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ジョギングしてるという話を何回も書いてる。走るのは10年前もやってたが、頻度がまちまちで走る距離も短かった。月に1、2度、1kmから2kmくらいしか走ってなかった。最近は週に2回は走っている。距離は1回あたり5km。昨日走りながら、なぜ継続できているのかを考えた。

一つ目にはリモートワークになって自由に使える時間が増えたことがある。家から会社までドアトゥードアで45分かかるので、通勤しなくなってから1日あたり1時間半も自由に使える時間が増えた。この余暇の時間を使って走っている。

二つ目にApple Watchを買ったことがある。以前使っていたPebble Time RoundのRunkeeperアプリだと、ランニングを一時停止したり再開したり終了したりがちゃんと動かなかったが、Apple Watchのワークアウトはこれらが完璧に動き、iPhoneを取り出すことなくランニングを開始できるのがとても便利で、走るためのハードルを下げている。ペース表示や心拍数表示もわかりやすい。Apple Watchにはアクティビティリングやワークアウトなど、運動を促す仕組みもあり、これらが運動するいいきっかけになっている。ヘルスケアアプリ内で心肺能力(VO2max)が可視化され、心肺能力が低いと成人病で死にますよ、運動しましょう、などという警告が表示されるのが走るモチベーションにつながっている。

三つ目に登山のための体力づくりがある。ある程度登山をして、自分の歩くスピードの遅さが気になるようになってきた。荷物が重すぎるとか安い靴を履いてるからとか考えてみたが、結局は体力のなさ、心肺能力の低さが原因だった。少しでも快適かつ安全に登山をしようと思ったら、普段から走って体力づくりをしておくしかない。会社の登山が速い人たちはみんな普段からランニングしているようだ。

四つ目に靴や運動着に良いものを導入したことがある。以前はナイキや無印良品の1000円から2000円くらいの化繊シャツに綿のパンツ(下着)、ナイキの靴をはいて走っていた。安い化繊のシャツは乳首と擦れてやたら乳首が痛くなったし、綿のパンツは汗でびっしょり濡れて気持ち悪く、ナイキのシューズは幅が狭くて足が痛くなり長く走れなかった。シャツをパタゴニアのキャプリーンシリーズに変えて乳首が痛くなることはなくなり、パンツをワークマンのメリノウールパンツに変え、さらにはライナー付きのパタゴニアのストライダー・プロ・ショーツに変えたことで汗濡れを意識せずに済むようになり、靴をゼロシューズのベアフットシューズに変えたことで足の痛みはなくなった。道具は大事だ。

ランニング、何が面白いのか分からなかったけど、サウナのような効果があると思ってる。頭を無にして汗をかくのでサウナに近い。走って帰宅したあと冷水シャワーを浴びるとちょっとととのいそうになる。山でトレランして沢にドボンしたらきっとととのうのではないかと思う。なのでサウナ好きな人は走るのも好きになれると思うのでおすすめです。

ちなみに走ってスーパー銭湯行ってサウナ入るの2回やったことあるけど最高だった。今夜も雨が降ってなかったらやろうと思う。おっさんになるとこのくらいしか楽しみがない。

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Patagonia Strider Pro Shorts と山と道 Light 5-Pocket Shorts

ランニング用短パンで困ってるという話を去年書いた。

履き心地は山と道の短パン( Light 5-Pocket Shorts )が最高だが値段が高い( 13200 円)ので日々のランニングでは使いたくない、何か良い代替はないものか、というもの。

山と道の Light 5-Pocket Shorts には値段が高いことに加えてデメリットがあることがわかってきた。

山と道 Light 5-Pocket Shorts

一つ目はポケットに入れたものが揺れること。登山の時にはスマートフォン用のサイドポケットがすこぶる便利だが、走るときにここにスマートフォンを入れていると揺れて邪魔になる。去年書いた記事ではポケットがあった方がよいということを書いているが、走るときにはポケットは考え物だということに気がついた。

