| @料理/食事

サリーナフライパンで作った塩焼きそば

最近、あまり自炊しなくなってしまった。リモートワークなので自炊しやすいはずなのに、レトルトとかしか食べてない。前職勤務時にリモートワークしてたときには良く料理していたのになんでだろうと考えてみると、フライパンが焦げ付きやすいからだと思い至った。

前職勤務時は T-fal のフライパンを買ったばかりで、炒め物をしても焦げ付きを気にすることなく料理していた。チャーハン、オムレツ、ペペロンチーノなんかを作ってた。

買った当時は焦げ付くことがなかった T-fal のフライパンは購入後 2 年を過ぎたくらいから激しく焦げ付くようになり、炒め物が億劫になった。テフロンが剥がれたあとのテフロン加工フライパンはただの異常に焦げ付きやすいアルミフライパンに成り下がってしまう。まだ鉄フライパンの方がましな状況で、目玉焼きを焼くのにも鉄フライパンを使うような状況だった。目玉焼きや肉料理であればまだしも、焼きそばやチャーハンなど炭水化物を炒めようとすると鉄フライパンは全くダメで、はちゃめちゃに焦げ付いてしまう。というわけで料理をしなくなってしまったのだった。

購入したのはバッラリーニ( Ballarini )のサリーナ( Salina )というフライパン。形状、コーティング、重さの三つのバランスが良くとても気に入っている。

コーティング

頑丈なコーティング

金属を石っぽい材質の何かでコーティングしてあり、金属へらを使ってもコーティングが傷ついているようには見えずとても頑丈。テフロンフライパンは金属のへらを使うと傷が付いてそこからべろっとコーティングが剥がれてしまったりするが、そういうのがない。

形状

縁がそり立った形状

縁がくっとそり立っており、炒め物でフライパンを振ったときに中身が飛び出しにくいようになっている。チャーハンや野菜炒めのときに思いっきりフライパンを振れる。

重さ

サリーナフライパンの 26cm と 20cm

重すぎず軽すぎずでちょうど良い。軽いフライパンだと炒めるときに取っ手をつかんでいないと動いてしまったりするし、鉄フライパンだと重すぎて振れないが、そういう問題がない。 26cm と 20cm を買ったが、26cm でも重さは 1kg で、男性なら問題なく片手で持てると思う。

価格について

値段がちょっと高くて、 20cm でも 8000 円程度、 26cm は 1 万円弱したが、どうせリモートで飲み会とかも行かないのだし、調理器具に金かけても良いと思ったのでリストカット感覚で購入してみることにした。都会に住んでたら UberEats とかテイクアウトで豪遊できるのだろうけど、テイクアウトやってる近所の店は電話しても出来上がりは二時間後とか平気で言ってくるのでレトルトでない物を食べたいなら家で作るしかないと自分を説得した。ちょうど先月ぐらいから Amazon でクレジットカードの二回分割払いが出来るようになっていたことも後押しした。 8500 円ずつの二回払いなら何とかなる。

結論

バッラリーニのサリーナフライパン、ちょっと高かったがとても良い買い物でした。おすすめです。

目玉焼きのせソース焼きそば

| @技術/プログラミング

いろいろスパム対策は行っているもののやはりまだスパムが届くので NG ワードの設定を簡単に行えるようにした。こんな感じ。

NG ワード設定

これまで一つのテキストフィールドにカンマ区切りで入力しないといけなかったのを、フィールドを分けて単語ごとに入力できるようにした。

モダンなやり方はしてなくて全部サーバーサイドの Ruby でやってる。動的に新規登録フィールドを増やしたりはできない。新規登録したいときは都度都度フォームを保存する必要があるが、十分速いので実用上は全く問題ない。

同様に、スパマーの餌食になっている過去記事のコメント欄を閉鎖する機能も便利にした。

コメント欄を閉じる記事の設定

仕事では全然プログラミングしていないので久々にコードを書いた。

| @技術/プログラミング

シダの新緑

最近、ブログに Amazon アソシエイトの広告が表示されなくなっていた。記事の新規公開時だけでなく、最新の価格情報を取得するため 24 時間のみキャッシュして都度新しいデータをとるようにしていたが、商品が 30 日間売れなかったため API へのアクセス権を剥奪されてしまったようだ。アフィリエイト報酬がもらえないのもさみしいが、それよりも記事に商品の画像を表示出来ないのが悲しい。結構頑張って仕組みを作ったのに。

ドキュメントには以下のように書いてあった。

Note that your account will lose access to Product Advertising API 5.0 if it has not generated referring sales for a consecutive 30-day period.

