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登山道上のケルン

はてなブックマークがユーザーインタビューをするということで、はてブに対する思いをネットに発露している人達が散見された。

自分はコロナ禍になって気がつくとはてなブックマークばかり見ていてヘビーユーザーになっていた(ブックマークはあまりしてなくて見る専)。会社の人との雑談がなくなり、息抜きしたいときにははてブを見る暮らしをしている。

なのでインタビューに応募してみたのだが、どうも落選してしまったみたいなので、はてブについての考えを書いてみることにする。

はてブのバリュープロポジション

まずはじめに、はてブとは何なのか、どんなメリットがあって使っているのかを整理したい。はてブには以下の三つのバリュープロポジション(価値訴求)があると思う。

  • インターネットで何が話題になっているかがわかる
  • ほかの人がコンテンツにどのような評価をしているか確認できる
  • 見かけた情報をあとで参照するために保存しておける

インターネットで何が話題になっているかがわかる

そこを訪れればいま何がインターネットで話題になっているかがわかる。ニュースサイトに張り付いてくまなく記事を読まなくても、はてブを訪れれば話題になっている情報だけを効率的に摂取することができる。

ほかの人がコンテンツにどのような評価をしているか確認できる

SNS ・掲示板サービス的な側面であり、ほかのユーザーと交流することができる。また、ほかの人のコメントによって大まかなコンテンツの概要を把握することもでき、コンテンツの要約機能も提供している。

見かけた情報をあとで参照するために保存しておける

そのまんまブックマークサービス的側面のことだ。当初オンラインブックマークサービスはこの側面をウリにして始まったと思うが、今日、この部分よりも何が話題になっているかの確認や、他の人のコメントを読みたくて利用している人がほとんどだと思う。

はてブの中の人もその辺は認識済みのようで、はてブのウェブサイトを未ログインで訪れるとサインアップを促すダイアログが表示され、「同じページを読んだ人の感想が集まります」とメッセージが記されている。「ブックマークしておいてあとから確認できます」とか「異なるパソコン間でブックマークを共有できます」みたいなことは言ってない。正しいと思う。

はてブ未ログインダイアログ

プラットフォームとしてのはてブ

プラットフォームとしてはてブをとらえたとき、ユーザーはコンテンツ(ブックマークコメント)の生産者と消費者に二分される。コンテンツの最初のブックマーカーになること、面白いコメントを書いてスターを獲得することをモチベーションとし、公開でブックマークするのが生産者で、消費者は生産者がブックマークしたコンテンツや、生産者によるブックマークコメントを読むことを目的にはてブを訪れる。ブックマークコメントが面白ければはてなスターを送る。はてブのような CGM では生産者と消費者はスパッと二分できなくて、あるときには生産者でありあるときには消費者であるというのが特徴だ。書籍『プラットフォーム革命』ではこの生産者と消費者の価値交換のことを「コア取引」と定義している。

はてブ考(コア取引).svg

はてブというプラットフォームを成長させるためには、プラットフォーム内で価値交換の回数を増やすことが超重要だ。

なお、はてブの外にインターネットを置いてみると、はてブというのはコンテンツ消費プラットフォームという側面が見えてくる。はてブ内の生産者も消費者も、インターネット上に存在する様々なコンテンツを閲覧する立場には変わりがない。

はてブ考(プラットフォーム).svg

はてブに集まっている人は、コメントする人もしない人も、インターネット上の情報をみんなで消費しているのだ。

高い生産者率

少し前、インターネット利用者の行動がだんだん見えなくなってきているということについても記事を書いた。

あとの方になってからインターネットを使い始めた人々にとっては、インターネットとは自分から情報を差し出す場ではなく、情報を摂取する場なのだ。買い物をしたり、動画を見たり、音楽を聞いたりしているだけだ。自分でウェブサイトを持ってブログを作ったりしている我々は、今日のインターネットにおいて決してマジョリティではない。

受動的にインターネットを使うだけの人に、 1990 年代の終わりに我々インターネット老人が感じたのと同じような興奮や感動を与えられるのだろうか。多分、発想を転換しないと難しいだろう。我々が面白がったインターネットと彼らが欲しているインターネットは別のものなのだ。ただ受動的に使っているだけでより便利になり、快適になっていくインターネットをどうやって作っていくかが見えないインターネットの時代のテーマになると思う。

スマートフォン全盛時代になってインターネットを使い始めたユーザーは生産者側に回ることが少なく、ひたすらコンテンツを消費しているだけという話だ。

一方ではてブを見ると、ブックマークにコメントが付いている割合(生産者率)が高い。 2022年6月11日のホットエントリーの記事執筆時点でのコメント率を調べてみると以下のような感じだった。

コメント率

中央値 平均 最大 最小
38.1% 38.4% 76.8% 2.5%

この日のホットエントリーの 1/4 以上が 50% 以上のコメント率となっている。この生産者率は CGM サービスとしては高い方だと思う。

生産者率が高い理由とその影響

生産者率が高いのは以下の背景があると考える。

  1. コメントをしやすい設計になっている
    コメントが 100 文字一回だけで投稿の敷居が低く、また他人のコメントを読むコストも小さい。
  2. 安全地帯からコメントできる
    ブックマークされるコンテンツの著者からは直接言い返されることのない安全地帯からコメントすることができる。
  3. 無名ユーザーでも承認欲求を満たしやすい
    フォロワーの多寡に関係なく内容本意で評価されてスターをもらえるため、承認欲求を満たしやすい。例えば Twitter であればたくさんいいねをもらうためにはフォロワーが沢山いるか、拡散力のある人からフォローされていないといけない。はてブではブックマークされるコンテンツが主なので、今日登録したアカウント(お気に入られがゼロ)でもコメントが面白ければ評価される。

コメントをしやすいことと、反論されにくいこと、承認欲求を満たしやすい特性から、ときにはネガティブなコメントが集まる力学が働いてしまっていると考えられる。

ブックマークされるコンテンツ

ブックマークされるコンテンツの変化

はてブにブックマークされるコンテンツにはここ数年変化があったのではないかと思っている。昔は Photoshop や CSS テクニック、 jQuery プラグインの話のほか、 PHP やセキュリティの話題、シリコンバレーのテック界隈事情、ポール・グレアムやアーロン・シュワルツの翻訳などを見かけることが多かったが、ウェブ開発系の話題は減り、増田とニュースサイトの記事、そして Togetter が目立つようになった。

実際のところどうだろうと思って、 5/13 ~ 6/11 の 30 日間の人気エントリーページに掲載されているコンテンツのドメイン別のブックマーク数を、 2022 年から 2007 年まで遡って調べてみた。

2010 年頃までは個人のブログやウェブサイトでもランキング上位に入れていたが、 2011 年頃からまとめサイト系が勢力を伸ばしてきている様子がうかがえる。ただしまとめサイト系も転載問題や2ちゃんねるの規制強化で情報転載元がなくなりすぐに失速している。

