| @WWW

 今週号のAERAの巻頭記事は「時代の気分は新コーハ」というもの。関西で朝日放送の「ムーブ!」が人気があるというところから記事は始まる。

 「ムーブ!」は型破りな番組で、関西の夕方情報番組の「勝利の方程式」たる「グルメ・温泉・お笑い」を放棄し、これまでマスコミが及び腰だった同和利権の問題や、夕方の時間帯で視聴者が興味を示すとは思えない社会保険庁の問題などを積極的に取り上げているそうだ。関西ではお笑い界とテレビ界の結びつきが密接で、時間帯ごとに芸人の出演枠があるほどだが、「ムーブ!」はそういったしがらみを断ち切り、「そこまで言って委員会」や「TVタックル」に良く出演している宮崎哲弥、福岡政行をはじめ、「物書き」にこだわって出演者を選んでいる。夕方の情報番組としては硬派な内容だが、6月からはついに関西の夕方時間帯でトップの視聴率を維持しているとのこと。

 加えて光文社がカント、レーニン、ドストエフスキーらの著作を新訳で刊行し始めたことを挙げ、自分の頭で、毅然として真面目に物事を考えようとする気分の勃興を指摘している。AERAはこれを「新コーハ主義」と命名している。その後お決まりのフレーズで自民党政治を批判する。失われた10年を利用して人々の不安を煽り、安倍政権は憲法改正、核武装を押し進めようとしていると、ネット社会学が専門の国際大学の鈴木謙介研究員なる人物に述べさせている。

 そんななか、(ウヨクの巣窟たる)ネット社会にも異変が訪れたとし、「火病(ふぁびょ)る」という言葉の意味の変容を例として挙げている。

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| @散財

 感じ通信経由で読んだ、絵文録ことのはの二つの記事は非常に示唆に富んでいた。ケータイ文化圏とネット文化圏を分けるという思考。

 絵文禄ことのはで指摘されていることのキモは、ケータイ族はPCによるウェブアクセスがいかに便利であっても、それを受け入れることはないということである。ケータイ族はケータイにフルブラウザ機能なんて求めない。それよりも絵文字の各社統一、着うたの音質向上などを求めている。たくさんのことが出来る必要なんてない、ケータイで出来ることを、いつでもどこでも自分の好きなときにやりたい、というニーズを満たすことがケータイ族の満足向上につながる。

 少し前、日本の電機メーカーはユーザーをスポイルしてて、思考を単純化させているのではないか、というようなことを書いたけど(portal shit! : ソニー、松下の「パソコン要らず」は果たして長所なのか?)、電機メーカーの囲い込みを受け入れる人々のことをケータイ族と、電機メーカーの囲い込みに抗う人々のことをネット(ウェブ)族と呼び変えても問題なさそうだ。僕が前々から感じていた電機メーカーに対して感じる窮屈さというのは、つまり僕がネット文化圏側の人間であったということなのだ。

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| @技術/プログラミング

 P_BLOGでアマゾンの商品へのリンクを自動生成してくれるISBN変換プラグイン。大変便利なんですが、アマゾンが仕様を変更したっぽい9月末頃から、日本語が激しく文字化けするようになっていました。なんとか自分で直せないかなー、と調べてみたんですが、どうやらアマゾンのシステムがECS3.0というものからECS4.0になったことが文字化けの原因のようで、ECS4.0のシステムに対応させれば文字化けはしないようです。

 で、アマゾン・ウェブサービスのデベロッパー向けサイトを見たりしたんですが、ちょっとよく分からない。ECS4.0の前に、ECS3.0がどんなものなのかも分からない。だんだんムシャクシャしてきたので、plg_isbn.inc.php をいじるのは諦めて、plg_isbn_include というフォルダに目がとまりました。ISBN変換プラグインはSOAPという方法でアマゾンから商品情報を取得しているようなのですが、それをつかさどるファイルがこのフォルダの中にあるわけですね。というわけで nusoap.php をエディターで開くと、バージョンと配布元URLが書いてあるんですけど、いささかバージョンが古い。そういうわけで配布元の Dietrich Ayala | NuSOAP にアクセスし、最新版をダウンロードしてきて nusoap.php を新しいものに置き換えてみました。

