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 2月2日に見た『モンドヴィーノ』という映画の感想。ワインについての映画である。

 映画の公式サイト、映画館においてあるメルシャンのポスターなんかを見る限り、「おしゃれなワインを楽しむための映画」という印象を受けるのだが、中身は全然違う。おしゃれとはほど遠い内容である。この映画のメインテーマはグローバリズム対古いヨーロッパであり、イラク戦争的な対立軸が見える。ワインの製造方法についての意見対立は代理戦争に過ぎない。

 古いフランスのワインは、できあがったものをすぐ飲むことを前提とはせず、5年なり10年なり、それなりの年月を寝かせてから飲むものであった。だからできたてのワインというのは、美味しくない。時の流れによる熟成を経て初めて、人は旨いワインを口にすることができたのだ。しかしグローバリズムが跋扈する今日、市場はできたばかりでも美味しく飲むことのできるワインを欲する。かくして巨大資本による”作られた味”のワインが大量生産されるのである。

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 ミリオンズという映画を見た。この映画、監督はなんとあの『トレイン・スポッティング』のダニー・ボイルである。でも『トレイン・スポッティング』とは違ってドラッグや暴力とは無縁な平和な映画である。

 母親を亡くしたダミアンは、父と兄と三人で新興住宅街の新築の家に越してきた。ダミアンが住宅街はずれの線路際の空き地に段ボールで隠れ家をつくって遊んでいると、ある日列車が通過するときにナイキのナイロンバッグが飛んできて隠れ家を壊してしまう。バッグの中を覗いてビックリ。なんと中身は大量のポンド紙幣だった。しかしイギリスは数日中にユーロに通過を切り替える。使い切るか、ユーロに交換するしかない。果たしてダミアンと兄のアンソニーは大金をどうするのか?

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 ポッドキャスティングがiTunesに正式搭載されてから随分と時間が経ちますが、僕が登録しているポッドキャスティングを紹介しましょう。実は僕は密かな大竹まこと信者なんですが、そんな僕が毎週楽しみに聞いているのが大竹まこと 少年ラジオ 明日にかけるハナシ。文化放送で放送してる大竹まことの番組一コーナー、「明日にかけるハナシ」を編集してポッドキャスティングしてるんですな。このコーナー、毎回ゲストを呼んで大竹まことが話を聞くんだけど、なかなか面白い。

 皆さんあまりご存じないだろうけど、大竹まことという人は大変な心配性&準備家で、かつて生放送のクイズ番組の司会中に間違って答えを先に言ってしまい、その場でぶっ倒れてしまったことがあるくらいの心配屋さんなんである。テレビ番組に出るときは一見だらだらやっているように見えるが、実は台本に隙間なく書き込みを行うというほどの用意周到ぶり。TVタックルでも、新聞を細かに読んで仕入れた知識で、政治家たちに厳しい質問を浴びせかけている。このあたり本当に好きである。

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 白血球が下がっててとても体調が良いとはいえないのに、無理をして外泊許可をもらって映画を見に行った。ヴィム・ヴェンダースの『ランド・オブ・プレンティ』。率直に言って、つまらなかった。なぜつまらなかったのかというに、世界観が西洋中心であるからだ。

 メインテーマは911である。主人公のラナはアメリカ生まれだが、イスラエルで育った。亡くなった母が残した手紙を叔父に渡すためにアメリカにやってくるが、叔父のポールは911以後テロにおびえ、街中を徘徊してアラブ人を見つけては尾行する。疑心暗鬼的になり、大きなテロ組織によってテロが計画されていると盲信している。そんな叔父とイスラエルで育ちイスラム教徒を恐れないラナとの心の交流がテーマ。

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 今日の昼くらいから漸く体調が良くなってきたので久々更新します。12月30日にDenkikanで見た『空中庭園』の感想。

 撮影終了後、監督が覚醒剤で捕まえられたというだけあって、なかなかぶっ飛んだ内容の映画だった。最後にわかる、物語が伝えたい教訓のようなものは良いのだが、それまでの展開が不自然でぎこちない。原作の小説は面白いのかも知れないけど、映画化で失敗した典型例なのではないだろうか。

 そもそも板尾創路と小泉今日子の夫婦がぎこちなさ極まりない。板尾はやはり芸人であって、こういうシリアスな物語には向かないのではないだろうか? 回想シーンで変なカツラをかぶって二十代の頃を演じているのだが、これはコントにしか見えなかった。キョンキョンの演技も不自然。この人演技が下手なんじゃないだろうか? 「恋を何年休んでますか?」というドラマを大学二年の頃によく見ていたけれど、そのときからなんて主婦を演じるのが下手くそなんだと思っていた。キョンキョンは踊る大捜査線のときみたいに、気がふれたサイコパスを演じるのが一番上手なんではないだろうか。事実物語後半で見せるぶっ飛んだ姿は凄味があってかなり恐ろしい。

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 予想に反していい映画だった。正直見る前は見るかどうか随分迷った。伝家の宝刀、パオーカードがあるので、熊本市の新市街で上映されている映画ならどの映画も1,000円で見ることができるのだけど、ポスターから単なるスケボー映画の雰囲気が伝わりまくってくる。いくら割引で見ることができるからとはいえ、1,000円と2時間の時間と駐車場代を無駄にしたくはない。劇場の入り口で5分くらい迷ったが、観念して見ることにした。結果、見て良かった。

 むかしrelaxでドッグタウンについて特集されていたことを覚えていて、それで今回の映画は気になっていた。ちょっと調べてみたら、relaxが取り上げたのは今回の映画『ロード・オブ・ドッグタウン』のドキュメンタリー版映画だったらしい。当時relaxを愛読していたものの、ヨコノリ系の記事には正直ついて行けないものがあって(当時はあまりHip Hopも聞かなかった)、結局当該記事は恐らくろくすっぽ読んでないと思う。元有名スケーターのトミー・ゲレロの音楽の虜になっているいまなら、興味深く読むことができるかも知れないのだが。

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 好評でロングランになっただけに、いい映画だった。不覚にも涙してしまった。昭和三十年代なんて、自分の親が幼児だった頃のお話である。東京に路面電車がたくさん走っていた時代のお話。想像もつかない。

 劇中では地方出身者に対する差別がないようだった。想像するに、日本という国自体がめちゃくちゃ貧しくて、お互い待たざる者同士だったからだろう。東京人が田舎者を見下そうにも、自分もおんぼろの家に住んで貧しい生活をしているから、全然馬鹿にできないのである。むしろ田舎から集団就職でやってくる人々を貴重な働き手として受け入れていたのではないか。あくまで映画のなかでのことだから、実際は違ったのかも知れないけど。

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