2012 年から 2010 年と 2011 年に勢いがあった Photoshop VIP のサイトが下落し始める。 CSS や Photoshop 、 jQuery プラグイン的なアレだ。 2010 年代前半までは本当によく目にしていた。 2014 年に Photoshop VIP はランク外となる。

2010 年代中盤以降は今日と同じような顔ぶれに変わる。 ITmedia や CNET など老舗のネットニュースメディアや Lifehacker 、 GIGAZINE などの翻訳転載系・暇つぶし系ネットメディアは上位に入りづらくなった。かわりに NHK や新聞社が目立つようになる。かつて新聞社はインターネットにちゃんと取り組んでなくて、サイトにニュースはほとんどなく、ニュースはポータルサイトで読むみたいな時代が続いていた。スマートフォン全盛時代を迎えて一般ユーザーがインターネットに増えてきたので、それにあわせてマスコミも考えを変えてきたのだと思う。

なお一位と二位はここ数年はてな匿名ダイアリーと Togetter が確保している。この点については後ほど詳しく述べる。

下がるブックマークされるコンテンツの多様性

総ブックマーク数と総コンテンツ数を見るとこうなっていた。

総ブックマーク数と総コンテンツ数

両者とも右肩上がりで好ましいように見える。 2022 年の総ブックマークが下がっているが、これはタイムラグが存在するためで、この集計後もブックマーク数はじわじわ伸びると思われる。

30 日間でブックマークされるホスト(ドメイン)の数を集計してみるとこうだった。

ホスト数

2014 年頃に 400 ホスト超あったのが 2018 年に 167 ホストまで大きく落ち込み、その後少し回復したが 2017 以前の水準には戻っていない。

なお、 2018 年に総コンテンツ数とホスト数が減っているが、この年の 5 ~ 6 月にはてブはシステムリニューアルをしていたようだ。総コンテンツ数とホスト数が減っているのはその影響だろう。

ブックマーク数が多い上位 10 ホストへのブックマーク数、ブックマークコンテンツ数の集中度合いを調べたものが以下だ。

ブックマークの集中度合い

ブックマーク数もコンテンツ数も年々集中度合いが高まってきている。 2018 年頃に 50% を超えて、いまでは 6 割近くが上位 10 ホストのコンテンツで埋め尽くされている。いつはてブを開いても同じようなサイトの記事ばかり並んでいるなぁと思っていたが、それが印象ではなくデータとして裏付けられた。

また昔の話に戻るが、ホームページを作る人のネタ帳というブログがある。 CSS ネタなどの合間に話題となるような世俗的な記事を挟み、かつては 1000 ブックマーク以上つくような記事を量産していた。最近、ホットエントリーに入っていないなと思ってる方も多いのじゃないかと思う。もうなくなったのかなと思ってサイトを見に行ってみたところまだ存在していて、かつてほどではないにせよいまも記事が投稿されていた。しかしこのサイトの最近のブックマーク数は 100 にも到達していない。一桁のものも目立つ。とはいえ 1000 ブックマーク付いていた頃と比べて内容が変わったようには思えない。

ホームページを作る人のネタ帳の人気エントリー ホームページを作る人のネタ帳の最近のエントリー
ホームページを作る人のネタ帳はかつては 1000 以上ブックマークされる記事を量産していた(画像一枚目)が、最近の記事は少ししかブックマークされていない(画像二枚目)

はてブのユーザー層が変わったから? それだけではないと思う。ブックマークされるコンテンツの集中度合いが高まることによる影響だと考える。

はてブではホットエントリーに入ることでブーストされてさらにブックマーク数が伸びるという現象がある。昔は個人サイト・ブログでもホットエントリー入りが容易だったが、今日ではマスコミのニュース記事がブックマークされるコンテンツとして大勢を占めるようなり、個人サイトがホットエントリー入りしづらくなってきている。ホットエントリー入りしなければ以前と同じようなコンテンツでもブックマーク数が伸びづらくなってくる。

伝統的な経済学は有限な資源をどう配分するかを問題としてきた。資源とは天然資源のことだけではなく、商品一般とかお金のことを指すこともある。しかしインターネットの世界では限界費用がゼロなので、コンテンツ自体は無限に複製できる。有限なのは人間の時間の方だ。なのでユーザーの時間をどのように効率的に配分していくかが重要になってくる。その貴重なユーザーの時間の争奪戦に個人サイトが参入しづらくなってきている。

ユーザー層の変化

ブックマークされるコンテンツが変わったということは、ユーザー層も変わってきているのではないかと考えられる。

上述の通りホットエントリーの総合でウェブデザインや HTML 系の話題を見かけることはなくなった。かつて目立っていたソフトウェアエンジニアやデザイナーの割合は減ってきていると思われる。かわりにオフィス勤務の事務職やフリーランスの非 IT 技術者が増えている印象がある。妄想ユーザー像は以下だ。

高学歴理系男性で IT リテラシーが高く、パソコンを使う仕事をしていて仕事中に自由にインターネットを使える人が多そうだ。

思想的な特徴はリベラル寄り(立憲民主党支持)だ。ただ、ロシアのウクライナ侵攻や立憲民主党の党首交代でちょっと雰囲気が変わった気もする。

資産運用やマンション購入などの記事が定期的に話題になるのでそこそこ経済的にゆとりがある人が多そうだ。ただしめちゃくちゃリッチな人は少ない印象。関東や東海、近畿の大都市で中の上くらいの暮らしをしていて実家は朝日新聞を購読してる、みたいな感じの人が多そうだ。

はてブに寄生するウェブサイト・サービス

Togetter の脅威

2021年どこのサイトが最もはてブのホットエントリに入ったかという記事があって、ここ 3 年のブックマークされたコンテンツ数をドメインごとに集計すると、一位がはてな匿名ダイアリー(増田)で二位が Togetter のようだ。段々増田と Togetter の差が縮まり、2021年は肉薄している。

増田 Togetter
2019 14.2% 13.3%
2020 13.3% 11.3%
2021 12.4% 12.1%

先ほどの表でもここ数年、一位と二位は増田と Togetter だったが、今年は Togetter に逆転されて匿名ダイアリーが二位になってしまった。

Togetter ははてなのエコシステムにとって脅威だ。折角はてブが集めたアテンションを奪っている。個人的に最も問題だと感じるのが Togetter に表示されるエログロマンガや豊胸、手のシミ除去、精力剤、毛生え薬、歯の黄ばみ除去、鼻の毛穴につまった脂除去などのグロテスクで低俗な広告で、はてブを見ていると必然的に Togetter も見ることになり、 Togetter の悪趣味な広告がはてブの UX も悪化させている。一時に比べれば減ったが、5ちゃんねる系のまとめサイトや Twitter まとめブログのようなものは今日も生き残っていて、はてブ経由で獲得したユーザーに対して低俗な広告を表示している。 Togetter とあわせてはてブに寄生する厄介な寄生虫のようなものだと思う。