もう一つは耐久性の低さで、ちょっとほかの繊維とこすれただけで毛玉ができてしまった。毛玉取りしても良いが、ただでさえ生地が薄いのに(ストッキングみたいな生地を想像してもらえばよい)毛玉取りをかけたらさらに生地が薄くなりそうだ。

最後に、スースーで快適な履き心地といってもあくまで登山用の短パンなので走る際に下着のパンツをはいてさらにその上から短パンだと暑い。 7 月に山を走ったときにはいてみたらハチャメチャに暑かった。

山と道の Light 5-Pokcet Shorts 並の履き心地の良さ、足さばきの良さを保ちつつ値段がそこそこで、ガシガシ使っても大丈夫な耐久性を備え、ポケットに入れた物が揺れて邪魔になることがなく、走っても暑くならない短パンがあったらうれしい。 YAMAP STORE で値引きになっていた patagonia のストライダー・プロ・ショーツの 5 インチを試してみたらなかなか良かった。

Patagonia Strider Pro Shorts

値段は定価 9350 円だがセール品だったので 7480 円で買えた。

履き心地は山と道の Light 5-Pocket Shorts 同様に快適だが、生地の耐久性は高そうだ。

ポケットは腰回りにあり、体に密着するような作りになっているので入れた物が揺れることはない。ただし自分のスマートフォンは iPhone 11 ででかくてポケットに入らない。その点は残念だ(ケースなしの裸状態であれば iPhone 11 でも背面ポケットに入ることがわかりました。お詫びして訂正します🙇🏻‍♂️)。 iPhone SE や iPhone 12 mini 、 iPhone 13 mini などであればポケットに入ると思う。

さらにライナー付きなので下着のパンツをはく必要がない。下着を身につけずに直接短パンをはくのには最初は抵抗があったが、何度がはいて走ってみてこっちの方が断然快適だということに気がついた。

山と道の Light 5-Pocket Shorts は購入の争奪戦もすさまじく、めっちゃ運が良くないと買えないものになってしまったが、 patagonia の製品であれば普通に買えるし、運が良ければセールで少し安く買える。安定して 7000 円くらいでストライダー・プロ・ショーツが手に入るとうれしい。アメリカの REI では $79 で売られてるみたいだ。

ただし patagonia は円安の影響で日本での販売価格を値上げしたようで、公式サイトで定価を確認したところ 11000 円になっていた。これでは山と道の Light 5-Pocket Shorts とあまり値段が変わらない…。なお YAMAP STORE であればまだ旧来の価格 9350 円で買えるようだ。YAMAP ユーザーは DOMO のクーポンなどが定期的にもらえると思うのでもしクーポンがあるなら利用することで少し安く買えると思う。

なおサイズについて。ストライダー・プロ・ショーツはピチピチ気味なので patagonia 公式サイトのレビューだと自分と同じような体型(身長 172cm 、体重 70kg )で M を選んでいる人が多いが、 S で良いと思う。自分は去年 M サイズを買って( M しか残ってなかった)今年は S サイズを買ってみたが、 M だと走るときに生地がばたついてうるさいし、あまりにもスースーしすぎてフリチンで走ってるみたいな感じがして不安になる。S は確かにピチピチ気味になりライナーも少し窮屈だが、生地がばたつくことはないし、生地に伸縮性があるのでパッツンパッツンで走れないということもない。 patagonia の公式サイトのモデルの人たち( 185cm で M サイズを着てる)もパッツンパッツン気味ではいてるし、そもそもパッツンパッツン気味ではくことを想定されている製品だと思う。

