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 別にファンというわけじゃないのだけど、何気なく読んでいた勝谷誠彦の日記「勝谷誠彦の××な日々。」が、06年末をもって有料化されるのだそうです。時代の流れに反しているなぁ、という感想を持ちました。Web 2.0を振りかざすまでもなく、無料でコンテンツを提供、収益は広告で確保というのはいまのインターネットの趨勢。携帯コンテンツならいざ知らず、通常のウェブで課金モデルをやっても儲かるのだろうか。しかも月額875円もするそう(勝谷誠彦ウェブサイト - FAQ(よくある質問と回答))。読者は大幅に減るだろうなと思います。

 そういえばこの人、昨日の「ムーブ!」で(実は僕いま関西にいます)、番組で出した本が品薄だが、注文するときはネット書店なら一日で届くけどネットではなく街の本屋で買いましょう、文化を守るとはそういうことなんですと語っていたが、この認識もやはり時代の流れに反していると思う。よくこの人は再販価格維持制度や新聞の記者クラブ制度を談合だとして叩くけど、やはり出版社出身なだけあって、出版者側の理屈で物事を考えているみたいだ。新聞社の談合は叩くのに、出版社と書店のあいだの談合構造は保護せよと言っているのです。街の本屋に本を頼むと時間がかかるのは、出版界の談合構造を原因としているからです。

 ところで、街の書店に本を注文して嫌がられたことないですか? 僕は注文しようとして「入荷まで最低二週間はかかりますし、注文しても必ず入荷するかどうかは分かりません。それでもよろしいですか?」みたいな脅し文句を言われて注文を諦めた経験があります。これには訳があって、通常、書店に並べられている本というのは返品自由なんですが、注文品は買い取り制。だから注文したのに別のところで買われたりしたら書店の買い取りになって無駄な在庫が出来るし、売れ筋本ならともかく、普通の本を一冊単位で注文するなんて手間がかかる。そういうわけで注文は煙たがられるのだそうです。(参考:出版物の委託販売と再販制 @ 著作物再販制に疑問を持つサイト

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| @雑談

 久々に更新。まだ死んでません。

 ブルータスが“クール・ジャパン”についての特集をやっていたので買ってみました。村上春樹がなぜ外国で読まれるのかについても書いてあったでね。

 まぁまぁ面白かったんですが、所詮“クール・ジャパン”は局地的で刹那的なものに過ぎないような気がしますね。ハローキティーが永続的に受けるとは思えない。中身がないですもんね。欧米では表層的に日本文化が受け入れられているような気がする。

 しかし一方で、アジアでは“クール・ジャパン”は定着するかも知れないと思います。村上春樹の本の売り上げも、欧米での反響ばかりがメディアでは取り上げられがちだけど、ブルータスによると、売れても数千〜数万部が限度の欧米各国に対し、アジアでは数十万単位で村上春樹作品が読まれているのだとか。やはり文化的地理的距離が近いところの方が共感を呼びやすいのでしょうね。

 また読まれている春樹作品もアジア諸国では『ノルウェイの森』がダントツであるのに対して、欧米では『ねじまき鳥クロニクル』以降の寓話路線。ブルータスの中では『ノルウェイの森』を恋愛系、『ねじまき鳥』を人生系という風に分けていたけど、その分類は正しくないのではないかな。前期作品はリアル系で、後期作品はファンタジー系と分けるのが正しい分類だと思う。日本ではセカチューが売れる前までは『ノルウェイの森』が書籍売り上げランキングのトップだったし、まぁ異論はあると思うけど、現在でも村上春樹といえば『ノルウェイの森』なわけで。この辺の感覚もアジア諸国は極めて日本と近く、それが同地域における一過性でない“クール・ジャパン“の定着を予想させるのです。

