| @登山/ランニング

Apple Watch でトレイルランニングするためのアプリ

Apple Watch トレラン のようなキーワードで検索すると、「 Apple Watch はトレランでは使えない」、「ランニングウォッチとしては微妙」というようなレビューが見つかる。自分もそうだと思ってたんだけど、それらのレビューは純正のワークアウトアプリか Strava アプリ、 NIKE のアプリくらいしか試してないようだった。果たして本当に Apple Watch はトレイルランニングで使えないのだろうか?

※この記事で紹介しているアプリよりももっと良いアプリを見つけたので以下の記事も是非読んでみて下さい。

Garmin などランニング特化の時計でできること

Twitter を見てると Garmin の時計を付けてランニングをしてる人たちがその日のトレーニングの様子とか体調をキャプチャで載せてる様子が観測できる。

どうも Garmin だと心拍数と睡眠時間などから「今日は体調良くないですよ」(トレーニングレディネス)とか、今日の運動メニュー(おすすめワークアウト)とか、フルマラソンなどのレースの予想タイム(レースウィジェット)を教えてくれるっぽい。

Apple Watch にも Apple 純正のアクティビティトラッカー(ワークアウトアプリ)あるし、心拍数を計測する機能も睡眠トラッキング機能もあるけど、その日のトレーニングがどうだったのか、体調がどうなのか(その数字が何を意味するのか)は自分で解釈・判断しないといけない。

加えて Garmin の上位機種( Forerunner 955 など)では地図とルート表示およびナビゲーションが可能で、山の中でスマートフォンや紙地図を取り出すことなく予定のルートと地図を確認できるようだ。つまり

  1. オフライン地図表示&ナビゲーション
  2. 運動回復支援機能

↑の二つが Apple Watch にはない機能で、 Garmin 勢うらやましいなぁと思っていたが、いろいろ調べてみると以下の二つのアプリを入れることで Apple Watch を Garmin 相当にすることができるようだった。

  1. WorkOutDoors
  2. Athlytic

オフライン地図表示&ナビゲーションアプリ WorkOutDoors

WorkOutDoors

Apple Watch には Apple 純正のワークアウトアプリがあって、普段走るときはこれを使っているが、メトリクスを計測するのみで地図でのナビゲーション機能はない。レースコースという、過去の自分のルート・記録と比較しつつ走れる機能はあるが、同じルートを何回か走ってからでないとレースコースとしてワークアウトに表示されない。

しかしルートを表示する機能は初めて行く山域や知らない場所を走るときにこそ必要で、 WorkOutDoors はそれを実現するアプリだ。ワークアウトアプリにはできない、任意の GPX ファイルを読み込ませてルート表示することができ、特定の範囲の地図をダウンロードしてオフライン表示することも可能だ。

しかも純正のワークアプリと同等のアクティビティログの取得も可能で、きちんとランニングのデータが保存される。 GPS ログや心拍数に加え、 watchOS 9 から取得できるようになったランニングパワーや上下動もちゃんと記録される。

実を言うと最初自分はこのアプリを iPhone で GPX ファイルを閲覧するためにインストールしていたが、あまり便利ではなく(使い方が難しかった)すぐ使わなくなっていた。しかし改めて Apple Watch でアクティビティトラッカー件ルートナビゲーションアプリとして使えることを知ってまさにこういうのが欲しかったということに気が付いた。ルートを外れたときの警告機能もあるし、心拍数などのメトリクスを Apple Watch で計測しながら道がわからないところを走るならこれ一択という感じがする(土地勘があるところなら Apple のワークアウトアプリの方がシンプルで使いやすい)。

