| @料理/食事

メスティンで卵かけご飯

どういう文脈か知らないのだけどメスティンがはやってるらしい。メスティンというのはスウェーデンのトランギアという登山用クッカーなどを作ってる会社の製品で、日本ではイワタニ・プリムスが販売してる。自分は登山の会社に勤めているので 3 年くらい前からメスティンというものの存在は知っていたが、かたちが変だしあまり便利そうに見えなくて使ってなかった。今年の春にアルコールストーブを買って以来、チタンとかウルトラライトなハイキング用品に興味が出てきて、メスティンは UL ハイカーの間でも定番のアイテムだということを知った。いつか欲しいと思っていたが Amazon では正規品は在庫切れで、怪しい業者が 4000 円くらいで出しているものしか買えなかった。たまたま 9 月頃、定価で注文受付しているタイミングに遭遇し定価で購入できた。

昼休みにベランダで炊飯

その後家で練習炊飯して山やキャンプでも使ってみた。

キャンプで卵かけご飯

山頂で炊飯

アルコールストーブで炊飯する場合、炊飯時間はアルコールストーブの燃料容量に依存する。自分が持っているエバニューのアルコールストーブは 60ml 入るが、火力が強くて一気に燃料を使い果たす。多分 10 分くらいしか持たない。そのため事前に米を水に浸して水を染み込ませる必要がある。これをやらないと米に芯が残っておいしくない。さらにメスティンでの炊飯は炊飯後にタオルなどで包んで蒸らしの時間を設ける必要がある。ちょっと手間がかかるのだが、ちゃんと浸水して炊き、蒸らしも行うととてもうまいご飯が炊ける。炊飯器で炊いたのとは別次元のうまさになる。米の一粒一粒が主張してくる感じ。単なる固めのご飯とは違う、圧倒的な米粒の存在感を感じられる。一合炊いてペロリと食べてしまえる。糖尿病の危険が危ない。

メスティンでツナマヨかけご飯 1

メスティンでツナマヨかけご飯 2

他にも缶詰をぶち込んで簡易炊き込みご飯もできるし、スパゲティを茹でて食べることもできるみたいだ。定価なら値段も 1700 円くらいで安い。

以下はトランギアのメスティンでいまは定価ではないが、定期的に定価でも販売されるっぽいので欲しい人は時々覗いてみて下さい。

| @登山/ランニング

山頂でコーラ

8 月の最後の日曜日に脊振山から金山まで縦走した。 2 年前の糸島四座縦走(未遂)以来の長い日帰りソロハイクだった。歩いた距離は平坦地の距離も合わせて 21km 。くたくたに疲れて思わず山行中にコーラを 3 本飲んでしまった。

いつかは脊振山系全山縦走(福岡県と佐賀県を隔てる県境の山系で西端の十坊山から東端の基山まで 70km ある)をやってみたいと思っていたけど、今回脊振山・金山を縦走してみて自分は到底そのレベルに到達することはできないなと思った。脊振山から金山へ縦走していて、途中のところでくたくたに疲れて地面に座り込んで休憩してしまった。山ではがんがん登山するよりも、ほどよく休んでコーヒーいれて飲んだり、冷凍焼売を蒸して食べたりだとか、ピクニック + ハイキング的なものの方が自分の性分に合っている。

鬼ヶ鼻岩で焼売

帰りの交通機関の時間を気にしながらの登山は目的が達成できたときはうれしいが、ゆっくり写真を撮ったり食事したりすることができず少しせわしない。かといって車を使った登山をするのは負けた感じがするし、車を使わない縦走ならではの下山後の酒というご褒美がなくなってしまう。となるとある程度歩く登山の場合は日帰りではなく山に泊まることを考慮すべきなのかもしれない。

脊振山へのルートは沢が多くもみじが美しかった。新緑の季節や秋に訪れると最高だろう。

もみじの美しい谷

金山も山頂は眺望がイマイチと聞いていたが、脊振山・金山間の縦走路は稜線歩きの快適な道が多く、脊振山まで車で来て鬼ヶ鼻岩くらいまで歩いて引き返す、というような感じだと家族連れでも楽しめそう。

九州自然歩道

白砂の眺望の良い場所

鬼ヶ鼻岩からの景色

猟師岩山・金山間は歩く人が少ないのか笹藪が茂っているし、結構痩せ尾根があって万が一転倒すると簡単に落命しそう。

金山までの縦走路

予定では金山から花乱の滝コースで下山する予定だったが時間が押してしまい、バスの時間に余裕がある坊主ヶ滝ルートで下山することにした。

当初の予定ルート(花乱の滝方面から下山)