はてブからまとめサイトなどを除外したホットエントリー一覧ページを作って公開しているサイトなんてのもある。自分のブログへのリファラーとして残っているだけでも以下だ。俗悪コンテンツを削除した上で独自の広告を入れているものもある。

Togetter やこれらのはてブのデータを加工したサイトは、はてブから獲得したアテンションやはてブのコンテンツを無料で利用し、お金(広告収益)に換えている。

はてブの競合

はてブの価値訴求が「インターネットで何が話題になっているかがわかる」と、「ほかの人がコンテンツにどのような評価をしているか確認できる」、「見かけた情報をあとで参照するために保存しておける」であることは最初に述べた。競合に関してはそれぞれの価値ごとにリストアップできる。

「インターネットで何が話題になっているかがわかる」サービスとしての競合

  • Twitter

Twitter の Explorer ははてブにとって驚異だと思う。まだいまはローカライズやパーソナライズが甘い(話題が広すぎる)気がするが、もっとニッチな情報や属性に応じた情報の出し分けが進めばいまはてブを見る専で使っている層にも響くかもしれない。現実問題、一般のインターネットユーザーやテレビ局の人達は Twitter の Explorer 経由でインターネットの動きを把握してそうだ。

「ほかの人がコンテンツにどのような評価をしているか確認できる」サービスとしての競合

  • NewsPicks
    • ニュースに対する識者のコメントを読める
  • Yahoo! ニュース
    • 有象無象のコメントを読める
  • Twitter
    • いろんなユーザーのコメントを読めるがあまりまとまっていない
  • 5ちゃんねる?
    • まともな人はもう使ってなさげ

ニュース記事に他の人がどんな評価をしているか、ニュースの背景に何があるのかを知りたくてはてブを見ることが多い。はてなユーザーのなかにはその分野の識者のような人がいて、ニュースの背景にある事実を解説してくれてたりする。

その識者のコメントを読める部分を強化しているのが NewsPicks だと思う。ちょいと前に以下のような記事を書いた。

人間は見たものをどう評価・解釈するかを他の人と共有したい欲求がありそうだ。また、他の人がどう思っているかを知りたい、それを見てからコンテンツを消費するか決めたいというコンテンツ消費の二軍みたいな人たちもいる。コンテンツが無数に溢れているから、あまり面白くないコンテンツで時間を無駄にしたくないという心理が働くのだろう。

人々は情報を摂取するときに、みんなで情報を咀嚼したいという欲求があるように思う。ラピュタの放送があるときに Twitter で「バルス」と言ったり。みんなでコンテンツを消費する方が楽しいのだ。

また数多くあるコンテンツの中からどれを消費すれば良いかわからない、というのもある。自分が信頼するあの人(はてブのお気に入りユーザー、 NewsPicks の著名人)がコメントしているものを読みたい、という欲求もあるだろう。

はてブはこのような仕組みを作ったパイオニアだとは思うが、 NewsPicks はもっと洗練したやり方でこの手法をコピーしていると思う。

はてブと NewsPicks の比較.svg

はてブにはかつてははてなダイアリー、いまははてなブログや匿名ダイアリーなどがあってブックマークしたくなるコンテンツがあり、そこにブックマークコメントが集まってみんなでコンテンツを消費する循環ができていた。

NewsPicks がその仕組みを真似たのかどうかは知らないが、一般のニュースや識者によるコンテンツと企業経営者などを集めてきてコメントしてもらい、一般のユーザーを集めている。

「見かけた情報をあとで参照するために保存しておける」サービスとしての競合

  • Pocket
  • Instapaper
  • ブラウザーのネイティブブックマーク
    • Safari や Chrome にはリーディングリスト(あとで読む)機能がある

最近はブラウザーにリーディングリスト機能が実装され、クロスデバイスでブックマークを同期するようになってきているのでオンラインブックマークの役割は薄れつつある。またブラウザーのブックマークと違い、オンラインブックマークを繰り返し見ることはないはず。ショートカット的な利用はブラウザー内のブックマークの方が便利だ。

はてブはニュースサービス、コメントサービス(ほかの人の感想・要約確認サービス)としての側面を強化していくのが良いと思う。ブックマーク機能ではブラウザーのネイティブブックマークに勝てないと思う。

はてブのマネタイズ

はてブの課題は、折角集めたアテンションを Togetter などの寄生するサービスに奪われてマネタイズの機会を逃していることだ思う。ユーザーは俗悪・低劣な低俗広告を見せられ、儲かるのは寄生サービスだけだ。はてなもユーザーも損をしている。折角はてブで獲得したアテンションを外部の人達にマネタイズされないようにしないともったいない。

UA で外部サイトからブロックされてしまう危険も伴うが、有料プランを作って有料プラン加入者には AdBlock サービスを提供したり、 Reader モードでの閲覧を可能にすると良いだろう1。 Twitter Blue のようなサービスだ。 Togetter などに表示される手のシミ、インプラント、増毛、豊胸、エログロマンガなどの低俗広告を見なくて済むようになるのであれば自分は加入したい。

はてブの中でもっとも価値があると思われるホットエントリーの情報をぶっこ抜いて自サイトの広告に置き換えて流用するサイト、サービスも問題だ。 Twitter が外部クライアントの API 利用を制限してきたことは問題視されてきた。一インターネットユーザーとしては Tweetbot など好きな Twitter クライアントで Twitter を利用したいが、 Twitter 自体のマネタイズを考慮すると、(広告を入れるために)あのような API 利用制限は仕方がなかったと思う。はてブでも何らかの近しいことをして、ホットエントリーなどの貴重な情報を簡単に他者が利用できるような状況は是正しなければならないと思う。もし使いたい第三者がいるならば、登録制にしてきちんと対価を得るべきだ。

いまはもうなくなってしまったはてブの有料プラン、はてなブックマークプラスの機能を見ると、想定するターゲットユーザーがはてブのアクティブなユーザー(プラットフォームの生産者的な側面が強い人達)を対象にしていたように思う。例えばタグの一括編集とか。そんなのにお金を払いたい人は多くはないだろう。

Autify CEO の近澤さんのブログに書かれているみたいに、顧客の Burning needs をつかみに行くことが大切だ。

はてブの大多数の物静かなユーザーは何を求めているのだろうか。

はてブの未来

この記事を書いていてはてブを作った伊藤直也さんのブログ(元ははてなダイアリー)を読んだ。

直也さんは HBFav を作ったときの記事(「はてブよりソーシャルゲームじゃなかったのかセニョール」)で、今後人々は知っている人経由でニュースを読むようになるというマーク・ザッカーバーグの発言を引用している。