Patagonia Strider Pro Shorts

10 年くらい前、月に 2, 3 度くらい大濠公園を走ってたとき高級なランニングウェアに身を包んで走ってる人たちを見て「バカなのかな…」と思ってたけど、気がつくと自分も散財してることに気がついた。綿のTシャツや短パンでももちろん走れるが、汗をかいて不快になったり足さばきが悪くてストレスを感じたりする。 1km ~ 2km くらいをちょろっと走るくらいならそれでもよいかもだけど、 5km 走ると汗びっしょりになって綿の服ではどうにもならない感じになる。また値の張るランニング用品を買うことで「せっかく買ったのだから」と走るモチベーションを上げることにもつながる。通勤もしないし出かける機会も少ないので走らないと体の調子悪くなるしまっとうな金の使い方をしているということにしよう。

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継続的に走り始めて一年以上が経った。マイペースでのろのろ走りをしていたつもりだったが昨年の秋くらいはたまに 6:00/km を切るくらいのペースで走っていて、 VO2max が 41 くらいになっていた。しかし持久力を高めるため1には高負荷の状態で走るより、最大心拍数2の 60% ~ 70% くらいが良いと聞いたので 7:00/km くらいのゆっくりペースで走ることにした。

花粉の季節もあって週 3 回くらい走ってたのが週 1, 2 回くらいの頻度になって、しかもペースも落としたところ、昨年 11 月頃に VO2max が 41 だったのがここ最近は 38 になり、つい先日 38 を下回ってしまった。 40 代男性だと 38 未満は平均より心肺能力が低いという判定となる( iOS のヘルスケアアプリ上)。

これはまずいと思って昨年秋くらいのペース( 5:55/km くらい)で走ろうとしてみるがかなりきつく、 5km 走り終えたときの平均ペースは 6:25/km くらいになってしまう。ちょっとサボるとみるみる走力は落ちてしまうみたいだ。

iPhone のヘルスケアアプリ内の解説記事によると、 VO2max が平均を下回ると糖尿病や心臓病、アルツハイマー病のリスクが高まるらしいので再び 40 近くまで戻したいが、一度落ちた走力を取り戻すのは年齢もあってなかなか難しい。

先週金曜日のランニングのログとヘルスケアアプリ内の VO2max についての解説記事

  1. 自分の走る動機は山に行ったときにすぐにバテないための体力作り。 

  2. 最大心拍数は 220 - 年齢 で計算できる。 41 歳の自分の場合は 179 。 

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ゴールデンウィークに Instagram 見てたら登山愛好家の皆さんがめっちゃ遠くの山に行っていて正直うらやましかったのでいても立ってもいられなくなり、北アルプス行きの予約をした。

去年、福岡から北アルプスへの行き方に関しては調べてブログに書いていた(福岡から北アルプス(上高地)までの行き方)。 9 月の頭あたりに行こうかと思っていたが、緊急事態宣言が出ていたので諦めてしまった。今年は巷にコロナに打ち克った感あふれてるし行けそうな気がしてる。

松本までは飛行機( FDA )で行くことにした。金額が高くなっても結局は飛行機の方が時間と費用を加味した総合的な移動コストが安い。セントレアや名古屋空港を経由しても上高地までの移動にバスを挟んで時間がかかってしまうので時間コストが大きい。マイルが貯まっていてセントレアまでの移動費をゼロにできる場合を除いておとなしく FDA で松本まで行った方がよい。天候的にキャンセルせざるを得なくなったときはキャンセル料を払って諦めることにする。

何時頃上高地に着くかによって山行プランが変わる。自分は奥穂高岳に行こうと思っているが、槍ヶ岳の人も似たようなプランになるだろう。

朝一番の飛行機で松本入りすると上高地着が 14:00 過ぎになる。そこからその日のうちに歩いて行けるのは徳沢か横尾までだ。徳沢も横尾も山小屋があって宿泊できる。初日はここに泊まって、翌日一気に奥穂高岳に登頂するのが良いだろうと考えた。登頂後は穂高岳山荘に泊まり、翌朝奥穂高岳にもう一度行って涸沢岳にも立ち寄ってから一日で下山。 13:30 頃に上高地に着くので松本に移動して後泊する( FDA の 17:30 の便には間に合わない)。後泊も入れて三泊四日の旅程になる。