実際のルート(坊主ヶ滝方面から下山)

ただし坊主ヶ滝ルートは罠があって、登山口までの時間は確かに短いが、バス停まで 40 分程度舗装路を歩く必要があって結局バスに間に合わず、本数の多いバス停までさらに 1km 程度歩いた。疲れた体にはこたえた。

日暮れ後の田んぼ

バスで西新まで移動して、一人しめやかに祝杯を挙げた。ラーメン一杯 290 円の店で 1300 円くらいお金使った。

西新のラーメン屋で

| @WWW

山に行ったときに山頂でコーヒー入れて飲むの好きで、その様子を「純喫茶 山頂」などと言って Twitter に投稿してた。

そしたら嫁さんに同じようなことを動画でもっとイケてる感じでやっている人がいることを教えてもらった。

Tasty がその人の動画を一本にまとめてるのが以下。

Falke Omdal さんという、ノルウェー人のアウトドア写真家のようだ。フィヨルドを見下ろす崖の上に腰掛けてコーヒー入れたり、カヌーでどっか行ってコーヒー入れたり、山の上にテント張って焚き火でお湯わかしてコーヒー入れたりしてる。山で焚き火台使わず地面に直で焚き火するの、日本でやったらめっちゃ怒られそう。

Falke さんがすごいのは、山にハリオやケメックスのコーヒーサーバーや、ガラスのコップを持って行ってるところだ。登山用品はとにかく軽い方が良いし、かさばるものは避けられがちだ。軽くて小さく、重ねられる丈夫なものが好まれる。ガラスの容器やコップは重いしかさばるし割れやすいので全然登山向きではない。でもやっぱりコーヒーは金属製の容器よりもガラスのサーバーにドリップする方がうまそうに見える。

地面直の焚き火にしろ山でガラス容器を使うことにしろ、登山で常識とされていること(少なくとも日本では)から自由な発想で山での時間を過ごしているところがとてもうらやましい。

ちなみに自分もこの前家の近くの山に登ってみたときに真似して動画撮ってみたけどあまりいい感じにできなかった。簡単そうに見えるけどちゃんと三脚で固定したり、コーヒー入れる人とは別に撮影する人が必要だと思った。編集のテクニックも必要だ。長い動画をアップしてもあまり見てもらえないっぽい。必要な部分だけを残してつなげ、 30 秒くらいで終わる動画にしないと見てもらえなそうだ。

| @登山/ランニング

少し前の記事で欲しいと書いていた Evernew のチタンカップ Ti570Cup とチタン蒸し皿をついに買ってしまった。蓋は Evernew が出している純正品ではなく、 Belmont の BM-076 チタンシェラカップリッドを買った。

実際に山に持っていって焼売を蒸してみた。

焼売

焼売

陳建一の四川焼売だからうまいのか、山で蒸したからうまいのかわからなかったが、とにかくうまかったような気がする。気がするというのは、焼売を蒸している最中にわざわざ宗像市の GRiPS まで買いに行った蓋を風で崖下まで飛ばされてしまい、正直味をあまり覚えていない。買ったばかりの蓋を飛ばされてしまいしばし悲嘆に暮れたが、何とか拾えそうだと思われたので一緒に居た同僚殿のトレッキングポール二本を連結して延ばし、先端にキズパワーパッドのパチモンを貼り付けてトリモチ状にして執念で回収した。

BM-076 回収

回収された BM-076 チタンシェラカップリッド

最初に買った mont-bell のアルミのクッカーに比べてチタン製のクッカー類は非常に軽い。風が強い日にはこういう風に簡単に飛ばされてしまうという学びを得た。これに懲りずに山での焼売や小籠包、もっとやりたい。早く寒くなって欲しい。

| @Mac/iPhone

Numbers.app

公共交通機関を使って登山に行くときは結構綿密に登山計画を立てる。登山口まで行けるバスはコミュニティバスのようなものが多く本数が少ないため、乗り継ぎや行程の時間管理に失敗すると登山できなくなったり帰れなくなったりする。特に長い距離の縦走を日帰りでやろうとすると時間の管理がシビアになる。コミュニティバスの最終時刻は精々 18 時くらいなので、その時間までに確実に下山しないといけない。もし下山できなかった場合はタクシーを呼んで大金を払って帰るか山で野垂れ死ぬしかない。なので準備が大事だ。

YAMAP やヤマレコに登山計画を立てる機能はあるが、あくまでそれは登山中の行程管理であって、行き帰りの公共交通機関の情報を含めた行程ではない。何時に家を出ると乗換駅には何時頃着いてバスはどれに乗れば良いか、バスの乗り換えはどこですればよいか、といった情報は登山計画には書けず自分で管理するしかない。

