| @WWW

情弱なので知らなかったんだけど、2006年くらいからロシアのmp3ダウンロードサイトがアツいらしい。というかアツかったらしい。mp3が沢山ダウンロード出来るんだけど、P2Pの違法ファイル交換じゃなくて、少額だけど金がかかるサービス。例えば一曲あたり$0.15、アルバムでも$3くらいでダウンロードできる。しかもDRMフリー。異常に安いんだけど、どうもアーティストに金が行き渡らない仕組みらしい。

日本とか欧米でこういうサービスやったら違法なんだけど、少なくともロシアの法律では合法的なサービスだとか。この手のサイトの嚆矢はAllofMP3というサイトらしいんだけど、アメリカ政府がロシア政府にいちゃもんつけていまでは潰れてしまったらしい(AllofMP3、WTOを舞台にした暗闘の末、閉鎖される)。だけど似たようなサイトはいっぱいあって、いまもサービスを続けている模様。

僕はその中からmp3skylineというサイトに興味を引かれてアカウント作ってみた。ここはアナログ盤でも入手困難なHip Hopの曲がmp3化されて格安で売られてたりする。ちゃんとレコードから録音してるらしい。moraとかと比較にならないくらい自分好みの曲がちゃんと置いてある。洋楽はもちろんのこと、INO hidefumiとかもあるし、日本語ラップだって探せばちらほら出てくる。Nujabesとかも揃ってる。音質はmp3 192kbpsかVBR。ロスレス信仰のオーディオキチガイみたいな人からしたらダメダメな音質かも知んないけど、僕は気になんない。

で、結論を書くとこのサイト使えない。全然曲がダウンロードできない。前払い制なので20ドル分の代金を先払いしたんだけど、欲しい曲がほとんどダウンロードできない。ダウンロードには専用のソフト(Skyshare Manager)を使う必要があるんだけど、これがMac OS XネイティブのやつじゃなくてLinuxでも動くJavaのやつ。こいつが全然使えないの(Windows版のソフトだと快適にダウンロードできるのかも知れない)。ダウンロードしようとするとBad Gatewayとかエラーが出る。朝方5時台に奇跡的に数曲ダウンロードできただけで、あとはてんでダメ。iTunes Storeにない曲もあるし、なにより値段が激安なので期待してたんだけど、結局安かろう悪かろうだった。

青臭いことを言うと、この手のロシアのmp3ダウンロードサービスでいくら曲をダウンロードしてもアーティストには金が行き渡らないわけで、いまんとこ違法じゃなくても心に引っかかる部分はないわけじゃない。

しかも先に金を払わせる系のサービスなので、サイトが吹っ飛んだりしたときには残高が無効になる。決済にPayPalが使えてたこともあるらしんだけど、僕がサインアップしたときはVISAかMasterのカードしか使えなかった。しかも直接決済するんじゃなくてポーランドの怪しい決済サービス経由。この辺のうさんくささというかリスクは一曲ごとに決済されるiTunesとは比較にならない。

まぁそういうわけでして、安くて違法ではないパラダイスみたいなmp3ダウンロードサイトがあるかと言ったら、いややっぱ何かしらマイナスポイントがあってご利用には注意が必要ですよ、というお話でした。特にこのサイト、最初に$45払うと$60分ダウンロードできるみたいなキャンペーンをやってるので、惑わされないように気を付けてください。$45ドル前払いして全然ダウンロード出来なかったらもっちゃいないです。それよか好きなアーティストのCD三枚買った方が幸せになれそう。

| @散財

夏なので大きな音で音楽を聞きたくてスピーカーを買いました。

BOSEのComputer MusicMonitor (M2) です。これはいまは販売終了しているMicro Music Monitor (M3) の後継機種になります。M3から乾電池駆動が取り除かれたのがM2ということになっているらしいですが、音は全然違うらしいです(AV Watch 【新製品レビュー - ボーズの新小型スピーカー「M2」を兄貴分「M3」と比較】)。2chや価格comのユーザーレビューでは「1万円をケチってM2を買うと安物買いの銭失いになる」と言われていますが、売ってないものは買えないんだから仕方ない。僕はM2を買って良かったです。

