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ずっとあなたを愛してる

評価 : ★★★☆☆

あらすじ

社会派フランス映画。主人公は刑期を終えた中年女性ジュリエット。空港でたばこを吹かしているところに年の離れた妹レアが迎えに来る。しかしどこかぎこちない。いったい彼女の罪は何だったのか。離ればなれだった姉と妹の過去をたどる映画。

フランス映画には二種類あって、ひたすらシャレオツで抽象的な映画と、この映画のように現実的な映画。僕はこういった感じの現実的なフランス映画は好きだ。ちなみに今回はもろネタバレです。

ジュリエットは自分の子どもを殺した罪で刑務所に入る。しかし年の離れた妹は事情を良く飲み込めない。両親は姉の存在を忘れるように彼女を育てる。

再会しても、ジュリエットはレアに対して「どうせ私のことなんて忘れていたくせに」という態度をとる。レア自身もそうだったのかも、という気分になるんだけど、日々を過ごしていくうちにお互いへの理解を深めるようになる。

レアもレアの夫リュックも最初はすごくジュリエットのことを警戒する。家の外でも、就職先としてソーシャルワーカーっぽい人に紹介された事務所で過去の罪を問われ、侮蔑的な言葉を浴びせかけられる。ジュリエットがなぜ自分の子どもを手にかけたのかが分からないから、子殺しの変質者だとみんな思う。

でも実際は違っていて、ジュリエットはかつて医師であり、自分の子どもが難治性で激痛が伴う病気であることを知っていた。生きていても苦痛が続くだけで治る見込みのない我が子の命を絶ったのだった。

レアはジュリエットが大切に持っていた息子の診断結果が書かれた書類を偶然発見して事実を知る。また自分が手帳に姉がいなくなってからの日数を毎日を書き留めていたことを思い出し、姉に手帳を見せる。そして言うのだ。「ずっとあなたを愛してる」って。

フランス人は先進的な人だから他人の過去なんて詮索しないんじゃないかというイメージを勝手に持っていたけど、まるで日本の村社会のようにジュリエットの過去を詮索し、過去を暴こうとする連中が何人か出てくる。この辺が意外だった。

| @旅行/散歩

病院があったので五月の第二週に関西をうろついてきた。

5月の京都はとても良い。あんまり込んでないし。たしかに秋の京都の紅葉は美しいが、あまりに人が多すぎる。それよりは5月の新緑をゆっくり眺めるのが良い。もみじの新緑が非常に美しく、また気候も暑くもなく寒くもなく、町歩きにちょうどいい。

今回は初めて神戸にも行ってみた。山と海が近くて、九州でいうなら別府に地形が似てると感じた。独特の街並みが印象的で、一度泊まりがけでゆっくり観光してみたいと思った。

神戸はTwitterで知り合った青木ヨーマさんに案内してもらった。三ノ宮から新開地というところまで歩いて、競艇だか競輪だか風俗だか帰りのおじさん達に混じって、昼間から安い飲み屋でビールを飲んだ。若いヤンキーっぽい感じの女の子たちが給仕をしていて、接客されてるっていうより説教されてるみたいな感じ。いちいち恐縮しながら注文した。

この店は基本的におじさん達が友達同士でやってきて(女性客はほとんどいない)、ギャンブルの話なんかをしながら飲んでるんだけど、なかには一人でやってきて、競馬中継をラジオで聞きながら、あるいは文庫本を読みながら独酌するおじさんが何人かいてすごくクールだった。30分くらいいてほろ酔いになったらささっと出ていくの。とてもかっこいい。自分ももう少し歳をとったらこういう酒の飲み方をしたいと強烈に思った。

以上、とりとめがないけど五月に関西に行った話。

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ボーイズ・オン・ザ・ラン

評価 : ★★★★☆

あらすじ

主人公は中小企業に勤める29歳のサラリーマン田西敏行。職場の年下の女の子に恋をしていい感じになるものの、自らまいた種で失恋してしまう。のみならず、ライバル起業の敏腕営業マン青山に彼女をとられた挙げ句、妊娠させられてしまう。がびょーん。怒り狂った田西は青山に決闘を挑むのだが。