WorkOutDoors はハチャメチャふにカスタマイズ可能

さらにこのアプリがすごいのがめちゃくちゃ細かくカスタマイズできるところで、画面表示やレイアウトだけでなく、画面を複数回タップしたときの挙動までカスタムできる。自分はソフトウェア開発者なのでこういう複雑な UI には強い方だと思うけど、これは普通の人には使いこなせない複雑さだと思う。しかしランニング意欲と IT リテラシーの両方が高い人からするとめっちゃうれしい使い勝手の良さを備えている。

watchOS 9 でワークアウトアプリがだいぶ進化して、ランニング中に表示するメトリクスの内容を自分でカスタマイズできるようになったが、いまにして思うとこのような機能は WorkOutDoors アプリでは以前から搭載されていたようで、ワークアウトアプリは WorkOutDoors の後追いをしているとも言える。純正ワークアウトアプリの方がデザインが洗練されていて使いやすいが、少々込み入った作業が必要でも自分に本当に必要なデータ(ペース、心拍数、累積獲得標高などなど)を厳選したい人にはうってつけだ。

WorkOutDoors は有料ソフトだがサブスクリプションではなく一回だけの買い切りで値段も安く良心的( 1100 円)。トレランでも Apple Watch を使いたい人にはおすすめです。

運動回復支援アプリ Athlytic

Athlytic

Garmin の時計でいうところのトレーニングレディネスとおすすめワークアウト機能のようなものを提供してくれるのが Athlytic だ。

Apple 純正のヘルスケアアプリで睡眠時間や安静時心拍数などを知ることができるが、どう理解すれば良いかがわからない。昨日の睡眠時間は 6 時間で、そのうちレム睡眠が〇時間です、なんて言われてもそれが良いのか悪いのかがわからない。

Athlytic は睡眠の状況と心拍数からその日の体調をはじき出し、今日は休んだ方がよいとか、激しいトレーニングしてもオッケーとか教えてくれる。

Athlytic Athlytic Athlytic

このブログでたびたび話題にしている HealthFit というアプリでも回復具合を表示してくれるが、睡眠時間や安静時心拍数からではなく、トレーニングをしているかしていないかで判定している。元の TSB モデルというもの自体がそういうものなので仕方がないが、トレーニングしてないから体調が良いかというとそうでもなくて、あまりよく眠れてなくて体が重いこともあるので、 Athlytic のようなアプリが欲しいと思っていた。本当はあんまり体調良くないときに張りきって高負荷のトレーニングをして怪我したら最悪だ。 Athlytic を使うことで客観的に自分の体調を把握できるようになる。

なお買い切りの WorkOutDoors と異なり Athlytic は年間 3400 円のサブスクリプションだ。調べたところ同種のアプリはほかにもあって、値段が安いものや無料のもののあるが、 iPhone 側にはほとんど UI がなくて Apple Watch で情報を見なければならなかったり( Training Today )、体調の判定だけでおすすめのワークアウトを教えてくれる機能はなかったり( CHIPR )するので、少々出費は必要だが Athlytic を使うのが良さそうだ。

でも Apple Watch はバッテリーもたないですよね?

バッテリーに関してはやっぱり Garmin に負けてしまう。自分の 2 年半使った Apple Watch Series 6 はワークアウトを動かすと 6 時間くらいで電池が切れてしまうので、登山やトレランで Apple Watch を使う場合は Ultra を買うしかないだろう。また Apple Watch Ultra であったとしても二日に一回は充電が必要なのは避けられない。

しかしトレランの 100 マイルレースで Apple Watch Ultra を使って完走したという情報もあるので、 Apple Watch Ultra で節電モードをうまく使えばウルトラマラソンや 100 マイルレースでも Apple Watch Ultra は使えそうだ。

これまで泊まりの登山や 100km 、 100 マイルのトレランレースでは Apple Watch は候補に入ってこなかったと思うが、 Ultra によって 20 時間以上のワークアウトを記録できるようになったので、ランニングのときのためだけに Garmin を使う必要がなくなったとも言える。 WorkOutDoors や Athlytics のようなアプリが本領発揮できるような環境が Apple Watch Ultra によって整ったということだ。

おとなしく Garmin 使えばよくない? 何で Apple Watch にこだわるの?

