| @登山/ランニング

長垂海岸の夕焼け

去年の秋の健康診断で太っているという結果が出た。検査着が結構重くて、体重測定時に検査着分を引かれなかったことに不満はあったのだが、コロナの影響で太っていることは間違いなかったので 12 月から走り始めた。

年が明けて 1 月になると後半から花粉が飛び始めてジョギングから足が遠のき、花粉最盛期の 2 月、 3 月はほとんど走れなかったが、今年の 6 月からまた習慣的に走るようになった。最初は結構しんどくて 2km ちょいしか走れなかったが、 7 月からコンスタントに 4km 走るようになった。これまでも人生で不定期に走るような時期はあったが、週に 3 回くらいのペースで走っているのは初めてだと思う。

なぜ継続的に走れるようになったのか

リモートワークで時間の融通が利きやすいことと、通勤がないせいで体を動かしたいという欲求もあるのだろう。

Apple Watch を使い始めたことも大きくて、これまでは iPhone 本体で RunKeeper なり Strava なりを起動してログをとる必要があったが、 Apple Watch を買ってからは Watch 単体でランニングのログを残すことができるようになり、以前より気軽に走りに行けるようになった。 Apple Watch を使っているとリングを閉じるように促されてついつい運動してしまうというのも良い習慣づけに役立っている。

なぜ毎回 4km ずつ走れるようになったのか

Apple Watch の Workout のノルマが一日 30 分、消費カロリーが 480kcal になっている。 4km 走ると確実にこの数値をクリアできるのが 4km 頑張る意欲のもとになっている。

もう一つ大きな理由だと思っているのが走るときに聞く音だ。これまで Podcast を聞きながら走っていたが、 Podcast だと内容が英語か日本語かに関係なく、途中で内容に聞き入ってしまって走るのをやめてしまう傾向にあるようだった。走るときに Podcast を聞くのをやめて音楽(なるべくボーカルの入っていないやつ、インストゥルメンタルヒップホップ的なやつ)を聞くようになったらしんどくても 4km 走り通せるようになった。自分の場合は運動するときにはできるだけ頭の中をすっからかんにしておいた方が良いようだ。

靴の悩み

足が痛くなる

これまで走るときの靴は NIKE のランニングシューズ( NIKE Free Run )を履いていた。自分は扁平足なので NIKE の靴を買うときは 1cm くらい大きめのものを買っているのだが、それでもやはり幅が狭くて、普段履きにする分には問題ないがジョギングで使うと足が圧迫される感じが気になっていた。特に足の親指の付け根のあたりが靴の横壁とインソールの間に挟まれて痕が残るような状態になっていた。たまにしか走らなかった頃は気にならなかったが、一日おきのペースで走っていると無視できない感じになってきたので靴を探すことにした。

1 年前に登山用に Altra のトレイルランニングシューズ( Lone Peak 4.5 )を買った。 Altra の靴は自然な足の形を崩さないことをモットーとしていて、つま先の部分が広がっていて開放感があり、足の指を使いながら歩くことができる。また、かかとと指の高低差が 0 になるように作られていて(ゼロドロップというらしい)、このことにより人間本来の自然な足運びができて怪我をしにくいらしい。 Altra の靴を履いて一日で 15km 以上歩くような登山を何度かしたが、豆ができたり足の痛みで歩けなくなるというようなことはなかった。 Altra を履き始めてから下山時の膝の痛みもなくなった。

Altra Lone Peak 4.5

同様に 1 年前に Xero Shoes のトレイルサンダル( Veracruz )を日常履きとして買った。こちらもゼロドロップだが、ソールは Altra のシューズのような厚みがなくペラペラで、小学生のころ履いていた上履きみたいな感じでほとんどクッションがない(アスファルトや小石の上を歩いて痛いというほどではない)。ソールにクッションがないと足が疲れそうな気がしていたが、意外となんとかなる。確かに足は疲れるのだが、クッション性が高い靴を履いているときには使わない足の筋肉を使っているようで、 Veracruz で長い距離を歩くと心地よい疲労感があって夜はよく眠れた。

Xero Shoes Veracruz

Xero Shoes Mesa Trail

Altra のシューズのように幅広で、 Xero Shoes のサンダルのような薄いソールのゼロドロップランニングシューズはないだろうかと探してみたところ、 Xero Shoes が作っているトレイルランニング用のシューズを見つけた。 Mesa Trail というシューズだ。

Xero Shoes Mesa Trail

本当はトレイルランニング用のシューズなのだが、ジョギングで使ってみることにした。

Mesa Trail を履いて初めて走ったときはあまりにも NIKE の靴と違いすぎて、いつもの 4km を走りきることができず途中で走るのをやめてしまった。 NIKE の靴の方が体を前に押しだしてくれていたような気がする。 Mesa Trail では自分で足を前に運ばないといけない。この違いに違和感を覚えて走れなかった。

初回は走りづらかった

2 回目からは普通に走れたが、走った後に股関節のあたりが筋肉痛になった。 NIKE の靴で走って股関節が筋肉痛になるなんてことはなかった。 Mesa Trail は薄底のため、足の着地に気をつかう。雑に足を運ぶと足の裏への衝撃が強いので走るときに丁寧に足を使うようになる。おそらくそのせいで股関節が筋肉痛になったのではないかと思う。