感想

原作は漫画らしいです。映画館に貼ってあるポスターがあまりにも迫力があったので見てしまいました。主人公を演じたのはパンクバンド、銀杏BOYZの峯田和伸という人。僕はそういう予備知識なしに見たんですけど、とても良い映画でした。楽しかったです。

青春スポ根ものな感じもするんですけど、僕はどっちかって言ったら日本版『(500)日のサマー』みたいな印象を受けました。「えっ! (500)日のサマーはあんなにお洒落なのにこんなの全然違うよ!」って思う人もいるかもしんないけど、主人公のダメダメ加減がとても似てると思った。たしかに(500)日のサマーのトムは夢精したり女の子に「やらしてくれよぅ」と情けなく言ったりはしないけど、女の子の気持ちを考えられなくて自己中なとこなんかは結構似てると思った。

田西はとにかく痛いキャラで、妙な見栄を張ったり性欲が旺盛だったりとかとても情けないんだけど、僕が映画の中で一番痛々しいと感じたのが、ヒロインと付き合えてもいないのに、青山に彼女のこと「こんど貸してあげよっか」なんて言うところ。もう最低最悪でぐうの音も出なかった。なんでそんなこと言うのかなぁ。意味もなく悪ぶる必要なんてないのに。

一方でなんとなくこの田西の痛々しさは他人事じゃないような感じもする。自分だって虚勢を張ったり、自己中心的になったり、妙に自信がなかったりすることがある。自分では気づかないうちに身近な人の気持ちに配慮することなく自己中心的な言動をしたり、思っていることとまったく逆のことを口にしたり。ほんと人ごとではなかった。

それでも田西は純情に好きな女の子のことを思って一生懸命やるんだけど、結局空回りでかっこわるくて女の子からは嫌われる…。自分のことを見ているみたいでとても辛かった。押さえきれない衝動を抱えた男は結局走るしかないのだ!

蛇足

ちなみに銀杏BOYZが歌うエンディングテーマ『ボーイズ・オン・ザ・ラン』がとても良いです。iTunesでダウンロードして何回も聞きました。なんか聞いてるだけで涙出てくる。

さらに蛇足

田西の勤め先の齋田産業の社長役でリリー・フランキーが出てきます。リリー・フランキーはなんか若い女優とかと浮き名をはせていそうでいけ好かないイメージだったんですけど、とてもいい雰囲気出してて良かったです。名脇役だった。

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息もできない

評価 : ★★★★★

あらすじ

主人公はチンピラのキム・サンフン。大学の学生デモを粉砕したり、無許可屋台の撤去などの実力行使や、借金の取り立てを行って暮らしている。偶然、道ですれ違った女子高生ヨニと仲良くなり、お互いの孤独な心の隙間を埋めるように交流を深める。

感想

正直なところ韓国映画は見た後重苦しい気持ちになるやつが多いのであまり見たくはなかったんだけど、ちょうど福岡に出てきていて暇だったし、しかもタイミング良く監督・主演ほか5役をこなしたヤン・イクチュンの舞台挨拶があるらしかったので鑑賞してしまいました。重苦しい気持ちにはなったけど見て良かったです。

冒頭から度肝を抜かれる。男にいじめられてる女を助けたかと思うと、道にしゃがんで泣いてる女につばを吐きかけ、びんたをくらわせる。正義の味方なのか悪なのか分からないのが主人公であるキムサンフン。でもビジュアル的にはヘアスタイルといい、ださい長袖ポロシャツといい、日本で80年代に跳梁跋扈していたようなヤンキーそのもの。

日本の漫画によくある、ヤンキーだけど実はいいやつみたいな安易な展開にはならない。例えばドラえもんの劇場版のときのジャイアンみたいな感じにはならない。基本的にキムサンフンは常に悪。借金の取り立てに行っては我を忘れて血だらけになるまで相手を殴る。容赦ない。なんか血と骨に出てくるビートたけしみたいだ。

極悪なサンフンだけど女遊びなどには興味がないようで、腹違いの姉の息子である甥っ子に小遣いを与えたりゲームを買ってあげることだけが楽しみ。また借金の取り立てに行っても子どもの前では絶対に暴力をふるわない。その辺に救いがある。女子高生ヨニと会うときだって、性的な展開をいっさい感じさせない。正直サンフンのビジュアルは若い女が目の前にいたら五秒で強姦しそうなくらいに凶悪なのに、そのギャップが良かった。

