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11月の頭に子どもが生まれた。いまは会社に無理を言って育児休業をさせてもらっていて、朝から晩まで子どものおしめを替えたりミルクを飲ませたり家事をしたりしている。

他人の子どもとかちっともかわいいと思わなかったけど、自分の子どもはとてもかわいい。まだ子どもしか生まれてないのに脳内で大泉逸郎の『孫』がエンドレスリピートで流れるくらいかわいい。英才教育を施して、NHK 『美の壺』の草刈正雄の後釜に座れるような遊び人に育てていきたいと思う。

自分は24歳のときに患った精巣腫瘍の抗がん剤の治療のせいで精子をつくる力がなくなってしまったので、治療前に凍結保存しておいた精子を使い人工授精で子どもをさずかった。がんになったせいで仕事とか体の機能とか、もろもろ失ってしまったけど、就職はしたし、結婚はしたし、ついに人間の親にまでなってしまった。本当にありがたいことだと思う。

独身でがんになってしまい、抗がん剤治療を行うことになったら、たとえそのとき結婚の予定がなかったり恋人がいなかったとしても、精子や卵子は凍結保存しておくべきだと思う。治療をしなければ死んでしまうという状況に置かれると、自暴自棄になって精子や卵子の凍結保存は必要ないと思ってしまうかもしれない。7年半前の自分は、若すぎて自分が親になるなんてことが考えられなかった。しかし精子を保存しておいたおかげで子どもを授かることができた。

同じ病気の人がこのページを見るかわからないけど、サバイバーとして一言メッセージを書いておきたい。したり顔で「病気になったおかげでわかることがある」とか「得られるものがある」とかは決して言わない。病気のつらさは本人にしかわからないから。でも一つだけ確かに言えることがあって、生きているとささやかだけど幸せなことが必ずある。だから頑張って欲しい。