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杖立の赤い吊り橋

転職してリモートワーク始めて 5 ヶ月たった。 Basecamp (旧 37 Signals )の本で読んで夢にまで見てたリモートワークだけど、始めてみると理想と現実は違った。

良かったところは?

リモートワークだと通勤時間がないとかがよくあげられる。しかし自分の場合は福岡に拠点がある東京の会社に雇われていてそこで一人で仕事してるので通勤時間ゼロにはなってない。家で仕事する日もあるけど大体毎日片道40分くらいかけて通勤してる。必要なミーティングさえ外さなければ病院行ったりとか子どもの面倒見たりとかできるのはよい。あと午前中家で仕事して、昼間の空いてる電車に乗って座って仕事しながら出社できるのも良い。ただ仕事に時間の区切りがなかったり家で仕事できるということは、気になる仕事を夜や休みの日に家でやってしまって、フルタイムの社畜に成り下がってしまうリスクを伴うので注意が必要。

さみしいのか?

さみしいとか思うことはほとんどない。所帯持ちなので家に帰ったら嫁さんと子どもいるから全く孤独ということではないし、適度に前職の同僚の人たちと昼飯食いに行ったり酒飲みに行ったりしてる。ただ人と話すのに金かかるようになったの結構痛い。人と会うときは常にどっかに飯食いに行ったり酒飲みに行ったりという感じなので、交際費的な名目で毎月 2 万円くらい飲食にお金使ってる気がする。小遣い実質ゼロ円なので毎月子どもの頃に貯めたお年玉貯金を切り崩してしのいでる。

つらいか?

つらいかと言われればつらい。仕様の確認とか。毎日顔をつきあわせて仕事してたら簡単なことがリモートワークだとかなり難しい。 Slack や zoom などのコミュニケーションツールはあっても、姿が見えないのでいつ話しかければ良いかが分からない。大海原に一人で放り出された感がある。リモートワークできる人は限られてくると思う。

これらの経験を通して、大事だなと思ったことをまとめてみます。

大事なこと(道具編)

道具がリモートワークの質を左右する部分がある。インターネットの回線とかマイクとかカメラの品質を侮ってはいけない。

1. 良いインターネット回線

インターネットの回線悪いと会議してるときに聞こえないことあっても、大人数対一人でやってるとなかなか聞き返しづらい。なので回線はできるだけ太くて安定したやつを使うのが良い。よく分からない Public な共有 WiFi とかはネットを見るのには良くてもミーティングとかには使えない。インターネット回線は独自のものを使い、 WiFi は IEEE 802.11ac が望ましい。 Apple の AirMac Extreme が 50 デバイスまで接続できておすすめです。

2. 良いマイク

Rebuild.fm の初期エピソードと最近のやつを聞き比べて欲しい。 miyagawa さんがマイクにこり始めてからのエピソードの方が圧倒的に聞きやすい。会社でイエティマイクを買ってもらって使ってて、高いからもちろん高性能なのだけど、意外と良いのが iPhone についてくる Apple 純正イヤフォンマイク。高級イヤフォンつけてる人よりも Apple 純正の安いイヤフォンマイク使ってる人の方が声聞き取りやすかったりする。

3. 良いカメラ

カメラ、安いやつ使うと画質ひどい。変なエフェクトかかって真面目な話してるのにふざけてると思われたりして損な感じ。実はこれも MacBook Pro についてる Apple の標準カメラがかなり画質良い。

4. 良いビデオ会議ツール

Zoom というサービスを会社では使っている。複数人通話も無料で使えて Skype よりも便利。画面の共有も簡単。ユーザーアカウント作る必要もない。ほかにエンジニア同士だと appear.in というブラウザだけで完結するサービスを使ったりもする。

良い道具を使うことで避けられる問題は金で解決するのが一番です。

大事なこと(心構え編)