他にも、バスの時間を一本遅らせたときに後ろの行程にどのくらい影響が出るかを確認したいが、登山の行程と交通機関の行程が分離されていると影響を把握しづらい(手動で後ろの行程の時間をずらしていく必要がある)し、バスの時刻表や地図を埋め込んでおきたいが、画像の貼り付けやリンクには対応していない。

登山では(登山に限らず旅行などでも)プランA とプラン B を考えて、その日の体調や天候に応じて行程を変更するということがあり得ると思う。複数の計画を並列で眺めて比較検討したりするのも登山計画系のサービスではできない。

旅の計画とはつまるところタイムテーブルの管理であり、それはエクセル的なものが使いやすい。スタート時間を 5 分遅らせると後ろが何分遅れるかが簡単にわかる。この計画は何時間かかるのか、というのも勝手に計算してくれる。エクセル的なものであればリンクを埋め込んだり画像を貼り付けたりもできる。

ただ、 Microsoft Excel や Google Spreadsheet の弱点として、一つのシート(画面)に表示できるのは一つの表までだ。一つの画面で複数の表を並べて情報を整理したりできない。画像やリンクを埋め込むことはできるが、あくまで表情のどこかに置くという感じで使い勝手が悪い。セルの中に文字列が隠れてしまったりする。

Numbers は一つのシート(画面)に複数の表を表示できる。これにより関連する複数のデータを並べて情報を整理することができる。それぞれの表はグリグリ動かすこともできる。画像やリンクは表の一部としてではなく、独立したオブジェクトとしてシートの中に埋め込むことができる。こんな感じ。

Numbers

例えるなら表計算機能付きのスクラップブックといった感じだ。たいていのデジタルデータを取り込めて自由に配置でき、コメントを書いたりデータを表に集計して絞り込みしたりグラフ化したりもできる。

いろんなデータを取り込めると言えば Notion が思い浮かんだので同じようなことを Notion でやってみようとした。見た目はおしゃれだし画像やリンクの埋め込みは Notion の方に分があるが、表は作れるものの時間の計算ができない。行程管理において時間の計算ができないのは致命的だ。

Notion

SIer がドキュメント管理に Excel を使うのを嘲笑する風潮があるが(自分もかつて Excel で画面仕様書を作らされていて死ぬほど嫌だった)、何でも Excel で書くのは一理あるのかもしれない。

ただ、上に書いているように Excel には欠点があるので Mac が使えるなら断然 Numbers の方がよい。 Excel のようなマクロはないので高度な処理には向かないが、個人が普通に使う計算はできる。

Numbers のような機能を持ち、チームで共同編集もできる SaaS が出てくると市場を席巻できる気がする。 Miro などがそれに近いかもしれないが、ドローやダイアグラムに特化していてちょっとした計算や条件に応じたデータの絞り込みなどはできない。

話をもとに戻すと、個人が旅行計画のような図や写真、表を一元管理して情報を整理するような用途には Numbers が最適です

| @写真

箱石峠から眺める阿蘇高岳

2018 年末に NIKON Z6 を買った。その前は NIKON D90 を 10 年近く使ってた。 NIKON D90 で撮れる写真にあまり不満はなかったが、フルサイズへの憧れと動画性能のしょぼさ(静止画は D90 の方がよいものが撮れるが、動画は明らかに iPhone の方がよいものが撮れた)に困っていて買い換えを決意した。人生で初めて新発売のカメラを発売前から予約して購入した。 48 回分割払い。

NIKON Z6 の良さは色々ある。通し F4 で撮れる 24-70m レンズ(レンズキットを買った)、 ISO 感度の高さ、チルト液晶、奥行きにも対応したデジタル水準器、 SnapBridge 対応(スマートフォンの GPS を利用した位置情報埋め込み、撮った写真をすぐに Bluetooth でスマートフォンに送れる)などなど。スマートフォン時代に対応するための正統進化という趣がある。 NIKON は真っ当ないい製品を作ったなと思う。

というわけでまずは NIKON Z6 で撮った写真からご覧下さい。そのあとに iPhone 7 で撮った写真で今年を振り返ります。

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| @労働

今週、 YAMAP でブラウザーでコースタイム付きの地図を表示し、自由に印刷できる機能をリリースした。

地図表示・印刷機能

開発の経緯

ユーザー要望が開発の起点だった。

YAMAP には Google Maps のようにウェブブラウザー上で登山道や登山口情報などを見る機能はなく、無料でダウンロードできる画像形式の地図は提供していたが、以下の課題があった。