実を言うと僕もM3の購入を検討したことがあったのですが、定価49,800円でいささか高かったし、迷っているうちに販売終了になりM2に統合されてしまっていたのでした。販売終了後もM3は人気で、ヤフオクではM3のブラックモデル(M2はシルバーのみ)は10万円オーバーで落札されてたりします。僕も京都の伊勢丹のBOSE直営店で延々試聴だけして買わずに帰ったことがありますが、確かに素晴らしい音色でした。

では感想です。僕は高音難聴で4,000Hz以上の音が聞こえにくいのですが、M2では高い音もはっきり聞こえます。以前はiTunesでイコライザーをいじって高音を強調するセッティングにしていましたが、そのセッティングでM2から音を出すとシャカシャカと耳障りなこと極まりありませんでした。BOSEと言えば低音なイメージだったので意外でした。とはいえ、「このサイズでこの低音は!」という驚きは得られます。家族や友だちに音を聞かせるとビックリしていました。

オーディオマニアほどでもないけど、パソコンのスピーカーで再生する音に不満を持っているような人にM2は向いていると思います。確かにコンピューター用スピーカーの中ではM2は高い部類に入るでしょうが、パソコンの音をステレオセットから出すためにコンポを買うとしても4, 5万はしてしまいます。CDやMD、カセットテープから音を出すことは滅多になく、音楽の再生はiTunesなどのソフトに任せっきりという人が殆どではないでしょうか。そう考えるとM2はコストパフォーマンス的にも優れていると思います。

M3はBOSE直営店とApple Storeのみの販売だったので値引きがなかったのですが、M2はAmazonや量販店でも売っているので価格comで探せば安く買えます。確かにM3にはかなわないかも知れないけど、値段と性能を考慮すれば満足できる買い物だったと思います。僕のような定価で物を買うのが大嫌いなケチケチ野郎に打って付け!

| @写真

花火

火の山祭り

三脚まほし。

| @映画/ドラマ/テレビ

マン・オン・ワイヤー

評価 : ★★★☆☆

いまはなきニューヨークのワールド・トレード・センターの二棟のあいだにワイヤーを通して綱渡りしちゃったフランス人の話。

アカデミー賞のドキュメンタリー部門取ってるらしい。確かにすごいことはすごい。でもぶっちゃけ面白いかって言われると、うーん、微妙。

フランス人のフィリップ・プティは大道芸人。ある日突然綱渡りに惹かれてそれ以後憑かれたように高いところで綱渡りをする。ノートルダム寺院とかも渡っちゃう。物語のクライマックスはワールド・トレード・センターを綱渡りするところ。これが1974年。これを現代からフィリップや彼を支えた友人達が回想するという筋書き。再現ドラマも織り交ぜられるんだけど、驚くことに彼らが当時取ってた16mmフィルムの映像がメイン。だから本人主演の再現ドラマを見ているような錯覚にとらわれる。若い俳優を無理に老けさせたり、年老いた俳優を無理に若作りさせたりとかそういうんじゃない。16mmに映ってる若い頃のフィリップ達は素人なんだけどなぜか俳優っぽく見える。大道芸人だからだろうか。だから再現ドラマと当時の映像の部分でブツ切れ感がなくて非常になめらか。この辺は確かにすごい。

しかしドキュメンタリー映画の常というべきか、あらかじめ予備知識を頭に詰め込んどかないと辛い。最初沢山登場人物が出てきて喋るので、誰が誰なのか分からなくなる。そして展開がめまぐるしい。僕は食後に見てしまったので丁度眠くなるタイミングと重なり、前半はあんまり記憶に残ってない。

ドキュメンタリーとはいえちゃんと筋書きがある。いかにしてバレないようにワールド・トレード・センターに忍び込むかといった準備のシーンはスパイ映画みたいでドキドキハラハラさせられる。フィリップと恋人、友人達の間の人間模様の変化も大変興味深く描かれる。綱渡りを決行する前に、無許可の綱渡りは違法だからと恐れをなして計画を降りるヘタレが出たりする。それで計画が大幅に狂ったり。

