| @映画/ドラマ/テレビ

マン・オン・ワイヤー

評価 : ★★★☆☆

いまはなきニューヨークのワールド・トレード・センターの二棟のあいだにワイヤーを通して綱渡りしちゃったフランス人の話。

アカデミー賞のドキュメンタリー部門取ってるらしい。確かにすごいことはすごい。でもぶっちゃけ面白いかって言われると、うーん、微妙。

フランス人のフィリップ・プティは大道芸人。ある日突然綱渡りに惹かれてそれ以後憑かれたように高いところで綱渡りをする。ノートルダム寺院とかも渡っちゃう。物語のクライマックスはワールド・トレード・センターを綱渡りするところ。これが1974年。これを現代からフィリップや彼を支えた友人達が回想するという筋書き。再現ドラマも織り交ぜられるんだけど、驚くことに彼らが当時取ってた16mmフィルムの映像がメイン。だから本人主演の再現ドラマを見ているような錯覚にとらわれる。若い俳優を無理に老けさせたり、年老いた俳優を無理に若作りさせたりとかそういうんじゃない。16mmに映ってる若い頃のフィリップ達は素人なんだけどなぜか俳優っぽく見える。大道芸人だからだろうか。だから再現ドラマと当時の映像の部分でブツ切れ感がなくて非常になめらか。この辺は確かにすごい。

しかしドキュメンタリー映画の常というべきか、あらかじめ予備知識を頭に詰め込んどかないと辛い。最初沢山登場人物が出てきて喋るので、誰が誰なのか分からなくなる。そして展開がめまぐるしい。僕は食後に見てしまったので丁度眠くなるタイミングと重なり、前半はあんまり記憶に残ってない。

ドキュメンタリーとはいえちゃんと筋書きがある。いかにしてバレないようにワールド・トレード・センターに忍び込むかといった準備のシーンはスパイ映画みたいでドキドキハラハラさせられる。フィリップと恋人、友人達の間の人間模様の変化も大変興味深く描かれる。綱渡りを決行する前に、無許可の綱渡りは違法だからと恐れをなして計画を降りるヘタレが出たりする。それで計画が大幅に狂ったり。

綱渡りを達成した後、当然彼らは警察に捕まる。とはいえフィリップ本人は快挙を成し遂げたのでスター扱いされる。しかし彼を支えた友人達が英雄視されることはない。偉業を達成するのだけどおかげで友情が崩れ、恋人との関係もおかしくなる。

最後、フィリップは一人で黙々と綱渡りのトレーニングをする映像が挿入される。しかし恋人や幼なじみの友人は去ってしまった。すごいことを成し遂げたけど、結果的に彼は一人になった、という風に受け取れる。夢のために失ったものも大きかった。単なる綱渡りの映画ではなかったね。