一方、登山開始前日の午後に家を出発し、新幹線(か名古屋・セントレア行きの飛行機)と夜行バスを乗り継いで早朝に上高地入りすると、早朝 5 時半頃から歩いて一日目1に涸沢まで行ける。一日目の夜は涸沢の山小屋に泊まり、二日目に奥穂高岳に登頂できる。ただし山の上でマジックアワーを見たりご来光を見たりはできず、その日のうちに涸沢まで戻って小屋泊することになる。最終日は急いで下山すればその日のうちに帰宅できるが、山では何があるかわからないし予備日は設けておきたいところ。後泊すること前提で予定を組んだほうが良い。ゼロ日目の移動も合わせて四泊五日の旅程になる。

夜行バスで上高地入りする早朝着プランの方が安いような気がしてしまうが、福岡から向かう場合だと結局大阪か名古屋まで新幹線か飛行機を使うので大して金額的なメリットはない。旅程が長くなり、長時間の移動・夜行バスで疲れ、日の出どきやマジックアワーを山頂付近で過ごせない。東名阪に住んでいる人であれば夜行バスの早朝着プランは安く行けてメリットありなのだが、それ以外の地域から行く人にとっては午後着プランの方が無難だろう。

あとは天候が良くなることを祈るばかりだ。


  1. 一日目は午後から新幹線で大阪か名古屋まで移動し、夜行バスに乗り換えるので旅程的には二日目 

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浮嶽 大岩展望台

4/2 ~ 4/4 で脊振山系全山縦走に挑戦した。福岡の西端の十坊山から佐賀の基山まで二泊三日で歩いた。総歩行距離は 72km 、累積獲得標高は 5500m 。 20km 以上歩き、 1500m 以上登るのを三日間繰り返す。泊まりはハンモック + タープで、食料の補給はなし、水は湧水や沢で補給しつつ歩き通した。

自分は体力がなく歩くのがとても遅くて、全山縦走のことを知ったときにはとても自分に踏破できるとは思ってなかった。実際、 2 年前の夏に脊振山から金山までのセクションハイクをしたときにはバスに乗り遅れるし散々な有様だった。

4 年前にも十坊山から二丈岳までを歩く糸島四座縦走に挑戦して失敗している。

UL (ウルトラライト)メーカーの軽量な登山用品を買い集めながら歩くのが遅いどん亀という矛盾した雑魚だったのだが、 2021 年はジョギングを開始して徐々に体力をつけ、長めの縦走もこなした。4年前に途中で撤退した糸島四座縦走も比較的楽に達成した。

ちゃんと歩けた勝因と改善点をまとめてみた。

勝因

  • 荷物は軽く
    • 服はメリノウールにして余計な着替えは持たなかった
      • メリノウールは汗をかいても匂わない、化繊の服はひどい匂いを漂わせるので着替えが必要になる
    • カメラも持っていくことを諦めたので iPhone で撮った写真しかない
  • ちゃんとした昼飯を食わない
    • 基本的に昼間の食事は行動食のみ
    • 絶景ポイントで休憩して山飯作ったりコーヒー飲むとかやらない
    • 時間を節約でき、荷物も減らすことができる
  • 塩味の行動食
    • 日中、ちゃんとした飯を食わない代わりに塩味の行動食があると良い
      • 具体的にはカルパスや魚肉ソーセージ
    • コストコのアドベンチャーミックス(塩味のミックスナッツ + ドライフルーツ)もよかった
  • アミノバイタルゴールド
    • 現代の仙豆
    • めっちゃ疲れてても翌日足がパンパンにはならない(少なくとも午前中は)
    • 一日一本飲んでたが二、三本飲んでもよいみたいなのでもっとたくさん飲めばもっと楽だったかも
  • 山と道 MINI2
    • メッシュポケットがスーパー便利
      • 暑くなって脱いだ服をしまう
      • 行動食をつっこんでおく
      • 水場で浄水器をさっと取り出して浄水する
  • KATADYN Be Free (浄水器)
    • どこの水もサクッと浄水できるとわかっていたので大量に水を持って歩かずに済んだ(必要に応じて沢水などを浄水して調達すれば良い)
  • Black Diamond Distance Z (トレッキングポール)
    • 軽量なアルミポールを初めて買った
    • 脚の負荷をだいぶ軽減してくれたと思う
    • 荷物が多いので左右のふらつきを抑制して安全に歩けた

