母なる証明
評価 : ★★★☆☆
韓国映画。サスペンス映画。主人公は障害のある息子トジュンを持つ母親。母親は息子のことを溺愛しているが、ある日息子は女子高生殺人事件の犯人として逮捕されてしまう。障害のある息子が女子高生を襲って殺害するなんて考えられないのだが、状況証拠がそろってしまっておりどうすることもできない。母親は必死に息子の無罪を証明しようとするのだが…。
韓国映画は久しぶりに見た。映画好きの人の間で韓国映画は評判良いけど、自分は何か疲れる。この映画もかなり疲れた。
まず韓国の景色が疲れる。なんかどんよりしてる。パステルカラーのど派手な色と、冬の韓国の枯れ草色の景色の対比がどんより感をいっそう強くして疲れる。しかも事件現場とかがスラムっぽい感じのところで、まるでメキシコ映画に出てきそうな景色だった。あまり好きになれない。
第二に韓国の映画には激情的な人がたくさん出てくる。これがスゲー疲れる。トジュンに接触して逃げた金持ちのベンツをトジュンの友人であるチンピラのジンテが追っかけるんだけど、いきなりベンツに乗ってた連中に襲いかかったりするし。あと生意気で悪そうながきんちょとか、ビッチな女子高生とか。見ているだけでしんどかった。
トジュンを演じたイ・ビョンホってのは四天王っていうのの一人なのかな。品川庄司の庄司っぽかったけど、演技はとてもうまいと思った。トジュンは発達障害なんだけど、ときどきすごく鋭い。小さい頃に母親が自分を殺そうとしたことなんかを覚えている。ぐさりと刺さるような言葉を、うつろな目で発する。確かにこの辺はすごいなと思った。
母親の愛情を描きたかったのか、韓国の障害者差別の風潮を取り上げたかったのか(警察は状況証拠がそろえば障害者を犯人に仕立て上げて事件を幕引きにしようとする)。多分どちらともが監督の意図したテーマだったんだろう。意外な結末にやりきれない気分になる。どんなラストかは見てのお楽しみ。
キネマ旬報の2009年の外国映画ランキングでは2位だった本作ですが、僕は疲れるのでもっと軽い映画が好きです。