| @読書

世界は村上春樹をどう読むか

評価 : ★★★★☆

村上春樹の小説の翻訳者達が東京に集まって開かれたシンポジウムを書籍化したもの。面白かったです。

例によって印象に残ったところを過剰書き的に書き出しながら書いていきます。

翻訳先の国の発展度に応じて訳が変化する

中国語圏では台湾や大陸、香港とそれぞれ別人によって訳されたバージョンが存在するらしい。それで訳され方が異なるのだとか。例えばノルウェイの森で主人公が夜中の新宿の喫茶店でトーマス・マンの『魔の山』を読んでいると二人組の女の子がやってきて相席になるシーン。ここで主人公はカフェオレとケーキを注文するのだけど、台湾版ではカフェオレが何であるかの注釈付で訳され、大陸版では「コーヒーとハンバーガー」と訳されてしまっているらしい。これから分かることは、少なくともノルウェイの森が翻訳された時点で台湾ではカフェオレはまだ一般庶民になじみが深いものではなく、中国大陸では終夜営業の喫茶店に入ってカフェオレとケーキを頼むというニュアンスが読者に伝わらないため、カフェオレはコーヒーに、ケーキはハンバーガーに置き換えられたのだろう、ということ。文化的社会的な背景から直訳が難しい箇所があるというわけ。例えば村上作品にはジャズのレコード名が沢山出てくるが、中国語にはカタカナがないため、またロシアではジャズの知名度自体が高くないので翻訳者は訳すときに難儀するらしい。この辺の事情話は非常に興味深かった。旧共産主義国ではジャズに限らず、冷戦時代の映画やロック、ポップミュージックなどのバンド名を書き連ねてもニュアンスが伝わらないだろう。だからといって作中の固有名詞を好き勝手なものに変えてしまってはまずい。例えば僕が村上春樹の短編の中で好きな「ファミリー・アフェア」(『パン屋再襲撃』に収録されてる)にはホセ・フェリシアーノフリオ・イグレシアスが頻繁にネタキャラとして登場する。ダメな音楽、ダサい音楽の象徴として登場するのだ。ホセ・フェリシアーノフリオ・イグレシアスは『夜のくもざる』という短編集の「フリオ・イグレシアス」の中にも登場する。これがめっぽう面白いのだけど、もしこれが適当に他のアーティストに置き換えられると印象が変わってしまうだろう。僕は個人的にはホセ・フェリシアーノを現代のアーティストで置き換えるとしたらリッキー・マーティンなんかが良いんじゃないかと思うんだけど、村上春樹はこの辺にはかなりこだわりを持ってチョイスしていると思うから、うかつに記号をすげ替えるわけにはいかないだろう。翻訳者の苦労が想像できる。

Continue reading...

| @Mac/iPhone

最近、映画の感想を書くときはなるべくMicroformatsのhReviewで書くようにしてます。検索ロボットにもっと僕の映画評読んでもらいたいと思って。Googleの映画検索はとても便利なんですけど、レビューの点数拾ってきてるのは映画生活とgoo映画が殆ど。これ一般人のブログからも点数拾ってきたらすごく面白いだろうなー、そのうち僕の映画レビューの点数も拾ってくれるようになんないかなー、と思って今んとこ無駄な労力かも知んないけどhReviewにこだわって映画評書いてます。

で、hReviewなんですが、どういうのかっつったらこういうのです。

<div class="hreview">
 <span class="reviewer vcard">
  <span class="fn">anonymous</span>, 
  <abbr class="dtreviewed" title="20050418">April 18th, 2005</abbr>
 </span>
 <div class="item">
  <a lang="zh" class="url fn" href="http://www.imdb.com/title/tt0299977/">
  Ying Xiong (<span lang="en">HERO</span>)
  </a>
 </div>
 <div>評価:5 点満点中 <span class="rating">4</span> 点</div>
 <div class="description"><p>
  この映画は音楽と映像が素晴らしい。 </p></div>
</div>

こいうのを毎回入力するのはさすがにしちめんどくさい! HTMLとかプログラミング言語とかのコードの断片をスニペットって言うんですけど、入力する頻度が高いスニペットはクリップボードみたいのに常に保持できたら便利ですよね。ワンクリックで呼び出してコピペできたら手間が省ける。そういうののイカしたアプリねーかなーと思ってたら、先日macZOTでSnippetというソフトに出会いました。これがなかなか良い感じ。

詳しくは開発元が公開してるビデオを見て欲しいんですけど、こんな感じです。

</embed>

Snippet App from Stephen Korecky on Vimeo.

ちょっと英語が「うぇいうぇいあ〜」みたいな感じで聞き取りにくいですけど、HUDライクなUIでかっちょよくスニペット管理が出来ます。僕がこれまでに試してみたことのあったスニペット管理アプリはメニューバーから呼び出すのではなくアプリケーションウィンドウで管理するものばかりで、結局常用するに至りませんでした。気軽にコピペする気にならない。

翻ってSnippet.appは Control + s でお気軽お手軽に呼び出せます。ホットキーが充実してるのでマウス操作なしでスニペットの追加、参照が可能。加えて検索が高速で、Tag付けも可能なので大変気に入ってしまいました。MobileMe経由で同期することも可能なので、自宅のMacと職場のMacでスニペットを一元管理みたいなエロい使い方もできますね。