ヨニはヨニで家庭に複雑な問題を抱えている。父はベトナム戦争の帰還兵で精神を病んでいるし、兄ヨンジェ(公式サイトでは弟と表記されているけど、ヨニが高校生でヨンジェは高卒という設定だから、ヨニは「弟がいる」とサンフンに言うけどこれは嘘で、弟ではなく兄が正しいはず)は学校を出ても働かずにフラフラしており、ときおりヨニに小遣いをせびる。二人とも最低の環境で生活しており、心の支えとなってくれる相手を求めていた。

なぜサンフンが凶暴な男になっていったのかは映画を見ていけば分かるんだけど、彼なりの復讐であったのではないかと僕は解釈した。しかしその復讐は何も生み出さない。誰かを不幸にし続けるだけなのだ。サンフンは最後にそのことに気がつきかけるのだが、運命はあまりにも皮肉だった。

監督舞台挨拶

上映終了後にたまたま福岡に来ていたヤン・イクチュン監督が舞台挨拶にやってきて、話を聞くことができた。映画の中のキム・サンフンとは打って変わって、コンバースの長袖Tシャツにニット帽をかぶり、黒縁メガネをかけていて今風の若者ぽかった。冗談好きな人で、よく笑っていた。もしこの舞台挨拶を見ていなかったら、ものすごーく暗い気分のまま劇場を出ていたと思う。監督が明るい人柄だったので映画の内容を相対化することができ、なんだか救われた心地だった。

| @技術/プログラミング

この前大阪で第二回アメ村ブルゾンの会をやったんですけど、そこで日夜ネットストーキングプログラミングにいそしんでおられる皆さんとお会いして、TwitterのStreaming APIの使い方を教えてもらいました。なんか自分でやろうとしてたんだけど、全然見当違いなところを見ていたみたいで、僕もStreaming APIでネットストーキングできるようになりました。pokutunaさんにもらったコードと "Twitter Streaming APIをRubyで試してみる - しばそんノート":http://d.hatena.ne.jp/shibason/20090816/1250405491 を参考に、以下のような感じにしてみました。

#!/usr/bin/env ruby
# coding: utf-8

require 'net/http'
require 'uri'
require 'rubygems'
require 'json'

USERNAME = 'morygonzalez'
PASSWORD = '***'

uri = URI.parse('http://chirpstream.twitter.com/2b/user.json')
begin
  Net::HTTP.start(uri.host, uri.port) do |http|
    request = Net::HTTP::Get.new(uri.request_uri)
    request.basic_auth(USERNAME, PASSWORD)
    http.request(request) do |response|
      raise 'Response is not chunked' unless response.chunked?
      response.read_body do |chunk|
        #空行は無視
        status = JSON.parse(chunk) rescue next
        #eventを含まないものは無視
        next unless status['event']
        source = status['source']
        if status['target_object']
          target_obj = status['target_object']
          target_user = target_obj['user']
          puts "#{status['event']}: #{source['screen_name']} -> #{target_user['screen_name']}: #{target_obj['text']}"
        elsif status['target']
          target = status['target']
          puts "#{status['event']}: #{source['screen_name']} -> #{target['screen_name']}"
        end
      end
    end
  end

rescue Timeout::Error => ex
  p "<-----!!!! Timeout::Error!!!!----->"

  retry
end

教えてもらったコードではTweetの内容を垂れ流しにするやつだったんですけど、自分でちょこっといじってTweet以外のステータスを表示するようにしてみた。しかしなんか調子悪いっぽくて、完全にはStreamを取れてないっぽいです。

でもまぁ一歩前進したことは確か。Rubyがんばるぜ。

| @技術/プログラミング

ちょっとCakePHPで作ってるサイトでRSSフィードを配信したいと思ったのでやってみたんだけど、思いの外面倒くさくてびっくりした。『RailsによるアジャイルWebアプリケーション開発』を読みながらRails 2.3.5でRSSフィード作るときは結構簡単だった気がするので、正直これはないわと思った。

