位でやろうとしているわけである。人口が巨大なだけに、独自仕様を自分で好き勝手定めるようになったら、他国は無視できないようになるな。折に触れて、中国のアキレス腱は増え続ける巨大な人口にあるといわれてきたが、弱点をうまく使った戦略だと思う。世界経済に与える影響は計り知れない。
日本企業はこの辺、真剣に考えなければならないと思う。最近、日本メーカーの国内回帰が続いているといわれるが、それももっともな話だ。日本企業は知的財産権などで食いつないでいるというのに、中国で先端技術を無防備に公開し、生産力も技術力も中国に掌握されたら日本人は食っていけなくなるよ。
資源がない国が食ってくのは大変なのである。