この動画見てください。

Garmin は長時間のアクティビティには確かに向いてるかもだけど、日常生活が厳しい…。アメリカですら Garmin Pay は使い勝手が良くないと言われているのに日本だったらもっと使えないですよ。音楽を聞くのだって Amazon Music と Spotify しか対応してなくて事前に楽曲をダウンロードしておく必要があって不便。

一方で Apple Watch は日常の使い勝手はとてもよく、 Apple Pay でコンビニやスーパーで買い物できるのはもちろんのこと、 Mac のスクリーンロックを解除したり、 Siri で Apple TV を操作したり、運転中には Apple マップのナビゲーション通知を受け取ったりできる。最近の車だと Apple Watch が車の鍵になったりもするようだ。

運動好きだけどデジタルガジェットも好きで、 Apple エコシステムの提案する快適な生活を捨てがたいという人は Apple Watch を使うしかないでしょう。金持ちだったらランニング用に Garmin を買うこともできるだろうけど、トレーニングレディネス(睡眠や日常の心拍数変動から算出)のことを考えるとトレーニング中もそうじゃないときも同じ時計を使っていることに意味があるので、日常は Apple Watch 、走るときは Garmin という使い分けはあんまり意味がない。同じものをずっと身に付けていた方がよい。

まとめ

WorkOutDoors と Athlytic というアプリを使うことで Garmin のような機能が手に入る。これまで日常生活での快適さを諦めて Garmin 使ってた人も Apple Watch Ultra に乗り換えて WorkOutDoors と Athlytic をインストールすれば Garmin を使ってた頃と近しい感じでトレーニングできる。

様々なアプリが App Store にあって自分好みのアプリを探してインストールすることができるのが iOS / watchOS の強みなので、純正のワークアウトアプリだけ使って「 Apple Watch はトレランでは使えない」という評価を下すのは早計だと思う。適したアプリを探して入れてやれば Apple Watch はトレランでも使えます。 40km くらいまでの短いレースであれば普通の Apple Watch でもバッテリー切れにはならないはず。活動時間が 6 時間を超えてくるような距離( 50km 以上?)のレースでは Apple Watch Ultra が無難でしょう。

なお、このゴールデンウィーク期間中、 Amazon で Apple Watch Ultra がタイムセール対象になっているようだ(人気のないバンドカラー、サイズのみ)。自分も正直買おうか悩んでいてここ 4 日くらいカートに入れたり出したりを繰り返している。よろしければご検討ください。

| @Mac/iPhone

ossan.fm playing in Castro, a CarPlay podcast client

(※タイトルは ChatGPT に考えてもらいました)

Apple CarPlay はとてもよくできたサービスだと思うけど、ネットであまり使っている情報を見かけない。自分の観測範囲が狭いだけかもしれないが、デジタルガジェット好きな人が大抵東京近辺に住んでて車を運転する習慣がないからではないかと思っている。なので今日は CarPlay の便利さについて書いてみたい。

自分は 3 年前のハワイ旅行でレンタカーで使った CarPlay に衝撃を受けて車を買い換えることにした。

いまも車の純正カーナビは使っておらず、車を運転するときは CarPlay で Apple マップか Google マップを使っている。ナビゲーションはもちろんのこと、届いたメッセージを読み上げてくれたり、音声入力で返信したり、 Hey Siri できたり、電話をかけたり受けたりできる。もちろん音楽や Podcast も聴ける。運転中に iPhone でしたいようなことが大抵できるようになってる。車に純正で付いてるカーナビだと精々 Bluetooth で iPhone につながってハンズフリー通話したり音楽を再生したりくらいしかできないが、 CarPlay を使うと車が iPhone の外付けデバイス的な感じになる。

CarPlay のなかでも Apple マップがめちゃくちゃよくできてて、例えば休みの日に 11 時からショッピングセンターで予定があったとして(カレンダーに予定と場所の情報が入れてある)、 10 時半に車に乗って iPhone を車につなぐと iPhone にプッシュ通知が来て「ショッピングセンターへのナビゲーションを開始しますか?」と表示される。ようわかっとるやんけと思いながら通知をタップするとナビゲーションが始まる。