『Railsによる〜』で作ってるデモプロジェクトのdpeotのコードを見てみると、RSSを配信するときはControllerに以下のように記述し、

respond_to do |format|
    format.html # index.html.erb
    format.xml  { render :xml => @products }
end

config/routes.rb

map.connect ':controller/:action/:id.:format'

と書いたあと、RSS用のViewを用意してやるだけだ。ものすごくシンプルで簡単だった。

CakePHPで同じことをやるためには以下の手順が必要。

ちょっと面倒くさすぎてやる気にならなかった。どうせいま僕が作ってるサイトなんてRSSリーダー使うような人が見るサイトじゃないし、フィード配信機能の実装はそんなにプライオリティ高くないので他にやることがなくてどうしようもなく暇なときにでもやろう。

Railsは最初のとっかかりのハードルは高いけど、使い方を覚えていったらやっぱりCakePHPとかよりも全然簡単かつ高速に開発できる気がする。レールに乗ってる感強い。このMephistoの設置もすごく楽だった。ただTerminalを使い慣れた人や、サーバーにSSHでアクセスできる環境じゃないとRailsアプリケーションを使うのは難しい。CakePHPは反面、全部FTPでアップロードすれば良いのでサーバーに標準的な構成でPHPがインストールされてりゃ環境構築でつまずくことはない。どっちをとるかって話ですよね。

僕はファッションの観点からRailsを選びたい。

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フローズン・リバー

評価 : ★★★★★

あらすじ

アメリカとカナダの国境付近に暮らす貧しい白人女性レイの話。貧しいながらも家を買いトレーラーハウス暮らしに別れを告げる予定だったが、ある日夫が住宅の購入資金を持って蒸発した。期限内にお金を払わないと手付け金がパーになり家を買えなくなってしまう。レンタル家具など様々な支払い期日が迫っており一日も早く夫を見つけ出すか現金を用意する必要があった。困窮したレイが選んだ選択肢とは。

感想

すごい映画だった。貧しい白人の話というのは貧しい黒人の話よりも悲惨になる場合がある。

特に悲しいのがレイの長男TJ。責任感とか使命感が強くて、貧しい一家のためにアルバイトをしたいと申し出るんだけど、まだ15歳だからダメだといって母親は取り合わない。でも実際は子どもたちの毎日の昼食代にも事欠くような状況で、息子は息子なりに詐欺師っぽいアルバイトに手を染めたりする。

レイは失踪した夫が乗っていた車に乗るネイティブアメリカンの女ライラを捕まえて車を奪い返すんだけど、実はその女は密入国の斡旋業者で、ひょんなことからレイもその仕事に手を染めることになる。「白人は警察に怪しまれないから」とライラは言う。

日本で普通に暮らしてると、アメリカと言えばオバマとかシリコンバレーとかサブプライムローンとかイラク戦争とか沖縄の海兵隊とか、そういう部分にしか思いが至らないんだけど、アメリカにはネイティブアメリカンの問題があることを思い出させられた。

ネイティブアメリカンには部分的な自治が認められていて、彼らが暮らす居留地には警察は立ち入ることができない。フローズン・リバーとはアメリカとカナダの居留地にまたがった河が冬季に凍結してできる秘密の道のことを指しており、ライラとレイは万一警察に見つかっても安全なこの道路を使って密入国の幇助をするのだった。

レイがなかなか勤め先の100円ショップで正社員として働かせてもらえず経済的に困窮する様子や、長男のTJが少しでも家の役に立とうとバーナーを使って大工仕事をしようとする様子がとても切なかった。まるで大草原の小さな家を見ているかのよう。アメリカの白人っていうとみんなそこそこ裕福で楽しく暮らしてるようなイメージがあるんだけど、中より下の階級のアメリカ人は医療保険にも加入できず、満足な医療も受けられないまま死んでいったりしてる。中途半端なプライドがあるから人の施しに頼ることもできず、貧乏なマイノリティの映画とはまた違った悲しさがある。

ドキュメンタリーとドラマで全然ジャンルは別物だけど、僕はなんだか『アンヴィル』にも通じるものを感じました。かなりすごい映画だった!