API Rates · Product Advertising API 5.0

これはかなりきびしい。 30 日間でものが売れないことなんてザラにある。 ものが売れない -> API のアクセス権剥奪 -> 商品情報取得できない -> ものが売れない の負のスパイラルに陥ってしまうので基本的には抜け出すことはできない。

Google Adsense といい、個人の泡沫ブログで小銭を稼ぐのがどんどん難しくなっていく。

| @登山/ランニング

Matador の Pocket Blanket

小学校のときの遠足では敷物は持ってくるものリストに入ってたと思う。子どもの頃、原っぱに行って敷物敷いて弁当食べた思い出は誰にだってあるはずだ。しかし、登山ではどういうわけか誰も敷物を持って行かない。サーマレストの折りたたみ座布団みたいなのを持ってる人は多いし自分も大抵持って行く。

折りたたみ座布団は石でゴツゴツしてる場所に座るときなどにショックを和らげてくれて休憩するときにとても良い。この手の座布団なしでゴツゴツした岩の上に座る場合、お尻に体重をかけすぎて痛くならないよう足に力を入れて体の重さをお尻と足で分散して支える必要があって、座っていてもゆっくり休めない。足の力を抜いてゆっくり座れるかどうかで回復度合いがかなり違うので折りたたみ座布団は偉大だが、しかしリュックサックはそのまま地面に置かなければならないのが気になっていた。自分の尻は汚れなくてもリュックサックの底が汚れては意味がない。

そこでリュックサックの汚れ防止に敷物を導入してみた。小学生の頃の遠足用に使っていた敷物は分厚くてナイロンでガサガサしていてかさばるし重かったが、いまは登山用に薄くて軽くてコンパクトなやつがある。広げるとこんな感じ。

Matador Pocket Blanket

自分の尻は折りたたみ座布団で保護しつつ、荷物は敷物の上に載せて汚れを防止できる。

ハンモックと組み合わせて使うとこう。ハンモックに乗るときは靴を脱ぐので、ハンモックの近くに靴下のまま歩けるエリアがあると便利。

ウンカイ Light と Matador Pocket Blanket

この Matador の Pocket Blanket は四隅にペグが結び付けられていて、風に飛ばされないように固定できるようになっている。海沿いの風が強い公園でも使ったが飛ばされることはなかった。また折りたたむときのことも考慮されていて、折り目となるべき場所に赤い糸が縫い付けてあって簡単にコンパクトにたためる。防水性は今ひとつのようだが、自分は基本的に雨の日には登山しないので問題ない。重さ 110g で軽いので、山に行くとき持っていくかどうかを悩む必要がないのもよい(リュックサックに入れっぱなし)。買って良かった。めっちゃオススメです。

| @旅行/散歩

仕事の検証で叶岳に登りに行ったときに見た登山口の桜。ここにこんな風に桜が植えてあったとは知らなかった。

叶岳登山口の桜

糸島の瑞梅寺川川縁の桜。ここは家から比較的近く毎年行く。土日は混んでいるが平日はガラガラなので仕事を少し早めに切り上げて夕方から出かけた。飲食はご遠慮下さいとカンバンが出ていたので車の中から桜を見ながらから揚げ弁当を食べた。肥やしの臭いがきついので臭いが苦手な人はここはダメかもしれない。でも桜は見事だ。