少しスピードを上げて短めに走ってみたところ、足がかなり筋肉痛になった。これまでも継続的に走っていたので今さら走っただけで足が筋肉痛になるのは変だ。やっぱりシューズを Mesa Trail に変えた影響だと思う。靴を変えるだけでこんなに走るときに使う筋肉が変わるのかと興味深い。

Mesa Trail で走ったあとに一度 NIKE の靴に戻して走ってみたところ、足裏への衝撃はなくなるがその分足運びが雑になり、地面からの衝撃を足首ではなく膝で処理するようになってしまう印象を持った。厚底の靴では故障しやすくなるというのはこの辺に原因がありそうだ。

一番の悩みだった足裏の痛みは Mesa Trail に変えて完全に解決された。 NIKE の靴では 4km くらいで足の親指付け根部分が痛くなりそれ以上走れなかったが、 Mesa Trail では足の裏は全く痛くならない。 Mesa Trail に履き替えて走る距離が伸びた印象で、昨日は 9km 走った。これまで自転車や車でしか行ったことがなかった場所に自分の足で走って行くというのは面白い体験だった。

今津湾の端から今宿を見る

まだまだ走るスピードは遅いので胸を張って「ランニングが趣味です」と言えるほどではないが、登山のときの持久力アップのため、心肺能力向上のために走ることを続けていこうと思ってる。

| @登山/ランニング

大船山

7 月の頭に一人で久住に行った。ミヤマキリシマの季節は終わっているし梅雨なので良い季節ではないのだが、梅雨の中休みで天気が悪くなく、たまたま車を使っても良かったのでソロで久住まで行ってみることにした。

長者原から坊ガツルを経由して大船山に登ることに。登山開始地点の長者原からすでに涼しくて、森の景色は背振山地の稜線の林のような雰囲気。しかもそれが登山口付近から始まる感じで最高。坊ガツルまでは登ったり下ったりを繰り返す。雨ヶ池越あたりの雰囲気はまさに阿蘇くじゅう国立公園という景色で、子どもの頃を思い出しとても落ち着く。

広葉樹の森

雨ヶ池

坊ガツル

坊ガツル

坊ガツルについて景色を堪能してから大船山へ。ここからが結構しんどかった。道が荒れているし登山道がわかりにくい。いろんな人が好き勝手に歩いているせいか、土砂で登山道が流されているせいか、どこもそれなりに通れそうな感じがしてしまう。テープも複数あるので迷いやすい。

坊ガツルから大船山への登山道

段原

何とか段原まで辿り着く。北大船山に行こうとしたが、登山道脇のミヤマキリシマにバックパックが引っかかってうざい。一旦登山道脇にバックパックを置いてサコッシュとカメラだけで北大船山まで向かう。この日はアクシーズクインのハザカヒを履いていて、ストレッチが効く分こういう木の枝には弱そうだ。引き裂きなどに強いズボン(山と道の 5 Pocket Pants など)を履いてくるべきだったと後悔しながら北大船山登頂。ミヤマキリシマは 6 月にはきれいな花を咲かせるがそれ以外の季節は登山道へはみ出てきてうざい。

ミヤマキリシマが服やバックパックに引っかかる

北大船山山頂

北大船山から平治岳方面に見える池

段原に戻って昼飯を食べる。実はこの近くにきれいな避難小屋があるのだが存在を知らなかった。おにぎり三つにフリーズドライの豚汁を食べた。

フリーズドライ豚汁とおにぎり三つ

昼食後大船山へ向かうが、大船山への道もミヤマキリシマとブヨに行く手を阻まれる。ブヨは恐ろしいくらい大量に石にへばりついていて、歩く度に踏まれまいと飛び上がって隙あらば吸血してやろうとこっちに群がってくる。ブヨと格闘しながら登っていくと林の切れ目から三俣山や久住山、中岳などが見える。坊ガツルからそびえ立つようにして連なっている様は勇壮だった。こういう景色は高い山でないと見られない。

三俣山

登ってきた側から反対側に少し下って御池を眺めに行く。ここは紅葉の名所だ。素晴らしい景色だった。虫にまとわりつかれながらしばし見とれる。ここに紅葉を見に来られるだろうか?

御池

大船山から別府湾や由布岳、鶴見岳は見ることができたが、阿蘇方面は雲がかかっていて阿蘇五岳の景色はついぞ見ることができなかった。雨が降る前に諦めて下山することにする。

大船山山頂

段原手前の避難小屋のところに戻ってきたあたりで iPhone のバッテリーが 20% を切ったので Anker のモバイルバッテリーにつないで充電する。初めて USB-C to Lightning なケーブルを買ってみたが、 USB-A to Lightning に比べてめっちゃ充電が早い。 30 分くらい充電してたら 80% くらいまで充電されていた。登山では手早く充電できる方がよいので登山用には USB-C to Lightning を持参するのが良さそうだ。

段原から坊ガツルまでの下りがなかなかつらい。樹林帯で景色が変わり映えしないし、登山道は大きな石がゴロゴロしていたりぬかるんでいたりで歩きにくいし、さっきも書いた通り道が沢山あってわかりづらい。ローカットでソールのやわらかい Altra Lone Peak では足首への負担が大きいのもつらかった。