Codaとかはアプリケーションのなかにスニペット管理機能が付いてますけど、コードの断片はアプリケーションを横断してやり取りしたくなるもの。軽くてホットキーで呼び出したらメニューバーからにょきにょきっと現れて高速にスニペットを参照できるSnippet.appはかなりオススメです。シェアウェア$12.95ですが、Twitter(@snippetapp) でよくディスカウント情報流してます。良かったらチェキラーしてください。

| @映画/ドラマ/テレビ

レスラー

評価 : ★★★★☆

ミッキー・ローク主演。かつて隆盛を極めたプロレスラーの20年後を描いた映画。これは良かった。グラン・トリノの次くらいに良かった。五つ星あげたいけど何となく四つ星で。

主人公のランディ・ザ・ラムは若い頃は人気を誇ったプロレスラーなんだけど、名声は過去のもの。いまは年を取り、昼間はスーパーの倉庫で肉体労働をする傍らインディーズのプロレス団体に所属して巡業に臨む日々。稼いだ金は全部筋肉増強剤や痛み止めなど薬品の購入、美容院での毛髪脱色、日焼けサロン代などに消えていく。往年のライバルとの再試合を控えたある日、試合後のロッカールームでステロイド剤の副作用による心臓発作を起こし、医者にはプロレスを辞めないと命はない、という忠告を受ける。

若い頃からプロレス第一で家族を顧みなかったランディは、唯一の肉親である娘とは絶縁状態。一人寂しくトレーラーハウスで暮らす孤独な人生なんだけど、心の拠り所はストリップクラブで働く踊り子のキャシディ。辛い試合の後はストリップクラブに行ってキャシディに話を聞いてもらう。

マリサ・トメイかわいすぎる

もちろんミッキー・ロークの演技も良かったんだけど、僕が一番良いと思ったのはランディが思いを寄せるキャシディ役を演じたマリサ・トメイ。この人がとにかくかわいい。

the_wrestler_marisa-tomei.jpg
Marisa Tomei Pulls a Benjamin Button marisa-tomei – Socialyz.comより拝借

なんと映画撮影時は44才! ストリッパー役だから当然脱ぐんだけど、スタイル抜群やでしかし。とても44才には見えない。映画の中でストリップ・クラブの客が「おばさんはちょっと…」とか言ったりするんだけど、どう考えてもその辺の20代のギャルより色気満点だろ。演技も良い。ランディが絶縁状態にある娘との関係修復のためにアドバイスをもらおうとたびたびクラブにやって来るんだけど、そのときはかたくなに客と踊り子の関係の一線を越えないようにと、ランディとの間に壁を作ろうとする。そこがまたかわいい! なんつーのかな、ストリッパーなのに滅茶苦茶ガードの堅い女の子みたいで正直萌えた。多分キャバクラにハマる人は、なかなかプライベートな関係になれないキャバ嬢を落とすところに楽しみを見出してるんじゃないかな。ただ女の子と飲むために30分5000円払うとか意味分からんし。ちょっとキャバクラ通いの人の気持ちが分かった気がする。

プロレスの舞台裏がかいま見える

プロレスの内幕が見られるところも面白かった。試合前の控え室ではレスラー達がその日の試合の筋書きを綿密に打ち合わせてしてる。こういう流れで始めてどの技でフィニッシュとかそんな感じ。第一試合でヘッドロック使ったら二試合目ではやらないようにするとか、試合ごとにネタがかぶらないように配慮するところなんかまるでお笑いショーみたいだった。ちょっとネタバレ気味になってしまうんだけど、劇中、ランディーのところに若手のレスラーが試合前の挨拶に来る。このとき「お前は才能あるよ。今日は対戦できるのを楽しみにしてる」なんて言いながら、若手レスラーが控え室を出て行った後に手首のテーピングの下に剃刀を仕込むシーンがある。「うわ、汚ねぇ」なんて思っちゃったんだけど、これも客を楽しませるための演出。相手に対して剃刀を使うわけではなく、ダウンしたときに客にバレないように自分で額を切って流血させるのだ。「そういうことかー」と感心してしまった。

ほかにプロレスラーのサイン会のシーンとかもリアリティーあった。年老いたかつてのレスラーたちがファンが来るのを待ってるんだけど、会場はがらんとしてて、みんな杖とか車いすとか人工膀胱とか付けてたりする。プロレスは筋書きがあってやらせであることは確かなんだけど、肉体を酷使することもまた確か。好きなことを貫く人生も大変なのだ。