また以下の記事で、他人との関係性がコンテンツ価値に影響を与える( t_wada さんの食に関するツイートは無価値的な話)とも書いている。

これまでは確かにそうだったかもしれないが、今後は違うのではないかと思っている。上の方で述べたブックマークされるコンテンツの集中度合いが高まってきていることからも明らかだが、より普通の人がインターネットに増えてきていることが関係している。普通の人は SNS で気が合いそうな人を見つけてフォローしたりしない。 Instagram で誰かフォローするにしてもセレブや有名人ばかりという人は多いんじゃないだろうか。

ソーシャルなつながりによって閲覧するコンテンツを探したいと思っているのは我々インターネット老人だけなのではないかと思う。デジタルの世の中では時間が最も希少価値が高いものだと書いた。そういう時代にあって人々が求めるのは外さないコンテンツだろうと思う。ど定番の巨人・大鵬・卵焼き的なコンテンツか、その人の趣味嗜好を反映し高度にパーソナライズされたコンテンツだろう。

その上で、これからのはてブが提供できる価値は他者と共同でコンテンツを消費する部分にあるのではないかと思っている。

  • みんなと一緒に一つのコンテンツを消費することで理解を深める
  • より深くコンテンツを楽しめる
  • ソーシャルリーディング

跋文

最後に、今回のユーザーインタビューの募り方に関しては疑問がある。公式ブログでインタビュー候補者を募るとはてブ愛が強い層が応募してきてインタビュー結果に偏りが出ると思う。

日頃のはてなブックマーク開発ブログの文面からも、はてブ開発チームの皆さんが既存ユーザーを大切にしていることが伝わってくる。もちろん既存ユーザーを大切にすることは大事なのだが、はてブはインターネットが大好きなインターネットおじさんをターゲットにしているだけでは伸び代が限られると思う。

スマートフォンが普及してからインターネットを使うようになった層ははてブを通り越して NewsPicks やスマートニュースなんかを使っていそうだ。そういうライトユーザーをどう引き寄せるかがはてブの今後の成長の鍵になると思う。インターネット老人はいずれ死ぬし数も限られている。

難しいかもしれないが、はてブに登録してすぐ使わなくなった離脱ユーザーとか、そういうおとなしいユーザーを見つけてきてインタビューする方が有益なインサイトが得られると思う。少なくともインタビュー相手は応募してくるのを待つのではなく、利用状況を分析してはてブ側が話を聞きたい相手をリクルーティングしていくやり方の方がよいと思う(もし見えないところでそういうことをされてたらすみません 🙇🏻‍♂️ )。

インターネットはこのまま放っておくと我々インターネット老人がインターネットを始めた 1990 年代末期とは異なる世界になっていくと思う。自分には進化しているようで退化しているように感じられる。そのうち別に記事を書こうと思っているが、 RSS が使われなくなったかわりにメールマガジン(ニュースレター)が流行るとか、トラックバックがなくなって、誰かのブログに言及してブログを書いたときには SNS で知らせる必要があるとか、文章で読めば 1, 2 分で済む内容がわざわざ動画化されていて 10 分強じっと動画を見なければならないとか、昔のインターネットの方が進んでいた、というような状況はいくつかある。我々が失ったウェブ的な話だ。

はてブとはてなにはインターネットの先進性をキープしつつも、 2020 年代の人々のニーズにマッチする機能を提供していって欲しい


  1. ただしはてな自体が広告モデルのビジネスをやっているので蛸が自分の足を食べるみたいな状況になってしまう懸念はある 

| @雑談

GRiPS

福岡の宗像市に GRiPS というアウトドアショップがある。

このブログでも何度か触れているし、ウルトラライト( UL )な登山ギア愛好家の中ではかなり有名な店だ。仕事で何か新しい事業に取り組まなければならないとき、 GRiPS のやり方は参考になると思うので GRiPS の何がすごいのかを言語化してみた。

GRiPS との出会い

最初 GRiPS に行ったのは登山を始めたばかりの頃で、山と道製品を取り扱ってるってことで通りがかりにちょろっと冷やかしで行ってみた。そしたら店の入口の張り紙に「冷やかしお断り」とか「子どもの入店お断り」と書いてあってビビった。店内にも「触って傷つけたら買い取り」と注意書きがあって怖いし、その頃は子どもが幼稚園に行っていてとにかく金がなく、高いギアとか買う余裕はなくて、「なんか高いのが多いし怖いなぁ」くらいにしか思ってなかった。

頻繁に買い物するようになったのはコロナ禍になって給付金出た頃くらいで、この頃くらいからハンモックが欲しくてたまらなくなったのと軽量な荷物で泊まりで山に行きたいと思うようになってきて、軽くて機能性の高い製品は GRiPS にある、ということでよく GRiPS のサイトを見るようになった。いまは多分 Twitter やはてブと同じ頻度で見てると思う。

GRiPS のサイトを頻繁に見る理由

ただの一地方のアウトドアショップのホームページをそんなに見る必要があるのか? ある。めっちゃ商品の入荷が早く、売れるのも早い。 GRiPS の店主がブログや Instagram で商品を紹介すると一瞬で売り切れる。自分は悩んでいるうちに売り切れてしまって結局他店舗で購入するということがたびたびあった。

GRiPS のすごさ

GRiPS のすごさをまとめるとこうだ。

  1. 実際に店主が使って良いと思ったものだけを販売している
  2. 入荷してから商品の掲載までが早い
  3. 発送が早い

UL ギアを扱ってるオンラインショップは沢山あり、 GRiPS でしか扱っていないものはそんなに多くない( AXESQUIN 別注製品とかハンモック関連の一部は AXESQUIN と GRiPS でしか買えないものがある)。なので商品力で他社を圧倒しているわけではない。総合力でとにかくすごい。

実際に店主が使って良いと思ったものだけを販売している(情報の信頼性、使い方の提案、発信力)

GRiPS はメーカーから来る商品画像や情報をそのまま載せるだけでなく(メーカー提供の画像や文章そのままのものもある)、写真を撮影して追加の画像を掲載したり、スペックがカタログ値と異なる場合は細かい注意書きが書いてあったりするし、アパレルの場合は店主永松さんの身長体重でどのサイズがちょうど良かったかが記載してあるのでとても助かる。 GRiPS のサイトの説明が Amazon や楽天のページ、もっと言うとメーカーの公式ページよりも信頼できるということがある。

さらにはお店のブログで実際に山で使っている様子や、使ったあとの感想が確認できる。無味乾燥な商品紹介という感じではなく、山で楽しんでる様子が伝わってくる。そういうのを見てると買いたくなってくるのだ。自分がハンモック欲しくなったのは完全に GRiPS のブログのせいだ。