坊ガツルに着く直前に雨が降ったが樹林帯だったので濡れることはなかった。坊ガツルに着くと雨は止んでおり、急いで坊ガツルの草原を横断して雨ヶ池越まで向かう。下山しようとしているのに雨ヶ池越までは登りなので不思議な感覚を味わう。雨ヶ池越ではテント泊装備の若い人達とすれ違った。今夜は雨が降るかも知れないのにテント泊するようだ。

夕日が差し込む森

雨ヶ池越からはブナなどの広葉樹の森を歩く。このあたりでまた晴れ始めて、木漏れ日の中を気分良く歩くことができた。福岡の家の辺りはアブラゼミだらけで非常にやかましいが、この辺りはヒグラシしかいなくて涼しげだった。無事明るいうちに長者原に着き、タデ原湿原を少し散策して活動終了。数週間前のミヤマキリシマの喧噪が嘘のように人が少なく、風呂に入りたかったが星生ホテルの温泉は閉まっていた。実家に寄って晩飯を食べさせてもらって福岡に帰った。

長者原から見る三俣山

朝、福岡の家を出たのは 6 時で帰宅は 23 時。運転時間は 5 時間くらい。交通費はガソリン代と高速代で往復 10000 円くらい。家の近所の低い山に登る分にはお金がかからないが、車を使って遠くまで行くとかなり懐にダメージがある。これまでそれがわかっていたのでなるべく公共交通機関で行ける福岡の山に登っていた。しかし久住の景色は素晴らしく、たまにお金をかけて遠出するのもありだと思った。誰か人を誘っていくと高速代やガソリン代を折半できて良さそうだ。早くコロナが収束してほしい

2021-07-11 北大船山・大船山 / Hitoshi Nakashimaさんの活動データ | YAMAP / ヤマップ

| @Mac/iPhone

Dolby Atmos

Apple Music がロスレスやハイレゾ、 Dolby Atmos Spatial Audio に対応した。ロスレスやハイレゾは音質の向上で、 Bluetooth で音楽を聞くことが当たり前となった今日では一部の音質マニアの人にしか影響がないと思う(特にハイレゾは有線接続で USB-DAC などを利用しないとメリットを享受できない)。

一方、 Dolby Atmos の Spatial Audio (空間オーディオ)は 2000 円のイヤフォンで音楽を聞く人から数十万円の高級オーディオセットで音楽を聞く人まで恩恵がある。 Apple Music 内の空間オーディオ解説コンテンツでパーソナリティの人が「革命」と言っているけど決して大げさな言い方ではない思う。音質ではなく音の聞こえ方が変わるからだ。 Apple Music に入っている人は是非イヤフォンで Apple が用意している聞き比べ曲を聞いてみて欲しい。

聞き比べコンテンツは二つあって、一つは Marvin Gaye の "What's Going On" 、もう一つが The Weeknd の "Save Your Tears" だ。個人的には Marvin Gaye 版の方が違いがわかりやすかった。 The Weeknd の曲はシンセサイザーを多用してエフェクトがかけられていて、こういう曲は空間オーディオの効果がわかりづらい。一方で Marvin Gaye の曲は昔ながらの生演奏で、楽器の数も少ないので Dolby Atmos の威力を確認しやすい。最初はモノラルから始まり、次にステレオ、最後に Dolby Atmos となる。ステレオで二方向から聞こえていた音が、 Dolby Atmos では縦方向からも聞こえるような感覚を覚える。楽器ごとに音が細分化される感じ。これまで聞こえなかったギターのフレット移動音や、小さいパーカッションの音がはっきり聞こえるようになる。

Apple Music 空間オーディオの世界

聞き比べコンテンツのほかに「空間オーディオの世界」というプレイリストが用意されており、最近の曲から古い曲までいろんな曲が Dolby Atmos で聞けるようになっている。誰でも一つくらいは聞いたことがある曲が入っていると思うので、ここにある曲を聞いてみると違いが分かりやすいと思う。個人的には Jackson 5 の "I Want You Back" や Iggy Pop の "The Passenger" は違いが分かりやすかった。

なお、 AirPods など Apple 謹製以外のイヤフォンを使う場合は設定で「ドルビーアトモス」を「常にオン」にしておく必要がある。初期値は「自動」で、 AirPods など対応するチップを搭載したイヤフォンでしか Dolby Atmos を適用できない。

「ドルビーアトモス」を「常にオン」

ちなみに、自分の手持ちのデバイスの対応状況を確認したところ以下の通りだった。

デバイス 接続方式 Mac iPhone
AirPods Pro Bluetooth
Bose QuetComfort 35 Bluetooth
有線接続
Bose Sound Link Mini II Bluetooth
有線接続 -
Bose Computer Music Monitor 有線接続 -

Bose の Bluetooth ヘッドフォンでも Dolby Atmos で再生できたが Mac との接続時には動作が非常に不安定で、どうもマルチポイント接続をしているときは Dolby Atmos モードにならないことがあるようだった。有線接続の場合は問題なく Dolby Atmos で再生される。比較的最近の iPhone や Mac であれば本体スピーカーでも Dolby Atmos で再生できるようだ。この辺のことは Apple のサポートページで詳しく説明されている。