瑞梅寺川の桜 瑞梅寺川の桜 瑞梅寺川の桜

最後に十坊山の下の相思の桜を見に行った。まむしの湯方面から十坊山に登るときにいつも標識を見て気になっていた。どうも鹿家の方から歩ける道があるようだ。車を止めるところがなく、道路脇の路肩が広くなってるところに止めるしかないと思う。木々に囲まれ、少しでも日の光を浴びようと大きく高く成長した二本の大桜は立派だったが、天気が悪かったこと、夕方で日が落ちていたことであまりきれいに見えなかった。

相思の桜

相思の桜の帰りに加布里公園に寄った。ここも例年桜を見に行っている。

加布里公園での著者近影

はやく桜の木の下で飲んだり食べたりできる世の中に戻って欲しい。

| @WWW

HEY Logo

Basecamp が始めたメールサービスの HEY に登録した。去年のリリース時にお試ししていたのだけど、踏ん切りが付かなくてお金を払わなかった。ただ、ソフトウェアにお金を払うことに対していろいろ思うところがあって、良いと思うものにはお金を払おうと思って HEY に登録してみることにした。

Thank you letter from Jason Fried

脱受信トレイ( Inbox )のお気楽なメール管理

HEY The Big Three

意識高く金を払って気分が良いというだけでなく、 HEY 自体がよくできてて、これまでと違ったメール体験を提供してくれる。 HEY 以前にメインで使っていた Spark も悪くはないのだが、やはり古典的なメールソフトの概念と、 Google が発明した Gmail の「受信トレイ( Inbox )」と「アーカイブ」の概念を引きずっている。とにかく全部のメールに目を通してアーカイブしていく作業に疲れてしまった。

HEY は最初のオンボーディングチュートリアルで使い方を学びつつ最低限の振り分け設定を行え、 15 通くらいメールの仕分けをするとその後大体いい感じにメールが振り分けられるようになる。 Imbox 、 The Feed 、 Paper Trail という三つの箱があって、重要なメールやまだ仕分けルール付けがされていないものは Imbox に、メールマガジンなどマーケティング的なメールは The Feed に、購入時のレシート的なメールは Paper Trail に、という風にメールを仕分けて使うことが想定されている。仕分け処理をやるとメールアドレスに紐付いて設定が保存され、以後そのメールアドレスからのメールは設定した仕分け先に入るようになる。一々受信トレイに来たものをアーカイブする必要はないし、受信トレイをすっ飛ばしていきなりアーカイブに放り込んでお得情報メールを見逃すということもない。 The Feed を余裕があるときに見ればよい。メールマガジンはチラシのようなものなのだということに HEY を使って初めて気がついた。

Gmail にも「メイン」、「ソーシャル」、「プロモーション」、「新着」、「フォーラム」というカテゴリー分けのような機能は存在するが、「これはここじゃないんだけどなぁ」と思うことがよくあるし、分類先を変えたいと思ったらフィルタールールを作って移動させないといけない。一々こんな仕分け作業をやってられない。一回メールの仕分けをしたら以後は自動的に同じルールを適用して欲しい。 HEY はそれをやってくれる。

Gmail のカテゴリ。振り分けルールがしっくりこない。

Contacts という概念

HEY Contacts

HEY には独立した Contacts がある。 iPhone の Messages などメッセージアプリだと「誰とやりとりしたか」から履歴を辿れる。「友だちのノブヒデ君とやりとりしたメールを見返したい」と思うことはあると思う。メッセージアプリで普通にできることを、メールの場合はメールアドレスなどで検索するしかなかった。 HEY の場合は Contacts にアクセスして相手の名前を選ぶだけでよい。「誰とやりとりしたか」から目的のメールを探せるのが HEY のユニークなところだ。

Contacts は自分でいい感じに整理することもできる。例えば以下のキャプチャでは、 Apple の二つのメールアドレスがある。

メールアドレスが分かれているが統合したい

Apple 社としてはメールを送る部門ごとにメールアドレスを使い分けているのだろうけど、こっちからしたらどっちも Apple なので統合してしまいたい。片方を開いて、サブのメールアドレスとしてもう一方のメールアドレスを登録する。