運転をしていると交差点が近づいてきたときに Apple Watch が震えて右折しなければならないことを教えてくれる。カーナビで音声ナビゲーションさせることもできるし、音声は出さずに Apple Watch 経由でナビゲーションしてもらうこともできる。 Podcast を聞き入っていたのにナビの音声に邪魔されるということがない。

目的地に着いて駐車場に車を止めると駐車位置が Apple マップ上に反映される。ショッピングセンターの広大な駐車場で自分の車の駐車位置がわからなくなり延々さまようということがなくなる。

うっかりガソリンを入れ忘れていて燃料警告灯が付いてしまった。すると iPhone にプッシュ通知が届いて「ガソリンスタンドを探しますか?」と表示される。通知をタップすると地図上で最寄りのガソリンスタンドが表示される。

このように Apple マップは車とつながることでハチャメチャにユーザーの状況に適した提案をしてくる。めちゃくちゃかゆいところに手が届く感じ。ガソリン切れそうになったときに通知が来たときは便利すぎて正直引いた。

フツーの車が近未来デバイスみたいになったみたいな感じになるので、 CarPlay に対応しているカーナビを搭載している車を持ってる人は今すぐ純正カーナビ使うのやめて CarPlay で Apple マップ使い始めた方がよいし、これから車を買おうとしている人はナビが CarPlay 対応しているかどうかはチェックした方がよい。車がデジタルガジェットの一部になる感覚を味わって欲しい。

| @散財

ヒトデさんのブログで電動コーヒーミル買って良かったということが書かれていた。

自分も 3 月に電動のコーヒーミルを買ってめっちゃ便利になったと感じている。自分が買ったのは据え置き型のカリタ NEXT G2 というもの。結構高かったが Amazon のタイムセールを利用して 6% ポイント還元で買った。

NEXT G2 はヒトデさんが書かれているように確かに場所は取る。台所の炊飯器横のスペースにはこれまでソーダストリームが鎮座していたが、その座を NEXT G2 が奪った。ソーダストリームはいまは床でほこりをかぶっている。それくらいいい。

昔はカリタの安い電動ミルを使っていたが、挽いている間ボタンを押し続けて手で持っていなければならなかったし、挽いているあいだミルを振らないと挽きムラができるため、電動ミルとはイマイチなものという認識を持っていた。

この電動ミルは壊れてしまったのでその後手動ミルを使うようになった。ハリオのセラミックミルかカリタの金属ミル。挽き具合には不満がなかったし、豆を手挽きするのは楽しいとも思っていたが、家で仕事するようになってコーヒーを飲む機会が増えるとこの手挽きの時間が無駄に感じられるようになってきた。

リストカット感覚で据え置き型の巨大ミルを買ってみたところめっちゃ便利で、数十秒で豆を挽き終わる。これまでお湯をケトルにかけてから豆を挽き始めて、お湯は沸いたけどまだ豆を挽いている感じだったのが、豆の方が先に挽き終わってお湯が沸くのを待つ感じに変わった。正直、ここまでコーヒーを飲むことの障壁が下がるとは思ってなかった。

ダイヤルで挽き具合を変えられるので NEXT G2 でエスプレッソ(モカエキスプレス)用の細かさでも挽けるかなと思っていたが、そこまでの細挽きはできないようだった。しかしそれでも十分満足だ。

なお購入に際しての注意点としては NEXT G2 はコストコでも売られていて、自分が見かけたときの価格は 39800 円だった。自分は Amazon で 46000 円くらいで購入したのでだいぶ安い。もしコストコ会員なのであればネット通販で買う前に一度コストコを覗いてみることをおすすめします。

| @WWW

博多駅前

サウナイキタイのサ活と Google マップのクチコミには結構乖離があることに気が付いた。自分が行ってめっちゃ気に入って、サウナイキタイでも好意的なサ活が多い佐賀の KOMOREBI の評価が Google マップでは低い。サウナにも水風呂にも入らないのに物価の安い九州(温泉に 500 円で入れる)で風呂に 1100 円払えと言われたら高すぎると感じる人もいるのだろう。しかも混んでるし。