どんなに Spotify のレコメンドが素晴らしくても、空間オーディオで音楽を聞きたければ(いまのところは) Apple Music を使わざるを得ない。自分の周囲では Spotify 派の人が圧倒的に多かったが、少なくともこの空間オーディオをきっかけに Apple Music に興味を持つ人が増えたように思う。久々に技術的なイノベーションがバリューイノベーションになる瞬間を見た気がする。

| @WWW

HEY Logo

Basecamp が始めたメールサービスの HEY に登録した。去年のリリース時にお試ししていたのだけど、踏ん切りが付かなくてお金を払わなかった。ただ、ソフトウェアにお金を払うことに対していろいろ思うところがあって、良いと思うものにはお金を払おうと思って HEY に登録してみることにした。

Thank you letter from Jason Fried

脱受信トレイ( Inbox )のお気楽なメール管理

HEY The Big Three

意識高く金を払って気分が良いというだけでなく、 HEY 自体がよくできてて、これまでと違ったメール体験を提供してくれる。 HEY 以前にメインで使っていた Spark も悪くはないのだが、やはり古典的なメールソフトの概念と、 Google が発明した Gmail の「受信トレイ( Inbox )」と「アーカイブ」の概念を引きずっている。とにかく全部のメールに目を通してアーカイブしていく作業に疲れてしまった。

HEY は最初のオンボーディングチュートリアルで使い方を学びつつ最低限の振り分け設定を行え、 15 通くらいメールの仕分けをするとその後大体いい感じにメールが振り分けられるようになる。 Imbox 、 The Feed 、 Paper Trail という三つの箱があって、重要なメールやまだ仕分けルール付けがされていないものは Imbox に、メールマガジンなどマーケティング的なメールは The Feed に、購入時のレシート的なメールは Paper Trail に、という風にメールを仕分けて使うことが想定されている。仕分け処理をやるとメールアドレスに紐付いて設定が保存され、以後そのメールアドレスからのメールは設定した仕分け先に入るようになる。一々受信トレイに来たものをアーカイブする必要はないし、受信トレイをすっ飛ばしていきなりアーカイブに放り込んでお得情報メールを見逃すということもない。 The Feed を余裕があるときに見ればよい。メールマガジンはチラシのようなものなのだということに HEY を使って初めて気がついた。

Gmail にも「メイン」、「ソーシャル」、「プロモーション」、「新着」、「フォーラム」というカテゴリー分けのような機能は存在するが、「これはここじゃないんだけどなぁ」と思うことがよくあるし、分類先を変えたいと思ったらフィルタールールを作って移動させないといけない。一々こんな仕分け作業をやってられない。一回メールの仕分けをしたら以後は自動的に同じルールを適用して欲しい。 HEY はそれをやってくれる。

Gmail のカテゴリ。振り分けルールがしっくりこない。

Contacts という概念

HEY Contacts

HEY には独立した Contacts がある。 iPhone の Messages などメッセージアプリだと「誰とやりとりしたか」から履歴を辿れる。「友だちのノブヒデ君とやりとりしたメールを見返したい」と思うことはあると思う。メッセージアプリで普通にできることを、メールの場合はメールアドレスなどで検索するしかなかった。 HEY の場合は Contacts にアクセスして相手の名前を選ぶだけでよい。「誰とやりとりしたか」から目的のメールを探せるのが HEY のユニークなところだ。

Contacts は自分でいい感じに整理することもできる。例えば以下のキャプチャでは、 Apple の二つのメールアドレスがある。

メールアドレスが分かれているが統合したい

Apple 社としてはメールを送る部門ごとにメールアドレスを使い分けているのだろうけど、こっちからしたらどっちも Apple なので統合してしまいたい。片方を開いて、サブのメールアドレスとしてもう一方のメールアドレスを登録する。

Contact の編集

保存すると、「このメールアドレスはすでに Contacts に存在するけど統合する?」と聞かれる。

統合するか聞かれる

ここで "Yes, merge them" を押すと統合され、 Contacts 一覧からメールを辿るときにも統合して表示される。めっちゃ便利。

統合して一つの連絡先として扱われる

その他の便利な機能

そのほかにも、同じような要件で別々に届いたメールをスレッドとしてひとまとまりにしたり、メールを開封したかどうかを調べる解析用の gif 画像を読み込まないようにしたりなど、これまでのメールソフトにはない機能がある。まだまだ使いこなし切れてない。

HEY はガワか?

これまで Gmail のメールアドレスをいろんな場所で登録してきたのでいまも大半のメールは Gmail に届いている。各所を変更して回るのは大変だし、死ぬまで毎年 $99 を払える自信がないので Gmail から @hey.com のメールアドレスに転送するようにしている。なのでいまの自分の HEY の使い方はガワというかメールクライアントみたいな感じだ。メール本体は Gmail にあってそれを HEY のインターフェース越しに読んでいる。これならガワとして、つまりメールクライアントとしてサービスを提供してもらった方がユーザーは自分のメールアドレスを持ち込みで使えてスイッチングコストが発生せずうれしい気がするのだけど、 Basecamp はそうしないみたいだ。 HEY のマニフェエストの先頭に、メールクライアントではなくプラットフォームであることが宣言されている。

A platform, not a client

To make significant, meaningful upgrades to email, you need to build your own platform. That’s why HEY isn’t an app that sits on top of Gmail, Outlook, iCloud, Yahoo, etc. HEY is a full email service provider. You don’t use HEY to check your Gmail account, you use HEY to check your HEY account. It’s its own platform, and it’s all you’ll need.