綱渡りを達成した後、当然彼らは警察に捕まる。とはいえフィリップ本人は快挙を成し遂げたのでスター扱いされる。しかし彼を支えた友人達が英雄視されることはない。偉業を達成するのだけどおかげで友情が崩れ、恋人との関係もおかしくなる。

最後、フィリップは一人で黙々と綱渡りのトレーニングをする映像が挿入される。しかし恋人や幼なじみの友人は去ってしまった。すごいことを成し遂げたけど、結果的に彼は一人になった、という風に受け取れる。夢のために失ったものも大きかった。単なる綱渡りの映画ではなかったね。

| @技術/プログラミング

「対応した」って高らかに宣言しながら対応してなかったISBN変換プラグインですが、やっと対応させました。ISBN変換プラグイン利用者の方には随分お待たせいたしました。

なんで手こずってたかっていうとSOAPでアクセスしてたからです(元々の開発元の福耳Cafeさんで公開されたときからSOAPでリクエストしてたので)。SOAPはいろんなことが出来る反面、速度がとろいらしく、フツーの人はRESTでリクエストするみたいです。だもんであんまりネットに情報がなくて。Amazon自身もSOAPについてのドキュメントは少なめにしか用意してくれてなくて難儀しました。結局、認証情報はSaopHeaderに埋め込まなきゃいけないっていうところが理解できてなかったわけでした。

// Authentication
$xmlns_aws = 'http://security.amazonaws.com/doc/2007-01-01/';
$kidheader = new soapheader($xmlns_aws, 'AWSAccessKeyId', $this->awsaccess_key_id, false);
$tsheader = new soapheader($xmlns_aws, 'Timestamp', gmdate('Y-m-dTH:i:s'), false);
$sigheader = new soapheader($xmlns_aws, 'Signature', $signature, false);
$soapclient->__setSoapHeaders(array($kidheader, $tsheader, $sigheader));

と書き加えたことで無事動くようになりました。ダウンロードは以下から。

| @読書

世界は村上春樹をどう読むか

評価 : ★★★★☆

村上春樹の小説の翻訳者達が東京に集まって開かれたシンポジウムを書籍化したもの。面白かったです。

例によって印象に残ったところを過剰書き的に書き出しながら書いていきます。

翻訳先の国の発展度に応じて訳が変化する

中国語圏では台湾や大陸、香港とそれぞれ別人によって訳されたバージョンが存在するらしい。それで訳され方が異なるのだとか。例えばノルウェイの森で主人公が夜中の新宿の喫茶店でトーマス・マンの『魔の山』を読んでいると二人組の女の子がやってきて相席になるシーン。ここで主人公はカフェオレとケーキを注文するのだけど、台湾版ではカフェオレが何であるかの注釈付で訳され、大陸版では「コーヒーとハンバーガー」と訳されてしまっているらしい。これから分かることは、少なくともノルウェイの森が翻訳された時点で台湾ではカフェオレはまだ一般庶民になじみが深いものではなく、中国大陸では終夜営業の喫茶店に入ってカフェオレとケーキを頼むというニュアンスが読者に伝わらないため、カフェオレはコーヒーに、ケーキはハンバーガーに置き換えられたのだろう、ということ。文化的社会的な背景から直訳が難しい箇所があるというわけ。例えば村上作品にはジャズのレコード名が沢山出てくるが、中国語にはカタカナがないため、またロシアではジャズの知名度自体が高くないので翻訳者は訳すときに難儀するらしい。この辺の事情話は非常に興味深かった。旧共産主義国ではジャズに限らず、冷戦時代の映画やロック、ポップミュージックなどのバンド名を書き連ねてもニュアンスが伝わらないだろう。だからといって作中の固有名詞を好き勝手なものに変えてしまってはまずい。例えば僕が村上春樹の短編の中で好きな「ファミリー・アフェア」(『パン屋再襲撃』に収録されてる)にはホセ・フェリシアーノフリオ・イグレシアスが頻繁にネタキャラとして登場する。ダメな音楽、ダサい音楽の象徴として登場するのだ。ホセ・フェリシアーノフリオ・イグレシアスは『夜のくもざる』という短編集の「フリオ・イグレシアス」の中にも登場する。これがめっぽう面白いのだけど、もしこれが適当に他のアーティストに置き換えられると印象が変わってしまうだろう。僕は個人的にはホセ・フェリシアーノを現代のアーティストで置き換えるとしたらリッキー・マーティンなんかが良いんじゃないかと思うんだけど、村上春樹はこの辺にはかなりこだわりを持ってチョイスしていると思うから、うかつに記号をすげ替えるわけにはいかないだろう。翻訳者の苦労が想像できる。