改善点

  • カロリー
    • カロリー計算した上で行動食を準備できてなかった
    • 持参したウィーダーインゼリーはプロテインやビタミンなどを重視した低糖質のやつでカロリーが少なくエネルギー源としてふさわしくなかった
    • 安くて甘くて体に悪そうなやつをもっと持ってくるべきだった(どらやき、ようかん、惣菜パン、イカフライなど)
  • サイズの合ってない靴
    • Altra Olympus 4 はちょいとデカめでサイズが合っておらず、下りで靴の中で足が動いて辛かった
  • メリノウールの靴下
    • これまでメリノウールの靴下で足が蒸れると感じたことはなかったが、 Injinji の五本指ソックスと履き比べてみて蒸れを感じてしまった
  • かさばるレインウェア
    • 低山のレインウェアとして雪山でも使えるハードシェルを持って行くのはかさばって良くない
    • レインウェアとウィンドシェルで機能がかぶるものを二つ持つのも邪魔
    • 省スペースでレインウェアとウィンドシェルの両方の役割を果たす雨具が必要
      • 山と道の UL All-Weather Hoody を買った

装備

  • 帽子
    • Milestone メッシュキャップ
  • Tシャツ
    • icebreaker メリノウールTシャツ
    • Smartwool Everyday Exploration T Shirt (予備)
  • 行動着
    • 山と道 Merino Hoody
  • ウィンドシェル
    • Patagonia Houdini Jacket
  • パンツ
    • WORKMAN メリノウールパンツ × 2 ( 1 枚予備)
  • ズボン
    • 山と道 Light 5-Pocket Shorts
  • 靴下
    • OS1ST FS4 PLANTAR FASCIITIS SOCKS
    • Injinji Trail SP TIE-DYE
    • Point 6 Hiking Lt Mini × 2 ( 1 足予備)
    • Altra Olympus 4
  • トレッキングポール
    • Black Diamond Distance Z
  • ザック
    • 山と道 MINI2
  • 防寒着
    • Patagonia Nano Puff Jacket
    • Mountain Equipment パウダーパンツ
    • EXPED ダウンソック
  • レインウェア
    • ARC'TERYX Alpha SL
    • Patagonia トレントシェルパンツ
  • クッカー
    • EVERNEW Ti 570 Cup
  • バーナー
    • EVERNEW チタンアルコールストーブ
    • VARGO Titanium Hexagon Wood Stove
  • ハンモック
    • AXESQUIN ウキグモ Light
    • AXESQUIN モグ 350
  • タープ
    • EXPED Hammock Trekking Tarp
  • ライト
    • Petzl Tikka
    • Ledlenser ML4
  • モバイルバッテリー
    • Anker PowerCore Essential 20000 PD

コロナ禍で飲み会に行かなくなって浮いた金でアウトドアギア買いまくったのが生きた感じの縦走だった。なかでもベストを挙げるとすると山と道 MINI2 だろう。

山と道総帥の夏目さんが書いている MINI2 の制作ノート 2021 年版がとてもよい。

山と道設立当初は、「耐久性や強度よりも軽量性が大事」と思っていました。1回のULハイクが人生を変えるかもしれない可能性を秘めていると信じているからです。

しかし、たくさんの方々にMINI2を送りだしていくと、みんな上手く使えているだろうか、壊れていないだろうかと、心配も積もるようになりました。できれば安心して長く使ってもらいたい。UL原理主義的であった自分の物作りの考え方も少しずつ変化してきているのかもしれません。