Google マップのクチコミはとても便利だけど、一つの施設で二つ以上の役務を果たしてる場所や客を選ぶタイプの店は評価が下がると思う。本当は自分の好みにピッタリの施設が低評価となっている可能性がある。なので評価が低いからと切り捨ててしまうのではなく、自分と似た属性の人からのクチコミを探し出して読むと実際のところの雰囲気がわかるかもしれないが、それは難易度が高すぎる。

今日のプラットフォームサービスには不幸なマッチングを回避する仕組みが必要なのだと思う。あなたはサウナ好きだからこの施設は満足できますよとか、ここは常連向けですよ的な情報が簡単にわかるようになるとか。

ただ一方でそれは Instagram で自分のようなおっさんに微エロのリール動画ばかり表示されるようなレコメンデーションとアルゴリズムによる支配がいろんなサービスに広まるということであり、それはそれで残念ではある。

もう一つの選択肢としては、釣り SNS や登山 SNS が出来たように、レビューサイトも専門分化させていくアプローチが考えられる。自分のようなアルゴリズムやレコメンデーションにあらがいたいウェブ縄文人にはそういう進化の方が向いているかもしれない。

というようなことを思ってたら一つ前の記事に言及しつつ伊藤直也さんが似たようなことを書いていた。

2ch みたいにごちゃごちゃカテゴリーがサイドバーに並んでいるのには普通の人には難しすぎるので、釣り掲示板がツリバカメラになり、登山掲示板がヤマレコや YAMAP になったんだろう。考えてみるとサウナイキタイもサウナに特化した SNS ・情報サイトだ。

サウナイキタイに話を戻すと、サウナイキタイはローカルルール満載の町銭湯に対する評価が甘いという特徴もある。サウナイキタイでベタ褒めされてる施設(「番台のおばあちゃんが優しい」、「常連の方達とほのぼの交流」などなど)が Google マップではボロクソに書かれてたりする(「番台は意地悪ばあさんそのもの」、「彫り物を入れたヤクザや半グレの常連でサウナが占有されていて入れない」などなど)。ネガティブなことは書かないというコミュニティポリシーの影響なんだろうか(以前、サ活でドラクエ集団がいたと書いたら公式アカウントから警告された)。サウナイキタイだけ見て福岡の銭湯サウナに行ったら刺青を彫った怖い人から凄まれながら入浴しなければならないという体験をしそうだ。

レコメンデーションにしても専門分化にしても塩梅が難しい。レコメンデーションはやり過ぎるとただの偏見にしかならない( 40 代男性はおっさん → おっさんはエロが好き → 微エロ動画見せとくか)し、専門分化して蛸壺化しすぎると一般的な感覚と離れたレビューが集まるようになってしまう(怖い人だらけの銭湯サウナが高評価)。昔のインターネットではこんなことに悩むことはなかった。

昔のインターネットは良かったとばかり言ってもどうにもならないが、インターネットを飯の種とする者の一人として人が増えたいまのインターネット特有の問題をどうにかしたい。

| @WWW

三苫海岸

ソーシャルメディアやニュースサイトに毎日新しいコンテンツが次々に投稿されるので、インターネット上の総情報量は増えていっているはずだが、 20 年前と比べてアクセスできる情報の種類は減っているのではないかと感じる。いま何か情報を得ようとしたときに Google は以前ほど便利ではなくなってきている。 Google がキュレーションした情報にしかアクセスできないからだ。誰にもフィルタリングされていない生の情報にアクセスしようとしたら Twitter 検索の方がよっぼどよいと感じるくらいだ。