真に意味のある変革を E メールにもたらすためには、独自のプラットフォームを構築する必要があるということだ。スレッドの統合や検索の性能向上(サーバーサイドとクライアントサイドが連携した一気通貫の検索システム)など、確かにただのガワでは実現できない部分があるのだろう。

そのほかにも The HEY Way のページには過去のメールを HEY に移行できない理由など、「割り切り」コンセプトの理由が書かれている。まるで "Getting Real" や "Rework" からの抜粋かのようだ。

HEY の残念な点

概ねにおいてよくできているのだけど、一部で使い勝手が良くない点がある。

Rebuild のエピソード 272 でヒロシマさんも言っていたけど、アプリがネイティブ実装ではなく HTML で作られているせいで、特に Mac のクライアントが Mac らしくない。一覧から詳細に遷移し、もう一度一覧に戻るときにもっさりする。 HTML を再レンダリングしているからだと思われる。個々の画面の表示は別に遅くないのだけど、総合的な体験としては良くなくて、ヒロシマさんが「速いけど遅い」と言っているのは言い得て妙だ。この辺は DHH の思想 が反映されているのだろう。

iOS 版アプリにタブがなくて移動しづらいというのもそう。 Mac であればショートカットキーで Imbox 、 The Feed 、 Paper Trail を行き来できるけど、タッチ UI ではショートカットキーが使えないので一々 HEY メニューを経由する必要がある。

HEY for iOS

総じて

不満な点がないわけではないが、 HEY がこれまでのメール体験を刷新するものであることは間違いない。インターネットを始めたばかりの頃、メールは届くととてもうれしかった。 『 You've Got Mail 』というトム・ハンクスとメグ・ライアンの映画もあったくらいだ。それがいまではメールは面倒なもの、しょうもないもの、スパムや広告だらけのものという印象を持たれるようになってしまった。その認識をひっくり返そうという試みは面白い。死ぬまで使い続けるかはわからないけど、とりあえず一年分の料金は払ったので活用してみようと思う。

| @Mac/iPhone

Apple Watch

9 月頃、 Pebble Time Round 追悼のような記事を書いた。

この記事を書いた後くらいから Pebble Time Round の調子が悪くなり、 Apple Watch に買い換えた。

Pebble Time Round 、購入後半年くらいから充電されづらい問題はあったが、これまでだましだまし使ってきた。今年の秋頃から充電したのにバッテリー切れで死んだり、充電に異常に時間がかかるような症状( 8 時間使って 16 時間充電する感じ)が出るようになり、ある日一切充電されなくなってしまった。もうこれは寿命かなと思って 10 月に嫁さんに黙って Apple Watch を買った。しばらくはばれずに過ごしていたけど、風呂に入っているときに洗濯機の上に置いていたところを発見されはちゃめちゃに怒られた。

Apple Watch でどう便利になったか

Pebble に比べ Apple Watch はよくできている。生活が便利になったところをまとめていく。

生活の利便性向上

通知の受け取り

賢い通知の送付

Pebble は iPhone に通知が来たとき、 iPhone を操作中かどうかに関係なく一律にプッシュ通知を飛ばしてきて鬱陶しかった。 Apple Watch はそんなことなくて、 iPhone を使っている状態であればブルブル震えたりしない。プッシュ通知のプレビューも便利で、画像付きのプッシュ通知は画像を見ることができるのが便利だ。 iPhone との連携がとてもよくできている。

プッシュ通知のプレビュー

Mac のロック解除

Mac のロック解除を Apple Watch で

会社から貸してもらってる MacBook Pro はこれまで Touch ID でロック解除していたけど、 Apple Watch でロック解除できるようになった。 Apple Watch がロック解除済み(パスコードを入れて手首に装着済みの状態)であれば自動的にロック解除されるというものだ。 Touch Bar に指を伸ばすより Mac の前に座るだけで自動的にロック解除される方がはるかに便利だ。加えて、 Touch ID が付いていない私物の iMac もパスワードを入力することなくロック解除されるようになった。超便利だ。

最近、 1Password が Apple Watch で認証する機能をリリースした。 Mac のロックを Apple Watch で解除できるなら 1Password の認証もできたら便利と思っていたが、 Big Sur になるまで Apple がこの API をサードパーティーには提供していなかった模様。それが Big Sur で開放されて、 1Password のロック解除を Apple Watch でできるようになった。ただし、 T1, T2 チップを搭載した Mac でのみこの機能は有効で、私物の iMac は 2017 年モデルで iMac が T2 チップを搭載するようになったのは 2020 年モデルからなので残念ながら 1Password の認証はパスワードの入力が必要だ。 T1, T2 チップ入りの Mac と Apple Watch を持っていて 1Password を使っている人は是非お試し下さい。