そして2017年に、山と道HLCで日本全国を旅して色々な方々と出会い、気がついたことがありました。僕が考えているようなULハイカーは、日本中を探しても実はほとんどいなかったのです。

ULハイカーのための道具作りをしてきた自分は誰に向けて作っていたのか? 自分の思いは独りよがりだったのか? あらためて自分が作る道具と向き合うきっかけとなりました。

MINI2 | 山と道 U.L. HIKE & BACKPACKING

この文章は首がもげるほど頷きながら読んだ。アプリやウェブサービスの開発に携わってる人なら似たような経験をしたことがあるのではないだろうか。

実際に縦走で初めて使った MINI2 は軽いながらも頑丈な作りで木の枝で何度も擦ったがダメージがなかったし、メッシュポケットはとにかく便利だった。暑くなって脱いだ服をガサツにメッシュポケットに突っ込み、寒くなったらさっと取り出して着て、腹が減ったら行動食をパッと取り出して食べる。ハードな山行を支えてもらったし、今回の UL ハイクで人生が変わった(少なくとも登山人生の一つの目標を成し遂げた)。

山と道の短パンを初めて買ったのは 2017 年の 3 月で、それから登山アプリの会社に入って登山をするようになり、昼飯に 120 円のチキンカツとインスタントそばを食べて浮かせた金で山と道の製品を買ってきた。 UL ギアを身につけながら歩くのがめっちゃ遅いしロングハイクもしたことがなかったのだが、今回やっと、自分で考えて可能な限り荷物を削り、誰かに荷物を持ってもらったりすることなく、途中で補給を受けることもなく、 70km 以上の縦走路を歩き通すことができた。ようやく UL ギアが様になるハイカーになれたのではないかと思っている。

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ぼちぼち走ってることは以前書いた。

その後一日に走る距離が伸びて、今では毎回 5km 走るようになった。タイムも速くなってきてる。

走り方を少し変えていて、フォアフットという走り方をするようになった。走るときかかとから地面に設置するのではなく、つま先から着地する走り方だ。最近チラッと読んだランニングの本によると、長く疲れず怪我せず速く走りたいならフォアフットに変えるしかないと書いてあった。速く走りたいという願望はないが、疲れず怪我せず走れるならということでフォアフット走法を始めてみた。

フォアフットに切り替えてみて、最初はふくらはぎが筋肉痛になったり、そんなにハイペースじゃないのに息が上がったりして「これで本当に長く疲れず速く走れるのか?」と思ったが、やってるうちに段々良さがわかってきた。

かかとから着地してた頃はずしんと響く感じが足全体に伝わっていたが、それがいまはない。つま先から着地することでふくらはぎの筋肉と膝のバネで衝撃を緩和してる感じ。特にベアフットシューズの Xero Shoes Mesa Trail に変えてからはソールの薄さ故に足への衝撃が気になっていたのが気にならなくなった。これまで使っていなかったふくらはぎの筋肉を酷使することで一時的に筋肉痛になるかもしれないが、慣れれば足へのダメージが少なく、「確かにこれは長く怪我せず走れるわ」と実感が持てる。

Mesa Trail で近所の山を走ってみたときも問題がなかった。フォアフットは自分の足自体がバネのようになるから、石や木の根がある山道でも衝撃が体に伝わってこない。考えれば昔の人はわらじで山に登っていたわけで、足の使い方を工夫すれば厚底の登山靴は不要なのかもしれない。

ただしフォアフットで走るためにはある程度の基礎的な脚力や心肺能力が必要だと思う。フォアフットでゆっくり走るのは難しい。必然的に体が前屈気味になり、倒れそうになるのを足を前に出して支えるような感じの走り方になる。走り初めの頃の 8分/km のようなペースで走ることはできず、 6分/km くらいのペースになってしまう。 6分/km のペースは決して速いわけではないが、ランニング初心者には(少なくとも自分には)結構きついペースだ。なのでこれまで走ってなかった人がいきなりフォアフットで走るのはやめておいた方が良いだろう。