入荷してから商品の掲載までが早い

家族だけで運営しているにもかかわらず(最近はアルバイトの人もいるみたい)、入荷した商品がウェブサイトに掲載されるまでがめっちゃ早い。ギア類は他社と同じ流通ルートを通って GRiPS に入るはずなので、ウェブサイトに掲載されるまでの速さは完全にお店の頑張りによると思われる。

GRiPS のウェブサイトには結構タイポがあるのだが、少々タイポがあったとしてもギア愛好家としては速く新商品の情報を確認できる方がうれしいはずだ。ガレージブランドのギアは買い逃すと来年まで入荷がなかったりする。なので入荷を知ったら一刻でも早く購入して安心したいのだ。

発送が早い

商品が発送されるまでのスピードが速い。リアル店舗と同時展開しているオンラインショップだと発送されるまでに 3 ~ 4 日かかることはざらにある。 GRiPS は発送までが極めて早く、午前中に買えば即日発送ということになってるが、経験上、 14 時くらいまでに買っても即日発送されて翌日には届く。ある新製品が発売されたとき GRiPS のウェブサイトに掲載されるのが一番早いのだが、発送も早いので GRiPS 以外で買うという選択肢はなくなる。

ちなみに送料は 11,000 円以上購入で無料になる(北海道除く)。ただし 11,000 円超えるために同時に買うものをどれにするかで悩んでいると買いたいものが売り切れたりするので注意が必要。

GRiPS の活況具合

年末のブログだと発送点数数万件とあった。

11,000 円で送料無料になることから購入単価は 11,000 円くらいではないかと想像する。となると発送一万件だったとして 1 億 1 千万の売上。経産省によると、小売業の従業員一人あたりの売上平均は、中小企業の場合は 1451 万円に過ぎないようだ(2.従業者1人当たりの売上高|商工業実態基本調査|経済産業省)。ファミリービジネスの小売りで、しかも週 3, 4 日くらいの営業で(山でギアのテストをしているので休みが多い) 1 億円超えはすごいのではないだろうか。

まとめ

ブルーオーシャン戦略というマーケティングの本に、市場の境界を引き直すことが大切だと書かれている。 GRiPS は情報発信に努めていること、早く品出しすること、発送をスピーディーに行うことで、商品自体は他社と同じものを扱っていながら、独自の市場を創造しブルーオーシャンを謳歌していると思われる。どれも当たり前で基礎的なことだが、組み合わせることでとても強力になるし独自の強みとなる。飛び道具がないビジネスの参考になるんじゃないかと思う。

| @旅行/散歩

テントとタープ

ゴールデンウィークの前半でキャンプをしに行った。福岡の人がキャンプをしに行く場所といえば阿蘇・久住方面が人気だが、自分が阿蘇出身ということもあって実家の方に行くのにテントで寝泊まりするのは違和感があって久住でキャンプしたことは一度しかない。どちらかというと佐賀方面に惹かれる。車で一時間ちょいで行けて、森や海や温泉があって、キャンプ場はそこまで混雑しておらずまぁ快適だ。高速料金が安く済むのもいい。久住阿蘇方面だと 3000 円近く高速代がかかるが、佐賀方面だとうちからの場合 200 円くらいしか高速代がかからない(西九州自動車は全線開通していないため無料で通行できる)。今回は佐賀ではないが、佐賀県伊万里市の沖合にある長崎県松浦市の福島という島の初崎キャンプ場に行った。

今回のキャンプでは新しい道具をいくつか使ってみた。

Evernew HD.ALU Pan 20

エバニューのアルミフライパン。ゴールデンウィーク前に突如販売が始まったやつで一瞬で売り切れていた。登山用のコーティングしてあるクッカーは直火にかけるのが心配で、直火にかけても問題ないフライパンが欲しかった。去年秋に買ったエバニューの Backcountry Almi Pot がなかなか良くて、直火で炊飯してもコーティングが剥がれるのを気にせずに済むところが気に入っている。同じ使い勝手を期待して買ってみたところよい感じだった。スパゲティーを作ったり、目玉焼き焼いたり、カレーを作ったりと大活躍だった。

スパゲティ

目玉焼き

カレーを調理中

カレーライス

今回は一番大きいサイズの 20cm を買ったが、テント泊登山(自分の場合はハンモック泊)用に 16cm あたりも買ってもよいなと思った。

Igloo Marine Breeze Ultra 28L

悪天候により一泊に変えたが、当初は二泊三日でキャンプする予定だったのでクーラーボックスを買った。

これまでコストコのショッピングバッグなどを簡易的にクーラーボックス代わりに使っていたが、食材の保温効果は限定的だった。クーラーボックスは 50L くらい必要、みたいな記事が多いが、 50L 以上のクーラーボックスは数万円もして高い。自分は Amazon で Igloo の 28L のやつを買ったがこれで十分だった。肉やビールなど、低温を維持したいものはクーラーボックスに入れ、少々温度が上がっても平気なものはショッピングバッグに入れることにしたところ作成成功だった。

Igloo のクーラーボックス Marine Breeze Ultra 28L

うちの子どもは牛乳が好きなのでキャンプのときにも牛乳を飲ませているが、キャンプ場に着いた日に飲むだけで翌朝の分がなく可哀想だった。ちゃんとしたクーラーボックスを買ったことで牛乳も大きなパックを買うことができるようになり、翌朝も牛乳を飲めて満足そうだった。

うちの車は小型の SUV で荷物がめっちゃ載せられるタイプではないのだが、それでも普通のセダンやコンパクトカーに比べたら荷物を載せられる方だと思う。それでもクーラーボックスのサイズはこれくらいが限界だと感じた。 50L 以上のクーラーボックスを載せられるような車はランクルなどの巨大なやつかピックアップトラック(軽トラ)ではないかと思う。

なお、保冷剤はロゴスの倍速凍結・氷点下パック L を買った。 Amazon のレビューで XL がちょうど良いとあるので買ったところ底の大きさが合わず返品してしまった。 L だとちょうど底に収まる。

DOD ローローバーチェア

キャンプ直前の Amazon タイムセールで DOD のローローバーチェアが安くなっていたので衝動買いした。

キャンプ椅子はこれまで DOD のスワルスエックスだった。小さくて持ち運びしやすいが、生地が伸びやすいのとナイロンなので火に弱く、焚き火がはぜて穴が開いている。座る前の組み立てや撤収時の折りたたみもわずかに面倒くさい。ローローバーチェアは生地が綿なので燃えにくいし、座るときはひょいと広げるだけで良いので楽だ。その分、持ち運び時にかさばる。うちの車にはギリギリ載せられた。 4 人家族だったら運べないだろう。ランドローバーとかチャレンジャーに乗ってる人でないと本当は買ってはいけないものだったのかも知れない。見た目がカッチョイイのでキャンプのほか、自宅バーベキューで活用しようと思う。


