フローズン・リバー

評価 : ★★★★★

あらすじ

アメリカとカナダの国境付近に暮らす貧しい白人女性レイの話。貧しいながらも家を買いトレーラーハウス暮らしに別れを告げる予定だったが、ある日夫が住宅の購入資金を持って蒸発した。期限内にお金を払わないと手付け金がパーになり家を買えなくなってしまう。レンタル家具など様々な支払い期日が迫っており一日も早く夫を見つけ出すか現金を用意する必要があった。困窮したレイが選んだ選択肢とは。

感想

すごい映画だった。貧しい白人の話というのは貧しい黒人の話よりも悲惨になる場合がある。

特に悲しいのがレイの長男TJ。責任感とか使命感が強くて、貧しい一家のためにアルバイトをしたいと申し出るんだけど、まだ15歳だからダメだといって母親は取り合わない。でも実際は子どもたちの毎日の昼食代にも事欠くような状況で、息子は息子なりに詐欺師っぽいアルバイトに手を染めたりする。

レイは失踪した夫が乗っていた車に乗るネイティブアメリカンの女ライラを捕まえて車を奪い返すんだけど、実はその女は密入国の斡旋業者で、ひょんなことからレイもその仕事に手を染めることになる。「白人は警察に怪しまれないから」とライラは言う。

日本で普通に暮らしてると、アメリカと言えばオバマとかシリコンバレーとかサブプライムローンとかイラク戦争とか沖縄の海兵隊とか、そういう部分にしか思いが至らないんだけど、アメリカにはネイティブアメリカンの問題があることを思い出させられた。

ネイティブアメリカンには部分的な自治が認められていて、彼らが暮らす居留地には警察は立ち入ることができない。フローズン・リバーとはアメリカとカナダの居留地にまたがった河が冬季に凍結してできる秘密の道のことを指しており、ライラとレイは万一警察に見つかっても安全なこの道路を使って密入国の幇助をするのだった。

レイがなかなか勤め先の100円ショップで正社員として働かせてもらえず経済的に困窮する様子や、長男のTJが少しでも家の役に立とうとバーナーを使って大工仕事をしようとする様子がとても切なかった。まるで大草原の小さな家を見ているかのよう。アメリカの白人っていうとみんなそこそこ裕福で楽しく暮らしてるようなイメージがあるんだけど、中より下の階級のアメリカ人は医療保険にも加入できず、満足な医療も受けられないまま死んでいったりしてる。中途半端なプライドがあるから人の施しに頼ることもできず、貧乏なマイノリティの映画とはまた違った悲しさがある。

ドキュメンタリーとドラマで全然ジャンルは別物だけど、僕はなんだか『アンヴィル』にも通じるものを感じました。かなりすごい映画だった!

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