| @映画/ドラマ/テレビ

パイレーツ・ロック

評価 : ★★★☆☆

あらすじ

舞台は1960年代のイギリス。当時は政府によって音楽が規制され、ラジオでポップミュージックは一日45分しか流せなかった。これに対し海の上から一日中ロックを流す海賊ラジオ局が北海上に氾濫し人々を熱狂させていた。たばこと大麻が学校にばれて高校を退学になったカール(主人公)が母親の薦めで海賊ラジオ局にやってきて成長していく話。

なかなか痛快だった。特に良い味出してたのが海賊ラジオ局の船長クエンティン役のビル・ナイ。小泉純一郎をもっとかっこよくしたみたいな感じのおっさんで、バリッとしたスーツを着こなしアホなことを言う。あとザ・カウントというアメリカ人DJ役のフィリップ・シーモア・ホフマン。この人はデブのオタク役みたいなのが多いけど、この映画ではロックンロール魂あふれる体育会DJとして登場してた。とてもかっこいい。特にタイトな革のライダースジャケットを着てスタイニーボトルのビールを飲みながらDJやる姿とか。こういうデブならもてる。

一応高校を退学になった若者カール(童貞)が主人公で彼のビルドゥングスロマン的なストーリーなんだけど、主人公はあまり目立たない。クエンティンの姪っ子を紹介されて良い感じになってたのに船の他のメンバーに寝取られたり、狭い船の中でメンバーが女の子を奪い合ったりと結構えぐい。他のメンバーの嫁とセックスしたアメリカ帰りのイケメンDJギャヴィンが、「これもロックミュージックの暗部だ」とかいうセリフをシリアスな表情で吐くシーンがとても面白い。こんな感じでセックス関連の出来事がコミカルにさらっと流されるんだけど、自分が良い感じになってた女の子が他のメンバーとベッドインしてる現場を目撃したりしたら、普通はノイローゼになっちゃうよな。

音楽自体はとても良かった。僕はあんま1960年代のブリティッシュロックは詳しくないので、新鮮な気持ちで鑑賞することが出来た。ロックは家で聞いててもあまり良いって思うことがないんだけど、映画館とかライブハウスとかで大きな音で聞くとすごく良いなって感じるからとても不思議だ。

| @映画/ドラマ/テレビ

バッド・ルーテナント

評価 : ★★★☆☆

ニューオリンズの腐敗しきった警察を描くバイオレンスムービー。僕はギャグ映画として楽しみました。

いやー、ひどい映画だった。『空気人形』で交番の警察官役の寺島進がレンタルビデオ屋にやってきて「なんかこう、悪い警察官が出てくる映画ないの?」っていうセリフをはくんだけど、そのときにオススメしたい映画ナンバーワン。ニコラス・ケイジが演じる刑事がとんでもなくひどいの。麻薬捜査で押収したコカインをその場で自分で服用しちゃったりするんだから。売春婦と付き合ってるし警察官つーよりマフィアなの。んでまたニコラス・ケイジがコカインをキメるときの表情がやばいんだ。他人の女と青姦しながらピストルをぶっ放したりする。ひどいったらありゃしない感じです。

最終的にニコラス・ケイジは悪とつるんだりもするんだけど、ウルトラCみたいな悪事を働いてめでたしめでたしみたいなラストを迎えます。そんなことあってたまるかよ感じなんだけど。一般のコメディで笑えない人とかは見てみると良いかも知れないです。

| @映画/ドラマ/テレビ

ジュリー&ジュリア

評価 : ★★★★☆

料理の映画。第二次大戦直後、パリ駐在の外交官の妻ジュリア・チャイルドが書いたフランス料理についての本がアメリカでヒットした。50年後、現代に生きる料理好きのOLジュリーがその本を手にとり、ブログで524のレシピを再現していくストーリー。実話がベースらしい。

すごくよかった。ジュリア役のメリル・ストリープは正直苦手なんだけど、ジュリー役のエイミー・アダムスはかわいいので大好きだ。

メリル・ストリープの演技はアメリカで本人に似すぎだと話題になったらしい。YouTubeでジュリア本人がやってる料理番組の映像を見てみたところ、確かにそっくり! このジュリア・チャイルドって人はアメリカではかなり有名人なようで、アメリカ人が見るのとアメリカ人以外が見るのではずいぶん印象が違うと思う。僕がもしアメリカ人だったらまた違った感想を持ったんだろうけど、とにかくエイミー・アダムスがかわいすぎてそれしか頭に残ってないです。