昨年末、 40L の登山用バックパックをニュージーランドのショップから購入した。日本でも売っていた商品だが、国内の正規取扱店では売り切れてて個人輸入で購入するしかなかった。商品名で Google 検索しても日本語のページしかヒットしないし、在庫ありとして表示される楽天や Amazon のページには怪しい業者が定価の何倍もの価格でふっかけて販売しているケースがほとんどで、 Google から直接海外のショップのページに辿り着くことができない。メーカーのウェブサイトから各国の取り扱い店をたどってようやく販売しているページを見つけてメールで問い合わせて購入することができた。

15 年くらい前、日本から patagonia.com にアクセスすると patagonia.jp にリダイレクトされて、アメリカで 10000 円くらいで売られているものが日本では 1.5 倍の 15000 円くらいになってて日本人はぼったくられている、というようなことを書いている記事がバズってた(ちなみにいまも patagonia.com を開こうとすると patagonia.jp にリダイレクトされる1)。当時は日本人が価格差に気がつけないようにしているのは邪悪だということで攻撃されていたのはパタゴニアだけだったが、現在では Google が似たようなことをやっていて、インターネット全体でパタゴニアと同じようなことが起こっている。日本人(日本の IP アドレスから日本語設定のブラウザーを利用している人)が海外のショップから直接物を買おうと商品名で Google 検索しても、海外のサイトはほとんどヒットしない。日本人は日本語のウェブページしか見させてもらえない。

日本語のページであっても、すべてが検索結果に表示されているわけではない。何か商品について調べようと Google 検索しても結果に出てくる店は決まっていて、 20 件程度表示されたあとにそれ以降の情報を探すことができない。楽天や Amazon 内の情報のほか、 BASE や STORES 、カラーミー、 Shopify などといった割と利用者が多いカートを採用しているページは Google ショッピングの一覧に表示されるが、そうではない自前の CMS で構築されているような地方のショップのサイトなんかは結果に出てこない。

昨シーズン、ARC'TERYX の Motus AR Hoody というパーカーを買ってとても使い勝手が良かったので、今シーズンも色違いを買おうと探してみたら主要なサイトではすでに売り切れていた。一昨年も GRiPS のサイト(カラーミーで構築されている)に掲載されたタイミングでは買い逃していてネットの海をさまよって何とか辿り着いた地方のショップのサイト(メジャーなカートシステムではない独自システムのサイト)で購入することができた。まさかそんなことあるまいと思いながら今シーズンもそのサイトを訪れて探してみたところ、何とよそでは売り切れて定価の 2 倍とか 3 倍の値段で売られている Motus AR Hoody が定価で販売され在庫が残っていた。こういう例は一度や二度ではなく、何度か経験した。

インターネットに情報が増えすぎて、 Google としても検索結果に表示するページは絞るしかないのだと思う。すると Google にとってクローリングしやすく、サイトの更新を追っかけやすいサイトばかりが検索結果に表示されるようになる。サイトのレスポンスが遅かったり、構造がいまいちイケてないサイトは検索結果に出てきづらくなる。その結果、同じようなページばかりが検索結果に表示され、一部のサイトにだけトラフィックが集中して独自サイトにはアクセスが集まりづらくなってきている可能性がある(だから自分が買ったショップのページでは Motus AR Hoody のような人気商品が売れ残っていた)。

インターネットは情報の非対称性を下げて、より取引を効率化するものだと信じてきてが、どうやらそうではないようだ。一部のページにだけアテンションが集中し、むしろ情報の非対称性が高まっている。あっという間に定価で売られていた商品が売り切れてモノの値段がつり上げられ、一方でアテンションを集められないサイトでは売れ残ってセールになっている。経済学のセオリー通りなら、市場の原理が働いてギリギリに近い競争均衡価格で商品は取引されるはずだが、実際には逆の現象(正規販売店による定価販売と一部の転売業者による価格つり上げ販売)が起こっている。

EC サイトだけでなく、ブログや個人のウェブサイトでも同じような問題が起こっているのではないかと感じる。 Google のコアアルゴリズムアップデートで自分のブログも随分 Google 検索からの流入が減った。