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| @読書

評価 : ★★★★☆

面白かったです。日本占領下のシンガポールを舞台にした小説。英軍の要塞跡などは去年旅行したときに訪れたし、博物館の史料も食い入るように見ていたので旅行したときのことを思い出しながら読むことが出来た。

主人公はシンガポールで暮らす台湾出身の青年梁光前。当時台湾は日本の植民地だったので梁光前の国籍は日本であり、シンガポールでは日本人貿易商桜井が経営する会社で貿易事務に携わってる。社長一家とは親しい間柄で、社長の息子で同い年の幹夫と、幹夫の妹摩耶とは東京で一緒に暮らしたことがある仲。実は梁光前は摩耶に惚れてたりする。

戦争が始まって桜井家の人間は敵性市民ということで英軍に捕らえられ監獄に収容されるが、主人公は香港人のふりをして収容を逃れる。しかしスパイの嫌疑をかけられて英軍と警察から追われる身になり、しょうがなく抗日華僑義勇軍に参加してマレー半島を南進する日本軍と戦うことになる。一方で日本軍がシンガポールを陥落させた後の軍政下で主人公は再び日本側についてしまうので華僑の反感を買ってしまう。果たして無事終戦を迎えられるのか? 梁光前の運命やいかに? っていう内容。

冒頭から一杯伏線が仕掛けてあるんだけど、連載小説だったのかな、伏線が消化されることなく物語が終わってしまった。「え、あの登場人物は何だったの? ちょい役なら名前与えなくても良かったんじゃないの?」ってのが多い。当初の構想より大幅に物語が圧縮されてる印象。

著者はシンガポールに住んでたのかな、っていうくらいシンガポールのことに詳しい。戦争中のシンガポールのことなんてシンガポール人でも知らないだろうことを詳細に調べて書いている。インターネットもWikipediaもない時代にこれだけ調べ上げるのはさぞ骨の折れる作業だったろうなーと思った。

あと主人公が日本人摩耶と中国人の娼婦麗娜との間で揺れ動く恋愛模様も描かれる。主人公は摩耶のことが好きで香港人のふりをしてシンガポールにとどまり続ける。彼女のために無理をするんだけど、結局摩耶には見向きもされない。一方麗娜は梁光前は自分に気がないってことを分かっていながらも梁光前に献身的に尽くす。で、ネタバレさせていただくと最終的には梁光前と麗娜の二人は幸せになるんだけど、娼婦と結ばれるのってぶっちゃけどうなんだろう、って僕は思う。いや、娼婦だから差別するとか口を利かないとか物を売らないとかそんなんじゃなくて。普通に近所に娼婦がいたからって無視したりとかはしませんよ。ご近所さんとしては普通に付き合う。しかし、娼婦を嫁さんにするとなると話は別だ。「娼婦や遊女を身請けして嫁にするのが男の中の男、かっちょいい!」みたいな風潮には疑問を覚える。女の子とかは複雑な事情のある女も無条件で受け入れる男のことが好きなんだろうけど、いやぶっちゃけそういうのは難しいよ。商売で他の男とセックスしてる(してた)女の人を嫁さんに出来る度量があるかって言われたら正直僕はない。性行為ってのは生殖という人間の本質に関わる部分だから、なかなかすんなりと自分を慕ってくれるからという理由で売春婦と結婚することは難しい。もちろん女の人が売春に至るには複雑な事情があることは想像できるんだけど。ああなんか書いてることが訳分からなくなってきた。

まとめると、シンガポールに住んでたことがある人とか旅行したことがある人にはお勧めです。