大人の情欲は子どもを傷つける

物語中盤でランディは娘と関係修復しようとするのだが、プロレスの観戦に行ったあとの打ち上げのバーで逆ナンされて若い子と情事に及んでしまい、娘とのディナーの約束をすっぽかしてしまう。こういう筋書きって良くあるような気がする。前『8月のメモワール』だっけかで見た覚えがある。大人が性的な欲望をこらえきれずに子どもを傷つけるっていう流れ。実は良くあるアメリカ映画と違って結局ランディは娘と関係を修復することはできず、最後もはっきりしない終わり方をする。ちょっと意外な終わり方だった。

監督が男前

ちなみにこの映画の監督ダーレン・アロノフスキーは映画会社からニコラス・ケイジを主人公に起用するよう要請されてたらしいんだけど、どうしてもミッキー・ロークがいいと譲らなかったそう。それで制作費を減らされ当初はアメリカでの公開劇場数もすごく少なかったらしいんだけど、ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞したし、興行成績もまずまずだった模様。受賞にはならなかったけどアカデミー賞にミッキー・ロークとマリサ・トメイがノミネートされてたみたい。

ニルヴァーナはクソ

ランディとキャシディがバーでビールを飲みながら、ヴァン・ヘイレンの曲に会わせてリズムをとるシーンがある。そこで二人とも意気投合して80年代は良かった、90年代はクソだ、80年代はなーんも考えなくて良かったのに90年代になってニルヴァーナが出てきて深刻になった、みたいな趣旨のことを話す。正直なところこの映画でのランディのファッションはホームレス手前だしレスラー風の長髪とかダサダサであんまり好きにはなれないんだけど、このニルヴァーナ評は面白かったし共感した。僕もニルヴァーナの精神世界みたいのは理解できない。その点、レッチリはニルヴァーナと同時代から活躍してるけど、90年代の陰鬱な雰囲気とカリフォルニアの明るい雰囲気をうまく止揚して2000年代っぽさを出してると思う。悲しい歌詞の曲もあるし、ジョン・フルシアンテとかスゲー悲壮感あふれる曲が多いけど、レッチリの面々はコミカルで明るくて楽しい。元ニルヴァーナのデイヴ・グロールだってFoo Fightersでは明るい曲や楽しいプロモーションビデオでニルヴァーナとは違った面を見せる。そういう意味ではこの場面はとても示唆に富んでいた。何気ないシーンなんだけどね。

総評

今年見たアメリカ映画では『グラン・トリノ』が良かったけど、こちらもアメリカ映画としてグラン・トリノとは違った独特の良さがあると思った。見るかどうか迷ってる人は見て損しないですよ。オススメです。

| @音楽

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのリバイバル上映を見ました。良かった。

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブってのはキューバにあった伝説のダンスクラブで、昔は流行ってたんだけど潰れてしまった店のことです。そこに出入りしてたミュージシャンたちは長らくキューバ国内でも忘れられた存在で、ミュージシャンの中には音楽をやめて靴磨きをして糊口をしのいでいた人もいたんだけど、キューバ音楽の素晴らしさに魅せられたアメリカのロック歌手ライ・クーダーが、老いさらばえゆく伝説のミュージシャン達を集めて名曲の数々をスタジオで録音したのでした。この映画はライ・クーダーとブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブの活動をヴィム・ヴェンダースが撮影したドキュメンタリー映画なわけです。僕はそもそもライ・クーダーのこともよく知らないんですけど、失われつつあるキューバ音楽の名曲郡をきちんと録音して残しておきたいという姿勢は素晴らしいなと思いました。

僕はブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブの映画が公開されてた頃、雑誌とかで良くとり上げられてたのを見て、映画は鑑賞せずにCDだけ買いました。CDを買ったのは19才くらいの頃だったんですけど、正直全然良さが分からなかった。シャレオツ雑誌に騙されてまた無駄なもんかっちまったーなー、って当時は思いました。それが去年の夏、たまたまiTunesに入ってたブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのアルバムを聴いたらなんだかしみじみと良さが分かってきた。僕ももう30手前のオッサンですから、それなりに人生いろいろあったわけでして、それで良さが分かるようになったのかなー、って思ってます。