  • 磁北線・縮尺の欠如
  • 任意の範囲を切り取っての拡大印刷はユーザー任せ
  • 地図の更新(コースタイム、山頂データなど)には画像データの書き出しが必要(アプリ内で使う地図に比べて更新サイクルが遅れる)

切り取り拡大の課題を解決するためにサポートチームが画像編集ソフトの使い方を教えたり、サポートスタッフ自身が地図を編集・加工して渡すことがあり、非常に負荷が高かった。

Google Maps のようにブラウザーで地図を閲覧できて、任意の範囲を自由に印刷できれば問題が解決するのではないかという見通しがあった。

デモ版を作ってもらって得た気付き

API は既存のものを組み合わせて作れそうだったので、 F/E エンジニアにデモ版を作ってもらった。

デモを使ってみて、地図を印刷するための機能が、ウェブブラウザー上で山の情報を確認し、山行計画を練る際にも便利なものであることに気がついた。

ブラウザーで登山コースを確認できるサイトは他にもあるが、百名山などメジャーな山が中心で、低山や全国津々浦々の里山までカバーしているものはなかった。

YAMAP の強みはユーザーからのリクエストで地図データを更新していくところにある。紙の地図では最低でも一年待たないと更新されない情報が随時更新され、しかも他のウェブサイトや紙地図では登山者が少なすぎて地図化されないような低山の地図まである。今回の機能追加で、そのような豊富な地図がウェブブラウザー上で閲覧して印刷することもできるようになるのだった。

デリバリー

デモ版は数日で出来たが、実際にリリースするまでの道のりが長かった。

先行して磁北線関連の問い合わせてをしてきた一部のユーザーにベータ版として機能を提供して様子をうかがいつつ、エンジニア、デザイナー、カスタマーサポート、経営陣のあいだで利害を調整し、機能、デザイン、使い勝手に磨きをかけた。

エンジニアやデザイナーに、他の仕事を差し置いてなぜこの機能をいま作る必要があるのかをわかってもらうのはとても難しかった。またデモ版のラフなデザインが与える印象が非開発者にはクオリティの低いプロダクトに見えてしまい、調整が難航することもあり、デザインの大切さを実感した。

苦労してリリースにこぎつけたあと、リリースノートを書いて PR 担当に Twitter や Facebook での広報を依頼した。普段の機能リリースよりも少しだけ大きい反響を得られたようだった。

所感

3 ヶ月前にエンジニアからプロダクマネージャーに社内でジョブチェンジしたので、今回のリリースで自分は一切コードを書いていない。初めてプロダクトマネジメントのロールに徹したリリースだった。

エンジニアであれば気にすべきことは自分のことがほとんどで、調子が上がらないときは遅くまで残ってやるとか家に持ち帰ってやるとか色々帳尻を合わせる方法はあった(もちろんいいやり方ではない)。プロダクトマネージャーは自分でコードを書くのではなく、周囲の人の間でもろもろ調整したり働きかけたりが仕事になるので、マイペースでのんびりやってあとで帳尻を合わせるということができない。かといってコミュニケーションを取り過ぎてエンジニアやデザイナーの邪魔をしてもいけない。塩梅が難しい。

もともと自分自身で手を動かしてソフトウェアを作ることが仕事だったから、エディターを開いてもドキュメントしか書かず、何も作ることがない日々に不安はあった。何か機能をリリースしても自分が作ったわけではないという虚しさが訪れるのではというような心配もあった。しかしリリースノートを書き終えたときには、これまでエンジニアとして機能をリリースしてきたときとは別の達成感があった。

プロダクトマネジメントについて書いてある『 Making It Right 』という本に、「プロダクトマネージャーは八つ裂きの刑に処されているようなものだ」というフレーズがある。手足を紐で別々の馬に繋がれて、それぞれ異なる方向に引っ張られるという刑だ。ビジネスサイド、開発チーム、サポート、ユーザーといった様々な人たちの利害を調整し、なんとか落とし所を見つけて説得し、開発チームに納得してソフトウェアを作ってもらう必要がある。リリースする前までは「プロダクトマネージャーつらすぎるだろ…」と思うこともあったが、苦労した分、リリース後の達成感はひとしおだった。

まだまだプロダクトマネージャーとしては新米で至らないところが多々あるが、ユーザー、サポートチーム、開発チームに寄り添いながら、多くの登山者に喜ばれるソフトウェアを届けていきたい。加えて、プロダクトによって山登りのハードルを下げ、まだ山に登ったことはないけれど興味がある、という人達に対して山登りの楽しみを広めていけたらと思う。