Contact の編集

保存すると、「このメールアドレスはすでに Contacts に存在するけど統合する?」と聞かれる。

統合するか聞かれる

ここで "Yes, merge them" を押すと統合され、 Contacts 一覧からメールを辿るときにも統合して表示される。めっちゃ便利。

統合して一つの連絡先として扱われる

その他の便利な機能

そのほかにも、同じような要件で別々に届いたメールをスレッドとしてひとまとまりにしたり、メールを開封したかどうかを調べる解析用の gif 画像を読み込まないようにしたりなど、これまでのメールソフトにはない機能がある。まだまだ使いこなし切れてない。

HEY はガワか?

これまで Gmail のメールアドレスをいろんな場所で登録してきたのでいまも大半のメールは Gmail に届いている。各所を変更して回るのは大変だし、死ぬまで毎年 $99 を払える自信がないので Gmail から @hey.com のメールアドレスに転送するようにしている。なのでいまの自分の HEY の使い方はガワというかメールクライアントみたいな感じだ。メール本体は Gmail にあってそれを HEY のインターフェース越しに読んでいる。これならガワとして、つまりメールクライアントとしてサービスを提供してもらった方がユーザーは自分のメールアドレスを持ち込みで使えてスイッチングコストが発生せずうれしい気がするのだけど、 Basecamp はそうしないみたいだ。 HEY のマニフェエストの先頭に、メールクライアントではなくプラットフォームであることが宣言されている。

A platform, not a client

To make significant, meaningful upgrades to email, you need to build your own platform. That’s why HEY isn’t an app that sits on top of Gmail, Outlook, iCloud, Yahoo, etc. HEY is a full email service provider. You don’t use HEY to check your Gmail account, you use HEY to check your HEY account. It’s its own platform, and it’s all you’ll need.

真に意味のある変革を E メールにもたらすためには、独自のプラットフォームを構築する必要があるということだ。スレッドの統合や検索の性能向上(サーバーサイドとクライアントサイドが連携した一気通貫の検索システム)など、確かにただのガワでは実現できない部分があるのだろう。

そのほかにも The HEY Way のページには過去のメールを HEY に移行できない理由など、「割り切り」コンセプトの理由が書かれている。まるで "Getting Real" や "Rework" からの抜粋かのようだ。

HEY の残念な点

概ねにおいてよくできているのだけど、一部で使い勝手が良くない点がある。

Rebuild のエピソード 272 でヒロシマさんも言っていたけど、アプリがネイティブ実装ではなく HTML で作られているせいで、特に Mac のクライアントが Mac らしくない。一覧から詳細に遷移し、もう一度一覧に戻るときにもっさりする。 HTML を再レンダリングしているからだと思われる。個々の画面の表示は別に遅くないのだけど、総合的な体験としては良くなくて、ヒロシマさんが「速いけど遅い」と言っているのは言い得て妙だ。この辺は DHH の思想 が反映されているのだろう。

iOS 版アプリにタブがなくて移動しづらいというのもそう。 Mac であればショートカットキーで Imbox 、 The Feed 、 Paper Trail を行き来できるけど、タッチ UI ではショートカットキーが使えないので一々 HEY メニューを経由する必要がある。

HEY for iOS

総じて

不満な点がないわけではないが、 HEY がこれまでのメール体験を刷新するものであることは間違いない。インターネットを始めたばかりの頃、メールは届くととてもうれしかった。 『 You've Got Mail 』というトム・ハンクスとメグ・ライアンの映画もあったくらいだ。それがいまではメールは面倒なもの、しょうもないもの、スパムや広告だらけのものという印象を持たれるようになってしまった。その認識をひっくり返そうという試みは面白い。死ぬまで使い続けるかはわからないけど、とりあえず一年分の料金は払ったので活用してみようと思う。

| @WWW

朝の月

Twitter のスレッド機能で、投稿前の下書き段階からスレッド状態で長い文章を推敲しながら書くことができることを最近知った。推敲して長い文章を書けるのならブログを書く必要がないのではないか。これを知って自分は、 Twitter はブログの息の根を止めようとしているのだなと感じた。