 その後DB内のp_log_isbnテーブルをすっからかんにしてみたところ・・・。なおってるぅ〜 :-D  たまたまアマゾン側の対応が済んだのか、nusoap.php をアップデートしたことが良かったのか、どちらが理由かは分かりませんが、とりあえず文字化けが直りました。P_BLOGユーザーで困っている方は、p_log_isbnテーブル内のデータを空にした後、nusoap.php を最新版に入れ替えてみてください。ひょっとしたら幸せになれるかも知れません ;-)

| @雑談

 また内舘牧子センセイが朝青龍を叩いている。

内館牧子委員(脚本家)に至っては「けたぐりという言葉自体、品がない」と話し、果ては朝青龍が制限時間を迎えた時まわしをたたく所作に「横綱がみっともない」。

 制限時間前の動作についてどう受け止めるかは受け止め手の価値観の問題ではないか。力士の勝負前の癖を取り上げて「みっともない」とケチをつける方がみっともない。「けたぐりという言葉自体、品がない」というのにいたっては、これは最早朝青龍個人の資質とは何も関係ない。けたぐりという名前をつけた昔の人が悪いんじゃないか。なぜそうまでして朝青龍の文句を言わなければならないのか。モンゴルに恨みでもあるのか。

 Wikipediaに

横審における朝青龍への言いがかりじみた難癖はもはや横審名物と化しているが、これには北の湖理事長も失笑を禁じ得ないことが多々あるらしい。

とまで書かれている。なんでこんな変な人が横綱審議委員を続けられるのだろう。というか、いま調べてみたら横綱審議委員会というのはちょっと人選に問題があるのではないか。エビジョンイルこと前NHK会長の海老沢勝二氏と、会社の金を愛人のクラブにつぎ込んでいたことが発覚して失脚した前日経社長の鶴田卓彦氏が含まれている(横綱審議委員会 - Wikipedia)。こんな失脚した人たちや外国人排斥的な変人に昇進を云々される力士たちが可哀想だ。

| @雑談

 吉村哲彦さんのブログのコメント欄で、興味深いやり取りがなされていた(ぷーくまのハチミツと海外旅行が大好き: 本のディスカウントセール)。吉村さんがアメリカは本のディスカウントセールがあるので本が安く買えて良い、日本の再販制度は愚かだ、と投稿している記事に対して、Takaさんという方が反論を述べている。以下、Taka氏の主張の要点を箇条書き。

  • 再販制度のおかげで日本の本は安い。新書や文庫は定価がバーゲンセール状態。
  • 再販制度のおかげで日本は本の種類が豊富。
  • 再販制度がなくなれば、弱肉強食現象がおこり大手出版社の寡占的状況が生まれ、本の多様性が失われて読者利益を損ねる可能性が高い。

 これに対して吉村さんがコメント欄で反論されているが、販売価格を維持せよという制度のおかげで本が安く売られているという主張は珍妙だ。

売れない本を普及価格で売る必要があるのか?

 しかしかくいう僕も、学生の頃、出版社に入りたいなぁと漠然と思っていた頃は再販制度は必要かも知れないと思っていた。というのは例えば岩波文庫を考えると分かりやすいのだが、ハッキリ言って岩波文庫は面白くない。あれを自由価格販売してしまうと、恐らく二束三文にもならず、出版社は販売意欲を失うだろう。きっと岩波文庫はなくなる。そうなると、世界の古典や名著を読むために、学生は順番待ちをして図書館で借りて読むか、多大なる書籍代を積まなければならなくなる。500円、600円でギリシャ・ローマの古典から近現代の名著にまで触れることの出来るいまの状況は、売れる本で得られた利益を売れない本の販売活動に補填する再販制度のおかげだ、と思ったのだ。

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| @雑談

 25日は関東学院 V.S. 法政戦がNHKで放送されていたのだが、不覚にも前もってチェックするのを忘れていた。試合終了間際の15:30頃に急いでテレビをつけたが、最後の両チームが得点を奪い合うクライマックスシーンを辛うじて目にすることができた。両チームの攻防はとても迫力があり、23日の早慶戦と比べ、コンタクトが特に激しいように思えた。早慶戦の慶応のタックルは、関東学院から勝利をもぎ取った法政のタックルに比べれば非常に甘かった。関東−法政戦の方が早慶戦よりも好ゲームであったといわざるを得ないだろう。そこである疑念が浮かんだ。対抗戦とリーグ戦でレベルに差が開きつつあるのではないだろうか?

