ドイツでユースホステルに泊まると必ず朝食が付いてきた。食生活が偏りがちなビンボーバックパッカーにとってこれは大変ありがたかった。しかし旅行当初は朝食なんて重視していなかった。そもそも旅行中でない平時でも朝食をとることは希なニートの俺様である。朝昼兼用でサンドウィッチでも買って食べればいいさ、と思っていたのである。
実際、初めて利用したニュルンベルクのユースホステルで朝食を食べられたときに大した感動を覚えはしなかった。ドイツではオープンサンドという伝統があって、朝食と夕食は火を使わずに、パンにチーズやハム、ジャムなどをつけて質素にすませるのだそうだ。だから朝目が覚めて食堂を訪れ、ハムやチーズやシリアルは用意してあるものの、火の通ったものが何もないのには正直驚いた。というか、ドイツ人というのはなんと物臭な人たちなんだろうとあきれたくらいだ。
しかも当初はドイツパンに対してあまり好意的な感情を持っていなかった。ポロポロと皮が崩れ、注意深く皿の上で食べないと服やテーブルがとても汚れる。パンが堅いので、しばしば口内に出血することもあった。
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