スレッドで長めの文章を下書き状態で書きためている様子

スレッドの誕生

スレッドは 2017 年にリリースされていた。

確かにこの頃から長文を連投で投稿する IT 社長みたいなのをよく目にするようになった気がする。「フロハ」とか「ガバリ」とか「making coffee」とか書いてた頃の Twitter とは異世界になってしまった。

リリースノートによると、ユーザーが自分のツイートにリプライを書いて長い文章を書いている使い方に着目し、それをしやすくする機能としてスレッドを開発したようだ。長い文章を書けるようになったことで、それまで誰とも競合せず独自の市場( Jaiku など同種の競合はいたがプラットフォームが持つ強力なネットワーク効果で蹴散らしてしまった)にいた Twitter がブログの世界に進出してきたのだ。

ブログの衰退

トラックバック

ブログでのコミュニケーションはとても衰退してしまった。いまでは信じられないかも知れないが、昔はブログにコメント欄やトラックバック欄があった。コメントはともかくトラックバックって何だと思う人はいるかもしれない。むかしのブログでは、誰か他の人の記事を参照して記事を書いたときにトラックバックする、という文化が存在した。

トラックバックのない世界

例えば A さんがうどんについての記事を書いていたとする。その記事を参照しながら B さんがそばについての記事を書いた。このとき、 B さんの記事から A さんの記事に対してリンクを張ることは可能だが、先に作成された A さんの記事から B さんの記事にリンクを作成することはできない。 A さんは自分の記事が B さんから言及されていることに気づくこともできない。関連した話題や言及されていることに A さんおよび A さんのブログの読者が気づくことができないのだ。

トラックバックの正しい使い方

この問題を解決するのがトラックバックという仕組みで、 B さんのそばの記事から A さんのうどんの記事に対してトラックバックを送ることで、 A さんの記事内に B さんの記事へのリンクが表示される。 A さんは自分のブログに言及されていることを知ることができるし、 A さんのブログの読者は関連記事として B さんが書いたそばについての記事があることを知ることができる。

トラックバックボム

迷惑トラックバック

この仕組みは節度のある人だけがブログをやっていた時期には良かったのだが、徐々に相手の記事に言及することなく、自分のサイトへの誘導のためにトラックバックを送信する不届き者が出てくるようになった。 A さんのうどんの記事に B さんのそばの記事がトラックバックを送るのはまだわかるとして、 C さんが書いたバイクについての記事からトラックバックが届くとなると、全く話題に関連性はないし、バイクの記事から A さんのブログにリンクすることもないだろう。

こういうネチケット違反をする人だけではなく、最終的にはアフィリエイト目的で相手のブログと全く関係ない記事なのにトラックバックを送信するスパマーによって悪用されるようになり、トラックバックという文化は廃れてしまった。

議論の場となる Twitter

トラックバックが死ぬことで、ブログ上で議論するということがしづらくなった。 A さんのうどん記事に対して B さんがそばこそ至高という記事を書き、トラックバックを送った上で議論を挑むことができたのが、トラックバックがないのでネットの端っこでかみつくだけか、 A さんのブログのコメント欄に登場して議論をふっかけるしかない。しかしコメント欄もトラックバックと同じように衰退した。スパムのせいだ。静的サイトジェネレーターで生成されるブログではトラックバックはもちろんのことコメント欄も存在しない。ブログは議論の場として機能しなくなってしまった。

Twitter が流行ったからブログが廃れたという意見はかつてよく目にした。しかし Twitter が流行ったからというより、コメントやトラックバックという文化がスパマーによって破壊されてしまい、 Twitter の手を借りるまでもなくブログは勝手に死んでいったのだ。 A さんのうどん記事について「そばこそ至高」と言いたい人は、 Twitter で言及するしかなくなってしまった。この流れを加速させて、そもそも A さんも Twitter でうどんの話をするようにしたくて、 Twitter はスレッドを機能化することにしたのだろう。