マスクつけたままパスコードなしで Apple Pay

Apple Watch で Apple Pay

Apple Pay も便利になった。これまで iPhone の Apple Pay で支払っていたけどマスク時代になって Face ID でロック解除できずパスコードを入れるのが非常にわずらわしかった。いまは Apple Watch で Apple Pay を使えるようになったのでコンビニでマスクを外すことなく簡単に支払いを済ませられる。

家の中で行方不明になった iPhone の捜索

iPhone の捜索

Pebble にもペアリングしているスマートフォン側で音を鳴らすソフトはあったが、誰が作ってるのかよく分からない得体の知れないソフトを購入してインストールする必要があって尻込みしていた。 Apple Watch には標準で iPhone 側の音を鳴らす機能が付いている。 Find My で音を鳴らすこともできるが、家の中でちょっと見つからないときにわざわざ Mac のところまで行って Find My をしたり、家族に頼んで他の iPhone から探したりするのは大げさすぎる。手元でちょっと操作しただけで iPhone 側の音が慣らせるのは便利だ。

運動時の快適性アップ

iPhone なしでジョギング

iPhone なしでできること一覧

iPhone を持たず単体でジョギングに出かけられるのがいい。ランニングのログ取りと音楽や Podcast の再生が Apple Watch だけで完結する。 Apple 製のソフトだけでなく、 Castro のようなサードパーティのソフトでも Apple Watch 内に Podcast をダウンロードしておいて iPhone なしで利用できる。 iPhone がなくても Apple Pay が使えるので、 iD などに対応している自販機で飲み物を買うこともできる。

自分が買ったのはセルラー回線なしの GPS モデルだ。 iPhone を持たずにジョギングはセルラーモデルを買えるような金持ちの専売特許かと思っていたがそうではなかった。ジョギング中に電話を受ける必要がなければ GPS モデルで十分だ。 Workout の GPS ログ取りも GPS モデルの Apple Watch 単体で全く問題ない。

ジョギング自体の快適性アップ

Apple Watch によってジョギング自体も快適になった。 Pebble 時代は Runkeeper を使っていて、 Runkeeper には Pebble 用のコンパニオンアプリがあった。ただ、 iPhone 側との接続があまりうまくいかず、 iPhone 側で Runkeeper をバックグラウンドに持っていくと Pebble との接続が切れてダメダメだった。 Runkeeper には 1km とか 5 分とか走ったときに教えてくれる機能あるけど、 Pebble に通知が来るわけではなく、イヤフォンを付けて iPhone 越しに音声で聞くしかなかった。マッチョな感じの外人女性の声で "Distance, 1 kilo meter" とか言われてもあまりテンション上がらなかったし、聞いてる音楽や Podcast の音量が下げられて上から覆い被さるようにしてアナウンスされるので使い勝手が良くなかった。 Apple Watch であれば 1km ごとにブルブルっと震えてラップタイムを教えてくれる。ちょうどいい。走ってる最中に現在のペースや心拍数、経過時間なども一発で確認できて便利。

ワークアウトの記録を Strava へ取り込み

走り始める前にランニング用のアプリを起動しなくて良いのも地味に便利で、とりあえず Apple 謹製の Workout を起動してランを始めれば良いというのも手軽。終わったら Apple Watch で記録を止めて、後から Strava に Workout のデータを取り込むことができる。心拍数付きでグラフが表示されて便利だ。

心拍数がわかることによる運動負荷の把握

心拍数の確認

これまでジョギングなどで自分の心拍数などを気にしたことがなかった。 Apple Watch で心拍数がわかるようになり、自分が結構無理していることがわかるようになってきた。 Health Care アプリの解説によると、心拍数は 220 - 年齢 が最高値らしい。この前何気なく登山をしていたら心拍数が 181 になっており、そんなに飛ばしているつもりはなかったのに最大心拍数になっていて驚いた。それでそこでしばらく休んで呼吸を整えたが、心拍数がわからなければ自分がいま無理をしていることを知らずそのままのペースでのぼってバテていたかもしれない。ジョギングはともかく登山ではバテてしまうとその場でへばってしまったり、疲れからくるふらつきで転倒、滑落したりしてしまうので侮れない。自分の偽りのない体力の限界を知れて便利だった。

褒められる

活動の記録とリング

アクティビティの記録

Apple Watch は運動すると褒めてくれるし、サボってたら「運動しませんか?」と促してくる。これはウザいと感じる人もいるだろうけど、自分の場合はうざくない。 Pebble にも似たような促し機能はあったがワンパターンだったし、メッセージ内容がぶっきらぼうでよく分からなかった。

睡眠の計測

目が覚めたときの表示

リングについても最初自分はウザいと思っていたが、運動して閉じることができると気分がいい。睡眠についてもメッセージを表示してくれて、朝起きてしばらくすると「ピロピロリン♪」と音が鳴って挨拶してくれ、その日の天気も教えてくれる。体験が良い。

結論

Apple Watch に限らずスマートウォッチというかウェアリングデバイスの良さは、これまで記録できていなかった自分の行動を記録してくれるところだと思う。有名なプログラミングの格言「推測するな、計測せよ」を自分の体で行う感じだ。