2015 年からの月ごとの検索流入の推移

実際には存在するのに、 Google から不遇されて存在しないことになってしまっているウェブサイトがインターネット上にはきっとたくさんあるだろう。

昔のインターネットのような、検索結果をたどればたどるほど新しい情報と出会えていた頃が懐かしい


  1. 2023-01-18 訂正: patagonia.com から patagonia.jp へのリダイレクトは2023年1月18日時点では機能していなかった 

| @雑談

福岡県水産海洋技術センターから見る脊振山

年が明けてからやるのはどうかと思うが、タイミングがなかったので今さらながら 2022 年のふりかえり。

ランニング

2022 年はよく走った。これまでも何度か走ってると書いていたが、ちゃんとグラフにしてみると 2022 年の 8 月までは大して走っておらず、 2022 年の 9 月から本腰を入れて走るようになったようだ。

オレンジ色の線が 2022 年のもので、9 月から傾きが急になっている。 9 月は月間 110km 走った。月間 100km はフルマラソンに出られる基準のようなのでこの頃は調子こいていた。

ランニングの頻度を上げるのに役立ったのが計画表だった。それまで漫然と走っていたが、漫然と走っていると月間 100km も走れないことに気がついた。自分は一回 5km 走っているが、それを気が向いたときに週 2, 3 度やるだけだと月間 50km くらいにしかならない。きちんとランニングした日と距離を確認していかないと目標には辿り着かない。ログは Apple Watch で取得しているが、統計データとしては見られない。なので HealthFit というアプリを使っているが、 HealthFit では目標設定ができないので Numbers でシートを作って管理することにした。これは元はてなのディレクターの二宮さんの記事の真似。

こちらが年間の週次のランニング計画。

年間ランニング計画

こちらが月間の日次のランニング計画。

月間ランニング計画

月間のシートに日次の目標と実績値を入れると、年間の週次のシートに自動反映される仕組みになってる。これによって自分は一週間に何 km 走る予定で現在目標に対してどのくらい達成しているのかを確認できるようになる。

37signals の本を読んで、計画を立てるのはアホだ、数値目標なんて意味がない、未来を先読みすることはできない、という発想に影響されて計画を立てたりするのは何となく良い印象を持っていなかったけど、月間何キロくらい走りたいとか、ベンチマークとなる具体的な数値目標がないとなかなか実績は積み上がっていかないと思う。もちろんまだ走ったことがない状態でいきなり月間 100km のような目標を立てるのは愚かだと思うが、そこそこ走れるようになってきたら(自分の力がわかるようになってきたら)計画を立てたり数値目標を設定したりするのは悪くないことだと思う。

9 月にがむしゃらに走ったおかげか、最近は走るペースが一段速くなっていて、 1km を 5 分台で走れるようになってきた。今年はちょっと色気を出して初心者向けのトレランの大会に出てみようかと思ってる。

登山

4 月に脊振山系全山縦走、 11 月に九州脊梁に行った。夏に北アルプスを予定していたが、ちょうどコロナにかかって行くことができなかった。何にせよ最近は山に登るのよりも近所を走る方が楽しいので山への足が遠のいた一年だった。登山時の体力作りで走り始めたのに本末転倒している。

仕事

一昨年は結構でかい成果を出せたが 2022 年はぱっとしない一年だった。反省したい。

生活

iPhone を買い換えて 11 から 14 Pro になった。カメラが三つになって望遠の写真を撮れるようになったのが便利。 Dynamic Island も便利。タイマーかけてるときに常に Dynamic Island で残り時間を確認できるのは相当便利。 164800 円払ってよかった( 36 回ローン)。

サウナにハマってぼちぼち行っていた。サウナーの人たちのように一週間に何回も通うというほどではないが、金曜日の仕事帰りにサウナまで走って行ってサウナに入って帰るというのを何回かやった。花金感が出て良い。