ジュリーは学生時代は作家志望だったんだけど夢叶わず、9.11で心に傷を負ってしまった人たちの電話カウンセリングをする公務員みたいな仕事をやってる。彼女は映画のなかで29歳から30歳になるんだけど、学生時代の友達はみんな若いのに成功してて、なんかスゲー役職に就いたりやり手ジャーナリストになったりしてる。ランチで集まってもみんな片時も携帯を離さない。なんかこの辺のおいてけぼりな感じは『サンシャイン・クリーニング』のときと似てる。

でもエイミー・アダムスは短髪になってより一層キュートになってる。美人過ぎないかわいさがある。どん引きするくらい美人な女優はいっぱいいるけど、映画の中のエイミー・アダムスはさえない男でも手が届きそうな普通のかわいい女の子を演じてる。そこがすごくいい。実際ジュリーの夫は全然イケメンじゃないんだけど、衝突しながらも一生懸命ジュリーと彼女のブログを支えていく。ほんわかしていてとてもいい感じでした。ジュリーが作る料理がとてもうまそうなのもいい。僕はフランスパンをフライパンでバター焼きにしてトマトやパプリカをのっけて食べる料理がすごくうまそうだので真似してみたんですけど、これが非常にうまかったです。元気ないときに見ると元気出ること請け合いです!

| @映画/ドラマ/テレビ

キャラメル

評価 : ★★☆☆☆

舞台はレバノンのベイルート。若い女の子が三人で美容室を営んでるんだけど、それぞれ不倫とか結婚とか同性愛(?)とかでトラブルを抱えてる。彼女たちと周りの人々との交流を通して女の生き方みたいのにクローズアップした映画。

監督は一応主人公っぽい役柄だった美容師役の女の子らしい。映画を見終わった後、映画館のお姉さんに「どうでしたか?」って感想を聞かれたんだけど、正直なところ監督兼主役の女の子のむちむちしたミニスカート姿がセクシーだったことしか頭に残ってなかった。すみません。

レバノンといえば、一月に見た『戦場でワルツを』の舞台でもあるんだけど、戦場だった面影はない。そうだといわれなければ気がつかないくらいに劇中のベイルートは明るい。美容室はポップだし、街には活気がある。女の子達はみんな着飾ってて肌の露出も多めだし、中東っぽさはほとんどない。キリスト教徒の国なため、教会の人が街を歩いて回るシーンとかあるから、ワンシーンだけ見たら東欧らへんの映画だって感じるかも知れない。

個人的に印象に残ったのは仕立直し屋を営むのおばあさんの話だった。痴呆症の姉と二人で暮らしてるんだけど、あるときアメリカ人の紳士が客としてやってきて、お互い惹かれ合うようになった。あるとき紳士はおばあさんをデートに誘う。でもおばあさんは痴呆症の姉のことが気になって…。女性の生き方とかそういうのは良く分かんなかったけど、この仕立て直し屋のおばあさんの話は切なかった。

どうでもいいことだけど、レバノンではむだ毛処理にキャラメルを使うんですね。

| @映画/ドラマ/テレビ

ハイ・フィデリティ

評価 : ★★☆☆☆

シカゴで中古レコード屋をやってるおっさんの話。

DVDで見た。大学生の頃にビデオで見たときはあまりおもしろさが分からなかったというか多分最後まで見ないで返却した。今回は一応最後まで見ることが出来た。

なぜいまさらハイ・フィデリティなのか。理由は(500)日のサマー。いろんな人がブログに書いてるサマーの感想を読んでいると、ハイ・フィデリティと対比されてることが多い。

で、改めて見ての感想だけど、ハイ・フィデリティの主人公の人生はうまく行き過ぎだと思った。人生そんなに甘くないよ。確かに主人公はしょっちゅう女の子にふられてて、その原因っつーのは(500)日のサマーのトムとは似てると思うんだけど、草食系っぽさがない。(500)日のサマーのトムはジョゼフ・ゴードン=レヴィットのなで肩がよく表しているように、なよなよっとしている。煙草は吸わないし。その辺がえらい違いだなーと思った。(500)日のサマーは暴力男とはほど遠いし、積極的に女の子を傷つける訳じゃないのに、結果的に傷つけてるのがあの映画のミソだし。