実はこれ以外にも細々したものを買っている( Ledlenser の LED ランタン、 ZANE ARTS のシェラカップ、 UNIFLAME フィールドラック用のステンレス天板など)。以前書いた通り、キャンプは道具沼だ。毎回キャンプに行くたびに普通にビジネスホテルに泊まるのと同じくらいお金がかかる。

まだキャンプしたことない人にはおすすめしません。家でゲームしたり Netflix 見たりしてる方が楽しいと思います。

| @登山/ランニング

浮嶽 大岩展望台

4/2 ~ 4/4 で脊振山系全山縦走に挑戦した。福岡の西端の十坊山から佐賀の基山まで二泊三日で歩いた。総歩行距離は 72km 、累積獲得標高は 5500m 。 20km 以上歩き、 1500m 以上登るのを三日間繰り返す。泊まりはハンモック + タープで、食料の補給はなし、水は湧水や沢で補給しつつ歩き通した。

自分は体力がなく歩くのがとても遅くて、全山縦走のことを知ったときにはとても自分に踏破できるとは思ってなかった。実際、 2 年前の夏に脊振山から金山までのセクションハイクをしたときにはバスに乗り遅れるし散々な有様だった。

4 年前にも十坊山から二丈岳までを歩く糸島四座縦走に挑戦して失敗している。

UL (ウルトラライト)メーカーの軽量な登山用品を買い集めながら歩くのが遅いどん亀という矛盾した雑魚だったのだが、 2021 年はジョギングを開始して徐々に体力をつけ、長めの縦走もこなした。4年前に途中で撤退した糸島四座縦走も比較的楽に達成した。

ちゃんと歩けた勝因と改善点をまとめてみた。

勝因

  • 荷物は軽く
    • 服はメリノウールにして余計な着替えは持たなかった
      • メリノウールは汗をかいても匂わない、化繊の服はひどい匂いを漂わせるので着替えが必要になる
    • カメラも持っていくことを諦めたので iPhone で撮った写真しかない
  • ちゃんとした昼飯を食わない
    • 基本的に昼間の食事は行動食のみ
    • 絶景ポイントで休憩して山飯作ったりコーヒー飲むとかやらない
    • 時間を節約でき、荷物も減らすことができる
  • 塩味の行動食
    • 日中、ちゃんとした飯を食わない代わりに塩味の行動食があると良い
      • 具体的にはカルパスや魚肉ソーセージ
    • コストコのアドベンチャーミックス(塩味のミックスナッツ + ドライフルーツ)もよかった
  • アミノバイタルゴールド
    • 現代の仙豆
    • めっちゃ疲れてても翌日足がパンパンにはならない(少なくとも午前中は)
    • 一日一本飲んでたが二、三本飲んでもよいみたいなのでもっとたくさん飲めばもっと楽だったかも
  • 山と道 MINI2
    • メッシュポケットがスーパー便利
      • 暑くなって脱いだ服をしまう
      • 行動食をつっこんでおく
      • 水場で浄水器をさっと取り出して浄水する
  • KATADYN Be Free (浄水器)
    • どこの水もサクッと浄水できるとわかっていたので大量に水を持って歩かずに済んだ(必要に応じて沢水などを浄水して調達すれば良い)
  • Black Diamond Distance Z (トレッキングポール)
    • 軽量なアルミポールを初めて買った
    • 脚の負荷をだいぶ軽減してくれたと思う
    • 荷物が多いので左右のふらつきを抑制して安全に歩けた

改善点

  • カロリー
    • カロリー計算した上で行動食を準備できてなかった
    • 持参したウィーダーインゼリーはプロテインやビタミンなどを重視した低糖質のやつでカロリーが少なくエネルギー源としてふさわしくなかった
    • 安くて甘くて体に悪そうなやつをもっと持ってくるべきだった(どらやき、ようかん、惣菜パン、イカフライなど)
  • サイズの合ってない靴
    • Altra Olympus 4 はちょいとデカめでサイズが合っておらず、下りで靴の中で足が動いて辛かった
  • メリノウールの靴下
    • これまでメリノウールの靴下で足が蒸れると感じたことはなかったが、 Injinji の五本指ソックスと履き比べてみて蒸れを感じてしまった
  • かさばるレインウェア
    • 低山のレインウェアとして雪山でも使えるハードシェルを持って行くのはかさばって良くない
    • レインウェアとウィンドシェルで機能がかぶるものを二つ持つのも邪魔
    • 省スペースでレインウェアとウィンドシェルの両方の役割を果たす雨具が必要
      • 山と道の UL All-Weather Hoody を買った

装備

  • 帽子
    • Milestone メッシュキャップ
  • Tシャツ
    • icebreaker メリノウールTシャツ
    • Smartwool Everyday Exploration T Shirt (予備)
  • 行動着
    • 山と道 Merino Hoody
  • ウィンドシェル
    • Patagonia Houdini Jacket
  • パンツ
    • WORKMAN メリノウールパンツ × 2 ( 1 枚予備)
  • ズボン
    • 山と道 Light 5-Pocket Shorts
  • 靴下
    • OS1ST FS4 PLANTAR FASCIITIS SOCKS
    • Injinji Trail SP TIE-DYE
    • Point 6 Hiking Lt Mini × 2 ( 1 足予備)
    • Altra Olympus 4
  • トレッキングポール
    • Black Diamond Distance Z
  • ザック
    • 山と道 MINI2
  • 防寒着
    • Patagonia Nano Puff Jacket
    • Mountain Equipment パウダーパンツ
    • EXPED ダウンソック
  • レインウェア
    • ARC'TERYX Alpha SL
    • Patagonia トレントシェルパンツ
  • クッカー
    • EVERNEW Ti 570 Cup
  • バーナー
    • EVERNEW チタンアルコールストーブ
    • VARGO Titanium Hexagon Wood Stove
  • ハンモック
    • AXESQUIN ウキグモ Light
    • AXESQUIN モグ 350
  • タープ
    • EXPED Hammock Trekking Tarp
  • ライト
    • Petzl Tikka
    • Ledlenser ML4
  • モバイルバッテリー
    • Anker PowerCore Essential 20000 PD

コロナ禍で飲み会に行かなくなって浮いた金でアウトドアギア買いまくったのが生きた感じの縦走だった。なかでもベストを挙げるとすると山と道 MINI2 だろう。

山と道総帥の夏目さんが書いている MINI2 の制作ノート 2021 年版がとてもよい。

山と道設立当初は、「耐久性や強度よりも軽量性が大事」と思っていました。1回のULハイクが人生を変えるかもしれない可能性を秘めていると信じているからです。

しかし、たくさんの方々にMINI2を送りだしていくと、みんな上手く使えているだろうか、壊れていないだろうかと、心配も積もるようになりました。できれば安心して長く使ってもらいたい。UL原理主義的であった自分の物作りの考え方も少しずつ変化してきているのかもしれません。