 大学ラグビーには伝統校が所属する対抗戦と、新興校が所属するリーグ戦がある。日本ラグビーのルーツ校たる慶応はもちろん対抗戦のAグループ(1部)に所属している。早稲田や明治や東大といった戦前からの伝統校も当然対抗戦所属だ。一方でリーグ戦は、ここ数十年で急速に力を増してきた関東学院など、新興校によって構成されている。リーグ戦1部の主な構成校は法政や東海大、大東大、流通経済大などだ。

下克上のリーグ戦、ぬるま湯対抗戦

 あくまで個人的なイメージなのだが、リーグ戦と対抗戦ではリーグ戦の方がレベルが高いのではないかという気がする。というのはリーグ戦は新興校による集団なので、新しい勢力が次々と勃興するからだ。例えば今年リーグ戦1部7位の立正大は、去年入れ替え戦を戦い2部から昇格したチームだ。65年発足のチームで、早大OBの堀越監督が鍛え上げて1部昇格を実現した。関東学院だって、春口監督が弱小チームを30年かけて強豪校に育て上げたのだ。このように常連校でもなくても1部に昇格できるような、下克上的な雰囲気をリーグ戦からは感じる。

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| @映画/ドラマ/テレビ

 スマステ6を見ていたら、木村拓哉が『武士の一分』に出ている関係から、山田洋次の時代劇についてやっていた。山田洋次監督はこれまで藤沢周平原作の『たそがれ清兵衛』、『隠し剣 鬼の爪』を映画化している。山田監督はいままでの時代劇についてリアリティーが足りないと思っていたそうだ。一人が何十人も相手にする殺陣、相手の背後にいるのになかなか斬りかからない雑魚キャラ。殺陣だけでなく、衣装や食事、カツラにいたるまで時代考証を綿密に行い、リアリティーにこだわったのだそうだ。たとえば『たそがれ清兵衛』で真田広之演じる清兵衛は無精髭が生えているのだが、そんな人間が毎日髪の手入れをしているはずがないと、月代(頭を剃っている部分)を伸ばしたカツラを用意するなどしたそうだ。

 僕もテレビで見る時代劇などは嘘が多いと思っていたし、山田洋次監督のリアリティーを追求する姿勢には賛同するのだが、DVDを借りて見た『たそがれ清兵衛』は足りないところもあった。それは性の描写だ。以前もどっかで書いたけど、江戸時代というのは少し調べると遊郭や賤民の存在を避けられないような猥雑な時代だったということがすぐ分かるんだけど、それらをもろに描いた時代劇なんてのはなかなかないと思う。(もちろん存在するのだけど僕が知らないだけかも知れない。そうだとしたらゴメン)

 その点、性も、というか性を中心に江戸時代の人々の生き様を描いた奥田瑛二監督の『るにん』は圧巻だった(portal shit! : るにん ★★★★★)。ちょんまげにしたって、ほとんどの役者が髪を剃って月代をつくっていた。もちろん奥田瑛二本人も。住居から衣装まで、かなり徹底的に当時を再現しようとしたようで、時代考証は申し分なかった。

 ただ、すべての時代劇があからさまに性を扱う必要はないとも思う。だから山田洋次が撮るような、道徳的で美しいかつての日本人を描いた時代劇もあって良いと思う。でもあまり語られることのない、江戸時代の猥雑な部分を表現する映画を奥田瑛二にいくつか作ってもらいたい。緒形直人主演で、老人が児童虐待されている少女を誘拐する映画がカナダだかどこか外国の映画祭で賞を取ったらしいが、次作はまた時代劇を撮って欲しい。時代劇の今後に期待しています。