リモートワークをこなす上での心構えと、どんな人に向いていないかについて書きます。

1. 顔つきあわせて話す機会必要

全然人間的な関係が構築できていない状態でいきなりリモートワークやれっていうのは無理がある。人間は対面で話していると表情や身振り手振りなどで相手が冗談を言っているのか怒っているのかわかるものだけど、ビデオ通話越しだとその辺のことがとてもわかりにくい。なのでこの人はこういうとき冗談を言う人だとか、この人はとても怒りやすいとか、そういうパーソナルな情報を対面のコミュニケーションで補完する必要がある。自分は入社して最初の一ヶ月間、東京で仕事してある程度会社の人たちと仲良くなって、そのあとも月一回は東京に行って一週間ほど東京で仕事してる。ようやく最近同僚感出てきた。

2. オフィスにいる人たちの理解

リモートワークをする本人の能力が高ければ当然のことのようにリモートワークできるというわけではない。オフィスにいる人たちの協力がないとリモートワークは成立しない。たとえば職場では、ミーティングにリモートの参加者がいるときにはオフィス内にいるメンバーも全員ビデオ電話越しに話して同じ状況でミーティングに参加し、オフィス内のメンバーだけで議論が進まないように配慮している。リモートで働く人、オフィスで働く人お互いが協力して初めてリモートワークは成立する。

3. コミュニケーション不全を受け入れる

ビデオ電話で会話できるとはいっても、対面で話してたらすんなり頭に入ってくることも、ビデオ電話越しだとなかなか理解出来ない。人間は表情とか身振り手振りでのコミュニケーションが割合に多いということがよく分かる。思ったこと、考えていることを 100% 伝えられないかもしれない、という前提のもとで仕事する必要ある。なので確認はしつこいほど行った方がよい。

まえリモートワークつらい、みたいなことを Twitter に書いてたら、フリーランスで受託開発してる人だったら、顧客企業の担当と十分にコミュニケーションできないとか当たり前だし、リモートワークなんて余裕だと思う、という反応があった。確かにそうかもしれない。人から指示が来るのを待っているだけだと全然仕事が進まない。分からないことがあったらこちらからがんがん聞きにいって、自ら積極的に行動しなければならない。言われたことだけをやるという感じだと普通の会社でも使えない人みたいな烙印押されるけど、リモートワークだとその傾向が顕著になる。自分はこれまでの人生完全な指示待ち人間だったので普通の人以上にリモートワークをつらく感じるのだと思う。

このように圧倒的な当事者意識や頻繁な声かけなど、人間力の高さがリモートワークには求められると感じる。一人で誰とも話さずに仕事するのに逆説的な感じするけど、人とコミュニケーションとるのがいやな人にはリモートワーク向いてないと思う。

ここまで書いたところであらためて Basecamp の『強いチームはオフィスを捨てる』を読み直してみたら、自分が書いてきたことと同じことが書いてあった。リモートワーク、最近はニュースでも取り上げられたりしてサイコーみたいな扱いが多いけど、やっぱりつらい部分もあって、彼らもそのことについて触れていた。詳しくは「リモート時代のマネジメント」の章を読んでください。

まとめると、リモートワーク、本人の適性のほかに、会社自体がリモートワークを受け入れる準備ができていることが重要だと思う。また人とのコミュニケーションが好きではない人には向いていないと思う。むしろコミュニケーション能力高い人じゃないとつとまらない。

休みの日にゼータガンダム見てて、ニュータイプだったらリモートワークをうまくこなせるだろうなって思ってしまった。物理的に離れていても感覚で相手のことが分かるあの感じ。「この感覚、アムロ・レイか」。逆にいうとリモートワークをこなしていくことでニュータイプ特性を開花できるかもしれない。結論としてはリモートワークしたい人はゼータガンダム見てください。君は刻の涙を見る。


この記事はリモートワーク Advent Calendar 2015 の 23 日目の記事だけど二日遅れで書いています。遅れてすみませんでした。