そして2017年に、山と道HLCで日本全国を旅して色々な方々と出会い、気がついたことがありました。僕が考えているようなULハイカーは、日本中を探しても実はほとんどいなかったのです。

ULハイカーのための道具作りをしてきた自分は誰に向けて作っていたのか? 自分の思いは独りよがりだったのか? あらためて自分が作る道具と向き合うきっかけとなりました。

MINI2 | 山と道 U.L. HIKE & BACKPACKING

この文章は首がもげるほど頷きながら読んだ。アプリやウェブサービスの開発に携わってる人なら似たような経験をしたことがあるのではないだろうか。

実際に縦走で初めて使った MINI2 は軽いながらも頑丈な作りで木の枝で何度も擦ったがダメージがなかったし、メッシュポケットはとにかく便利だった。暑くなって脱いだ服をガサツにメッシュポケットに突っ込み、寒くなったらさっと取り出して着て、腹が減ったら行動食をパッと取り出して食べる。ハードな山行を支えてもらったし、今回の UL ハイクで人生が変わった(少なくとも登山人生の一つの目標を成し遂げた)。

山と道の短パンを初めて買ったのは 2017 年の 3 月で、それから登山アプリの会社に入って登山をするようになり、昼飯に 120 円のチキンカツとインスタントそばを食べて浮かせた金で山と道の製品を買ってきた。 UL ギアを身につけながら歩くのがめっちゃ遅いしロングハイクもしたことがなかったのだが、今回やっと、自分で考えて可能な限り荷物を削り、誰かに荷物を持ってもらったりすることなく、途中で補給を受けることもなく、 70km 以上の縦走路を歩き通すことができた。ようやく UL ギアが様になるハイカーになれたのではないかと思っている。

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1 年ちょい前に使い始めた HEY は結局 1 年で使うのをやめた。

第一に、メールをフル活用した生活を送っていないので不要かなという判断になった。 HEY は効率的にメールを読んだり分類したりするだけでなく、メールを書く機会も多い人にとって最適化されている気がする。現在の自分はメールを書く機会はまれで読むのがもっぱらだ。 Imbox 、 The Feed 、 Papertrail という分類・仕分けは便利だしメールを効率的に処理することができるが、これがないと困るというほどではなかった。もし公私ともにメールをフル活用していて、仕事のメールも HEY で扱えるような人であればメリットはあるだろう。

第二に、Basecamp は従業員の大量離職イベントがあって個人的には魅力を感じなくなってしまった。会社を応援したくて使っていたところもあったので、会社に魅力を感じなくなるとソフトウェアにも魅力を感じなくなった。


メールを変革しようという試みは素晴らしいと思う。メールといえば広告かスパムばかりという現状はクソみたいだ。あまりにもしょうもないメールが多すぎて、こちらから誰かにメールを送ってもちゃんと返事が来ないことが多く、返事が来ればラッキーかなというほどのものに成り下がっている。

今日、大抵のコミュニケーションはどこかのプラットフォームの中で行われることが多くなっている。 Facebook Messenger だったり LINE だったり Instagram だったり WhatsApp だったり。ウクライナ侵攻関連のニュースのネタ元は大抵 Telegram で、ロシア文化圏でも何らかのプラットフォーム上でコミュニケーションが行われていることがわかる。

メールが本来の役割を果たしていればそういったプラットフォームをわざわざ使う必要はないはずなのに、簡単に送れすぎる仕様のせいで多くの人の受信箱が関係のないメール(広告やスパム)であふれかえってしまっている。その問題を HEY は解決しようとしたが、年間 $99 で普通の人が手を出すには値段が高すぎる。これでは意識が高い人しか使おうとしない。

意識が高い人が使うだけではメールのダメな部分は完全に解決されない。メールはネットワーク効果が働くから、多くの人がまともな状態でメールを使えないと価値がない。意識が高い人が HEY を使ってその人の受信箱が正常化されても、その人がコミュニケーションを取る必要がある相手が意識が低くて一般的なメールを使っていたら、その人にメールを送っても受信箱がしょうもないメールであふれていて大事なメールを読んでもらえないかも知れない。いつまで経ってもメールの復権にはつながらない。意識の高い人の問題を解決するためには、意識の低い人の問題も同時に解決してあげないとダメだということだ。

HEY は多くの人に使ってもらって初めて意味のあるものになると思う。そこからすると少々値段が高すぎる。フリーミアムにして一定は無料で使えるというモデルの方が良かったのかもしれない。 Basecamp は会社の哲学的にフリーミアムを嫌うだろうが、メインの顧客である意識の高い人たちの満足度を上げるためにはプラットフォーム自体が巨大であることが重要なので、一部は無料にして多くのユーザーを獲得する必要があったと思う。

ググってみたら、 HEY は大きくは成功しないだろうと書いている人がいた。 HEY は旧来型のメールと比べて 10 倍早くないし革新的でもない。そして Early Majority 以降のユーザーの獲得戦略がない(自分が書いてる内容に近い)。

ソフトウェアは機能が優れているだけではつくづく不十分だと感じる。ビジネスモデルと機能がカチッとフィットしていないと成功できない。

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一昔前までインターネットは常に見えるものだった。 Web 1.0 の個人テキストサイトや Web 2.0 のユーザー参加型ウェブサービスでも、ベーシック認証がかけてあったり非公開コンテンツというものもあったがこれらは例外的な存在で、インターネットでは目立つこと、オープンであること、また他者の注目を引くことが善だったしメインストリームの価値観だった(少なくとも自分はそう認識していた)。しかしその構図が崩れようとしている。インターネットがみんなのものになったからだ。

多くの人はインターネットで自分の情報をさらけ出したいなんて思っていない。これまでブログが下火になってきた理由を考察することが何度かあった。手軽に個人が情報発信できる Twitter や Instagram のような SNS が登場してきたからだと思っていた。かつてブログを書いていた人が書かなくなってきた理由としてはその通りだと思う。しかしスマートフォン時代になってからインターネット活動を始めたような人達(イノベーター理論のグラフで言うと Late Majority 以降の人達)はそもそもブログを書くということは選択肢に入らなかったはずで、こういう人達が増えてきたことで相対的にブログ執筆人口が減ってしまったと考えられる。

