| @雑談

 先週一週間ほど東京に行ってきました。Suica & PASMO連合は凄いですね。JR、私鉄、地下鉄の乗り換えがきわめてスムーズ。バスにもSuicaで乗れるってのは感動ものでした。さらには改札内や駅施設内であればたいていの買い物の支払いがSuicaで可能ではないですか。自販機やコインロッカーまでSuicaで支払いできるのだから驚きです。ていうかもはやコインロッカーじゃなくてSuicaロッカーです。

 しばらく田舎に住んでいて東京に漠然とあこがれというか幻想を抱いていましたが、一週間ほど滞在してもう一度住みたいかと言われるとちょっと微妙な気がしてきました。いろんな映画が上映されてるし欲しいものはすぐ手にはいるしすごく便利だけど、家賃は高いし人は多いし、一週間いただけでものすごく消耗しました。正直東京住める気がしない。

 スポーツ観戦や音楽鑑賞など文化的な生活水準は東京にいるとすごく満足できると思うのですが、少々刺激が強すぎるかも。選択肢が多すぎて、逆に何をすればいいか分からなくなりますね。昼ご飯何を食べよう。選択肢がありすぎて選べない。映画は何を見よう。映画館と上映作品が多すぎて選べない。田舎ならばお気に入りの喫茶店と映画館を一つか二つ確保しておくだけで結構幸せになれるんですよね。

 エーリッヒ・フロムではないですが、自由からの逃走な2007年夏でした。

| @映画/ドラマ/テレビ

 ドイツ映画。料理がうまそうな映画でした。以下ネタバレあり。

 主人公はエロティック・キュイジーヌで名をはせるシェフ、グレゴア。彼の料理を食べた者は官能の世界に誘われる。一度口にするや、テーブルマナーとか無視でお皿に残ってるソースまで指ですくってぺろぺろ舐めちゃう。そんな食い物あるのかってくらいに料理を上手に作ることが出来るオッサンです。でも太ってて禿げてて女っ気なし。休日はいつもカフェでお気に入りの給仕の女性の姿をじろじろ眺めるだけです。しかも給仕の女性エデンからはストーカー扱いされて全く風采の上がらないグレゴア。

 しかしエデンの娘レオニーが公園の噴水に落っこちる現場に居合わせ、レオニーを助けてあげたことであこがれのエデンと仲良くなる機会を得ます。偶然翌日がレオニーの誕生日だと知った彼は、とびきり美味くて官能的なケーキをプレゼント。そのケーキを口にしたエデンはグレゴアの料理の虜になるのです。

 エデンは悪女としては描かれませんが、僕からした悪女以外の何者でもありません。夫に黙ってグレゴアの厨房に通い詰め料理を作らせ、「あなたのおかげで私の人生はとてもうまくいくようになったわ。夫も昔好きになった頃の夫に戻ったし」だって。そんなのってないよ。グレゴアは自分のこと好きなこと分かってるくせに。エデンはグレゴアに与えてもらうばかりで何も彼に与えないのです。

 それでもグレゴアはエデンのことが好きだから、寂しい毎日に一輪の花が添えられたような生活が楽しくて、毎週毎週、エデンのために料理を作ってあげるのです。悲しいなぁ。

 ただエデンという女性は非常に魅力的に描かれており、見ていて美しいなぁと思いました。僕もドイツ語を話す女の人と懇ろな関係になりたいです。

| @映画/ドラマ/テレビ

 マイケル・ムーアがアメリカの医療事情をあぶり出した『シッコ』。なかなか面白かったです。

 一年くらい前に見たNHKスペシャルか何かで、なまじ収入があるばかりに貧困層向けの公的医療保険に加入できない中間層がアメリカには数千万人いる、というのがありました。でも今回マイケル・ムーアが取材対象としたのは保険に加入できない彼らのことではなく、保険に加入している人々のことです。恐ろしいことにアメリカの保険会社は何かとケチを付けて保険料の支払いを渋り、医療サービスを受けるために破産する人々がアメリカにはいるというのです。

 映画では憤りを覚える事例はたくさん紹介されているのですが、とても理不尽に感じたのが、交通事故に遭って意識を失い救急車で搬送された人が「事前に保険会社の承認のない救急車利用は保険金支払いの対象にならない」と支払いを拒否された例です。意識が回復するまで事故現場で大人しくしていろと言うのでしょうか。こんな感じでアメリカの医療保険は無茶苦茶なのです。

 荒廃したアメリカの医療の対比としてイギリスやフランス、カナダ、キューバの医療事情が紹介されます。各国とも医療費の患者負担はただか殆ど無料に近いもので、国民みんなが安心して医療サービスを受けられる態勢が整えられています。イギリスのNHSはアメリカ人に共産主義的な医療制度であると誤解されているのですが、医師は高い年収を保証され、高級住宅に住み、アウディを乗り回しています。一方で医療費がほぼただであることに加え、所得の低い人には交通費が支給されさえするのです。フランスでは出産をした人に政府が国費でお手伝いさんを雇ってくれます。

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| @映画/ドラマ/テレビ

 1984年、イスラエルとアメリカはエチオピアのユダヤ人を国内に帰還させる政策をとった。作戦の名前はモーセ作戦。彼らは唯一の黒い肌を持つユダヤ人であった。しかしエチオピアは当時移民を禁止していたため、イスラエルへの移住を希望する人々はスーダンの難民キャンプまで決死の覚悟で移動しなければならなかった。途中、飢えや渇き、あるいは盗賊に襲われるなどで4,000人が命を落としたという。スーダンの難民キャンプも環境は劣悪で、モーセ作戦の現場に居合わせたキリスト教徒である主人公シュロモの母親は、我が子をユダヤ教徒であると偽らせファラシャ(エチオピア系ユダヤ人)の列に加わらせる。イスラエルへの帰還直前にたまたま我が子を亡くした女性の息子になりすまし、少年は出自を偽りイスラエルの地を踏むのである。