ただし、ただ計測するだけでは次のアクションに結びつきにくい。 Apple Watch は計測した数値をライトに評価してくれるところが良いところだと思う。ログをとることはその他のウェアリングデバイスでもできる。それをどう評価するかが難しくて、 Pebble の場合はあまり評価をせず、どういうアクションを取れば良いのかがわかりづらかった(いつもよりよく寝たねとか、今日はめっちゃ歩いたじゃんみたいなローカルプッシュはあった)。 Apple Watch は、それが自分の健康にどういうインパクトを与えるのか、読みものコンテンツ込みで提示してくれるのが良い。それでいて押しつけがましくないところもいい塩梅だと思う。

ただやっぱり Apple Watch は高い。 iPhone 、 Mac と定期的に買い換えるもののサイクルに Apple Watch も加わるとかなり懐的には厳しい。コロナ禍で飲みに出かけたり昼飯代でお金使うことがなくなったせいで何とかギリギリ大丈夫だろうと買う判断ができたけど、通常の生活ではとてもではないけど手を出すことはなかったと思う。 Pebble Time Round と同等の値段( 1.5 万円くらい)で気軽に買える Apple Watch が欲しいし、あったらもっとめっちゃ売れると思う。

買って良かった Apple Watch アクセサリー

以下はアクセサリー的なもののうち買って良かったやつです。冒頭の写真はこの二つを装着・利用した状態で撮影しています。

Apple Watch 用充電台

Apple Watch 、 Qi で充電できるものだと思っていたけど対応していないことを知って衝撃を受けた。なので付属の丸くくぼんでいる充電器で充電しないといけないのだけど、それだと机の上で収まりが悪い。というわけでこいつを買った。カチッと Apple Watch が固定されて、充電中は置き時計としても使えて便利。 Qi のスマートフォン充電台と一体型の商品もあるようなので、 Qi を持ってない人はそっちを検討してもいいかも。

液晶保護ケース

Apple Watch はアルミニウムモデルを買ったのでガラスがサファイアガラスではなく、またアルミニウムはステンレンスやチタンよりも傷つきやすいとのことだったので保護ケース的なものを買った。時計は結構いろんなところにぶつけるのでこういうのに入れておくと安心だと思う。装着しても Apple Watch がダサくならないので気に入っている。

| @Mac/iPhone

"Your Computer Isn't Yours" という記事が先週バズってた。

概略を説明すると、 Catalina の頃から Apple が Mac ユーザーのアプリ起動ログを勝手に収集していたが、 Big Sur の公開日にログ集約サーバーがダウンしてしまい、そのせいで Mac を使えなくなる人が続出して問題が発覚したというもの。 Rebuild の Episode 288 で触れられているので興味がある人は聞いて下さい。

この記事については日本語の翻訳もあってはてブで 500 ブックマークくらいついていたが、どうも機械翻訳されただけのようだったし、一部訳が違うのではと思われるところがあったので自分でも訳してみた。訳を原著者の Jeffrey Paul 氏にメールで送ったので恐らくそのうち本家に日本語訳が追加されると思う。

Your Computer Isn't Yours

2020-11-25 9:16 追記

日本語訳追加してもらいました。


起きていることをまとめると以下のような感じだ。

  1. Apple は Mac ユーザーのアプリ起動データを IP 付きで Apple のサーバーに集めている(ログ送信)
    • 各アプリの署名有効期限チェックやマルウェア対策のためということになっている
    • Mac から Apple への通信は暗号化されていない
      • ISP や CDN ( Akamai )、ネットワークを盗聴している他人が内容を確認可能
    • この通信はユーザーが自分の意思で無効化できない(「Mac解析を共有」をオフにしても送信される)
  2. Mac (特に Big Sur でしか動かない Apple Silicon Mac )を使いたければ利用ログ送信を甘受するしかない
    • Big Sur から、上述のログ送信や Apple 製のアプリは VPN やファイヤウォールを無視するようになった
    • OS の挙動を変更しようとすると Mac が起動しなくなる
  3. iCloud Backup は iMessage の秘密鍵も一緒にバックアップするので Apple がメッセージの内容を読むことができる
    • 自分自身が iCloud Backup 利用していなくても、メッセージの送信相手が iCloud Backup を使っていると自分が送ったメッセージが iCloud 上に保存される
  4. Apple はプライバシー保護を売りにしながらユーザープライバシーをなおざりにしている
    • iMessages/iCloud Backup のバックドアを放置している
    • 過去にアプリ開発者には HTTPS を強制しながら自分たちは OCSP の通信を平文で行っている
    • ログ送信の件について対応を発表したが、対応時期を明確にしていない

その結果、以下のような状況に陥ることが懸念されている。

  • Apple が集めている情報は NSA や FBI に筒抜けになる
    • Apple はアメリカ軍の諜報機関や FBI にユーザーログデータなどの閲覧を令状なしで認める協定を結んでいる
    • iCloud Photo や iMessage の内容を Apple だけでなく軍や FBI も見られるようになっている
  • ユーザー保護を隠れ蓑に Apple が力を増大させる
    • マルウェアから守る、を大義名分にして、ユーザーがどのアプリを動かせるかを Apple がコントロールできる可能性がある
    • 原理的には Apple が気に入らないアプリを起動できなくしてしまうことが可能