コンテンツとの出会いの場としての Twitter

多くの人にとって、コンテンツとの出会いの場がポータルサイトやまとめサイトから、個々人のタイムラインに変わりつつある。みんなで同じ記事を見るのではなく、それぞれの小さなサークルの中でコンテンツを共有し合う感じだ。

いま、記事がバズったときのナンバーワンの流入元は Twitter だ。以前だったらはてブだったけど、はてブでホッテントリに入るよりも SNS でバズることの方がアクセスが集まりやすい。

はてブは一人にブックマークされただけではあまりアクセスが来ることはなく、矢継ぎ早に数人からブックマークされてホッテントリに入らないとバズれない。しかもホッテントリに入ったところではてブからのアクセスは精々 1 日で途絶えてしまう。みんなで一つのホッテントリを見てるので次々に新しい話題が出てきて、一つの記事がはてブのネットワーク内にとどまれる時間が短い。

一方で Twitter は、一人がシェアしてくれただけで割とアクセスがあり、フォロワーが沢山いるインフルエンサーによってシェアされるとあっという間に大量の流入をもたらしてくれる。しかもユーザーはそれぞれバラバラのタイムラインを見ているので、バズったときにネットワーク上にコンテンツが滞留する時間が長い。 Twitter 自体がタイムラインを単純な時系列順にせず複雑化させているし、一つの記事を別々の人がシェアすることや、リツイートの仕組みによって何度も人の目に触れさせることが可能になっている。おかげで一度バズると一週間くらいは流入を提供してくれる。

スレッドの最大の狙いは外部への離脱の抑制のはずで、これまでブログ記事や動画など、外部のコンテンツを参照する側だった Twitter が、スレッドによって長くまとまった分量のコンテンツをプラットフォーム内に持てるようになり、外に対してトラフィックを流すのではなく、プラットフォーム内にユーザーのアテンションをとどめておけるようになった。コンテンツとの出会いも消費も Twitter 内部で完結させたい、というのが Twitter の意図なはずだ。

コンテンツの発見も消費もタイムラインで

タイムラインの滞在時間を最大化し、一つでも多くの広告を見てもらうことが Twitter のビジネスモデルにとって重要なはずだから、スレッドによるブログ殺しでバズの矛先を外部のブログではなく Twitter の内部とし、一人たりとも Twitter の外に逃したくないのだろう。

かつて日常について呟く場所だった Twitter が、日常についての短い文章に加え、長めの論説調の文章も有するメディアに変容しようとしているのだろう。プレースホルダーが "What are you doing?" から "What's happening?" に変わったのと同じ事情がそこにはある。

日常の出来事をブログに書く意義

こんにち、日記のような軽いブログ記事を見かける頻度がとんと落ちている。昔はもっとみんなライトにブログを書いていた。しかしそういうライトなブログは Twitter や Instagram などの SNS に飲み込まれてしまった。いまブログといえば、ある程度の分量のある熱のこもった記事か(暇な素人による社会時評とか)、芸能人のアメブロか、アフィリエイトか、プロが書いた商業的な記事しかない。普通の個人が書いた軽い記事を公開しづらい雰囲気が醸成されつつある。

ヒトデさんが年末にこういう記事を書いていた。

#100DaysToOffload もこの考え方に通じるところがある。難しく考えずに、気軽にアウトプットすればよい。

この感覚はとても重要で、いま我々は努めて軽いブログ記事を書くようにしないと、商業メディアや Twitter に飲み込まれて個人の簡便な意思表明がしづらい流れが固定化されてしまう。その日食べたもののことでも、その日見たテレビのことでも、その日読んだ本のことでも、その日遊んだゲームのことでも、何でもいいから SNS 以外の場所にも書くことが大事なのだ。 #100DaysToOffload のハッシュタグを付けて Twitter に何かを投稿するのは一見矛盾しているようで、 Twitter に過集中しつつあるインターネットのアテンションを再び個人ブログに取り戻そうという取り組みでもある。

なので皆さん、スレッドのご利用はほどほどにして、ブログを書きましょう