意図していなかったフォアフットの効能としては扁平足が改善された。自分は土踏まずがのペーっとしている典型的な扁平足で、冬の寒い時期に床に足をつくと土踏まずまで満遍なく接地して足裏全体に冷たい感覚が伝わってきてた。フォアフットで走り始めて土踏まずが高くなり、いまは足の裏全体が接地するわけではなくなった。土踏まずが宙に浮いている感じは新鮮だ。

扁平足は疲れやすいと言われるけど、扁平足だから疲れやすいのではなく、かかと着地で走っていて足のバネが使えていないから疲れやすいのではないかと思う。扁平足は原因ではなく結果なのではないだろうか。

というわけで扁平足でお困りの方はフォアフットで走ってみると面白い経験ができるのでおすすめです。

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10 月のくじゅうを短パンで歩いている様子

何か新しいことを始めようとしたとき、道具を揃えれば揃えるほど快適になるのではないかと思うかも知れない。例えばキャンプでは道具が多ければ多いほど快適になる。テントに加えてタープがあれば日差しをしのげる。寝袋のほかにマットやコットがあれば快眠できる。調理器具が多ければ作れる料理の種類が増える。しかし登山の場合はそうとは言えなくて、道具が少ない方が楽になるケースの方が多い。なぜなら自分で道具を運ばないといけないからだ。服についても沢山着込めばよいということではない。登山は自分の足で歩かなければならないため、冬でもヒートアップしやすい。荷物を軽くすること、服装が適切で体温調節がしやすいことは、思っているいる以上に大切だ。

登山では暑い日でも長袖長ズボンの着用が常識とされている。短パンで山に行くなんて常識知らずにもほどがあると言われるかもしれない。しかし本当に短パンで山に入ってはダメなのだろうか? 長袖のシャツや長ズボンだと絶対安全なのか?

確かに長袖や長ズボンであれば枝で手や足を怪我することはないだろう。また短パン・半袖では道迷いして山で夜を明かすことになった場合は低体温症になる可能性が高い。しかし山に行くときはなにがしかレインウェア的なものは持っているだろうし、エマージェンシーブランケットを携行するようにすれば半袖短パンでも何とかなる(暖かい季節限定)。そもそも短パンや半袖は、暑さで体力を消耗するのを避け、歩くスピードを上げてきちんと日中に下山するための手段だ。長袖・長ズボンではちょっとした擦り傷や遭難時に低体温症になるリスクは避けられるかもしれないが、気温が高い日の登山では体温調節しにくくなる。体力を消耗して歩けなくなってしまったり、歩くスピードが遅くなって日中に下山できず、山中で夜を過ごさざるを得なくなってしまうリスクがある。遭難したときのことを考慮して長袖・長ズボンで山に行き、逆に体力を消耗して遭難してしまっては本末転倒だ。長袖や長ズボンにもリスクがあると思う。

初心者の人が登山用品店に行くと大して必要なのかもわからないのに重くてソールの固いブーツを勧められたりする。しかし重くてソールの固いブーツが必ず正解とは限らない。九州の低山にしか登らない人にはごついブーツは不要だ。北アルプスだって夏ならトレランシューズで十分歩ける。長袖長ズボンのケースと同様に、重くて固いブーツをはいていたせいで体力を消耗してしまい、遭難してしまうことも十分考えられる。

登山を始めようという人には靴は 1 万円程度のトレランシューズをおすすめしたい。ゆくゆくはアルプスにも行くかも知れないからと、最初から何万円もするアルパインブーツを買うのはおすすめしない。重くて歩きづらいからだ。そのようなブーツは岩だらけの岩稜帯で真価を発揮するし、履きこなすには体力が必要だ。まずは軽量なローカットのシューズで手頃な山を歩いてみて、本格的に登山を趣味にできそうだと思ったときにしっかりしたブーツを買えばよい