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| @WWW

 今週号のAERAの巻頭記事は「時代の気分は新コーハ」というもの。関西で朝日放送の「ムーブ!」が人気があるというところから記事は始まる。

 「ムーブ!」は型破りな番組で、関西の夕方情報番組の「勝利の方程式」たる「グルメ・温泉・お笑い」を放棄し、これまでマスコミが及び腰だった同和利権の問題や、夕方の時間帯で視聴者が興味を示すとは思えない社会保険庁の問題などを積極的に取り上げているそうだ。関西ではお笑い界とテレビ界の結びつきが密接で、時間帯ごとに芸人の出演枠があるほどだが、「ムーブ!」はそういったしがらみを断ち切り、「そこまで言って委員会」や「TVタックル」に良く出演している宮崎哲弥、福岡政行をはじめ、「物書き」にこだわって出演者を選んでいる。夕方の情報番組としては硬派な内容だが、6月からはついに関西の夕方時間帯でトップの視聴率を維持しているとのこと。

 加えて光文社がカント、レーニン、ドストエフスキーらの著作を新訳で刊行し始めたことを挙げ、自分の頭で、毅然として真面目に物事を考えようとする気分の勃興を指摘している。AERAはこれを「新コーハ主義」と命名している。その後お決まりのフレーズで自民党政治を批判する。失われた10年を利用して人々の不安を煽り、安倍政権は憲法改正、核武装を押し進めようとしていると、ネット社会学が専門の国際大学の鈴木謙介研究員なる人物に述べさせている。

 そんななか、(ウヨクの巣窟たる)ネット社会にも異変が訪れたとし、「火病(ふぁびょ)る」という言葉の意味の変容を例として挙げている。

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| @散財

 感じ通信経由で読んだ、絵文録ことのはの二つの記事は非常に示唆に富んでいた。ケータイ文化圏とネット文化圏を分けるという思考。

 絵文禄ことのはで指摘されていることのキモは、ケータイ族はPCによるウェブアクセスがいかに便利であっても、それを受け入れることはないということである。ケータイ族はケータイにフルブラウザ機能なんて求めない。それよりも絵文字の各社統一、着うたの音質向上などを求めている。たくさんのことが出来る必要なんてない、ケータイで出来ることを、いつでもどこでも自分の好きなときにやりたい、というニーズを満たすことがケータイ族の満足向上につながる。

 少し前、日本の電機メーカーはユーザーをスポイルしてて、思考を単純化させているのではないか、というようなことを書いたけど(portal shit! : ソニー、松下の「パソコン要らず」は果たして長所なのか?)、電機メーカーの囲い込みを受け入れる人々のことをケータイ族と、電機メーカーの囲い込みに抗う人々のことをネット(ウェブ)族と呼び変えても問題なさそうだ。僕が前々から感じていた電機メーカーに対して感じる窮屈さというのは、つまり僕がネット文化圏側の人間であったということなのだ。

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| @技術/プログラミング

 P_BLOGでアマゾンの商品へのリンクを自動生成してくれるISBN変換プラグイン。大変便利なんですが、アマゾンが仕様を変更したっぽい9月末頃から、日本語が激しく文字化けするようになっていました。なんとか自分で直せないかなー、と調べてみたんですが、どうやらアマゾンのシステムがECS3.0というものからECS4.0になったことが文字化けの原因のようで、ECS4.0のシステムに対応させれば文字化けはしないようです。

 で、アマゾン・ウェブサービスのデベロッパー向けサイトを見たりしたんですが、ちょっとよく分からない。ECS4.0の前に、ECS3.0がどんなものなのかも分からない。だんだんムシャクシャしてきたので、plg_isbn.inc.php をいじるのは諦めて、plg_isbn_include というフォルダに目がとまりました。ISBN変換プラグインはSOAPという方法でアマゾンから商品情報を取得しているようなのですが、それをつかさどるファイルがこのフォルダの中にあるわけですね。というわけで nusoap.php をエディターで開くと、バージョンと配布元URLが書いてあるんですけど、いささかバージョンが古い。そういうわけで配布元の Dietrich Ayala | NuSOAP にアクセスし、最新版をダウンロードしてきて nusoap.php を新しいものに置き換えてみました。

