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旧東ベルリン名物「テレビ塔」 以前読んだ『プラハの春』の続編である(portal shit! : 『プラハの春』読了)。まぁ面白かったけど、過剰な性描写が煩わしかった。結局、著者が若い頃いかにもてたかが綴られているわけである。お人形さんみたいな顔をしたドイツ人女性と恋をしたいという、どうしようもない中年オヤジの妄想を満たすには十分かも知れない。性描写の頻出度合いといい、総じてオッサン向けの本である。

 著者は「共産主義は本質的にペテン」だと主人公に何度も語らせ、共産主義の虚構性について語ろうとしている。一般市民は生鮮食品を十分に口にできず苦しんでいるのに、共産党の幹部は良い暮らしをしているとか、そういった共産主義の矛盾を物語ろうと躍起である。しかし僕が驚くのは、外交官の贅沢な暮らしぶりである。海外に駐在する外交官は高価なブランド品を身につけ、メルセデス・ベンツやBMWを乗り回し、パーティーに明け暮れ、高級住宅街に住むのである。服や車は私費で買っているのかも知れないが、パーティーや住居費は税金が使われているはずで、共産党の幹部もひどいが、それを批判する外交官も血税で随分贅沢をしているようで矛盾を感じた。

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 遅ればせながら、ヤフオクで購入した村上春樹の『東京奇譚集』を読んでいる。最近の村上春樹はダメだ、なんて言っていたけど(おっさんの話が読みたい:keizoさんからトラックバックをもらってしまった!)、東京奇譚集はなかなか面白い。少なくとも、「ハナレイ・ベイ」という短編は面白かった。『中国行きのスローボート』や『回転木馬のデッドヒート』的なものを感じる。

 ハナレイ・ベイは中年の女性が主人公なのだが、かつての「眠り」という短編で女性を一人称で物語ったのとは逆に、村上春樹は語り手として主人公を三人称で物語った。これが良かった。男が無理に「私」になりすましても、リアリティーに欠ける。上手に一人称で女を語れる男性作家もいるだろうが、少なくとも村上春樹はそんな器用な手合いではない。

 加えて主人公が筆者の実年齢に近いことも良い。無理して最近の若者を主人公にするよりも、自分の年齢に近い人物を描く方が断然良い話が出来上がる。好むと好まざるにかかわらず、彼が団塊の世代であることは動かしようのない事実である。ハナレイ・ベイは団塊の世代が持つ気分がよく現れていると思う。

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 元朝日新聞記者の烏賀陽弘道氏(UGAYA Journal.)が書いた『朝日ともあろうものが』を読んだ。タイトルからするとありがちな朝日新聞バッシング本のようだが、朝日だけがバッシングされているわけではない。日本のオールド・メジャーマスコミすべてが批判の対象となっている。しかし著者は朝日新聞でしか働いたことがなく朝日新聞の内情しか知らないために、日本のマスコミを代表して朝日新聞が抱える問題点を厳しく糾弾している。

 この本を読んで僕は絶望的な気分になった。捏造のメカニズムなどを知って新聞が信じられなくなったから、ということもあるが、日本を代表する朝日新聞でこれなら、それ以外の新聞の場合どうなるのだろう。とりわけ地方紙の記者は何を目標に働けばいいのだろう、と暗澹たる気分になった。

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プラハ

 元外交官の春江一也が書いた『プラハの春』を読了。プラハを訪れて街の美しさに感銘を受け手に取った本である。

 本書は二つの要素を兼ね備えている。一つは主人公の日本大使館書記官堀江良介と東ドイツ反体制活動家カテリーナ・グレーベとの恋、もう一つはタイトルのプラハの春事件の顛末である。

 売れた本であり、読む前に目にした評判も良かったのだが、読後の感想はイマイチである。著者の体験した事実をもとにして書かれたということだが、俺にはかなり荒唐無稽に感じられた。日本大使館員の堀江はプラハの春のときに活躍した有名人たちといともたやすく顔見知りになるのだが、本当に著者はソ連軍の侵攻に抗議して焼身自殺したヤン・パラフ青年と親交があったのだろうか? ドゥプチェクとスメタナホールで握手を交わしたのか?