2020 年に車を買い換えたがあまりドライブしてない。アメ車なので燃費が悪い、コロナなので出かけづらい、などいろいろあるが、せっかく車を買い換えたのに使わないで置物になってるのはもったいないので有効活用したい。

そういえば 2022 年は YouTube をよく見た。 YouTube Premium に入ったので広告が表示されなくなり、邪魔が入ることなくとてもなめらかに動画を視聴できるようになった。 Netflix はあまり見ていなかったので解約し、 YouTube で素人が上げる動画をよく見た。ストーリーのない、ただ料理をしているだけとか、ただ穴蔵を掘っているだけの 15 分くらいの動画を見るのがちょうどよい。 Netflix の動画は長いし、ことあるごとに金、暴力、セックスを意識させられるので見るのがきつい。こってりしすぎている。

ブログ

Tantivy を導入して全文検索できるようにした。検索も見た目を変えてインクリメンタルサーチできるようにしたりした。年に一回くらいはバズる記事を書きたいが、 2022 年は不作だった。反省したい。

総括

仕事や生活、ブログは本当にぱっとしなかった。その代わり走ることを頑張っているのかも知れない。ランニングや登山は、大して頑張って生きていないのに走ったり山に登ったりするとめっちゃ頑張ってるかのような錯覚を得られて自己肯定感が高まる。仕事などでもちゃんと成果を出しつつ走ったりできたら良いのだけど自分の場合は逃避になってるような気がする。しかし走るのをやめたら仕事で成果を出せるかというとそうでもないし、遺伝的に糖尿病のリスクがあるので発症しないように死ぬまで走り続けるしかない。 2023 年は運動しつつ仕事やブログ書きでも一定の成果を上げたい。あともうちょいサウナに行きたい

| @雑談

阿蘇山上広場

正月に読んだ以下の記事のはてブコメント欄が賑わっていた。

賛同する意見も見られたが、どちらかというとサウナ好きを揶揄するようなコメントが目に付いた。ヒートショックで遊んでるバカどものような言われ方をしている。

自分はサウナ好きなのだが、ととのった状態の説明は元の記事のものだと不十分というか、自分の考えるととのうとはちょっと違うなという気がした。観念的なものではなくもっとフィジカルな状態で、頭がぐらぐらする。たばこを吸い始めた頃のヤニクラに近い。少なくとも自分にとってのととのうはヤニクラ的な状態のことを指す。

昨日サウナに行って、水風呂後に外気浴スペースのインフィニティチェアに寝っ転がっていたら心臓がドクドクしている感じがはっきりと知覚できて少々不気味だった。ミーバンドで心拍数を確認すると 50 そこらで安静時心拍数そのものだけどドクドク感が胴体に広がる感じ。サウナ・水風呂後のヤニクラ状態は気持ちがよいのだが、確かにあまり健康的な状態とは言えないかもしれない。

しかしととのう(ヤニクラ状態に至る)ことがなかったとしても、サウナにはメリットがある。

数ヶ月前のヒトデさんの日記で以下のような記事があった。

この記事中のおっさんはととのっていない(ヤニクラ状態に至っていない)のではないかと思う。サウナ 5 分では短すぎてととのうほどの心拍数にはなっていないだろう。自分の場合は心拍数を 140 程度に上げたあと水風呂で急速冷却して頭をもたれられる椅子に座って休憩しているとととのう。

しかしととのわなくてもこのおっさんの言うとおり、サウナと水風呂をやった日はとんでもなくよく眠れる。 30 代になってから眠りが浅くなったと思っていたが、子どもの頃はこんな風に寝られていたなというのを思い出す感じの深い眠り。ととのわなかったとしても、深い眠りを得られる点が気に入っている。

めっちゃ健康に気をつかっていてサウナ・水風呂に入らなくても快眠できている皆様はどうぞサウナに来ないでください。しかし、普通の生活を送っていて年をとって眠りが浅くなったなぁとお困りの方にはサウナおすすめです。よう寝れます