結局ハイ・フィデリティの最後はハッピーエンドだし、(500)日のサマーほどには入り込めなかった。レコ屋のバイトのハゲ(なよなよっとしてるけど、音楽トークで盛り上がって客の女の子とデートする)が主人公になったら共感できそう。

| @映画/ドラマ/テレビ

インビクタス‐負けざる者たち‐

評価 : ★★☆☆☆

クリント・イーストウッド監督。南アメリカのネルソン・マンデラの話。モーガン・フリーマンがマンデラ役。大統領就任翌年の1995年、南アフリカは長年アパルトヘイトへの制裁措置として出場が禁止されていた国際スポーツの舞台への復帰が許され、自国でラグビーワールドカップを開催することになっていた。伝統的に南アフリカのラグビーチームは白人主体のチームであり、黒人からはアパルトヘイトの象徴と見なされていた。黒人による“革命”が成し遂げられたあと、黒人たちは代表チームの愛称(スプリングボクス)とジャージー(ユニフォーム)のカラーリングを変更しようとしたが、マンデラはそれを止めさせた。彼の真意は何なのか。

『グラン・トリノ』がすごくよかったので期待していたけど、肩すかしを食った。ラグビー代表チームのキャプテン、フランソワ・ピナール(マット・デイモン)と協力してスプリングボクスを新南アフリカの調和の象徴としようとするんだけど、なんか違う。

全般的にストーリーが単純というか、映画の世界が狭い。マンデラの周辺の人物達の描き方が単純に見えた。一国の大統領の割にはあまり仕事らしい仕事をしてなくて、ラグビーチームのことに熱を上げすぎてる。僕の目には肩入れ具合が不自然に写った、「こんな漫画に出てくるみたいな大統領いないでしょ」って。あとマンデラが聖人君子に描かれすぎ。人間ってこんなに単純じゃないんじゃないかな。大統領就任後に離婚した嫁さんの話とかがない。

もっとも強烈に違和感があったのがラグビー試合のシーン。まるでアメフトみたいだった。ラックやモールに全然人が入らないし、スクラムはやたら選手の腰の位置が高いし、スクラムの中で手を使ってるようにも見えるし、ラグビー知ってる人だったら興ざめする感じの内容だった。決勝でオール・ブラックスと対戦するからってんで無理矢理ジョナ・ロムー(ニュージーランドの怪物ラグビー選手。ウィングなのに120kgも体重があって足が速かった)風の俳優を登場させるんだけど、なんか中国人っぽいし、オール・ブラックスが試合前にやるハカも無理矢理挿入してる感があった。やっぱアメリカ人の監督にはラグビーの映画を撮るのはむずかしいのかな。ラグビーのこととかよく知らない人の方がかえってこの映画は楽しめるかも知れないと思った。

そもそも長らく国際試合をしてなかった南アフリカ代表が、世界最強のオール・ブラックスに勝っちゃうのは、史実ではあるわけだけどとても違和感ある。マンデラが音頭をとって選手達を応援したから勝てた、みたいな描かれ方なんだけど、選手達自身が相当特訓を積んだんじゃないかな。フランソワ・ピナールとマンデラの絆というか交流ばかりに焦点が当てられてなんか違うんじゃね、と思った。

蛇足

僕はどうも英語の映画を見るときは英語の種類の方に目というか耳がいってしまう。南アフリカの英語がどんなものなのかは分からないけど、マット・デイモンやその家族、恋人役の俳優達はイギリス英語ともアメリカ英語とも異なる英語を喋っていたように見えた(南アフリカは黒人は黒人の土着語を話し、アフリカーンスの白人はオランダ語っぽい方言を話すみたい)。完全な蛇足です。

| @映画/ドラマ/テレビ

戦場でワルツを

評価 : ★★★★☆

イスラエル映画。1982年のレバノン内戦が舞台。主人公は19才のときに徴兵でイスラエル兵として戦場へ赴いた経験のあるアリ・フォルマン監督自身。戦後20年以上が経過してから急に戦争中の体験がフラッシュバックするようになったという戦友の話を聞かされて、自分自身も気味の悪いフラッシュバックを繰り返すようになった。しかし戦争の具体的な記憶はどうしても思い出せない。いったい1982年のレバノンでフォルマンはどんな体験をしてきたのか? 当時の戦友やジャーナリストのもとを訪ねて過去の自分を思い出そうとする、ドキュメンタリーとドラマの中間のような映画。