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 旅行中、本を読もうと思ってたくさん持って行っていたのだけど、結局二冊しか読めなかった。二冊とも新書である。

 一冊目は『下流社会』。たまたま光文社のホームページをのぞいていたときに知り、夏ぐらいから探していたのだがなかなか見つからなかった(名古屋のジュンク堂にすらおいてなかった)。旅行のための買い物に訪れた熊本のショッピングセンター内の書店で漸く発見、なんだか馬鹿売れしているみたいだが、売れすぎててなかなかお目にかかれなかったのかな?

 二冊目は小谷野敦の『帰ってきたもてない男』である。この本を読んで、「小谷野敦はもういいかな」という気分になった。詳細は後述。

 まず『下流社会』だが、この本の重要なテーマは階層意識である。自分がどの階層に所属すると思うかをアンケートで答えさせ、階層別にどのような人生を送っているのかを分別しようとしている。

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 漸くレディ・ジョーカーを読み終えた。随分と時間がかかったな。名作との誉れ高いが、警察モノが好きな人、同性愛に興味がある人、長年の高村薫ファンには面白い本なのかもしれない。

 俺自身もある程度は楽しめたが、登場人物は多すぎるし事件の背後関係が無意味に複雑だし、ちょっと最後の方は食傷気味だった。こういう超リアリスティックな小説(警察モノなど)は俺はどうも苦手だ。バカには難しい。ラストも釈然としなかった。

 見事なのは、闇の世界と政財界のつながりを描いている点か。グリコ森永事件をベースに書かれているわけだが、企業の弱みにつけ込む暴力団、政治家、右翼団体、同和利権団体、韓国系ヤクザ、証券仕手筋などなど、闇の世界を垣間見ることが出来る。しかしそういった悪者連中だけが悪いのではなくて、ときに狡猾に彼らを利用する企業側にも問題があり、いわば持ちつ持たれつの関係が出来上がっているのだ。

 ところで合田雄一郎警部補はキャリアなのだろうか、それともノンキャリアなのだろうか? これがどちらかだけで随分と物語の内容は変わってくると思う。ノンキャリだと断定しているweb上の記述は二つしか見つけられなかったので、いまいちどちらか判断しかねる。司法試験崩れがノンキャリで警察に入るとは思えないんだけどな。まぁいずれにせよ、警察という組織が『踊る大捜査線』で描かれているような感じとは大きく異なることは確かだ。警察モノの本や映画は『踊る〜』しか知らないという人は読んでみると良いかもしれない。

<蛇足>

 大田区に住んでいたお陰で、この物語で頻繁に登場する地形を想像しながら読むことが出来た。夫婦坂のバス停なんて住んでたアパートのすぐそばなんですけど。大田区の猥雑とした風景の下、未曾有の犯罪が計画され実行される過程を追うのは、作り話であるとはいえなかなか興味深かった。

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 ここ最近本を読んでいなかったのだが、数日前から高村薫の『レディ・ジョーカー』を読んでいる。Wセミナーの講師に、新聞記者の仕事内容が良くわかる本と進められていた本なので手に取ってみたが、『レディ・ジョーカー』、なかなか面白い本だ。

 ただ、設定が若干現実性に乏しいと思うところがある。例えば、自殺する東大生の彼女は同じ東大生よりも品の良い私立の女子大に通っているという設定の方が現実味があると思うし、自殺する東大生が学部卒でビール会社の研究職を受験するというのもちょっと現実味がない。いかに国立大卒の理系であろうと、学部卒では研究職には就けない。他にも探せば現実性に乏しい設定は見つかると思う。

 こういう設定が気になるのは俺が神経質だからかも知れない。しかし設定の現実性というのは重要なことだと思う。設定に現実性が乏しいと、ストーリー自体が面白くても読んでいて物語に集中できずしらけてしまう。

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