 その後DB内のp_log_isbnテーブルをすっからかんにしてみたところ・・・。なおってるぅ〜 :-D  たまたまアマゾン側の対応が済んだのか、nusoap.php をアップデートしたことが良かったのか、どちらが理由かは分かりませんが、とりあえず文字化けが直りました。P_BLOGユーザーで困っている方は、p_log_isbnテーブル内のデータを空にした後、nusoap.php を最新版に入れ替えてみてください。ひょっとしたら幸せになれるかも知れません ;-)

| @雑談

 また内舘牧子センセイが朝青龍を叩いている。

内館牧子委員(脚本家)に至っては「けたぐりという言葉自体、品がない」と話し、果ては朝青龍が制限時間を迎えた時まわしをたたく所作に「横綱がみっともない」。

 制限時間前の動作についてどう受け止めるかは受け止め手の価値観の問題ではないか。力士の勝負前の癖を取り上げて「みっともない」とケチをつける方がみっともない。「けたぐりという言葉自体、品がない」というのにいたっては、これは最早朝青龍個人の資質とは何も関係ない。けたぐりという名前をつけた昔の人が悪いんじゃないか。なぜそうまでして朝青龍の文句を言わなければならないのか。モンゴルに恨みでもあるのか。

 Wikipediaに

横審における朝青龍への言いがかりじみた難癖はもはや横審名物と化しているが、これには北の湖理事長も失笑を禁じ得ないことが多々あるらしい。

とまで書かれている。なんでこんな変な人が横綱審議委員を続けられるのだろう。というか、いま調べてみたら横綱審議委員会というのはちょっと人選に問題があるのではないか。エビジョンイルこと前NHK会長の海老沢勝二氏と、会社の金を愛人のクラブにつぎ込んでいたことが発覚して失脚した前日経社長の鶴田卓彦氏が含まれている(横綱審議委員会 - Wikipedia)。こんな失脚した人たちや外国人排斥的な変人に昇進を云々される力士たちが可哀想だ。

| @雑談

 吉村哲彦さんのブログのコメント欄で、興味深いやり取りがなされていた(ぷーくまのハチミツと海外旅行が大好き: 本のディスカウントセール)。吉村さんがアメリカは本のディスカウントセールがあるので本が安く買えて良い、日本の再販制度は愚かだ、と投稿している記事に対して、Takaさんという方が反論を述べている。以下、Taka氏の主張の要点を箇条書き。

  • 再販制度のおかげで日本の本は安い。新書や文庫は定価がバーゲンセール状態。
  • 再販制度のおかげで日本は本の種類が豊富。
  • 再販制度がなくなれば、弱肉強食現象がおこり大手出版社の寡占的状況が生まれ、本の多様性が失われて読者利益を損ねる可能性が高い。

 これに対して吉村さんがコメント欄で反論されているが、販売価格を維持せよという制度のおかげで本が安く売られているという主張は珍妙だ。

売れない本を普及価格で売る必要があるのか?

 しかしかくいう僕も、学生の頃、出版社に入りたいなぁと漠然と思っていた頃は再販制度は必要かも知れないと思っていた。というのは例えば岩波文庫を考えると分かりやすいのだが、ハッキリ言って岩波文庫は面白くない。あれを自由価格販売してしまうと、恐らく二束三文にもならず、出版社は販売意欲を失うだろう。きっと岩波文庫はなくなる。そうなると、世界の古典や名著を読むために、学生は順番待ちをして図書館で借りて読むか、多大なる書籍代を積まなければならなくなる。500円、600円でギリシャ・ローマの古典から近現代の名著にまで触れることの出来るいまの状況は、売れる本で得られた利益を売れない本の販売活動に補填する再販制度のおかげだ、と思ったのだ。

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