予告編からすごくおもしろそうで楽しみにしていた。一応高校の頃は世界史選択でそこそこマニアだったけど、中東の近現代の戦争の記憶はすっかり抜け落ちてる。なぜレバノンの内戦にイスラエルが介入したのかも把握せずに鑑賞したけど、アニメーションで生な戦争を見せつけられた感じ。ショックだった。

アニメなのにリアル

ジブリアニメと全然違って写実的。まるで映像をトレースしたかのような印象を受けるんだけどそうじゃないらしい。ちゃんと人間が描いていて、Adobe Flashとかいろいろ使ってアニメーションを作ってるそう。しかも3Dをあえて2Dに見せようとしたりしてるんだって。スゲー。

印象に残った映像表現を列挙。

  • 夜の市街戦で照明弾がゆらゆら煙をたてながらゆっくり降りてくる感じがすごくリアルだった。不気味さが際立つ。
  • 野戦で装甲車から機関銃をぶっ放しながら草原の道を抜けるシーンでは、銃口から飛び散る火花の様子が印象に残った。
  • あとイスラエルの名物戦車、メルカバ。通信用に戦車からアンテナが伸びてるんだけど、この揺れ方もとても凝っていた。メルカバの重量感が伝わってくる。

こんな感じで、国産アニメーションでは見られないような、かといってハリウッドのアニメとも違う、リアリティーにこだわった表現方法。指を負傷して手の第一関節から先がない兵士が出てくるシーンもあり、かなり生々しかったです。アニメなのにリアル。

イスラエルをテーマにした映画を見る度に思うこと

全般的に際立つのやっぱりイスラエルの異質さだった。レバノンは中東では珍しいキリスト教徒が過半数を占める国らしいんだけど、イスラム教もシーア派、スンニ派がそれぞれいて、これにパレスチナ難民(PLO)も加わってカオス状態に。レバノンの内政にシリアが干渉したことでシリアと敵対してきたイスラエルも口を挟むようになり、PLOもいるってんで紛争はぐちゃぐちゃになった感じだったようです。

フォルマンが戦場から休暇でイスラエルに帰ってくるシーンがあるんだけど、ここも印象に残った。直接イスラエルに危機が及んでいるわけではないのに戦地に派遣されて若者が命を危険にさらしている。休暇で国に帰ってきてみると街ではセックス・ピストルズの曲なんかが流れてる。ディスコでは出征前に別れた恋人が激しい音に合わせて踊っている。自分は何のために戦っているんだろうという虚無感みたいなものが伝わってくる。映画の中のイスラエルからは、戦争するために戦争しているような印象を受ける。

僕はとてもいい映画だと思ったんだけど、この映画にはアラブ諸国からは反発があるらしい。フォルマンがどうしても思い出せなかった戦争中の記憶というのはベイルートで起こった虐殺事件のことなんだけど、映画ではイスラエルは傍観者として描かれている。レバノンのキリスト教徒がイスラム教徒を虐殺したわけだけど、イスラエル兵らは異常を関知しながらもどうすることもできなかった、というような描き方をしているわけ。でも実際のところ虐殺事件でキリスト教徒のグループはイスラエル軍の制服を着てイスラエル製の武器を携帯してたってんだから、イスラエルは傍観者だったという描き方はナイーブに過ぎるというか、イスラエルをイノセントに描きすぎなんではないかということらしい。一理あるかも。

実はこの映画、2009年のアカデミー賞外国語部門にノミネートされてて、『おくりびと』と受賞を争ったんだけど、僕的には断然この『戦場でワルツを』の方が面白かった。

蛇足

この映画は熊本市新市街のシネパラダイスで鑑賞したんだけど、なんと明日1月31日で閉館するらしい。知らなかった。Denkikanとシネプレックスにはずいぶん金にならないであろう単館系映画を見させてもらったので残念でならないです。