 物語の基本はビルドゥングスロマンです。シュロモは頭の良さをいかして女の子をうっとりさせるラブレターを書いたりユダヤ教の演説会で観衆を感嘆させたりと順調に成長していくわけですが、アフリカに残してきた実母と出自を偽っていることがいつも心の隅にあって苦悩します。本当はユダヤ人じゃないんだけど、努力して模範的なユダヤ人になろうとする。でもなかなかイスラエル社会は自分を受け入れてくれない。彼はいったいどんな人生を送ることになるのか。

 この映画には三人のお母さんが出てきます。一人目は我が子を生きながらえさせるために心を鬼にして主人公シュロモを突き放したの実の母親。二人目は帰還直前に亡くなった我が子の代わりにシュロモを連れてイスラエルに入国したユダヤ教徒の母親。最後に、イスラエルで二人目の母をも失ってしまったシュロモを引き取り献身的に愛情を注ぐフランス系ユダヤ人の母親ヤエル。みんないいお母さんなんですね。シュロモが学校でみんなからいじめられ、そのストレスのせいで肌にブツブツが出来るのですが、同級生の親たちはそれをアフリカの伝染病じゃないかといって恐れる。教師に「みんなが怖がるからシュロモを転校させたい」と言われると、ヤエルは親たちの前で演説をぶち、我が子は世界で一番美しいと言ってシュロモの顔を舐めるんですね。これには圧巻。母の愛情は海より深くて大きいわけです。

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| @読書

 『鴨川ホルモー』を読みました。結構面白かった。

 簡単なあらすじ。主人公は京大生。大学入学後のある日、時代祭の仮装行列のアルバイトに参加したあと変なサークルにつかまる。食費を浮かせるために行った新歓コンパでかわいこちゃんに一目惚れし、変なサークルに加入した主人公が友情・恋愛に猛進する青春グラフィティ。

 小説には二つ面白さがあると思う。読んだ後胸を締め付けられる系と、読んだ後さっぱりしててご飯もおいしくいただける系。『ノルウェイの森』なんかは前者だと思うけど、この本は間違いなく後者。軽い気持ちで読むことが出来ます。宗田理のぼくらシリーズみたいな感じかな。読んだ後憂鬱な気分になって友達に変なメールを送ったり、感傷的になって誰かに八つ当たりする可能性はゼロに近いです。文中に少し難しい言葉が出てくることがあるけど、内容自体が難しいわけではないので中高生が読んでも楽しめるでしょう。

 この本を読むには簡単な京都の地理が分かっていた方が良いかも。京都を旅行した後なんかには楽しめるでしょうね。僕はわりと京大に近いところに入院していたので話が分かりやすかったです。あと陰陽道とか出てきて内容は激烈ファンタジックなんだけど、京都には確かに魑魅魍魎とか住んでいそうでリアリティーを感じてしまいました。

 ちなみに、著者の万城目学さんは大手企業で働いていたのに退社して小説を書き、新人賞に応募するも落選する日々を過ごしていたのですが、そんな生活に見切りをつけ資格学校に週三日通っていたときに受賞の知らせを受けたそうです。なかなか面白そうな人です。受賞の言葉、面白いですよ↓

| @旅行/散歩

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 北海道と長野という、日本を代表する陸の観光地を訪れて、「阿蘇なんてたいしたことないじゃん」と軽くコンプレックスを持ってしまいました。と同時に、阿蘇の魅力について改めて考えるいい機会になりました。

 阿蘇の魅力について考えてみると、それは人と山の調和にあります。長野や北海道の魅力は自然そのもの。それに対して阿蘇の魅力は、世界最大級のカルデラのなかに人が住んでいること。上高地やビーナスラインに比べたら久住や阿蘇はスケール小さいし、知床の海と山のコントラストに草千里はかないません。でも阿蘇には人が住んでいて、水田がある。この山と田んぼの組み合わせというのが何とも美しくて、夕方の柔らかな太陽の光と山と稲の緑が混ざり合わさった光景に独特の美しさがあります。

 ただ自然を見て回るだけじゃなくて、阿蘇神社の神事や阿蘇の神話とあわせて見聞することで初めて阿蘇地方の良さは伝わると思います。しかし残念ながら現在の阿蘇観光は山を見てお終いというパターンが殆どでしょう。歴史や文化について調べるのは面倒くさいですし、そういったものを押しつけても人々の興味を引くことはないでしょう。

| @旅行/散歩

 病院を受診するついでに長野県と北海道の友達のところを訪ねてきました。盗られたりぶっ壊したり忘れたりするんじゃないかと不安でしたが、旅行にMacBookとD40を持って行きました。両方とも盗られもぶっ壊れも忘れもせず無事帰宅できました。旅行中はその日に撮った写真をその日のうちにMacに取り込んで、夜は酒飲んで昼間撮った写真見ながら大はしゃぎでした。

 パソコンもカメラも道具であり、過剰に大事にしても意味ないですよね。傷つくのが嫌だからノートPCやカメラを家から出さないのはもったいないと思います。それよりか思いっきりがしがし使い込んでやった方がいい。そっちの方がよっぽどモノを大切にしてると思う。過保護にしててもPCやカメラの陳腐化はテクノロジーの進歩によって日々着実に進んでいくんだから。

 過保護に扱っていたPowerBookを車上荒らしにあって盗られた者の感想でした。