File:DiffusionOfInnovation.png CC BY 2.5

インターネットでは誰もが情報発信できると言われた。しかしできることと実際にやることの間には大きな壁がある。仕事で関わっているサービスでは、ユーザーが作成したコンテンツを公開するかどうかはユーザー自身が選べる仕様となっている。コンテンツを公開するユーザーが増えるほどネットワーク効果が働くし、 Google の評価が高くなり SEO 上のメリットもあるのでコンテンツ公開率を上げようと努めてきた。しかし頑張ってもコンテンツ公開率はある程度のところで頭打ちとなってしまった。この結果から二つの仮説が考えられる。公開を促す努力が足りないか、そもそも誰もコンテンツを公開しようとは思っていないか、ということだ。実は最近まで後者の観点が抜けていた。というのはインターネットでは誰しもコンテンツを公開すべきだ、という先入観があったからだ。

ここ数年での成長が著しい Netflix や Spotify でユーザーはコンテンツの公開を求められることはほとんどない。 Twitter や Facebook 、 Instagram などの CGM では基本的にはコンテンツを公開することが求められたのとは対照的だ。 Netflix や Spotify でユーザーはコンテンツを消費するだけでよいのだ。消費の仕方を Netflix や Spotify は観察し、この傾向のユーザーにはこういうコンテンツがおすすめだというアルゴリズムを洗練させていく。ハチャメチャに優れた推薦アルゴリズムにより、ユーザーは自分にマッチした未知のコンテンツに出会うことができ、益々サービスの利用を深めていく。ひたすら受動的にコンテンツを受容し続ければよいだけだ。

コンテンツの投稿・公開を求められる Twitter や Instagram でも、実は見る専( ROM )の割合が高まってきているのではないかと推測する。 以下の記事によると、 Twitter の投稿の 97% が 25% のユーザーによって行われたものだったそうだ。

さらに驚くことに、 Reply や Retweet を差し引くと投稿されるコンテンツの 18% のみがオリジナルの投稿ということらしい。やはりコンテンツを作る人の割合というのは非常に小さく、ほとんどの人はインターネット上のコンテンツを消費しているだけなのだ。

インターネットの初期時代からインターネットにどっぷり浸かってきたインターネット老人の我々のような世代がウェブサービスを設計すると、ついつい人々はインターネットで自己表現をしたいのだという前提で考えがちだ。しかしあとの方になってからインターネットを使い始めた人々にとっては、インターネットとは自分から情報を差し出す場ではなく、情報を摂取する場なのだ。買い物をしたり、動画を見たり、音楽を聞いたりしているだけだ。自分でウェブサイトを持ってブログを作ったりしている我々は、今日のインターネットにおいて決してマジョリティではない。

受動的にインターネットを使うだけの人に、 1990 年代の終わりに我々インターネット老人が感じたのと同じような興奮や感動を与えられるのだろうか。多分、発想を転換しないと難しいだろう。我々が面白がったインターネットと彼らが欲しているインターネットは別のものなのだ。ただ受動的に使っているだけでより便利になり、快適になっていくインターネットをどうやって作っていくかが見えないインターネットの時代のテーマになると思う。

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はてブコメント、漫画は高いという意見に対して「貧乏すぎでは?」「買いすぎでは?」「考えを改めた方がよい」「どうせタダで読みたいだけだろ」というコメント付いているけど、漫画にいくら払えるかは人それぞれだし、そもそも無料で読みたいという意見は大勢ではない(広告入ってて良いので無料で読みたいというコメントは一つだった)。漫画は安い派の意見の方が一方的に見える。

単位時間あたりの費用で漫画が他の娯楽より高いのは事実だと思う。漫画はコミックが一冊 600 円くらいするが、一冊 15 分くらいで読み終わってしまう。 1 分あたりのコストは 600 ÷ 15 = 40 円だ。映画は 2000 円払って 120 分楽しめる。分単位のコストは 2000 ÷ 120 = 16 円だ。漫画と同じくらいの金額で買える文庫本の小説なら読むのに 3 、 4 時間くらいかかるし、 1 分あたりのコストは 3 円。一冊 1500 円の単行本でも 8 円。漫画の 40 円は高すぎる。今年はうっかり一巻無料キャンペーンに釣られて空母いぶきを読み始めて続きが気になってしまい、全巻買ってしまって 1 万円くらい使ってしまった。漫画は娯楽としての経済効率が悪過ぎる。

動画配信以前、セルビデオは一本一万円くらいしたし、セル DVD も 4000 円くらいが相場で高すぎた。なのでレンタルが主流だったし、光学ディスクのレンタル屋だった Netflix が配信会社に進化した。漫画は昔はレンタルあったし今も細々と存在してるけど多分最も利用されてるのは漫画喫茶だと思う。

漫画は速く沢山読めて沢山読まないと話が完結しない特性があるから漫喫にベストマッチだと思う。時間課金なので速く読める人ほどお得。漫画は嵩張るからレンタルして家に持ち帰りまた返しにくるのは面倒だけど、漫喫ならその場で手に取ってすぐ読める。買うと保管場所に困る問題も解決されている。

少し調べた限り、漫画喫茶は著作権者にお金を払っていない(少なくとも法的には払う義務がない)ようだった。

長らく著作物には貸与権が認められていて、音楽や映画はレンタルされる度に著作権者に収益が発生していたが、書籍は貸与権の対象外だったようだ。 2005 年に貸与権が書籍に対しても認められるようになり、貸本屋(レンタルコミック含む)は著作権料を支払わなければならなくなったようだ。

ただし漫画喫茶に関しては、文化庁が店舗内での閲覧は「貸与」に値しないとの見解を示したことから、貸与権の対象となっておらず、漫画喫茶には著作権料を払う義務がない状況のようだ。

こうやってみると漫画の著作権者たちの真の敵は漫画喫茶ではないかと思う。 2021 年 3 月期の決算で、業界一位の快活CLUBは漫画喫茶部門で 484 億 9900 万円の売上があるようだ。

漫画のサブスクリプションサービスを始めることで、現状漫画喫茶に流れているお金の大部分を漫画家・出版社は回収できるだろう。コロナ禍なのだし、漫画喫茶に行かずにサブスクリプションで手軽に読めるようになれば利用したいという人はかなりいそうだ。

サブスクリプションを始めるにしても、新作はサブスクリプションでは読めないような設計にすることで買い切り型のモデルへの悪影響は軽減できると思われる。動画配信もコロナ禍前は上映と同時配信みたいのはなかったが、漫画でも同じようなことができるはずだ。サブスクリプションで読めるのは旧作中心で配信期間も限定すれば、はてブコメント欄でマウンティングしてるような漫画愛好家は新刊発売後に購入して読みそうだし、サブスクリプションで気に入っていつでも読めるようにしたいと思った人も買い切り版を購入するだろう。

いい具合に制度設計できれば今より漫画家・出版社側の利益が減ることはないだろうし、読者の裾野を広げるという意味でも、手頃な価格で漫画を読めるサブスクリプションサービスができて欲しい。未来の漫画業界のためにも漫画のサブスクリプションは必要なのではないかと思う。