で、映画を見て初めてスペイン語の訳詞を読んだんですけど、正直歌ってる内容がどうで良いこと過ぎてビビりました。誰それの家が火事だとか、どこどこの牧場でパーティをやっているだとか、あの娘のケツがたまらんだとか云々。でも苦労が多かったミュージシャンそれぞれの人生が演奏ににじみ出てて良い。やっぱ人生はアニータみたいな中南米出身の悪い女の人に騙されてこそだな、と思いました。僕も悪い女の人に騙されて身も心もズタボロにされたいです。

| @映画/ドラマ/テレビ

劔岳 点の記

評価 : ★★★☆☆

お台場アクアシティ・シネマメディアージュで鑑賞。JCBカード提示で1500円だった。

明治時代、日本陸軍は日本地図を完成させようと、前人未踏と言われる立山の剱岳への登頂を目指していた。そこに三角点を設置して測量を行うのだ。しかし設立されたばかりの民間組織である日本山岳会も剱岳登頂を目指していた。豊富な資金力でヨーロッパ製の近代的な登山装備を誇る山岳会に対して、柴崎芳太郎(浅野忠信)の率いる陸軍測量隊は旧式の装備しか持たない。しかし地元の村で雇った宇治長治郎(香川照之)のガイドで何とか目的を達する。

ネットのレビューでは評判良かったけど、そんなに良い映画だとは思えなかった。確かに映像は素晴らしい。なんか日本を代表するカメラマンの人が監督したらしい。立山から見える富士山の映像とか、夕焼けを雲の上から見るシーンとか、NHKの山ドキュメンタリーにも勝てそうなくらいのハイクオリティ。でも浅野忠信と宮崎あおいのいちゃつきシーンとか必要ないと思うし、そもそも浅野忠信の嫁役は宮崎あおいよりも檀れいの方が良いと思うし、ストーリーの展開がどったんばったんな感じだった。

とにかく生意気な松田龍平がムカついた。浅野忠信は公務員系の役ってどうなのかなって思ってたけど、これからそっち方面の堅めの実直な人物も演じられるようになっていくかも知れない。そこそこマッチしてた。特に人夫の香川照之を立てようとするところとか好印象だった。浅野忠信には戦争映画とかやってもらって、真面目な日本兵役とか演じてもらいたいな。

| @映画/ドラマ/テレビ

チェンジリング

評価 : ★★★★☆


"チェンジリング [DVD]" (クリント・イーストウッド)

下高井戸シネマで鑑賞。

1930年代のアメリカ、ロサンゼルスが舞台。主人公のクリスティンは電話交換手のシングルマザー。息子のウォルターと映画を見に行く約束をしていたある土曜日、どうしても人手が足りないと急遽仕事にかり出されることになった。暗くなる前に帰るからと息子に言い残して仕事に出かけるのだが、帰宅すると家にウォルターの姿はない。近所を探しても見つからないため警察に電話するのだが、「迷子は24時間は捜査しない決まりになっている」とつれない。果たして息子は見つからず、五ヶ月が経過した。ある日職場にロサンゼルス市警の刑事がやってきてクリスティンにウォルターが見つかったと伝える。しかし、引き合わされた「息子」の身長は失踪前より低くなっており、どう考えても別人だった。しかし警察は「あなたが動揺しているんです」と言って取り合わない。それどころか警察の言うことを聞かないため精神異常者であるとして精神病院に入院させられてしまう。果たしてウォルターは見つかるのか? クリスティンの運命は?

見逃していた映画を見られて良かったんだけど、ブログなどで絶賛されるほどに素晴らしい映画だとは思わなかった。やっぱクリント・イーストウッド作品で言うなら圧倒的に『グラン・トリノ』の方が迫力あるし面白い。でも警察権力が暴走したらどうなるかだとか、人間の同一性の証明が案外に難しいことの描写とかは興味深かった。自分が失踪したときに別人に成りすまされないためには、近所付き合いを良くしてマメに歯医者に通う必要があるなと感じた。

映画では1930年代のロサンゼルスの街並みがとても美しくCGで再現されていた。路面電車が走る感じとか良い。ヨーロッパの都市みたいな趣がある。いつかアメリカ行ってみたい。