久々にDVDをレンタルして見た。劇場公開を見逃していた作品で、『16歳の合衆国』というもの。すごく良かった。なぜ映画館で見なかったのだろうかと後悔している。単純明快のハッピーエンドを求める人が見てもつまらないと思うかも知れないけれど、僕はこの映画を評価する。障害を持つ恋人の弟を殺してしまうリーランド青年の話はもの凄く重いテーマを含んでいる。現代社会の抱える病理が集約されている。もっと大々的に扱われても良い映画だと思うが、TSUTAYAにこのタイトルのDVDは一枚しかなかった。
この映画の良いところは、安易に問題の原因を特定の何かにこじつけないところだ。主人公リーランドの恋人ベッキーはドラッグ依存、父親は有名な作家だが母親とは別居しており家庭は崩壊状態等々、リーランド青年は多数の問題に取り囲まれている。そのどれかが犯行の原因なのではないかと探るマスコミや世間に対し、リーランドは冷めた対応をする。
リーランドが殺したベッキーの弟は知的障害を持っていたのだが、障害者のことをメインテーマとしなかったことも良かったと思う。障害を持つ人を物語に登場させると、映画の軸がどうしてもそちらの方に向きがちである。しかしこの映画はそうならなかった。バランス感覚が素晴らしい。
ただ、最後の方がバタバタしてしまってやっつけ仕事的な印象を受けた。「実はこうだったのだ!」的な制作陣の独りよがり的な展開が観客を置いてけぼりにする。上映時間も短い。重いテーマを扱っているのだから、もう少し後半部分を丁寧につくって欲しかった。でもいい作品であることに変わりはないと思う。
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