モバイルアプリの利用状況の収集は多分いろんなアプリがやっている。 Mac で Apple が集めている程度以上の情報を集めているアプリも多いだろう(位置情報を取得しているアプリなど)。なので最初この件については過剰に反応しすぎなのではないかと思っていたが、よくよく考えてみると自分の感覚の方が麻痺していたのかもしれない。アプリの利用履歴を IP アドレス付きで送るということは、どこで何をしているかがアプリ開発者に筒抜けだ。そしてそのログを公権力が自由に閲覧可能だとしたらいい気持ちはしない。

アプリと Apple の場合で決定的に異なるのは、アプリはそのアプリが起動している間(あるいはバックグラウンドでのログ送信を許可されている間)だけログを送信するが、 Mac に関して言うとずっーっと起動しっぱなしで使い続けるものなので、ログデータからユーザーの行動履歴・生活様式がわかってしまう。地図アプリで検索した場所の情報も送られていたということなので、 Jeffrey Paul 氏が書いているように、その人がこれから行く予定の場所もわかってしまう。

GDPR や様々なプライバシー保護は、アプリを作りサービスを運営する側としては正直厳しいなと思うところはあるけど、 Apple がアメリカ軍と結んでいる PRISM のような取り決めが存在すると、様々な個人情報が政府機関に流れてしまって、アメリカのサスペンスドラマのように個人の位置情報を携帯の使用履歴からいとも簡単に割り出せるようになってしまう。それはやはり恐ろしい世界だ。

プライバシーの侵害のみならず、プラットフォーマーである Apple の匙加減次第で、ユーザーが使えるアプリが決まるという状況も好ましくない。たびたび iOS の App Store で起こる Apple の恣意的な審査基準改変などはその一端だ。 Hey の件で Apple とやり合った DHH は痛烈に Apple を批判するとともに、かつて邪悪な Microsoft に対抗するための救いとも言えた Apple が以前の Microsoft 以上に邪悪になってしまったのが嘆かわしいと Twitter に書いていた。学生の頃、 Mac を広める活動をやって大学のクラスの半分の同級生のラップトップを Mac にしたというエピソードや、 Rails の開発でも Mac を激推ししたという話は胸熱だった。応援してきた Apple が Evil になってしまい、人一倍残念に思っているのだろう。

Apple はかつて "The computer for the rest of us" というコピーで Macintosh を宣伝していた。しかし今日、 Mac は彼らのコンピューターになってしまったのだ。

| @音楽

Spotify

音楽のサブスクリプションは 2018 年の春頃から Apple Music を使っている。ただ最近、 Spotify のレコメンデーションが良いという話を複数の友だちや Podcast 、仕事先で立て続けに耳にしたので久々に使ってみたら、確かに Daily Mix というやつが聞いたことないけど絶対に好きな感じの曲で埋め尽くされていてビックリした。 Spotify は 4 年くらい前にお試しで 2 ヶ月使っただけで、それ以後は使っていない。そのときに自分の iTunes ライブラリや聞く音楽の傾向を解析してレコメンデーションの土台としていたのだろう。すごい。

Apple Music にも For You というやつがあって「金曜日のプレイリスト」的なやつが表示されるが、半分くらいがライブラリにある曲、半分くらいが知らないけど全然好きじゃない曲が混じってたりする。 Apple Music のレコメンデーションでは まだ知らない新しい音楽(だけど好き) との出会いがない。どっちかというと Apple Music は個人に最適化されたプレイリストよりも「2010年代 ヒップホップ ベスト」みたいなプレイリストのようなキュレーションされたものの方がまともな感じがする。パーソナライズされたレコメンデーションはダメダメだ。

また、 Spotify にはあるけど Apple Music にない曲というのが結構多い。 Spotify のプレイリストで良かった曲を Apple Music で DL しようとすると曲がなかったりする。以前、ストリーミングサービスの一ストリーミング再生ごとのアーティストへの支払額みたいなやつの比較を見てて、確か Apple Music が一番高かった。どうせ聞くならアーティストに手厚くお金を払っているサービスを使いたいと思って Apple Music を選んだのだが、意外とインディー系のアーティストは Apple Music には楽曲提供しておらず、 Spotify の方に出しているようだった。

こうなってくると Spotify に乗り換えたいなと思うのだけど、 Apple Music はファミリープランに入っているので自分の一存で Spotify に移行することができない。ファミリープランは個人用プランからすると著しく安い価格設定になっているが、その理由はチャーンの抑制にあると思う。意思決定者を複数人にすることで他サービスへの乗り換えが困難となる。よく考えられた価格設定だ。

結果としていまは広告に耐えながら Mac の Spotify で好みの曲を探し、ちまちま Apple Music でライブラリに追加して iPhone で聞くという生活をしている。スマートフォン版の Spotify は無料状態だと完全シャッフルになるしめっちゃ広告入るので厳しい。 Apple Music と Spotify に二重支払いできるくらいの金持ち1になりたい。


  1. 元同僚でウルトラ富裕インフラエンジニアの @glidenote 先生は Apple Music と Spotify に二重加入しているとのこと